「合宿、行ってみよー!!」
・・・へ?

比奈鳥さんがどっかのアニメ口調で俺達にそう言った。
いつものビックマウスには慣れている。だってウチにはそれ以上のビックマウスがいるんだから。
・・・有川、お前はまずストライクを投げてくれ。制球力は平山とどっこいどっこいじゃないか。

「それよりも、合宿場のアテはあるんですか?」
監督は忙しそうだし、俺らに才葉のようなチームスポンサーがあるわけでもない。
ようはウチは資金難なんだ。・・・小学生の使う言葉じゃないが。

聞けば紋白の実家は旅館を経営しているらしく、紋白と比奈鳥さんが頼み込んでくれたらしい。
合宿費はかなり安くついたし、近くにちょうどいいグラウンドもあるということで、合宿の計画を立てたということだ。

以前の俺達なら反対していただろうけど、バラバラだったチームをまとめてくれたのが比奈鳥さん。
コールド連発(もちろん負け)のチームを何とか戦えるチームにしてくれた。
未だにどっかのメガネにマモレンジャーとか馬鹿にされてるけど、以前よりはかなり上手くなった。
比奈鳥さんの言うことに間違いはないし(ただし野球方面のみ)、そこに行けばもっと上を目指せるかもしれない。
何より一番尊敬してる人に合宿行こうって言われたら行くしかないじゃんか。

幸いなことに予定が無かったので、親からも合宿OKのサインが出た。
お金も用意できたし、後は明日からの合宿に備えてベットで休むだけ・・・。
と、いきなり携帯の着うたが流れ出した。

鳩山「あ、有珠羽?俺だけどさー、明日急に予定入ったからあのアホ毛にうまく言っといてwwww」
死ね。氏ねじゃなくて死ね。どうせ理由なんてないんだろ。

とりあえず集合場所に一番乗り。駅で待ち合わせなので、早めに来ておいた。
しばらくすると紋白が来て、比奈鳥さんが来て、有川や知里田や能美山や阿久田が来て・・・・。
いない。二人足りない。もう一人芥(ごみ)のことはこの際気にしないことにする。
芽田金と、萌田だ。待ち合わせ場所がわからないんだろうか?

芽田金「なんかかみさまのかみにかっこいいきごうみたいなばしょについたぞ?」
・・・神戸の事だろうか。あいつはどうやって間違えたらそんな都会に行けるんだ。
聞けば萌田は電車から降りる際に段差で怪我したんだとか。
遅れてごめんねーと言う彼の姿には痛々しいキブスが・・・。


とりあえず今居る8人で旅館へ向かうことに。実質一人は怪我人だが。


旅館に着いた途端、即猛練習。何故か知里田が外野に回され、俺が捕手をすることに。
理由は、単純に俺の能力不足。足の速い地里田に外野を守らして守備を固めてしまえということだ。

でも俺がキャッチャーになったらそれこそ戦力ダウンじゃないか。比奈鳥さんの速球はじめ変化球をきちんと受けれる訳が無い。
それを比奈鳥さんに言ったら
「今はそうかもしれないが心配するな。私が鍛えてやるから、この合宿時間は覚悟しておけ!」
・・・やばい。ひょっとして俺めちゃくちゃ扱かれる?

それからというもの、地獄のような練習が始まった。ボールを怖がる俺にビュンビュンボールを投げてくる。
痛くて痛くて仕方が無い。ボールがミットに収まる気配がない。
とにかくずっとマンツーマンの指導。俺がきちんとキャッチャーとして守れる日は来るんだろうか・・・。

ようやく捕球出来るようになってきた時、比奈鳥さんが俺のことを褒めてくれた。
なんかその時、今までの辛さが嘘のように無くなって、物凄く嬉しくなった。
あぁ、俺、このビックマウスでちょっとずれてるけど憧れの先輩に褒められたんだって・・・。

んで、部屋割りなんだけど・・・。
なんで比奈鳥さん俺と同室やねん。惚れちゃうぞ。

「ん?お前、私に手を出すってか?そんな事したら後でどうなるかわかってるだろ?ん?」
・・・はい、大人しく押入れで寝ます。

猛暑の中、ずっとキャッチングの練習。投げる方も辛いだろうに、俺にずっと付き合ってくれた。
そこまでしてもらってるんだ。俺も必死で上手くなるよう努力した。

休憩時間中に、色々比奈鳥さんと話す機会が多くなった。
チームメイトの悪口、良い所、他愛のない話。話すだけでも何だかやる気が出てくるし、嬉しくなってくる。
今までムードが悪くなるとか大事な時にエラーかますとか散々言われてきた。
けれど、比奈鳥さんはお構い無しに俺に話しかけてくれる。俺と一緒の立場で話してくれる。
それがとても嬉しかったし、やる気の動力源になった。


