ネタバレ注意
イベントエピローグ
シャーロットの姿が光に包まれたと同時に、
周囲もそれに呼応するように発光し始めた。
彼女が人の姿を失うことと引き替えに
ドールの素材と化していた少女達が本来の姿を取り戻す。
シャーロットの消滅は即ち少女達の復活を意味する。
その全てを見届けられないまま、光に包まれた俺は、
気が付けばドールショップの店内に立っていた。
恐らく少女達は自分達の時代、
自分達の世界に帰ることが出来た筈だ。
正しい歴史に上書きされたとしても、
彼女たちは生きている。そう信じたい。
中と外で異なる時間帯、異なる歴史を紡ぐ屋敷。
あの屋敷は消滅したのか、まだ残っているのか、
それを知る方法はどこにもなかった。
ともあれ、少女達をイノガニックドールに変える
恐ろしい企みだけは阻止する事に成功した。
この旅では失う物が多すぎた。
得られた物は……
完全に消滅する事だけは避けられたのか、
手の中にはまだ温もりのあるドールが1体。
語りかけてももう、その声は聞こえない。
ふと目を上げると、そこには目にいっぱいの涙を溜めた杠葉がいた。
そしてこちらに近づき、ドールに優しく語りかける。
「お疲れ様、良く頑張ったね」
何かを知っている素振りで彼女はそう口にした。
ドールを抱きしめ、ただ泣いていた。
今は何も聞けない。
いずれ聞くべき時がくれば、きっと彼女から話してくれる筈だ。
何故ゲートが開くのか、ゲートの先で何故事件が起こるのか、
この旅の先に答えがあると信じて進む以外にない。
今はただ、シャーロットの事を思う。
人に焦がれ、人を愛し、人になったドールは、
人の為に自らを捧げ、悲しい最期を遂げた。
だが、彼女はドールとして残ってくれた。
このドールに再び愛が満ちたとき、
彼女は少女の姿になって現れる筈だ。
そう遠くない未来で、俺達は再会出来るのかも知れない。
杠葉と3人でテーブルを囲み、ティータイムは
彼女の作るお菓子で彩られる。
その未来の為に、この旅を続けよう。
俺はそう固く心に誓った。
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