極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

カミキリ 第3話:オデカケ

公園のベンチに橘純一が姿を現したのは、待合せ時間の五分前だった。
昨日の夕方の下校時に別れてから一晩しか経っていないが、何故か随分会っていないような錯覚にとらわれる。
『昨日の紗江ちゃん、なんか変だったなぁ…突然、誰かのエロ画像送ってきたり……』
スピーカーから聞こえる声は、紛れもなく純一の声だった。
どこかに盗聴器でもしかけられているのか、公園のベンチに座って紗江の到着を待っている橘純一の声がはっきりと聞こえる。
「マイク感度良好だね〜」
車の運転席に座ってタバコを吹かしながら外を眺めているジーパン姿の男は陽気に後部シートに横たわる少女に話しかける。
昨日同様、公園脇の道路に駐車したミニバンの車内に、中多紗江(なかたさえ)は囚われていた。
遠目から一見するならば、昨夕に純一と別れたときのままの姿の様に思えるかもしれい。
輝日東高校の制服を着用し、少女らしいツインテールに結わえた艶やかな髪、膝上までを覆う黒いオーバーニーソックス。
だが、細部を見るとその異常性がよくわかるはずだ。
ツインテールの髪の下に見える右耳たぶが欠損している上に、左耳は外耳全体が切除されており、赤黒くこびりついた血痕が首筋まで見受けられる。
そして、なにより目を引くのは少女の右足だった。左足は黒いニーソックスと、その上の白い太もものコントラストが美しい。
だが右足はニーソックスの途中――ちょうど膝の上のあたりから先が存在しなかった。
止血用の包帯に染み込んだ血が、白い太もも、黒いソックス、赤い包帯という色どりの変化を与えている。
手錠がかけられた華奢な少女の手指も右小指が欠けている。
そんな少女が助けを求めて声をあげないのはなぜなのか……

「うぅぇ…うぅ」
呻き声をあげる紗江の口には男の巧妙な細工が仕掛けられていた。
ピンク色の舌を最大限に引っぱり出された少女は、その舌の根本を割り箸のようなもので挟まれている。
強く狭窄された舌の根元は、うっ血が見受けられるほどである。
そして舌を引っ張り込めないように、根本には安全ピンが舌の両脇を縦に貫いている。
無理に引っ込めようものならば、割り箸とピンが邪魔をして舌の組織を切り裂くような痛みが伴うことになる。
「よかったね。約束通りきたよアイツ。もう時間つぶしのタバコはこれで終わりだよ」
紗江の唇を指でこじ開けた男は、まだ火の点いたままのタバコを口内へ押しこみ、火をもみ消した。
「ぐぇっ!!あ゛が……」
よく見れば、少女の口の中には既に数本の吸殻が押し込められている。
車が公園に着いたのは半時間ほど前であることから、その間ずっとこの少女の口は灰皿代わりに使われていたということになる。
歯が抜かれて傷だらけの歯茎には灰やタバコの葉がこびりつき、唾液はニコチン溶液と化している。
唯一火傷やタバコの毒液を回避できて無事なのは、くびり出され徐々に乾きつつある舌のみだった。
大粒の涙を流し、えづく傷だらけの紗江の姿を純一が見ればどう思うだろうか。
距離にして、ほんの十メートル程度。声を掛ければ届く距離に居ながら、少年と少女を隔てるものはあまりにも厚かった。

