極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

252 名前:名無しさん@自治スレで設定変更議論中[sage] 投稿日:2011/06/22(水) 20:48:34.39 ID:v4G4snMe
『ほーむネーター 〜加速する狂気〜』中編
ttp://loda.jp/madoka_magica/?id=1883
今度はカニバリズムだ。



『ほーむネーター4 〜聖餐〜』
美国議員が汚職発覚を苦に首を吊った日、その一人娘である織莉子の姿は消えた。
首吊りに不審な点がなく、自宅から織莉子の身の回りの物や幾許かの金銭がなくなっており、泊っていた親しい友人の呉キリカも同じく居なくなった事から、警察は汚職事件による迫害に耐えかねた揚句の、父の死を切っ掛けにした失踪と判断した。
実際には誘拐だ。父親の首吊り死体を見て呆然としている内に、背後から注射を打たれて意識を失い、気がつけばどことも知れぬコンクリ製の部屋に転がされていた。
上は着ていたパジャマだが、下半身は露出。両手は後ろ手に手錠をつけられ、首には妙に重い首輪とそこから壁まで伸びる一本の鎖。
照明は部屋の隅に転がる懐中電灯。出入り口は鎖の繋がった壁の反対側に鉄製のドアが一枚、窓はない。鎖が短いためドアにも灯りにも届かない。
頭を振って薬の影響を振り払いつつ、なんとか立ち上がる。と、ドアが開いて懐中電灯片手の黒髪の美少女が入って来た。彼女は氷の目で織莉子を見る。
「気がついたようね」
「キリカは、キリカはどこ! 無事なの! 私をどうするつもりなの! そもそもここはどこです!」
かなりの犯罪的で屈辱的な姿なのにも関わらず、織莉子の姿や声には凛とした強さがある。こういうのをノーブル(高貴)と呼ぶのだろう。
「ここはとある廃ビルの地下。あなたの愛人なら別の部屋にいるわ。抵抗するんで少々痛めつけてやったけど、今のところ命に別条はないわ」
キリカの安否を聞いて、織莉子は少女――暁美ほむら――を睨みつける。
「キリカにもしもの事があったら、許しませんよ!」
どう見ても脅迫出来る立場ではないのに、彼女の言葉には殺意と呼べる気迫があった。
「これ、何だかわかる?」
ほむらは自らの左手の甲を見せる。そこには深い紫に輝く菱形の宝石。色も形も異なるが、キリカと同じ魔法少女の証、ソウルジェム。
「あなたも魔法少女? キリカに何の用、キリカに何かしたら……」
「今、私が用があるのはあなたよ。美国織莉子。
 まず安心して、あなたに性的暴行を加える気はないわ。
 それからね、あなたにも、魔法少女の素質があるのよ」
それは朗報。キリカと同じになれる。キリカと一緒に魔女退治ができる。キリカの力になれる。富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、戦いの時も安らかなる時も、常にキリカの傍らに寄り添うことができる。それは、とてもとても喜ばしい事。
「でもね、私の魔法少女としての能力で、あなたが危険人物である事がわかるのよ。
 いい? あなたは魔法少女となれば、罪のない人々の殺戮を行うのよ。世界を救うという大義名分の下、大事の前の小事としてね」
実際は、見滝原中の大虐殺などどうでも良い。だが信じさせるには小さな嘘と大きな真実が必要だ。
「それでこの待遇ですか? 説得の方法としては下作ね」
「説得じゃないわ、監禁よ。あなたは己が信念に基づき、殺戮を行う。おそらくは説得しても無駄でしょうね。だから、何もできないように監禁する事にしたのよ」
「それでこの格好? 他にやりようはないんですか?」
「別に、私はあなたのような殺戮を行う人間を許さないだけ。だからそれに相応しい待遇をしたまでよ。
 食事はこの犬用の皿で、排泄は部屋の隅の排水孔でやりなさい」
織莉子の目に殺意が籠もる。
「そうそう、逃げようなんて考えないことね。あなたの首輪には爆薬が仕掛けられているから無理に外せば首が飛ぶわ。あと、それは呉キリカのソウルジェムに仕掛けた爆薬と連動しているわ。
 知ってた? 魔法少女はソウルジェムを破壊されると即死するのよ」
殺意に満ちた視線がほむらを射る。報復者はそれを軽く受け流す。
「もちろん、両方ともリモコン操作でも爆破可能よ」
「あなた、覚えてらっしゃい」
「覚えておくわ。あなたが生きている限り」
ほむらは振り返りもせず部屋を出る。さて、次はキリカだ。
キリカは少々厄介だ。ソウルジェムを取り上げて魔法は使えないようにしてあるが、自称する"織莉子への無限の愛"に相応しい、不屈で凶暴な忠犬だ。ほむらは狂犬に対処するため、軍用ナイフを取り出した。

それから織莉子の、屈辱的な飼育の日々が続いた。
ほむらは日に一度現れ、織莉子に食事などの世話をする。
