極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

323 名前:おにたけ[sage] 投稿日:2011/07/21(木) 14:10:18.72 ID:TLo7oSmK [1/10]
おにたけと申します。
勢いで書いたので、正直出来が不安ですが、続きを投下いたします。
それでは「カミキリSS 第3話:オシマイ」です


■ケツダン
「ハァハァ……美也!!」
夕暮れの暗闇に包まれ始めた公園のトイレに橘純一がたどり着いたときには、時計の針は午後6時を指していた。
あの男が残したメッセージ――『思い出の場所』『午後六時まで』そして『デート』
愛を語りながら女を無理やり犯し、その上に身体を切り刻む男の『デート』が普通であるはずがない。
純一は、ただひたすら妹の無事を祈るばかりだった。

『思い出の場所』といっても、この場所は純一にとっては忌まわしい思い出しか残っていない。
この公衆便所の女子トイレは一年前、純一が紗江の血肉で作られた<手作り弁当>を無理やり食べさせられた場所である。
そして、その直後にあの男にバットで襲われ、恋人の紗江のすべてを失った所でもある。
「ハァハァ。いるのか?!」
全力疾走で息急き切って叫ぶ純一に対して、便所の奥から小さな声が答えた。
「にぃに……きひゃらめ……」
小さく、そして奇妙な声色の呻きだったが、兄が妹の声を聞き間違えることは決してない。
それは紛れもなく美也のうめき声だった。
「そこにいるのか!?待ってろ」
純一は制服のポケットに忍ばせておいた果物ナイフの柄を握りしめる。
一年前の失態を繰り返すわけにはいかない。
たとえ刺し違えてでも妹を助けだすつもりだった。

一番奥の個室は扉が閉められ、中から施錠されていた。
しかも、よく見るとドアノブの部分に針金が巻きつけられている。
純一は扉の向こうから聞こえる呻き声が、美也のものであることを確信していた。
それと同時に扉の向こうから、床を伝って流れてきている赤い液体に眉をひそめた。
それはドアの向こうで、血を流す妹がいることを示していた。
「怪我してるのか?くそ、開けられないのか?美也!」
扉に体当たりを繰り返しても、映画や漫画のように扉が開くことはなかった。
便所の個室を隔てる壁をよじ登って、上から入るしかないと考えた純一は、一つ手前の個室に入った。

純一が入った一つ手前の個室には、和式の便器が据えられていた。
「こ、これは?!」
純一が絶句したのは、和式便器を詰まらせていた物と赤い血だった。
不潔な公衆便所の便器には、膝から下の脚、肘から先の腕が排泄物同然に捨てられていた。
ハエやアリが群れているその手足が、誰のものかは純一にはもう分かっている。
血臭が漂う便器に純一は吐き気を催した。

「うそだろ……みや…美也!!無事なのか!?」
叫んで壁をよじ登って入った先には、頭を垂れた状態で便座に腰掛けた美也の姿があった。
「にぃに……にげ…」
両肘には赤く染まった包帯、膝はワイヤーできつく縛ってあり、一応の止血が施されているようだ。
手足の切断に使ったと思われる錆びついた糸鋸が便所の床に放置されている。
鋸のギザギザの刃で小削ぎとった血肉が便所のタイルの至る所に散らばっているのが凄絶だった。
両耳をむしり取られ、四肢の関節から先を失った妹の身体には、コスプレよろしくアクセサリーが装着されている。
細い首に付けられた赤い革の首輪。
括約筋を押し広げてねじ込まれた<しっぽ>。
頭皮に深く刺さったトゲと、釣り糸で縫い付けられた<ねこみみ>。
捨て猫同然に公衆トイレに放置された少女は、もう取り返しの付かない姿にされてしまっていた。
「美也!!しっかりしろ。すぐに助けてやる」
とにかく今は妹を病院に連れて行き手当てをすることが先決だと考えた純一は、ともすれば絶望に駆られそうな自分を奮い立たせた。

