極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

248 名前:名無しさん@自治スレで設定変更議論中[sage] 投稿日:2011/06/20(月) 23:24:32.09 ID:v6pMOl0N
「まどか☆マギカ」のスピンオフ「おりこ☆マギカ」の猟奇「ほーむネーター 〜加速する狂気〜」
元ネタわかる人だけどうぞ。



ほーむネーター 〜加速する狂気〜

『ほーむネーター1 〜排除〜』
呉キリカにとって、この世はすべて下らないものであり、それゆえ嫌悪の対象だった。
下らない事を真剣にやる下らない人々、そしてその中に埋没していく下らない自分。それら全部が嫌いだった。
窓からふと校庭を見下ろし、ぼんやりとそんな事を考えていた彼女は、不意に衝撃を受け宙に放り出される。
「え?!」
僅かの浮遊感、風を切る感覚、ワンテンポ遅れて、自分が何者かによって窓から突き落とされた事はわかる。そして全身に鈍い衝撃。
衝撃、痺れ、やがてそれらは苦痛へと変わっていく。さっきまでいたのは三階、即死ではないが、骨が折れてるかもしれないし、内臓も傷ついているかもしれない。
キリカは地面に倒れたまま、動けない。と、突然頭部に衝撃を受け、意識が途切れた。
衆人環視の中、突然窓から転落した呉キリカの遺体は、三階から落ちたとは思えぬ程に損傷が酷かった。

美国織莉子は登校の際、いつも最後尾の女性専用車両に乗る。
アナウンスが電車が到着する事を告げ、織莉子は白線の内側へ下がる。
「え、何?」
今起こったことをありのまま言うと、白線の内側に下がったと思ったら、ホームから線路に飛び出していた。何言ってるかわからないと思うが、自分でもわからない。思い違いとか目眩によるよろけとか、そんなチャチなものじゃない、もっと恐ろしいことの片鱗を味わったような気がする。
美国織莉子は、ホームに入ってきたばかりの、まだ十分減速されてない列車に轢かれ、その短い生涯を閉じた。


『ほーむネーター2 〜処刑〜』
一体、何度繰り返した事だろう?
時を戻る度に、暁美ほむらは危険人物である美国織莉子と呉キリカを早い段階――キュゥべえと契約してない状態――で始末して来た。
警察やマスコミに余計な注目をされない為、事故に見せかけて殺す。彼女の時間停止能力があれば、一般人の暗殺など赤子の手を捻るに等しい。
窓から、歩道橋から、駅のホームから突き落とす。念には念を入れて、落ちた後に内臓や頭を叩き潰しておく。通常の転落よりも死体の損傷は著しいが、衆人環視の下で起きた"事故"だ。犯人が存在する事などわかるはずもない。
毎回二人を始末した後に安堵を覚えるも、何かこう、シコリが残る。
刑が軽すぎる。それがほむらの感じた答えだった。
この二人は愛しいまどかを暗殺した大罪人だ。大罪にはそれに相応しい罰が必要だ。勿論、神ならぬ身で別の歴史の自分の罪を自覚するなど不可能なのだから、罪を悔いさせることは不可能だろう。しかしそれでも、彼女達にはその罪に相応しい苦痛を与えるべきである。