食事は毎日一度。驚くべき事にこの待遇なのに栄養を考えての事か、レトルトらしき炊いた白米の他に、肉と野菜がついていた。焼いたり茹でたりしたものに、醤油やソース、焼き肉のタレを適当にかけたもの。野菜だとこれに生というレパートリーが加わる。ただし、全部一緒くたに犬皿に盛ってはいるが。
水も同じくもう一つの犬用の皿。
排泄はほむら不在時に、言われた通りの排水孔で済ませる。下半身が露出しているのは縛られたままの着脱の手間を省くためだろう。そして同じく日に一度、バケツで水を掛けられ、柄つきブラシで排泄で汚れた下半身を洗われる。
織莉子は泣きも喚きもせず、毅然とした態度を崩さない。ただし、その動物並の扱いに甘んじているわけではない。脱出するべくいろいろと考えたが、拘束された15歳の少女には現状打つ手がない。肉体的な攻撃は、全て少女の不思議な力で回避される。食事の汁などで鎖を錆させる事も試みたが、効果が出るのはまだ先の事だ。
そんな事より、気がかりなのは大切なキリカの安否だ。呉キリカ、この風変わりな言動の魔法少女は、父の汚職疑惑で四面楚歌となった織莉子にとって唯一無二の絶対の親友にして絶対忠誠のナイト。いや、一つの魂が分かれて生まれた半身とも言うべき、かけがえのない存在。もし彼女を失うことになれば、織莉子は迷わず死を選ぶだろう。もちろん、殺害者への十分な報復を行ってからだ。
「キリカは。キリカは無事なの?」
その日も、世話に来たほむらにいつもの問いかけをする。
「無事とは言えないわね。あの子随分と反抗的だったから。ただ、ちゃんと生きてはいるわ」
いつものうすら笑いを含む答え。でも、今日は続きがあった。
「なんだったら証拠を見せましょうか? ねえあなた、呉キリカの耳がどんな形をしているか、覚えているでしょう?」
キリカの身体なら、隅々まで覚えている。手の形、脚の形、乳房の形、全身のほくろの位置、指の一本一本、その先の爪の形。風呂で、ベッドの上で、その他の場所で、幾度も幾度も見てしっかりと目に焼き付けた愛おしい存在。
そして織莉子は、その言葉の意味するところをも理解する。
「やめて! キリカを傷つけないでっ」
悲鳴に近い声で放つ。
「あらそう。折角、証拠として、切り取ったばかりの耳でも持ってこようと思ったのに。
 で、生きていると納得してくれるわけね?」
「……卑怯者」
実際は、声なり姿なりで直接確認させるのが手っ取り早い。しかしこれは刑罰だ。二人とも愛する相手などと会わせてなるものか。いや、そろそろ"頃合い"か? ほむらは、さらにイレギュラーな台詞を吐く。
「ところでお味はどう?」
「最低ね」
織莉子はさらりと返す。
「あなたの調理技術の稚拙さだの、レパートリーの乏しさだのは目をつぶるにしても、このような環境で食しては、どんな美食でも豚の餌にも劣ります」
再び、毅然とした態度に戻る。それが崩れる瞬間を創造し、ほむらは顔に出ないようほくそ笑む。
「そう? 残念ね、折角"あなた好みの食材"を使ったのに」
織莉子の背すじを冷たいものが走る。この女は、まさか……。いや、この狂気の少女ならば、ありうる。
いつの間にか、部屋にクーラーボックスがあった。いつもいつも突然物を出現させるのは、この魔法少女の能力なのだろうか? いや、それよりも問題はその意味だ。まさか……、まさか……
「ほら、よく見なさい。あなたなら、これが何かわかるでしょう?」
漆黒の笑みとともに、クーラーボックスから取りだされたのは、人間の右脚。付け根から切り取られ、膝から上は骨だけになってはいるものの。誰のものなのかはよくわかる。愛しい人の身体を支え、何度も私に膝枕をし、数え切れないほど口づけをした、キリカの右脚だ。
「い、いやあああああ!」
絶望が声となって響き渡る。
「わかるでしょ? 本人のだって。あ、でも、安心して。まだ生きてるわよ。ほら」
髪の毛を掴まれ、ほむらの左手からぶら下げられた状態で、忽然と織莉子の最愛の人の裸身が現れる。だがそれは、すでに人の形をしていなかった。
その四肢はなくなり、その付け根には止血のための包帯が巻かれている。顔は酷く腫れ上がり、チャームポイントの八重歯は折り取られ、右目は抉られてて無い。
「あああああああっっっっ」
ああ、愛しいキリカ。大切なキリカ。こんな、こんな酷い姿にされて……
「許さない。よくも、よくも私のキリカを! 殺してやる! 殺してやる!」
後ろ手に手錠をかけられ、鎖と首輪で繋がれたまま、織莉子は噛みつき、蹴りをいれようとする。が、ギリギリで届かない。その滑稽さに、ほむらは薄く笑う。
と、キリカが平然と言い放つ。
「大丈夫。心配しないで、大好きな織莉子。私は魔法少女なんだ。この程度の怪我、魔法が使えればすぐに治せるさ。
 それより、私には織莉子が無事な事の方が嬉しい」
腫れ上がった顔で、無理矢理に微笑んでみせる。
ほむらは不快そうに拳銃を取り出し、左手でぶら下げているキリカのこめかみに当てる。織莉子の目が見開かれ、涙が溜まる。
「いやあああっ。やめて、キリカを殺さないで!