「よし、じゃあ<手作り弁当>を作ろう!!」
悲鳴すらままならない少女に元気よく声を掛けた男が握っているのはペンチと千枚通しのような工具だった。
「まずは、弁当の定番。ウインナーからだよ。最初に余分な角質をとりのぞきます」
3分クッキングのメロディを口笛で奏でながら、まな板の上に少女の手の平を置き千枚通しを突き立てる。
「ぎぃっ!!」
まな板に固定され、手を握ることを禁じられた紗江の指先の角質――爪を男はペンチで無造作に剥ぎ始めた。
マニキュアやネイルアートとは無縁の可愛いらしい紗江の爪は次々にむしりとられていく。
「紗江ちゃんとボクの将来のために、この指だけは残しておくね」
左の薬指――つまり結婚指輪をはめる指を除いて、すべての生爪がビニール袋の中に消えた。
「つぎは解体っと」
昨夕、車内で少女の右小指をもぎとったワイヤーカッターを両手で構えると男は果物を収穫するが如く手指を裂断してゆく。
「ぎっ!!ひっ!!あ゛が…」
生爪を剥いてから切るというその順番が、それぞれの指に2度の激痛をもたらした。
苦痛に身を捩らせる紗江と、BGMの3分クッキングの口笛があまりにも対照的だった。
「よーし、骨付きウインナーできあがり」
タッパーに取り分けられた8本の鮮血に染まった<ウインナー>の根本からは白い骨がみえている。

「あ、そうだ。今日の朝食の残りもあるね…もも肉のステーキ」
ポリ袋の中から取り出しされたバットのようなモノ――紗江の右足からは肉の焼けた臭いが放たれている。
朝方に<朝食>と称して口移しで自分の太ももだったモノを食べさせられた記憶が紗江によみがえる。
口移しに食べさせられては吐き、吐いては食べさせられるという拷問の末に残されたそれは、まだかなりの量が残っている。
「レアだから、ちょっと鮮度が不安だけどさ…だいじょうぶだよね。お昼の弁当だし」
ナイフで切り取ったレア――つまり生焼けの肉塊がウインナーの脇に添えられた。
「次は、お赤飯。おめでたい初デート、初お弁当だしね」
タッパーに盛られたコンビニ弁当の白米の上に、少女の指の切断面から溢れ出る大量の血潮が掛けられる。
血で赤く染まった白米を<赤飯>と言い切るのは、世界でもこの男のみだろう。
「次はフリカケね」
紗江の股間に手を伸ばした男は、力任せに陰毛を次々に引き抜く。
「脱毛も兼ねて一石二鳥」
機械作業のようにむしり取られた少女の縮れ毛は、<赤飯>の上に振りかけられていく。

「そうそう、海苔もいるよね」
少女の手を留めている千枚通しを抜き、包丁を手にした男は今度は手の平の皮に切れ目を入れた男は、ついでのように紗江に問いかけた。
「紗江ちゃんって、手相とか気にするほうかな?でも、いいよね?バリッと剥いちゃうね」
必死に首を振って愛玩する紗江を無視して、強引に手の平の表皮を引き裂くと、少女は大きく身体を揺すって悶絶した。
「ぐうっ!!あ゛が…ぎひぃっ!!」
間髪入れずに男は反対側の手のひらも、剥ぎとってしまう。
2枚の<海苔>が赤飯の上に乗せられた時、それは完成した。
「はい、完成〜。<手作り弁当>カレシ喜んでくれるかな?あ、紗江ちゃん寝ちゃったか」
激痛のためか、それとも両手指と手のひらを失ったショックのためか、紗江は目を見開いたまま失神していた。
無愛想なタッパーの中に詰められた<それ>は、文字通り紗江の手によって作られた弁当と言えた。
惨劇が繰り広げられた車の外では、なにも知らない純一が今か今かと紗江の到着を待っている。
自身の血肉に彩られた弁当の完成を待たずして失神した少女は、血臭ただよう車内で寝息を立て、ひとときの安らぎを得たのだった。

