極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

383 :(誘υ受) ◆6t6CYCuKNY :2005/12/20(火) 20:10:06 ID:fcmnrmd2
蒼の子虐待いきやす!
ここで一つ補足を・・・。

水銀は”痛さを感じない””血が出ない””性器も割れ目だけで形式的なもの”と本当に動く人形でしたが、
蒼の子は同人でよくある”体の外見は人形、中は人間にそのもの”を採用しております。
だから叩けば痛い、と痛覚がちゃんとあります。
ちょっと血は出ませんがその分人形でしか出来ないような事をしようかな、と目論んでいます。

それでは前振りGO!!



その部屋には黒い髪の少年が一人。
髪と同じに真っ黒な格好をしている彼は、琥珀の瞳をしている。
その部屋には碧い瞳の少年が一人。
白い服を纏った彼は、天使のような微笑を浮かべている。
この様な少年がこの部屋には何人もいる。理想の少年を探せば、もしかするとこの部屋の中から発見できるかもしれない。
しかし彼らは互いに話をしようともせず、目すら合わせない。
そんな中、声が一つだけ響いている。大人の女の声だ。
「だからぁ、あたし冬のボーナスをつぎ込んで限定版をお迎えするの。
 え、残り?他の子をエステに出すよ。服ももっと買ってあげたいしね。」
女は電話に向かって自分の人形の話をしている。夥しい数の少年が動かないのは、彼らが人形だからだ。
「あー自分の服なんて何年も買ってないわぁ。ってそんなわけないわよ。
 でも確実に家の子の方がいい服を着てるけどね。家の子には他の子よりも良い格好をさせてあげたいしね。
 まーそんなもんよ。人形者ってこれだから大変よねぇ。」
彼女は電話の相手と長い間お互いの人形の自慢話ばかりをしている。
「あ、そーだ。勤め先にとっても可愛い男の子がバイトで入ってきたの。高校生らしいけど女の子みたいでとっっても可愛いの。
 あたしにとっても懐いてきてるから、すっごく可愛がってるの。あぁ〜ん!あの子似の人形をお迎えした〜い!!」
  ご と 。彼女の話を切る様に大きな何かが着地する音が聞こえた。
女はベランダに目をやった。
「何かしら。ベランダで音がした。え、ドロボウ?でもここは13階よ・・・。」
恐る恐る彼女はベランダに近づく。物音一つしない。思い切って彼女はカーテンを開いてみた。



そこには大きな箱が一つ。箱といってもしっかりとした木造りでなかなか高価そうな物である。
狭いベランダで箱は窮屈そうにしている。
「これ、上の階から落ちてきたの?」
ならば何で不自然にこの部屋のベランダに落ちてきたのだろうか。彼女は恐る恐る箱に近づいた。
中からは何の音もしない。生き物が入っているわけではなさそうだ。
彼女が箱に手を掛けても何の反応もない。箱を部屋に運んだ彼女は、思い切ってその箱を開けてみる事にした。
「きゃっ!!!!」
一瞬中には子供の死体が入っているのかと思ったが、違った。中には眠る格好の人形が一体はいっていたのだ。
「これ・・・。」
栗毛の髪をボブカットにした人形。頬は優しく血が通ったような色をしている。
眉は細く凛々しいが、優しい目鼻立ちが思春期の少年少女特有の中性的な性を表しているようだ。
人形を改めて手にとって彼女は驚愕した。その人形は先ほどの電話口で話した少年にそっくりだったのだから。
「すごい!これってどういう事?あの子にそっくりじゃない!!」
瞳を閉じたままの人形を抱きしめる。何処からやってきたのかも分からない人形だというのに、彼女はまったくお構いなしだ。
すっかりその人形を自分のものにするつもりである。
「名前はもう決まったようなものね!あの子の名前・・・そう、あんたはカズキって呼ぶわ!」
真夜中に一人、人形に向かって彼女は大はしゃぎをしながら話しかけている。
「ふ〜ん。良いお洋服を着てるわね。大分高価そう。あ、この帽子もオプション?」
愛らしいシルクハットを彼女が持ち上げたときだった。小さな音と共に床に一つ、ゼンマイが転がった。
「何?」
このゼンマイはアクセサリーの一部か。しかしペンダントやピアスの様に使用できそうもない。
その時、一枚の紙切れが目に入った。その紙にはたった一言だけが記載されていた。
”まきますか?まきませんか?”