 この卑怯者! あなたの目的は私でしょ。傷つけたければ私を傷つければいいじゃない! 殺したければ殺しなさいよ!
 なんで、なんでキリカを傷つけたるのよ! この鬼! 悪魔! 人でなし!」
ほむらは織莉子を睨みつける。
「美国織莉子、呉キリカ。あなた方は何処まで愚かなの? 今は、あなたが食べていた食材の話をしているんでしょう?」
キリカのこめかみにから銃口を話さず、ほむらは言い放つ。
「食材……、え、あ、あああああっ」
虚ろな目でしゃがみ込む織莉子に、とどめを刺す。
「なんだったら、見せましょうか? 調理の一部始終をビデオカメラで撮ったから。美国織莉子、あなたが食べたのは、間違いなく呉キリカから切り取った手足の肉よ」
「あああああああ……、ぐっ、ぶっ……」
織莉子は膝をつき、身体をくの字に曲げて嘔吐しだした。
「織莉子、しっかりするんだ。織莉子!」
すかさず拳銃のグリップで殴りつけ、黙らせる。
「ああ、キリカ、ごめんなさい。ごめんなさい。あなたの手足を食べてしまってごめんなさい……」
虚ろな表情で涙を流しつつ、織莉子は壊れたレコードのように呟き続ける。ほむらは心の中で快哉を叫んだ。
が、すかさずキリカが叫んだ。
「ああ、大切な織莉子、悲しまないで。私は嬉しいんだ、私の手足を織莉子が食べてくれて。
 切り落とされた手足は、ただ朽ちるだけだ。でもそれが、織莉子の命をつなぎ、その血肉となり、織莉子と一つになれるかと思うと、私は最高に嬉しいんだ。だから織莉子、愛しい人よ。苦しんだりしないでおくれ」
虚ろな顔で嘔吐していた廃人寸前の少女の顔に、光がさした。
「ああ、キリカ。大事なキリカ。ごめんなさい。あなたの手足を粗末にして。
 いいわ。私、食べるわ。最愛のあなたを食べるわ。食べて一つになるわ」
そう言うが早いか、床にぶちまけられ、塵と混じり合った吐瀉物を啜り始めた。
「ああ……キリカ。……美味しいわ。……あなたの……あなたの、味がするわ。あなたの……無限の愛の味が……するわ」
耳を覆いたくなるような啜る音の合間に、狂気のグルメが感想を漏らす。
ほむらは歯噛みし、銃をぶっ放す。天井に向けて。
「ふざけないで! いいわ。そんなに食べられるのが好きなら、今度は美国織莉子の手足で料理を作って、呉キリカに食べさせてやるから」
織莉子の目を見据え、ほむらは狂気の言葉を吐く。
「やめろ! 織莉子に手を出すな! 傷つけるなら私を傷つけろ!」
「だめよ、キリカ。それ以上切られたら、あなたは死んでしまうわ。
 私に、あなたを失う苦しみを味あわせたいの?」
「ごめん、織莉子。愛する人よ。でも、君が傷つくかとおもうと、胸が張り裂けそうに苦しいんだ」
「いいえ。今度は、今度は私にあなたを守らせて。いつまでもあなたに守られる私ではなくて、今度は愛しいあなたを守りたいの。
 それに、私の身体をあなたが食べてくれれば。私もあなたと一つになれる……」
その直後の事を、ほむらは覚えていない。ただ、喉が枯れそうな位叫んだ後で、気がつけば、弾切れの拳銃の引き金を引き続けていた。
床には、頭部がザクロのように割れた少女の骸が二つ。どうやら、思わず楽にしてしまったようだ。念の為、ソウルジェムに仕掛けた爆薬を起爆する。
「どこまで、どこまで私を虚仮にするの……。許さない、許さないわ、美国織莉子、呉キリカ」
監禁し、食材を採取している間、呉キリカは重要な情報をくれた。
最初は口の堅かった彼女だが、前渡し報酬――彼女の最愛の人物の、目玉や指、耳や鼻――の話をすると、途端に饒舌になった。
普通なら、他愛もない過去の思い出なのだろうが、時間遡行者にとっては極めて重要な情報だ。
もしも、もしも今回もまどかを救えなかったら、今度はもっと苦痛を与えるべきね。そう呟いてほむらは廃ビルを後にした。

続く
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