最近、美国織莉子は夜眠れない。
そもそもは、国会議員である父の汚職疑惑が持ち上がったのが原因である。級友も、教師も、近所の人も、疑惑の真相を予め知っていたであろう父と同じ党の議員も、掌を返したように冷たくなった。
さらには連日、誹謗中傷の電話やFAXがひっきりなしに届き、電話線を引き抜くしかなくなった。敷地には昼夜を問わず石やゴミが投げ込まれ、塀にはカラースプレーで罵倒の言葉が書かれ、そして外にはマスコミがハゲタカのように狙っている。
使用人も次々に辞め、父も秘書も事件への対応で駆けずり回り、たまに戻ってきても書斎で暗い顔で相談をしている。織莉子は、広い屋敷でただ一人だった。
孤独な15歳の少女が、世間の悪意から耐えきれるわけはない、不眠症にもなろう。だが、彼女にはただ一人の味方がいた。
呉キリカ。父の汚職疑惑の少し前に知り合った、ショートカットの髪に八重歯の不思議な少女だ。
世界でただ一人、織莉子を「美国議員の娘」ではない一個人として扱う同い年の少女。
臆面も無く「私は織莉子に会い、尽くすために生まれてきた」と言い切る、エキセントリックで凛々しく、そして甘いものが好きで甘えん坊な子供っぽい少女。
そして、謎の小動物キュゥべえとの契約によって不思議な力を持ち、日々魔女と呼ばれる怪物と戦う魔法少女。
あらゆる意味で非日常的な彼女の存在に織莉子は心惹かれ、そしてキリカの要望どおり彼女に姫を守る騎士として叙勲をした。
最近、眠れないときは携帯でキリカを呼び出す。
いざ鎌倉。けっして近所に住んでいるわけではないはずなのに、電話をかけてから10分以内に彼女はその不思議な力でマスコミの目を潜り抜け、織莉子の元へ馳せ参じる。
キリカが傍に居て手を握ってもらうだけで、織莉子の心は大いなる温もりに包まれ、心底安堵できる。
それは騎士としての忠誠心を越えた、まさに彼女の主張する織莉子への無限の愛の表れ。
世間の悪意の中でのそれは、所詮は大嵐の中のちっぽけな小屋の中のベッドの上での平穏程度のものでしかない。それでも、孤立無縁の少女の心にとっては、唯一のそして絶対に心許せる者がいてくれることは、百万の味方を得たに等しい。
そのため、織莉子はここのところ、ほぼ毎晩のようにキリカに呼び出しをかけていた。
さすがに、連日だと彼女にも迷惑――キリカは微塵もそうは思わないだろうが、魔女退治や彼女の睡眠のための時間を削ってしまうことは間違いない――だろうと思い、今晩は控えることにする。
二階の寝室から台所に下りて喉を潤し、戻ろうとしていたときだった。リビングの半開きのドアの向うに、あるものが見え、織莉子の心は停止した。
広く天井の高い室内に、そこを照らすための豪勢で頑丈な照明。そこから、父の身体がぶら下がっていた。
――お父様は、一人お逃げになったのですか――
――お父様は、織莉子を一人にしてしまうのですか――
――お父様は、正しいことをされていたのではなかったのですか――

どれくらい放心していたのだろうか? すでに窓の外は白んでいた。
――ええと、病院……じゃなくて……救急車……何番でしたっけ――
携帯電話を手にするも、思考はバラバラに乱れ、どこにもかけられない。
――助けを呼ばなくちゃ……。助けてくれる人……、キリカ――
思考がその名に至った途端、反射的に指が動き、キリカへと電話をかける。
と、背後から聞き覚えのある着信音がした。携帯を耳に当てたまま思わず振り向く。
「キリカ! 来てくれてたの?」
しかし、背後にいたのは長い黒髪の美少女。氷のような目をして、こちらを見ている。
手袋を嵌めた少女の手が、携帯電話を取り出す。見覚えのある機種と色、おまけにストラップは、二人の愛の証として付けたキリカとおそろいのそれ。
少女が携帯に出る。正面と耳元から、同時に少女の声がする。
「馬鹿ね、呉キリカは死んだわ」
口元だけで薄く笑う。それは侮蔑と嘲笑の形。
「キ、キリカが死んだって、ど、どういう事よ……、なんでキリカの携帯を……、あなたは何でここにいるの……、そもそも、一体誰なの?」
重要な順に口から飛び出る。
「ほら」
少女は、第一の問いに答える。別の携帯電話を取り出し、画像を見せた。
映っているのは織莉子の最愛の少女。ただし、その喉を切り裂かれて血の海に沈んでいる。織莉子の瞳が闇色に染まる。
「たった今、頚動脈を切ってきたわ」
未来に関する知識を持ち、時間停止の使えるほむらにとって、この程度の敵の始末などは不意さえ打てれば欠伸の出る程簡単な"作業"。
「それから二つ目の質問だけど、着信履歴が欲しかったのよ、あなたの携帯との。でも、あなたからかけてくれたから、手間が省けたわ」
「い、いやあ……、キリカ、キリカ、キリカ、なんで、キリカまで……」
織莉子はその場に崩れ、うわごとのようにつぶやき続ける。
もう何も見えず、何も聞こえないであろう彼女に暁美ほむらは囁きかける。
「三つ目の質問だけど。あなたを殺すためよ」
彼女はキッチンから持ってきた包丁を取り出す。次の瞬間、織莉子の首に灼熱感が走る。まるで焼き鏝でも当てられたかのような感覚に思わず触れてみると、熱く滑るものが勢い良く噴出す感触。
「え……?」
何時切られたのかわからない。頚動脈の傷。
織莉子の顔に浮かぶのは、驚愕と痛み、そして歓喜。
「ああ、キリカ。キリカ。また、また、会えるわね、キリカ……」
そう呟いた後、その身体は床に倒れる。流れる血潮が灯油と入り混じる。
「また会えるですって……」
ほむらは血に濡れた包丁を構え、物言わぬ織莉子を思わず滅多刺しにしそうになる。
――私とまどかは会えなくなったのに、会えても思い出を共有してない別のまどかなのに、この大罪人達はまた会えるですって? そんなの許されるわけが――
が、ギリギリでなんとか我慢する。せっかく心中に見せかけるために、この日を待っていたのだ。死体に余計な傷をつけたら、計画がすべておじゃんだ。
床の灯油溜まりにライターで火をつけた新聞紙を投じると、暁美ほむらは静止した時間の中、家を出た。