洋式便座に拘束された妹を救出しようとした純一は、美也がどうして俯いたままの姿勢なのかを、この時点で初めて理解した。
妹の舌を貫く二つの穴と、それにぶら下げられた鋼のワイヤーが美也の舌を極限まで引っ張り出していた。
そのワイヤーの先端には、ダンベルのような鉄の塊と、奇妙な巨大な機械が繋がっていた。
デジタル表示の液晶画面と、無色透明の液体が満たされたアクリルの容器がくっついた機器には紙切れがテープで貼りつけられている。
<混ぜるな危険><硫化水素発生装置>などと赤い字で書かれた紙切れには、ご丁寧に時限爆弾のイラストも添えてある。
「これ……まさか」

「にぃに。みゃあはいぃから、ひとりでにげて」
美也は男がこの場を立ち去るときに説明していた内容を思い出していた。
自分の身体を辱め、切り刻んだ末に、あの男はこう言って立ち去っていった。
『これ毒ガス発生装置ね。六時になったら動くから。大気より重いガスだから、この個室に溜まったら死ぬよ』
ケタケタ笑いながら消えた男の顔が美也の脳裏に思い出される。

このままでは、兄も巻き添えになる――そう思った美也は、必死に兄に逃げるように訴えている。
「にぃに……どくがす……すぐににげれょ……」
傷ついた舌から血のヨダレを垂らしながら兄を思いやる美也を見て、ひとりで逃げるような純一ではなかった。
「何を言ってるんだ。すぐに助けてやる。助けてやるから!」
デジタルタイマーはすでにカウントダウンを始めている。
その表示が正しければ、猶予は90秒しか残されていない。

美也の身体を公衆便所の汚らしい便座に拘束しているものは二つ。
革製の首輪と、舌を縦に貫くスチールワイヤー。
「待ってろ!すぐに外してやる」
純一は果物ナイフで革製の首輪を無理やり切断した。
この時点で純一はデジタル表示をちらりと見てしまった。
残り60秒。
二重に通されたスチールワイヤーに果物ナイフを当てて、なんとか切断を試みる。
しかし鋼製のワイヤーに対して、本来柔らかいものを切るための果物ナイフはあまりにも無力だった。

切るべき対象が違う――そんなことは純一にだってわかっている。
だが、それをする勇気はなかった。
「にぃに……にげ…にげれ……」
残り30秒。
火傷だらけの舌をくびり出された状態で、血の涎と涙を流しながら必死に話す妹の姿に純一は決断を迫られていた。
このまま逃げるか、妹と一緒に死ぬか、それとも……

「美也……許してくれ。これしかないんだ……」
舌の根本に果物ナイフの刃を添えた純一は涙声で小さく宣言した。
「にぃに…いいよ…やっへいぃよ……」
同じく涙声で応える美也。
兄妹はこの極限状況下で思いを一つにしていた。
「美也!許してくれ!!」
純一は眼を閉じて腕に力を込めた。
果物ナイフが柔らかい肉を切り裂く感触が純一の手に伝わる。
ゴトリという音ともにスチールワイヤーと時限装置が床に落ちる音。
少女の口から吹出す鮮血。
純一の視界の中で、スローモーションのように世界が動く。
ようやく自由の身になった美也が純一の胸の中へ倒れこんだとき、タイマーの表示がゼロを示した。
「逃げるぞ」
「にぃに…」
個室のドアを内側からこじ開け、二人が飛び出した直後、『ジリリリリ』というベルの音が便所の中に響き渡る。
それと同時にカチリという作動音が時限装置から聞こえた。
美也の舌の先と手足を置き去りにして、公衆便所から脱出する二人の様子を、じっと伺う男がいたことにまだ兄妹は気づいていなかった。

「おぉ〜やっぱそうするか〜。お兄ちゃんの決断は正しいよ。ホントは毒ガスなんかでないんだけどね〜」
背後から聞こえた男の声に純一が振り向いた瞬間、電撃が身体に走った。
遠のく意識の中で、純一が最後に聞いたのは美也の悲鳴と男の嘲笑だった。
「あーあ。美也ちゃん、<シタキリにゃんこ>になっちゃったねぇ〜。どれどれ、ちょっとキスさせてよ」
四つん這いで逃げ惑う妹を捕まえて唇を重ねる男の行為を止める術は純一には残されていなかった。