「紗江ちゃん、遅いなぁ……」
ひとり呟く純一の携帯電話に、着メロが鳴ったのは約束の時間から15分ほどが経過した頃だった。
「あ、紗江ちゃんから」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■差出人:中多紗江
■宛 先:橘先輩
■件 名:サプライズ♥
先輩、ごめんなさい。今日のデートに持っていくお弁当を作っていたらすこし遅刻し
ちゃいましたm(_ _)m
ただのデートではつまらないので、ちょっと趣向を凝らしてみたいと思います♪
渡したいものがあるので、今から言う場所に来てもらえますか?
その公園の外れに小さな管理棟があります。そこのトイレで待っています……
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「え?どういうこと……」
メールに記されていたのは、新たな待ち合わせの指示であり、純一を当惑させるのに充分だった。
しかも、トイレで待ち合わせというのはデートというにはあまりにも場違いと思えた。
ここで待っていても埒があかない。そう思った純一は首をかしげつつもベンチから立った。
「なんか昨日から変だなぁ紗江ちゃん……」
純一のそんな予感は数分後に的中することになる。

盗聴用スピーカーから漏れる純一の声を聞き、先ほど紗江の携帯から送ったメールが届いたことを確認した男は車内に積まれている3台のディスプレイの電源を入れた。
「さぁて、写ってるかなっと」
画面には。<故障中・使用禁止>と札が掲げられたトイレの入り口を外側から撮っているもの。
女子便所の個室を天井から捉えた画面。
そして、<弁当箱>のタッパーケースをアップで映しだしたも画面の三つが写っている。
ほんの数分前に男がトイレに置いてきた、出来たての<手作り弁当>がそこにあった。
故障中のトイレには誰の姿もない。マイクが拾う音も静けさに包まれている。
そのマイクが、近づいてくる足音を拾ったのは、メールを送信してから数分後のことだった。
タバコを吹かして車内でくつろいでいた男は、カメラが捉えた純一の姿を確認すると、紗江に話しかけた。
「紗江ちゃん、起きてよ。カレシがお弁当食べに来たよ」
再びタバコの吸殻を少女の口腔へと押しこみ、強制的に覚醒を促す。
高温の吸殻を歯茎に押し当てられた紗江は、つかの間の眠りから現実へと引き戻された。
「じゃあ、紗江ちゃんの力作の<手作り弁当>を食べてもらおうね」
紗江の携帯電話を操作した男は、そのままモニターを注視する。
男の視線から、車内に据えられたモニターに気づいた紗江は、そこに純一の姿を認めて狼狽した。
(先輩!!来ないで)
だが、少女の願いもむなしく、純一は着信音の鳴り響く自分の携帯電話を手にした。
『もしもし…紗江ちゃん?』
「やぁ、センパイ。着いたね」
紗江の電話番号からかけられた通話から男の声が聞こえたことで、純一は驚いた素振りを見せている。
『え、あれ?紗江ちゃんじゃ…』
「紗江ちゃんなら、いまボクの隣で寝てるよ…ほら」
「んんっ…うく…うぅぅっ」
舌を割り箸でくびり出され、声にならないうめき声しかあげられない紗江だったが、必死でなにかを伝えようとしている。
『お前、誰だ?紗江ちゃんはどこだ!!』
未だに事態を把握できないながらも、尋常ならない雰囲気を感じ取ったのか、電話の向こうの純一の声に怒声が混じる。
「ちょっと待ってね…いま写メるから」
一度電話を切った男は、紗江の携帯で何枚か写真を撮る。
「そうだ、ボクと紗江ちゃんの熱いところを見せつけてみようか」
男は、少女の首を手で掴み上げると、ピンク色をした舌先に前歯で噛み付いた。
「ぎぃっ!!」
乾燥して敏感な舌先に噛み付かれた紗江は、血とタバコのヤニの混じり合ったヨダレを流して悲鳴をあげる。
「お、いい画が撮れた。ほい、送信…」
モニター越しに紗江の姿を探している純一の姿がある。その純一の携帯電話にメールの着信音が鳴り響く。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■差出人:中多紗江
■宛 先:橘先輩
■件 名:ラブラブ♥チュー
紗江ちゃんとボクの愛の形を撮ってみた(^^)v
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■添付:ベロチュー.JPG