彼女はすべてを理解した。これはゼンマイ仕掛けの人形なのだと。
彼女はこれだけの数の人形を所有していながら動くものは所有していない。
さっそくその人形の背中をまさぐってみた。大体こういったゼンマイは背中に巻く場所があるのだ。
彼女の勘は的中した。特に何かを期待するわけではなく、彼女はゆっくりとゼンマイを巻いた。
しかし彼女を待っていたのは沈黙。人形は微動だにしない。
「はは〜ん。壊れたから捨てたって訳ね。これだから一般の連中は・・・。」
「・・・・ん。」
彼女はその耳に自分以外の声を聞いた。この声は誰のものだ?辺りを見回してもそれに該当するものは見当たらない。
自分の腕の中で何かが動く気配がする。もしかしてこれは・・・。
見下ろした彼女と”彼”の瞳が合う。
先ほどまで目を閉じていた”彼”は紅の瞳と翠の瞳を開け彼女を見つめている。
芯の強そうな瞳まで彼はあの子にそっくりだ。
「あんた・・・。」
「初めまして。マスター。」
柔らかい微笑で蒼星石は新しいマスターに微笑みかけた。
彼女は思った。遂に自分にも王子様がやってきたのだと。


ミーディアムの契約を交わし、彼女と蒼星石の生活が始まった。
今日も仕事から帰った彼女の声が玄関に響く。
「カズキ。ただいま。」
「お帰りなさい、マスター。夕飯の準備できてますよ。」
蒼星石はよっぽど自分にはお父様がくれた他の名前があることを告げようとしたが、やっぱり止めた。
自分を目覚めさせ、ミーディアムにまでなってくれたマスターが気に入った名前で呼ぶのだ。
名前は違えど自分は自分だ。それで良い。蒼星石は自分の本当の名前を告げはしなかった。
「良いにおいがするー。」
「シチューにしてみました。初めて作ったんですがマスターの口に合うといいのですが。」
白いエプロンをつけた蒼星石がシチューを皿に盛る。
「絶対合うわ。カズキのご飯いつも美味しいもの!」
蒼星石からシチューを受け取りながら彼女は答えを返した。
「ちっちゃいのに台所に立つの大変じゃない?」
「マスターが喜んでくれたらそれで十分報われます。」
「ん〜〜。カズキは本当に良い子ね。」
蒼星石は頬を染めて照れ笑いを浮かべた。
人間はたった一人で存在する価値などなくても生きていける。
しかしいくら人間の心を持っていいたとしても、蒼星石は人形だ。存在するだけの価値がないと存在する意味がない。
蒼星石は自分を、本当に自分を愛してくれるマスターに見つけてもらった。
マスターは自分に存在価値をくれる。自分も恩返しをしたい。
新しいマスターをもっともっと幸せにしたい、心から蒼星石はそう思うのだった。


彼女は美しい少年の人形で部屋をいっぱいにする事が夢だった。
人形は良い。現実の異性と違って彼女を不愉快にする事など何一つ言わない。黙って透明な瞳で彼女を見つめ続けてくれる。
その一方で彼らは何一つ彼女に話しかけてはくれない。彼女が話しかけても相槌すらしてはくれない。
しかし蒼星石は違う。彼は彼女の言葉一つ一つにうなずき、返事を返してくれる。しかも彼女の気に入らない事は何一つ言わないのだ。
「まったく、金井はかしらかしら何猫被っているのよ」
夕食後の団欒で彼女は仕事場の愚痴を吐き出す。
「金井さん、ですか?」
「金井で良いわ。あの凸広女。凸の割には頭は詰まってないようだけど。
 あーでも自分自身では頭脳派だって信じちゃってるみたい。おっかしー。」
どうもこの会社の愚痴は彼女は止められないらしい。
生真面目な蒼星石は人の悪口を聞くのは正直辛い。しかし人間は不安や不快を誰かに話す事で、解消できると聞いた事がある。
自分がその相手をする事でマスターがその解消が出来るのならそれで良い。蒼星石は黙ってうなづく事にした。
「人は働かなくてはいけないから大変ですね。僕がマスターの代わりに働けたら良いのに・・・。」
「そーねー。でも今は全然気にならないわ。だってカズキがいるもの。
 家に帰ってきてあんたがいれば会社であったいやな事は全部忘れてしまうわ。」
「マスター。」
窓の外に雪が降り始めている。降り積もる雪と同時に、蒼星石の心にも暖かいものが降り積もっていった。




442 :(誘υ受) ◆6t6CYCuKNY :2006/01/20(金) 19:58:34 ID:+V5fQ8+0
やっと前振りが終わります。
のろのろしている内に本家が来週最終回みたいですね。
(こっちではまだやっていないのですが、実況で何となくわかります)