■アメダマ
「紗江ちゃん。ただいま〜」
その声を聞いたとき、地下室の床に転がされていた中多紗江は大きく身体を震わせた。
「紗江ちゃんのお友達を連れてきたよ。やっぱオトコは重いな…よいしょっと」
重い鉄扉が開く音と、なにか重量物が床に落ちる音が地下室に響く。
向精神薬で朦朧としながらも、紗江は首を動かし、音のした方を向いた。

紗江に唯一残された右の瞳に映ったのは、制服姿の少年の姿だった。
ロープでぐるぐる巻きにされ、口になにかを詰め込められた、その少年の姿を紗江が見たのは一年ぶりになる。
「しぇんぱい……」
橘純一と中多紗江の目が合い、言葉にならない思いが二人の間で交わされた。
紗江の胸に巻かれた包帯には真新しい出血の痕が残され、まぶたを失い剥き出しの右目からは絶えず涙があふれている。
床に転がされた紗江の無残な姿を見た純一は大粒の涙を流した。

二人の無言の会話を引き裂くように、男の声と足音が地下室に近づいてきた。
「美也ちゃん。こっちこっち」
<美也>という名前を耳にした紗江の顔に昏い影が差す。
男に半ば強制されたとはいえ、紗江本人が美也の名前を口に出した結果、橘兄妹を巻き込んでしまったのだ。
絶望と深い悔恨が紗江の心を沈ませる。
「ただいま、紗江ちゃん。今日から美也ちゃんとラブラブ同棲はじめることにしたから」
揚々と話す男の手にはペットを従えるためのリードが握られていた。
リードの先には、手足に巻かれた包帯姿で、よちよち歩くネコ――橘美也の姿があった。
「紗江ちゃ……ん」
こうして地下室に集ったのは三人と猫一匹――いや男二人と牝二匹というべきだろうか。

「あ、そうだ紗江ちゃんのご飯の時間だよね……今日は何も用意してないんだけど。あ、そうだこれがあったか」
男は指を無造作に美也の口の中に突っ込むと、なにかを取り出した。
「紗江の晩ご飯はタン塩にしようね」
美也の口に詰め込まれていた物――それは先ほど公衆便所で兄によって切り取られた美也の舌の先っぽだった。
ワイヤーを繋がれていた傷跡が残るその切断された舌を、ペット皿に乗せた男はレモン汁を掛けていく。
「はい、紗江ちゃん。あーんして」
切り取られた美也本人と、切り取った純一の目の前で、男は<タン塩>を紗江の口内に押しこんでいく。
「や……やめれ……」
二人の眼前で舌を食わされる身となった紗江は、か細い声で拒絶の意思を示している。
「ん?イヤか?じゃあどうしようかな……っていうか、紗江ちゃん右目の涙がすごいね。もしかしてドライアイ?」
舌を紗江に食わせることを諦めた男は、まぶたの無い紗江の右目に興味を移した。
自分で紗江のまぶたを噛みちぎったことを棚にあげて、紗江の乾ききった右目を心配している。
「あ〜これじゃ涙も枯れちゃうよね。ちょっと目薬あげるよ」
男は紗江のツインテールの髪を鷲掴みにして、顔を上に向かせ、その右目にむかって自分のヨダレを垂らした。
「や、やぁっ」
糸を引いて落ちた男の唾が、乾燥しきった紗江の右目を潤す。
目にあふれる男のヨダレに嫌悪感を示す紗江は首を振って逃げようとする。
「こぼしちゃだめだよ」
顎を押さえて紗江の顔を固定した男は、直接紗江の右目を舐め回す行為を始めた。
「あ゛やらぁっ…やめ……」
眼球を這い回る男の舌の感覚に打ち震える紗江。

「うーん。やっぱ嫌か?じゃあ、もう面倒だから、とっちゃおっか」
明るい声で男は紗江にとって過酷な提案をぶち上げると、ポケットの中からスクリュー式のワインオープナーを取り出した。
コルクの栓を抜くための器具であるそれは、鉄製の針が螺旋のようになったものだ。
本来はコルクに刺し込み、回し込んでから引き抜くそれを、紗江の瞳の前に見せつける。
「やぁっ!!め、め…やぁっ!!」
閉じることの叶わない紗江の眼球に、スクリューの先端が映り込む。
もちろん、紗江にはハッキリとその針の先端が見えていた。
「ネジネジするからちょっと待ってて」
自分の目に近づく螺旋状の針を見た紗江は絶叫と哀願をはじめた。
だが、それはかえって男の興奮を昂らせるだけだった。
容赦なく突き刺されたスクリューが、男の手首の動作でねじ込まれる。
「が…あ゛ぁ」
角膜、瞳孔、硝子体……唯一残された紗江の瞳のすべてをワインオープナーが壊していく。
眼底までめり込んだタイミングで、勢い良く引きぬくと、視神経がちぎれる音と紗江の絶叫が地下室に反響した。
恐怖と絶望で、ついに失神した紗江の身体が床に崩折れる。
「ちょっと塩っぱいアメダマだけど、今日の晩ご飯にしてね」
ケラケラ笑う男が<アメダマ>を気絶した紗江の口の中に押し込む様子をみた美也は、自分の未来の姿を見たような気がしていた。
ついに両目を失った後輩を、ただ呆然と見るだけの純一。
地下室の新たな住人は、紗江の身を案じることも忘れ、ただ昏い闇に沈んでいった。


■オシマイ
「ん…んっ!!んむぅっ!!」
橘純一は、妹の嗚咽をこの30分ほど、ずっと聞かされていた。
がんじがらめに縛られ、口の中にゴムボールのようなものを詰め込まれている純一にできることは、眼を閉じて耐えることだけだった。
だが、耳だけは自分でふさぐことができない。
ギシギシとベッドが軋む音、美也の泣き声、哀願、悲鳴。
その全てが橘純一に耐え難い苦しみをもたらした。

「い、いたい…しっぽ…しっぽをひっぱらない……ぎゃあっ!!」
「あー。うんちもらしたね〜」
「おしりが……美也のおしり……」
「おクスリを腸内にいれてあげるから大丈夫。この黒酢って身体にいいんだよ?」
耳にはいる男女の会話は、愛する妹が苦しむ姿を純一に想起させる。
「よーし、じゃあそろそろ出すよ」
「やっ、あっ…あっ…おっぱ…そこ…やめ、やぁっ!!」
少女の悲鳴と、男の深い吐息が聞こえた後、ベッドが軋む音も途絶えた。

純一が目を開けた時、目の前にいたのは寸足らずの手足で四つん這いになった美也の姿だった。
自分に尻を向けてゼイゼイと息を切らしている美也の秘部からは白い液が糸を引いている。
また、満足した様子の男の姿が<事後>であることを物語っていた。
「お兄ちゃん見てた?ボクらのラブラブエッチ。見てよ美也ちゃんたら、下半身こんなに濡らしてさ」
男の揶揄が純一に投げかけられる。
その言語通り、しっぽが引きぬかれた美也の肛門には、複数の裂傷と出血、そして下痢状の便が垂れ流しになり、濡れそぼっていた。

「また栓しとくから、うんちしたくなったら言ってね」
血まみれの菊門に、再び刺や針だらけのアナル栓を挿し込む男の仕草が純一の眼に入る。
「い、いや……ぎゃあっ!!」
妹の懇願を無視して<しっぽ>が再び装着され、男は満足気にタバコを吹かしている。
バルーンと針のかえしで直腸に固定された<しっぽ>を抜かなければ、美也自身では排泄すらままならないだろう。
「じゃあ、ボクは寝るから、今夜は美也ちゃんは親友の紗江ちゃんと久しぶりの再会を楽しんでよ」
そう言い残して地下室を去っていた男の言葉が本心なのか、冗談なのかは誰にも分からない。
いずれにしても、男の性欲が満たされた今、この地下室に一時の平穏が訪れていた。


男の精を胎内に受けた美也は、右の乳房に複数の歯型が残されていた。
薄桃色の乳首の先端には、皮一枚でつながった乳頭がぶらさがっている。
血まみれの乳房の惨状は、あの男の膣内射精の代償だろう。
瞳から光を失った妹の表情は、快活でエネルギーに満ちていたころの面影はない。