合宿が終わりに近づいてきた頃、ふと能美山と一緒になった。
すると能美山が開口一番、

「お前、あの人に恋してるだろ」
・・・言葉の意味を整理するのにかなり時間がかかった。

でも嘘ついても仕方がない。だって比奈鳥さんは可愛いのに頼りがいがあって素敵だもん。
素直に話しかけてくれるだけでとても嬉しくなってくるみたいな事を伝えた。


最終日になると、ほぼ完璧に比奈鳥さんの球を受けれるようになった。
絶対無理だと思っていたのに、これも比奈鳥さんのおかげだろう。

「やったな有珠羽!やれば出来るじゃないか!」
この一言だけで苦労が報われた気がした。
比奈鳥さんのおかげですって言ったら、少し照れて
「いやいや、正直ここまで上手くなるとは思わなかったぞ。お前の努力の結果だ。自分に自信を持て!」
と言ってくれた。憧れの人に認められたと思った俺は涙が出るほど嬉しくなった。

でも泣いていたら比奈鳥さんにあやされて、ちょっとかっこ悪い気がした・・・。


地獄のような特訓だったが、今思い出してみると全て比奈鳥さんに振り回されっぱなしのような・・・。
でも俺以外のやつはそんなに練習してなかった気がする。
というか有川に至ってはこの合宿期間中にグラウンドで姿を確認できかった。


夕食を食べてたら隣に能美山が座ってきた。
するとまた、「お前、ホント比奈鳥のこと好きだな」
と爆弾発言。誰にも聞かれなくてよかったよ。

「お前、比奈鳥と話すだけで嬉しいって言ってたよな。」
ああ、そういやそんなことを話したような。
でも、なんでいきなりそんな話をするのさね。



「今夜お前の部屋に行ってトランプしようぜ。比奈鳥もお前も含めて、さ。そうしたらあいつとももっと仲良くなれるだろ?」

・・・遅い。いつまでたっても能美山が来ない。
部屋に行ってみるともう寝ていた。何で寝ちゃうんだよ!!
比奈鳥さんも寝ちゃったよ。何が仲良くなれるだ馬鹿。


仕方なく俺も寝ようとしたけど、何故か目が冴えて眠れなかった。


誰一人として、起きている奴はいない。
不気味なまでに静かだった。


こっそりと押し入れから抜け出す。いざ出てみると、辺りがよく見えない。

能美山が寝ちゃった地点でアウトなのに、起きないかなぁ、なんて思いつつ、側に寄る。
気付いていないのか、ピクリともしない。寝顔をじっと見つめる。

俺以外、起きている奴はいない。
不気味なまでの静けさはもうない。
今聞こえてくるのは比奈鳥さんの規則正しい寝息だけだ。


(やっぱり、可愛い・・・よな)

いつもは男勝りな性格な彼女も、寝顔はかわいらしい。
俺より少し大きい身長。クラスの女子より少し大きい胸。
なによりパジャマ姿が余計に可愛らしく見えた。

思わず息を飲む。今にも、理性が崩壊しそうになってきた。


(触るくらいなら・・・別に大丈夫・・・かな・・・?)
そっと髪に触れてみる。髪から、シャンプーのいい香りがする。さらさらとした感触が心地良い。

指を入れると、流れるように抜けていく。
ふと、手が顔に触れる。
これだけやったのに、比奈鳥さんは起きない。

(別にどうなっても、今ならどうでもいいか。)

ここまでやってしまった俺は、理性が崩壊していた。

頬をばれないように突いた。
(すっげ、柔らけぇ・・)
思っていたより、ずっと柔らかく弾力がある。
子供のように、夢中で触っていた。


(ん・・・ぅん・・・?)
(・・・誰かに、触られている?)

比奈鳥さんが起きたことに気付かないで、今度は唇に手を伸ばす。
(・・・うん!?)
肌とは違い、さらに弾力があった。
両手で頬と唇をこねくりまわす。
しばらくのあいだ、夢中になっていた。

「ん・・・ふぁ・・・」
ふと、指に生暖かい吐息がかかる。
その瞬間、自分でも固まったのがわかった。
直ぐさまに手を離す。
このまま逃げることも考えたが、何故かそこから一歩も動けなかった。


目を覚ましたはいいが、比奈鳥さんも固まっていた。
相手は誰かもわからず、しかも就寝時間に、誰かがすぐそこにいる。

「・・・う、有珠羽・・・?」

名前を呼ばれた気がしたが、気にしないことにした。
しばらくすると、髪に手を入れられる。
体が強張る。何も出来なかった。

開き直った。ここまで来てばれても、別にどうでもいい。
また夢中になって顔中を触る。
ふと、視線を下におく。


比奈鳥さんが涙目になってこっちを見ていた。
比奈鳥さん、声出さないで・・・。

首を立てに振らせた。
いつの間にか、お近づきになろう。とか、色々話せたらいいな。とかそんな子供じみた考えは消えていた。


罪悪感を感じることもない。ただ、本能のままに動いていた。
手を下の方に伸ばす。
若干抵抗されたが、名前を呼ぶと大人しくなった。
柔らかそうな二つの胸にそっと手を添える。