翌日のニュースで、美国議員が娘の織莉子とともに心中して家に火をつけた事と、織莉子と交友のあった見滝原中の女子生徒が後追い自殺をした事が報道された。


『ほーむネーター3 〜狂気〜』
国会議員である父が、汚職の発覚から首を吊って何日が過ぎただろう。
一通りの司法解剖を受けた父の遺体は、早々に親戚が密葬して墓の中だ。使用人達は汚職発覚時に去り、秘書は政治家本人が死んだ今となっては家には全く姿を現さない。当然、しつこかったマスコミも撤退した。
時折ゴミや石が投げ込まれる美国家には、もはや訪れるものはないはずだ。だが、美国織莉子は孤独ではない。
呉キリカ。少し前この薄幸の姫のナイトを自ら志願した風変わりな――言動も能力も――少女は、美国議員の汚職事件以来、常に織莉子を気遣いその傍らに寄り添う。不安で眠れぬ夜は手を握り、或いは添い寝をしてくれる。その温もりさえ感じられれば、織莉子の夢は如何なる悪夢からも守られる。
また彼女は、顔を知られ過ぎた汚職議員の娘、織莉子の代わりに生活必需品を買い出しにも出かけてくれる。
背丈も甘えん坊なところもまるで子供――それを指摘すると、むくれるところも――な彼女は味覚的にも子供で、彼女に買い物を任せるとその大半はお菓子になってしまう。そのため、織莉子は買い物リストを具体的に指示する必要があった。
最初は出来合いのレトルト食品やコンビニ弁当を買って食べていたが、それでは栄養が偏りがちになるし、何より自分に尽くしてくれるキリカに失礼だ。今では食事はキリカが材料を買い、それを織莉子が料理する事になっていた。
愛する者のための料理、これ以上作り甲斐があるものがあろうか。そして文字通り愛情を込めた料理に、キリカは舌鼓を打ち太陽のような笑みを浮かべる。それは織莉子への最大の賛辞でありご褒美だ。
こうして二人は、森の中でひっそりと生える連理樹のように、身も心もしっかりと絡みつき、隠者のように暮らしていた。
そんな、ある日の事だった。
キリカはまた買出しに出かけている。突然、廊下ではじけるような音がした。
「キリカ、戻ってきたの?」
そんなはずはない。キリカならば忠誠を誓う姫にまず大声で帰還を報告し、そして真っ先に参上するはずだ。
では、空き巣か何かか? が、鍵のかけてある屋内――議員の家でそれなりに厳重だ――に簡単に侵入できる者がいるとも思えない。
キッチンから廊下に出ると、そこに一人の美少女が立っていた。黒く長い髪、氷のような瞳、左腕には小さな円形の盾、右手にはネコともウサギともつかぬ額に穴の開いた白い小動物――おそらくはキリカの言ってたキュゥべえ――。
「だ、誰です!」
精一杯の威厳を保とうとした声は、しかし震えていた。
「死神よ」
そう答えて、少女はキュゥべえの骸を放り出し、盾の裏側から拳銃を取り出す。
「ひっ。キリカ、助けて、キリカ」
むき出しの殺意をぶつけられ、思わず絶対の信頼を寄せるナイトの名前を呼ぶ。
「キリカって、これ?」
たった今までそこには何もなかったのに、いつのまにか少女の持ち上げた右腕から、何か大きなものがぶら下がっていた。
「う……、あ……、織莉子。逃げ……るんだ」
漆黒の衝撃が、織莉子の精神を叩く。
それは、血まみれになった最愛の人、キリカの身体であった。さして背は高くない少女によって、短い髪の毛を捕まれてぶら下げられたキリカ、その足は床にはついていない。なぜなら、そもそも存在していないから。