「ほら、よく撮れてるでしょ?今、センパイも見てるよ」
男が紗江に見せつけたのは、まさしく自分の舌に強く噛み付きながら<キス>を交わす二人の写真だった。
今度は純一から紗江の携帯に電話が掛かってきた。
『お前、紗江ちゃんに何をしている!!』
「ん〜?何ってラブラブなボクたちの甘いキッスじゃないか」
さきほど送信された<キス写真>をみて、甘いキスと思う人間は居ないだろう。
『今すぐ紗江ちゃんを放せ』
「まぁ、そういきり立つなよ……今から言うとおりにしてくれたら、会わせてやるからさ」
純一との会話を楽しんでいるかの様な男は、矢継ぎ早に指示を出す。
「そう、そこの女子トイレの個室に入ってみな…紗江ちゃん手作りのお弁当があるから」
仕掛けられたカメラを探しているのか、女子トイレに誘導された純一はキョロキョロと辺りを見回している。
そして、女子トイレの洋式便器の蓋の上に置かれたタッパーケースを見つけて手にとった。
それは開けてみるまでもなく異様な弁当箱だった。
半透明のケースの内側は、所々が赤く染まっている。
また、ケースの上には磨いた白い小さな石ころのようなものがたくさん乗せられている。
『これは……もしかして』
それが人間の歯であることに気づいた純一は、愕然としている様子だ。
「開けて見なよ。紗江ちゃんの力作だよ」
電話越しに純一に指示を出す男は、笑いをこらえている。
ケースを開けた純一は、呆然と立ち尽くしている。
切り刻まれた紗江の手指のウインナー、もも肉のレアステーキ、そして血に染まった白米と、その上に海苔のように乗せられた生皮。
見てはいけないものを見てしまったという雰囲気が盗撮しているモニターを超えて伝わってくる。
「じゃあ、完食お願いね。10分以内に。骨は残していいけど」
『貴様!!紗江ちゃんに何をした!!』
モニターの絶叫する純一の姿を見た紗江は、大粒の涙を流してうめき声を上げた。
「全部見てるからね。食べないなら新しいお弁当を紗江ちゃんに作ってもらうから」
一方的に告げると男は携帯の電源を切ってしまった。
その意味を理解するまで数瞬を要していた純一だったが、食べなければ紗江の身になにが起こるかを想像する理性は残されていた。

「お、食ってる食ってる。紗江ちゃん食べられてるよ。よかったね」
画面には目を固く閉じ、えづきながらも<赤飯>や<ウインナー>を強引に口に詰め込む少年の姿があった。
紗江を助けたい一心なのか、それとも狂気に毒されてしまったのか。
鬼気迫る形相で自らの身体の一部を食す純一を見た紗江は、血の気が引いていく思いがした。
10分後に携帯の電源を入れた男は、再び少年の携帯電話を呼び出す。
「ちょっと残ってるけど、まぁいいや。紗江ちゃんの手作り美味しかった?」
『いいから、紗江ちゃんを放せ。もう満足だろ』
「わかったよ。じゃあさっき食べた紗江ちゃん特製の手作り弁当にヒントがあるから、謎を解いてこっちに来てよ」
再び携帯の電源を切った男は、モニターに写った純一の姿を眺めてニヤニヤと笑っている。
通話が切られたあとに、純一が激しく嘔吐している姿がモニターに写っている。
男の要求を呑むために、無理して食していたのだろうが、やはり精神的に受け付けられない様子だ。
「あーぁ、吐いちゃったよ。せっかくの紗江ちゃん弁当。じゃぁボクちょっとアイツの所に行ってくるわ」
金属バットとスタンガンをショルダーバッグに入れた男は紗江を残して車から出て行った。
(先輩、逃げて…もう私は……)
紗江の想いは、猛烈に嘔吐を繰り返す少年に届くことはなかった。
やがて、遠くから鈍い音とうめき声が聞こえ、唯一の希望が絶たれた事実を紗江は思い知るのだった。