「あっ」
比奈鳥さんがピクリと反応する。
そういう経験は全くない俺は、喋ったことに驚いて、手を放してしまう。

あんまり、声を出さないで・・・。口を手で塞げ、声が漏れないようにする。
よく見たら、比奈鳥さんは泣いていた。でもここでやめる訳にもいかない。
それどころか、何故か涙目になっている比奈鳥さんが可愛くなってきて、さらに泣かしてみたくなってきた。

少し力を入れて揉みほぐす。
自分今凄いことやってるな・・・。
なんて思いつつ、パジャマの上から柔らかい感触を楽しむ。
たまに声をあげる比奈鳥さんが可愛くって、また夢中になって触る。
開けたパジャマの中に手を突っ込む。

「ん・・・あぁ・・・」
肌に直接触れて、いよいよ止まらなくなる。
そっとパジャマのボタンを外す。
弱々しく比奈鳥さんが抵抗した。


耳元でそっと囁く。
(あんまり騒ぐと、みんなにばれちゃいますよ?
それとも、みんなに見に来て欲しいんですか?)
(そっ、そんなわけ・・・でも・・・)

(でも、じゃないでしょ。生憎、僕は誰にも見られたくないんでね。)


俺ってこんな性格だったっけ・・・。
なんだか、言葉と手で比奈鳥さんをいじめるのが楽しくなってきた。
顔を近付けて、首筋を撫でる。

「あっ・・・・」

必死に堪えている比奈鳥さんをよそに、行動はどんどんエスカレートしていく。

「うあぁ!?」

首を舐めただけでこんなに反応するとは。
首筋からそのまま下へと移動する。
つぅっと舌を這うようにしたままで、胸に手を出す。
さっきの約束を覚えているのか、比奈鳥さんはなんとか声を押し殺してくれている。

そんな比奈鳥さんを乱したくなって、二つの突起に舌を這わせ、同時に指も使って乱暴に扱う。
声を出さないよう耐えてる比奈鳥さんが余計に可愛く思えた。

止まらなくなった俺は、下の秘部にもそっと手をやる。
指を、熱を帯びた秘所の中へ入れた。


「ひぁあっ!?そ、そこはぁ・・・。」
既に出来あがっていて、受け入れるには十分に濡れていた。


「比奈鳥さん、痛いかもしれないけど、我慢して・・・」
もう何も考えられない。今はただ、この欲望に身を任せるだけ。


「ひ・・・!!うぁ・・・!!?」
(きっつ・・・!でもすげぇ・・・気持ち良い・・・)
もちろん両方とも初めての体験。こんなに気持ちがいいものなんだ・・・。
耐え切れなくなり腰を動かす。その度に比奈鳥さんが泣きそうな声で喘いだ。

「比奈鳥さん・・・大丈夫ですか・・・」
「大丈夫なぁ!わけが・・・ああ!!」

答えを聞いたところでやめるつもりは全く無い。
小さな胸に手を添えて、先端をこね回す。
こうすると比奈鳥さんは可愛い声で喘いでくれる。



「ふぁぁっやぁ、やみぇてぇ・・・んああ!!」
(やばい・・・出る・・・!!)




ことを終えた俺は、どうしたらいいか分からず、その場を離れられなかった。
謝るべきだろうか?それとも、このことがばれないように口止めするべきだろうか?
ただ、ばれたら絶対このチームにいられない。
俺のやってた事は犯罪まがいのことなんだし、下手しなくても捕まる。
比奈鳥さんに服を着せて、ことがなかったように後片付け。
後は本人に口止めするだけだけど、どう言えばいいんだ・・・。

「・・・でも、なんで有珠羽が?」
その一言で心臓を持って行かれそうになる。
弁解しようにもどうすりゃいいかわからない。
腹をくくって、これまでのことを話した。

「・・・って事です。とにかく、僕は比奈鳥さんに何をされても何も言えませんから。」
警察に突き出されようがネタにしていじめられようが何も言える立場じゃない。
責任を寝ていた能美山になすりつける事も考えたが、言い逃れは出来る訳がない。


しばらくの間、比奈鳥さんは考え込んでいた。
今は目を合わせられないから、自分はずっと俯いていた。
先ほどまでの行為を後悔しながら。

ふと目を開けると、比奈鳥さんの顔がすぐ近くにあった。
(・・・!?ち、近すぎ・・・!)

すっと唇が触れるだけのキス。頭が真っ白になってくる。
唇が離れたあと、比奈鳥さんはこう言った。

「誰にも言わないからな。また明日からいつも通りにしような・・・。」

夢だかなんだかわからなかったけど、そのあとずっと比奈鳥さんは言わなかった。
だから俺もいつも通りにすることが出来た。
あの時間は、誰にも言うつもりないし、本人にも言うつもりもない。


その後、パンジーズが地区大会決勝までいったのは別のお話。
そしてちょっとムードが悪いキャッチャーが頑張ってたのも別のお話。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます