純丘曜彰教授博士の哲学講義室 - スコラ哲学

---------------------------------------------------------------------------- D スコラ哲学の集大成

----------------------------------------------------------------------------
ペトルス・ロンバルドゥス(Petrus Lombardus ?-c1160)
 「命題師範」と呼ばれる。


【本質としての実在 esse per essentia】
 スコラ
 神の特徴。

【神学の婢 ancilla theologiae】
 スコラ
 哲学は、神学に対して従属的な関係にあること。または、そうあるべきであるというテーゼ。すなわち、哲学は、推理や体系化の道具として、神学の用に仕えるべきものであり、それを越えて啓示を問題とすることはできない、また、すべきではない、ということ。
 このような態度はふるくからあったが、ペトロス・ダミアニ(11C+)によってスコラ用語として定着した。

【自然の光 lumen naturale】
 スコラ
 神を認識する能力である超自然的な〈恩寵の光 lumen gratiae〉に対する、啓示をまたずに自然の事物を認識する人間理性的な能力のこと。しかし、この対比は、これらをその源泉とする帰結である信仰の真理と理性の真理の区別、断絶の危険を絶えずはらんでいた。
 もとは、「知るとはイデアの光に照されることである」という「光の形而上学」に発し、また、近世に入っては、デカルトやロックなどにおいて、理性の働きとその尊厳を強調する意味で用いられるようになった。

【第一志向/第二志向 intentio prima / secunda】
 スコラ
 意識はつねになんらかの対象を伴う。この性質を〈志向性〉と言い、〈第一志向〉と〈第二志向〉に分けられる。〈第一志向〉とは、直接、外界の対象に向けられるものであり、〈第二志向〉
とは、志向する意識や、その意識された対象を反省的に対象とするものである。
 また、意識の志向性にとって捕えられ、表象され思惟される対象は〈志向的内在〉とされる。これに対して、外界の実在の対象は、意識に〈超越〉とされる。

【実体的形相 forma substantialis
 /偶性的形相 forma accidentalis】
 スコラ、トマス
 事物は、質料と形相からなるが、その形相は実体的なものと偶性的なものとに分けられる。実体的形相とは、無規定の質料と結合してこれを実体とする、事物としての本質的な形相であり、偶性的形相とは、さらにこれに結合して、その生滅変化する性質をなす形相のである。
 近代科学は、実体概念に関し、このような質的不変なものから量的不変なものへという根本的な変更を加えることを経て、はじめて成立した。

【『命題集 Sententiarum libriquatuor』】