橘純一が目を覚ましたとき、視界に入ったのは布団の上で抱き合う全裸の男女の姿だった。
正常位で深く結合した二人が喘ぐ声が聞こえる。
それが、液晶テレビに映し出された映像と音声だと理解できるまでに数秒を要したのは、後頭部の傷跡と無縁ではないだろう。
手で触れると乾いた血糊が感じられる。後頭部に感じる鈍い痛みが、あの時の一瞬の出来事の名残だった。
トイレで後ろから突然殴られたことは覚えているが、ここがどこで今がいつなのか見当もつかない。
薄暗がりの中で見えるのは、タイル貼りの床とコンクリの壁、そして液晶テレビと部屋の奥にある一枚の鉄扉のみだった。
立ち上がろうとした純一は、自分の足首にチェーンが巻かれていることに気づいた。
南京錠で施錠されたチェーンの端は柱に巻かれており、柱のそばには数十個の鍵を束ねたキーリングが幾つも置いてある。
「くそっ。ここから探して錠を外せっていうのかよ……そうだ、紗江ちゃん!!紗江ちゃんはどこに」

テレビに映っている少女を改めて見なおした純一は、その映像がまぎれもなく探し求める紗江本人であることに気づいた。
映っているのは首から下の姿で、顔は画面の外にあり確かなことはわからない。
正常位で男の下敷きになっている少女の声、そして黒いオーバーニーソックスが中多紗江のものであることは純一にはよくわかる。
だが、その少女の身体は、つい先日までの中多紗江とは異なる点が幾つもあった。
男に抱かれて喘ぐ少女の右の太ももの先が完全に消失していた。切り口に巻かれた包帯が痛々しい。
その右脚の付け根には火傷のような奇妙な文字も見える。
そして、少女の手指は根元から切断されており、男の背中を引っ掻くという抵抗手段すら禁じられていた。
ベッドの上には、張型やアナルビーズや注射器や薬ビンのようなものが散乱しているのがはっきり見える。

『お、起きたみたいだぜ。愛しの純一センパイが。おーい、見えてるよな?ボクと紗江ちゃんのラブラブエッチ』
スピーカーを通して男の声が聞こえてくる。
カメラの向きがやや上よりにずれると、まだ舌をくびり出されたままの紗江の泣き顔が映し出された。
「紗江ちゃん!!」
思わず声を出した純一は、モニター越しに紗江がこちらを見ているような気がした。
『う゛あ゛……うぅ』
不自由な口を動かし、なにかを助けを求めているように見える。
モニターの上部にはカメラとマイクが設置されているため、おそらくテレビ電話のように向こうにも純一の姿がみえているのだろう。
『そっちにドアがあるでしょ。その先でボクらはチュッチュしてるから、会いたかったら鍵外して来なよ』
キーリングに束ねられた無数にある鍵の中から、南京錠に合致するものをさがすのは至難の業と思えた。
『早くしないと、もうボクだしちゃうからね〜紗江ちゃんの中にさ』
テレビの中に映っている男の性器には、なにも被せられていないのがわかる。
中に出されることに恐怖を感じるのか、男の宣言を聞いた紗江がひどく怯え始めた。
『ハァハァ…ていうか、もう我慢できない。そろそろ出すよ。紗江ちゃん、こんどはどこにしようか……』
その言葉の意味を、十分に知っている紗江は必死で抵抗しようとする。
(また身体のどこかを噛み切られる……先輩たすけて!!)