両腕両脚を肘と膝の所から切断され、断面には血の染みた包帯が巻きつけてある。
少女――暁美ほむら――の時間停止能力を使えば、この程度は造作もない。不意打ちで時間を止め、ターゲットの両手足に多量の弾丸をぶち込み、ソウルジェムを奪い取る。
これで対象の無力化は完了。却って殺さないようにするのに苦労したくらいだ。
「い、いや……」
織莉子の絶叫は、しかし響く前に封じられる。いつの間にか、口に詰め物がされていた。
「騒がないでちょうだい」
キリカの身体を放り出したほむらが、織莉子の額に拳銃を突きつける。
「キリカに、キリカに何をしたの。やめて、キリカに酷いことしないで。
 私が、私が目当てなんでしょう! 私を殺しに来たんでしょう! だったら私を殺しなさいよ。キリカは、キリカは関係ないでしょ!」
詰め物を吐き出し、叫ぶ。
「駄目だ……、愛しい織莉子。お願いだから……、逃げてくれ。こいつは、織莉子も、私も殺そうと……」
「黙りなさい」
ほむらは振り向きざま、身動きできないうつ伏せのキリカへ向けて拳銃を撃つ。その左肩に当たり、上がる悲鳴は二つ。キリカ自身と織莉子だ。
「や、やめなさい。キリカを傷つけると許さないわ」
ほむらがこちらに背を向けている隙に、織莉子が飛び掛る。が、かわされる。同時に右足から力が抜ける。遅れて熱さ、そして激痛。いつのまにか、織莉子の右足のふくらはぎに銃創ができていた。その場に倒れる。不幸中の幸い、キリカの隣だ。
今度も悲鳴は二つ。織莉子とキリカ。
「織莉子、しっかりしろ、織莉子」
自分の方がはるかに重傷にも関わらず。彼女の声は織莉子を気遣うものばかり。
「っっく……。大……丈夫です。キリカの痛みに比べれば、このくらい……」
「あなたたち、ウザイわね」
そんな二人を見て、ほむらが言い放つ。
「世間を拒絶して、自分達で世界を作って、共有して、二人だけで過ごして、……なんて羨ましい」
ほむらが怒りに任せて二人に向けて数発撃つ。一応、急所を外すくらいの冷静さは残っている。
そして悶絶する二人に言い放つ。
「あなた方が二人とも魔法少女になったら、私にとって邪魔になるのよ。だから邪魔者は予め排除しておく。そもそもこれは、あなたの発想よ、美国織莉子」
彼女の髪を掴み、顔を上げさせる。
「あなたは今は殺さないでおくわ。だって、同じ場所で、同時に、同じ方法で殺したら、あの世でいっしょになっちゃうかもしれないでしょう?」
ほむらの口が薄く笑う。織莉子の瞳が、恐怖に見開かれる。
「や、やめて、お願い。キリカは、キリカだけは……」
「そうそう。死体も別々にしておくわね。あなたは山に、こっちは海に」
銃声が二発響く。一発はキリカの眉間に、もう一発はキリカのソウルジェムに。
「ひっ、キリカ……」
愛する人が目の前で物言わぬ肉塊となり、織莉子の意識は途絶えた。

やがてほむらは後処理を行う。細切れにされたキリカだったモノには重石をつけ、海に沈めた。そして余計なものを取っ払って軽くした織莉子はバッグに詰め、まだ生きているうちに山中に埋める。
止血等の最低限の処置を行い、かろうじて生きている織莉子は非常に大人しく運びやすかった。
一連の作業を追えたほむらの口から、狂気が零れ落ちた。
「足りないわ。まだ足りない。二人だけの時間など、過ごさせてなどやるものですか……」

続く
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