「ねぇ〜カズキ〜。」
「え?」
蒼星石、ではなく蒼星石にそっくりな青年が振り返った。
流石にオッド・アイではないが、栗色の髪といい生真面目さと清潔感が漂う雰囲気はまさに蒼星石といった感じだ。
人間のカズキは驚いた表情で自分の先輩である女性に振り返った。
「どうしたんですか?」
「あはは。ごめ〜ん。家にいる方のカズキとごっちゃになっちゃって〜。」
普通の人間なら不振な表情の一つも浮かべるところだろうが、もう慣れてしまっているのだろうか。
当たり前の様にカズキは返事を返した。
「そうですか。先輩ったらしょうがないですね。次からは間違えないでくださいね。」
カズキが微笑む姿は驚くほど蒼星石とそっくりである。彼女にとって人形版蒼星石がカズキなら、カズキは人間版の蒼星石である。
しかしもう一つある二人の最大の違いは・・・・。
「ふふ。ごめん。カズキ。」
「先輩ってば・・・。もう!」
口では反抗しながらもカズキはさほど良かった様子でもない。二人はまるで恋人たちの様に見えた。

そんな二人の様子を訝しげに見つめる同僚たちがいた。
緑山「水野先輩、見たです?」
水野「見た。何ぃ?できちゃってるのぉ?あの二人?」
金井「でもでもカズキ君(笑)は別にあんな女でなくても、付き合ってくれる女の子は沢山いそうなのかしら。」
緑山「普通なら絶対に気持ち悪いと思う所です!何であの子は反抗しないですか??」
水野「なぁんかカズキ君(笑)って尽くすタイプって感じ出しぃ、駄目女の駄目オーラにでも惹かれちゃってるんじゃなぁい?」
金井「あの人、いっつも私たちを見下した感じで、不愉快なのかしら・・・。」
緑山「別に仕事が出来るわけでもないのに、ですぅ!」
雛川「それは緑山さんも同じなの。」
緑山「う、煩いです!!」
真田「あなたち、仕事中よ。私語は慎みなさい。あ、桜田君、お茶を入れて頂戴。」



それは年も明けた頃。ボーナスを何に使ったのかという話で、帰り支度をする面々が盛り上がっていた。
「あんな雀の涙ほどのボーナス、全部貯金したのかしら。将来の蓄えをして、その利子を得で懐を潤す!まさに策士かしら。」
「貯金額が雀の涙ほどなら、利子も雀の涙ほどじゃないのぉ?」
「言えてるのぉ。」
車の頭金、旅行金、カードの返済に飛んでしまう、皆それぞれの使い方をしていた。
「そういえばお前はどうしたです?」
一人で帰ろうとしていた彼女に、珍しく質問が降りかかった。
「私は・・・。」
「お人形のエステとお迎えに全部飛んでしまったんですよね?先輩。」
いつの間にか部屋にいたカズキの声に社内が静まり返る。思ってもみなかったカズキの反応に彼女は驚愕した。
「エステぇ?会社にもろくに化粧してこない人間がぁ?」
彼女を不愉快にさせる代表格の水野が声を上げた。あまり見た目に気を使わない彼女を、水野はいつも小馬鹿にしていた。
いつもと少しも変わらない、人好きする笑顔を浮かべながらカズキは話を続ける。
まったく悪意のない顔をして、カズキは彼女にとって辛辣な言葉を楽しそうに吐き出す。
「だから人形なんですよ。お人形のエ・ス・テ。
 自分を磨く事よりも、先輩は人形の表面磨きのほうが大事なんです。」
「で、お迎えとは何なの?人形と言う事は子どもがいるの?」
普段は他人の事には興味なさそうな真田までもが、質問をしてくる。



昨日あった珍しい話を自慢げにする時のようにカズキは声を上げた。
「お迎えって、自分の魂の半分である人形との出会いの儀式なんですよ。」
「どうしよう・・・話が全然分からないのぉ・・・・。み・・・皆は分かるのなの??」
「つまり人形があいつの命ってことなんです。お前は理解力が全然ないです。」
「きゃはははははは!!何ぃそれぇ。変な宗教に入れ込んでいるんじゃなぁい?」
「まぁ宗教みたいなものです。あはははは。」
楽しそうにカズキは話を続けた。あの笑顔はいつでも彼女だけが独占していたと言うのに。
いつもいつも彼女を話を興味深そうに聴いてくれたカズキ。
今カズキは二人楽しく交わしたあの時の話を、彼女を侮蔑するネタとして話しているのだった。
「お人形も魂の片割れだけあってとても高級なんですよ!
 だから発売日の近くは食事も切り詰めちゃうんです。もちろん自分の身なりなんて気にしていたら人形道楽は勤まりませんよ!!
 私の可愛いお人形が美しくあればそれで良いんですよね?先輩。」
カズキは嘘など一つもついていない。全て彼女がカズキに向けた言葉だった。
呆れた表情で真田が言った。
「私たちには何一つ言ってくれないのに、貴方には毎日色々な話をしているようね。」
「ええ、先輩は毎日毎日僕に妄想とごっちゃになったお人形の話をして下さいますよ。」
立ち尽くすしかない彼女の、指に光る指輪をカズキは指した。
「たとえば、ほら、先輩の指環。
 ・・・あれは僕とそっくりの人形と契約した証らしいです。」