一方の純一は、男の腰の動きが早まりつつあることから、いよいよ射精の瞬間が近づいていることを悟っていた。
「よせ!やめろ!!」
男が膣内射精を行う前の<儀式>を知らない純一は、異常に怯える紗江の理由がわからなかったが、次の瞬間それを理解した。
『やっぱ、この可愛いベロだよね。おあつらえ向きに<ベー>してるしさ』
そういって、男はまるでキスをするように紗江の突き出された舌を口に含んだ。
『あがっ!!うあ゛あ゛!!』
激痛に震える少女の姿と絶叫がモニターを通して伝わってくる。
じわじわと口元から流れだす大量の鮮血が、男の行為を物語っていた。
「まさか…そんな……食っているのか?」
顎を動かし何度も咀嚼する男の顔と、紗江の恐怖に彩られた顔が画面に映る。
自らの舌が牛タンのように食われている事実を目の当たりにして耐えられる少女がいるだろうか。
噛む力と腰の動きがピークに達したとき、少女の舌は男の胃袋に消え、代わりに吐出された白濁液が紗江の胎内に注がれた。
『ひっ!!ひやぁ!!わたひの…わたひの……かえひて!!』
舌を噛み切られることで、ようやく割り箸の束縛から逃れられた紗江の口から出たのは、まさに<舌足らず>な絶叫だった。
『んまいっ!!新鮮なタン刺し最高』
グルメ気取りの男の声から察するに、紗江の哀願を聞くつもりなどまるでないことが伝わってくる。
少女の舌は男の腹の中で消化され排泄される運命をたどることになるだろう。

「う、うそだろ…」
射精と同時に相手の女性の身体の一部を食うなどという性癖は、<変態紳士>とあだ名される純一にも到底理解できなかった。
『ん?センパイ見とれちゃってるよ。そっちの部屋でヌいてもらってもいいよ。ハハハ』
『しぇんぱい…みないで……もう、いやぁ…もう、ころひて……』
紗江は元来恥ずかしがり屋だったが、この男にボロ雑巾のように身体を破壊されて、完全に精神のタガが外れそうになっていた。
『なんか、アイツに見られてながらヤるのって興奮するよね〜紗江ちゃん。なんかもう一発ヤりたくなってきた』
「よせ!!」
この男の性行為が、破壊的な衝動をもたらすことを理解した純一は、なんとか止めようと叫んだ。
だが、まるでそんな声を聞いていないかのように、男は嫌がる紗江の上にのしかかっていく。
無駄とは分かっていても、純一にできる手段はひとつ。南京錠の鍵を探し当てるしかない。

『あっ!あっ!!ひやっ!!くすりはやめれっ!!あっあぁっ!!』
鍵を探す純一にスピーカーを通して聞こえてきたのは、紗江の舌足らずな哀願だった。
チラリとテレビを見ると、再び少女と結合して腰を振っている男の手に注射器が握られていた。
すでに床の上には数本の注射器が転がっている所を見ると、これが何度目かの追加投与なのだろう。
『気持よくなるんだからいいじゃん。もうキメまくって紗江ちゃんのオマンコ、ビショビショだけどさ』
男の言葉は正しかった。暴虐の限りを受けていても紗江の秘裂は分泌液にまみれ、男の剛直が出し入れされるたびに卑猥な音を発している。
その部分だけみれば、レイプされているようには見えず、愛しあう二人が交わっているようにしか見えない。

『はーい。シャブシャブ一人前入りまーす』
脳天気な男の声が高らかにスピーカーから響く。
紗江の懇願を無視して尻たぶに突き立てられた注射器の中身は、あっという間に少女の体内の中へ消えていく。
『ひぃっ!!やらぁ…あっ!!あっ!!あぁっ!!やめ…やめ…あ…ひぃ…』 
オーバードーズか、それとも快楽の絶頂を極めているのか、紗江の目は焦点を失いさまよっている。
口からあふれる泡だらけの涎も、彼女が理性を失いつつあることを示していた。
『カワイイ。紗江ちゃんのイキ顔サイコーだよ。なんかもう我慢の限界。出していいかな』
向精神薬で現実から離れつつあった紗江だったが、男の<出す>という言葉に敏感に反応した。
『ひぃっ!!たしゅけへ…しぇんぱい!!しぇんぱい!!』
幼く、かつ舌足らずな少女の緊急事態を知らせる声を聞いて、純一は鍵を探す作業を忘れモニターを見入った。