「みゃあ…ころひて……おねがひ……」
静寂に包まれた地下室に、消え入りそうな声が聞こえてくる。
「しゃえを…ころひて」
部屋の隅に転がされて放置されていた中多紗江が美也に語りかけているようだった。
膝や肘から先の手足を失い、四つん這いを余儀なくされている美也はよちよち歩きで紗江の元へ近寄った。
血の涙を流して舌足らずな声で哀願する親友から美也は目を逸らした。
「さえちゃん…みゃあはうらんでないよ」
涙声で友人に語りかける美也の姿も血と傷にまみれて痛ましい。
両目を失った紗江には美也の涙がみえているだろうか?

「このまま、しゃえはいきるのがつらいの……ころひて、みゃあしゃん……」
「そんなことできないよ……それに私になにができるというんだよ……」
両手両足を奪われ、凶器も持ち合わせていない美也ができること、それは……
「歯で噛み殺して……おねがひ」
絶句する美也に対して、紗江はあの男が何をしてきたかを滔々と語って聞かせた。
初日に口に異物を入れられ、脚を切断され、指をもがれ、抜歯のうえに舌も左目も食いちぎられた。
この一年間で紗江は自決することすら困難な身体にされた上、子を孕まされた。

毎日の食事は男の残飯か、口移しの咀嚼物。排泄もコントロールされ、今や光すら失った。
このまま死を待つのは地獄よりも辛いと語る同級生の姿に美也は言葉を失った。
「噛んで…けいどうみゃくを噛んれ……みゃあが歯を抜かれるまえに…」
「さえちゃん……みゃあに……みゃあが……」
美也と紗江の間に深い沈黙が訪れる。
長く静かな二人の親友の再会のあと、純一は後輩の首根っこに噛み付く妹の姿を見た。

つい一年前は、同じクラスで同じ学校生活を過ごしてきた友だちだった。
その紗江の首に肉食獣のように噛み付き、皮膚を裂いて頸動脈に歯を立てるネコの姿の美也。
美也の口の中に親友の血の味が広がった。
どくどくと溢れる血潮が地下室に血臭を満たしていく。
美也の瞳から落ちる涙と、口から滴る血が地下室のコンクリートの床に沁みをつくっていく。
首の肉に食い込む美也の犬歯、流れだす赤い奔流、そして紗江のうめき声。
「ん……んぅ……」
唇を引き締め、痛みをこらえる紗江の顔には、何故か安堵の色が浮かんでいる。
「あ…りが…と…みゃあしゃん……」
友人の頸動脈を髪切った美也は、青白くなった紗江に涙声で応える。
「まってて、みゃあもすぐにいくから……」
一年ぶりの安らぎを得た中多紗江はゆっくりと、そして静かに息を引き取った。

目の前で実の妹が恋人であり、後輩でもある中多紗江を噛み殺した現場を見た純一は身体をばたつかせて暴れ狂った。
せめて口が自由なら止めることもできただろう。
だが、今の純一にできるのは、床に頭を打ち付けることぐらいしかない。
そんな純一のそばに近寄った美也は小さくつぶやいた。
「にぃに……おねがいがあるんだ……」
「………」
純一は神妙な妹の声にただならぬ決意を感じ取った。
「いまから、その口枷をとってあげるね…ビニール紐みたいだから、きっとすぐに取れる」
紗江の血で真っ赤に染まった美也の口が、純一の口元の紐を噛みちぎって行く。
数分もせずに、純一の口から詰め物が吐き出され、ようやく少年の口だけは自由になった。
そんな純一の口元に美也はそっと首を差し出し、たった一言つぶやいた。

「にぃに。かんで……かみきって、みゃあをころして……」

<終>


332 名前:おにたけ[sage] 投稿日:2011/07/21(木) 14:15:10.42 ID:TLo7oSmK [10/10]
「カミキリSS」一応おわりです。
でも、実は梨穂子をナントカしたいという思いが沸々と湧いています。
遅筆なので、当面は投下できないとおもいますが…
お気に召せば幸いです。
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