彼女はその場から逃げる事すら思いつかなかった。
彼女の頭の中から、カズキと過ごした楽しい日々が真っ白な壁になり崩れていく。
右も左も分からないカズキにあんなに親身になって仕事を教えてやったのに。
あんなに・・・、あんなに大事にしたカズキにここまで裏切られるだなんて・・・。
「毎日僕とそっくりに人形が先輩のためにご飯を用意して待ってくれているんだそうですよ。
 先輩はその日その日の献立てを考えながら帰るのが日課なんです。
 おっと・・・、その人形は料理だけじゃなくで家事全般が得意みたいですよ?」
カズキのあまりにも現実離れをした話に、流石に一同の空気も変わった。
「よくできた話なのぉ・・・。」
「あ・・・はははは。幾らなんでもやばすぎじゃないのぉ?」
一瞬カズキの表情が凍りつく、しかしまた先ほどの笑顔になってカズキは喋り続けた。
「ええ、僕もそう思います。でも先輩は毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日同じ事を僕に話すんです。」
カズキの口元は微笑んでいたが、瞳の奥は理解できない者を見下す暗さが潜んでいた。
カズキの視線が初めて彼女に向かった。
「僕、もう先輩にうんざりなんですよ。」
彼女は冷たいカズキの視線から逃れるように、社を後にした。



乱暴に部屋の扉が閉まった音がした。彼女の帰宅を待ちわびていつの間にか寝入っていた蒼星石は、その音で目を覚ました。
「・・・あれ。マスター遅かったな。」
何も知らない蒼星石はマスターを出迎えに玄関に出た。普段と違うマスターの様子に蒼星石は戸惑う。
何故なら彼女の表情からは怒りと屈辱のために真っ赤になっていたらだ。
「マスター。どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもないわよっっっ!!!!!」
また会社で何かあったのだ。勘の良い蒼星石は瞬時にそう察した。
会社の愚痴で声を荒げる場面は何度かあった。しかしここまで機嫌が悪いのは初めてだ。
「マスターとりあえずお部屋へ。今お茶の準備を・・・。」
「うるさいわねっ!」
優しかったマスターに頭ごなしに怒鳴りつけられて、蒼星石はただただ困惑するしかなかった。
「あぁもう!!!あんな連中皆いなくなってしまえば良いのよ!!!死んじゃえ!!!!!!」
普段は従順な蒼星石だが今回ばかりは声を上げてしまった。いくら何でも他の誰かの死を願うだなんて・・・。
「マスター!そういう事だけは言ってはいけないと思います!!」
彼女の脳裏に先ほど手のひらをひっくり返したカズキが浮かんだ。蒼星石とカズキの顔が彼女の中で一つになる。
「何よ何よ何よ!!!!!あんたまであたしにたてつくの!!??あたしを裏切るの!!!!????」


その一言に蒼星石もつい一言返してしまった。そしてその何気ない一言が彼女に逆鱗に触れた。
「マスター、確かに僕は人形です。そして僕はカズキ君ではありません。僕の本当の名前は・・・。」
蒼星石が全てを言わないうちだった。蒼星石の体は床に叩きつけられていた。
「あっ・・・。」
まったく状況が理解できない蒼星石が顔を上げると、恐ろしい形相で彼女がそこに立っていた。
「そうよ!人形よ!!あんたはカズキの身代わりの人形なのよ!?
 なのに人間の代わりの人形の癖に偉そうな事を言ってるんじゃないわよ!!!!」
「マスター・・・。」
悲しげに瞳を伏せる蒼星石の首に、彼女の手がかかった。
「あたしにそんな口をきく人形だなんて・・・・もういらない!!!」
彼女はその手に力を込めた。





前降り終わり!
マスターはとんでもないというか、ろくでもない人でした。
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