紗江の泣き顔をアップで捉えた画像には、信じられないものが映っていた。
泣き腫らした少女の瞳のすぐそばに押し当てられた銀色のモノ――先割れスプーンが徐々に沈んでいく。
まるで、スイーツを掬い出すかのように眼窩にめり込んでいくスプーンが、紗江から絶叫を引き出していた。
『こわひぃっ!!めが!!めがぁっ!!しぇんぱい!!しぇんぱい!!』
『キャンディ♪キャンディ♪紗江ちゃんキャンディ』
囃したてるようにメロディを口ずさむ男の手は止まらない。
今や先割れスプーンは完全に紗江の目玉を抉り出そうとしていた。

「やめろォ!!」
『やらあぁ!!』
『やったっ!!』
純一の絶叫、紗江の断末魔、男の歓喜が奏でられたとき、視神経がつながったままの眼球がスプーンの上に乗せられ取り出された。
文字通り血の涙を流す少女と繋がったままの<キャンディ>をそのまま頬張る男の姿がはっきりと画面に映っている。
『うーん。ちょっと生臭いスイーツだね』
口に含んだまま美食を気取る男の言葉は正気とは思えない。
そして、完全に男の舌に絡め取られた紗江の目に映るものは果たして何か。
男の腰の動きはピーク寸前に達している。つまり紗江の目玉の運命はもう決まったも同然だった。
『ひ…ひやぁっ。めをかえひてぇっ!!』
視神経が伸びきった状態で、男の口の中で転がされる眼球が、やがて嫌な音を発した。
『グシュグシュ…』
奇妙な咀嚼音が聞こえ、男と紗江の身体は同時に痙攣した。
それは、またもや男の劣情の胎内に受けたことを示していた。
欲望を紗江の中に放ち満足した男の口から、形を失った紗江の目玉が無造作に吐き出された。
『うわ、マズ…やっぱ、これはちょっとマズイか』
『もうゆるひ…たしゅけ…ころひて…』
舌足らずな声で繰り返す紗江のささやきは、やがて小さくなり聞こえなくなった。
何もできず、傍観せざるを得なかった純一は、手にしたキーリングを床に落とし、膝をついて泣き崩れるしかなかった。

純一が鍵を探し出しドアを開けることができたのは惨劇から1時間以上経ってからだった。
血まみれの布団の上に残されていたのは、噛み潰された紗江の瞳と一枚の紙切れだけだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<このあとスタッフがおいしくいただきました>
……ということで、コレ食べといてね。
紗江&ダーリン
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
警察が公開捜査を打ち出し、紗江のSNSが炎上し、様々な流言飛語が飛び交った後に、話題にすら上らなくなるのには半年もかからなかった。
ちょうど事件から一年後のある日、紗江の同級生で友人、そして純一の実の妹である橘美也(たちばな みや)が失踪するまでは…
(完)


564 名前:おにたけ[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 20:18:35 ID:N48fedJK [11/11]
お読みいただきましてありがとうございます。
勢いで書いてみました。

アマガミ->カミキリというタイトルに掛けて、噛むことや口に重きを置いてみました。
フィクションなので、リアリティに欠けると思われる点も多々あるのですが、そこはご容赦いただければと思います。
※人間の顎力でどこまで出来るかなんてわかりませんが、チンパンジーぐらいワイルドな人なら生齧りできるのかな?

今回のもう一つのテーマは通称ニーソ、つまりオーバーニーソックスなんですが
焼こうが切ろうが脱がせません。制服もほぼ着たまんま。
こんなミニスカ制服+黒ニーソが同級生や下級生にいたら凶器ですよね。
しかもツインテールであの声……完全にKO負けする自信があります。

なんかクリフハンガーで中途半端な終わらせ方ですが、続きはないと思います…たぶん…。
ていうか疲れました。

それでは、お気に召せば幸いです…
×

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