極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

夜は暮れ、森はすっかりその姿を不気味なものへと変えていた。
イチゴ狩りにきた少女―――ベリーはイチゴが摘んであるカゴを小脇に抱え、暗い森からの帰り道を必死に探していた。
「おかしいなぁ…。やっぱりここはさっき来た所だし、どうしよう…?」
この森は美味しいイチゴがある事でイチゴの国の人達からは重宝されているが、同時に危険を孕む森としても恐れられていた。
森の奥には恐ろしい怪物が潜んでおり、迷いこんだ者を喰らうという話があるのだ。
ベリーもこの話を親から何度も聞かされ、絶対に一人では行ってはいけないという約束を守るように、とも何度も言われた。
「寒いなぁ…。お父さんとお母さんはどこに行ったんだろう?心配してるのかな?」
少し疲れたベリーはかじかむ手を温めて、道端に座り込んだ。
元々性格の素直なベリーは約束をちゃんと守っていたのだが、今日は両親とはぐれてしまったのだ。

「お父さん、お母さん…。」
すっかり疲れた私は、野宿するつもりで座り込んだ。
メリーも連れて行けば良かったなぁ。メリーは足が速いから、すぐに森から出られたかもしれないし。
それにしても寒いなぁ。この森で一晩を過ごす事になるのかな?
もしクマとかが出てきたらどうすればいいんだろう?イチゴをあげれば帰ってくれるのかな?
考えれば考えるほど、不安がいっぱいになって怖くなってくる。
寒さに体を丸めて、早く寝て次の日になれば良いと願って目をつむった時だった。
ふと、何かの匂いが漂ってきた。
「あれ?何だろう、この匂い。」
腹の虫が元気良くなり、たまらなくなった私は思わず立ち上がって匂いの元を探し始めた。
森を歩いていると、匂いはだんだん強くなり、遠くに明かりの点いた小屋を見つけた。



絵本に出てくるような可愛らしいキノコ型の家だった。人がいるんだ、良かった…。
空腹と寒さの中での突然の救いに、私は必死にその扉をノックした。
「ごめんください!」
中からガタガタと音がし、足音が扉へと近づいてくる。
そしてゆっくりとドアが開いた………だけど、目の前に人はいない。
視線を下に動かすと、私よりも頭一つ分背の低い、青い三角帽子を深く被った可愛い小人さんが立っていた。
大きな目が私をじっと見つめてる。
「あの、道に迷っちゃって…。今夜だけで良いから、泊めてくれませんか?」
「子供か。何でこんな時間に森に来たんだ?」
「イチゴをとってたら、いつの間にかお父さん達とはぐれちゃって……ずっと森を歩いてたんです。」
ふーん、と小人さんは呟いて、私の体をくまなく見ていた。
ずっと歩いてたから、服も足もきっと随分汚れちゃってるんだろう。多分、小人さんはそれを見てるんだろう。
「そうか。それはとても疲れただろ?まだ食事の準備が出来てないから少し時間がかかるぜ?」
「あっ、ありがとうございます!」
良かった!この小人さんが泊めてくれるみたい。私は嬉しくて思わず声が上がってしまった。

中に入ると木の香りがしてきた。
少し古びた木製の家具が、余計に我が家を思い出させてさびしくなってしまう。
「適当にかけてくれ。今キノコのスープを煮てるんだ。」
小人さんは奥へ消えると、私に気さくに話しかけてくれた。
「そいうや、名前を聞いてなかったな。何て言うんだ?」
「ベリーっていうの。」
「オイラはバウムだ。お前らの世界にあるだろ?バウムクーヘンって食べ物。あれに名前が似てるな。」
バウムさんと楽しく話してる間に、バウムさんが美味しそうなキノコスープを持ってきてくれた。

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