「正義のヒロイン、モモだよ♪いい試合にしようね!」
えんじ色のコスチュームに身を包んだ少女・モモは対戦相手に語り掛けながら右手を差し出す。
しかし右肩に巨大な剣を携えた対戦相手・フライヤは差し出された右手を無視してモモを凝視する。
『…モモ・アイバだな。お前のような『有名人』は大抵、変装したり偽名を使ったりするものだが…。大胆なのかそれとも…』
「えっ!?モモってば、もうそんなに有名人!?こまったなぁ、有名になり過ぎると正義のヒロインとして活動しにくくなっちゃう♪
あっ、でもアナタ、有名人を目の前にして緊張しちゃうのはしょうがないけど握手を無視するのは失礼だと思うな。でもまぁ、モモは心が広いから気にし…」
『何が正義のヒロインだ。たった一月半の間に5つの村で略奪行為と大虐殺…。お前の首には生死不問で多額の賞金が懸けられている。』
「はぁぁぁ?賞金!?何それ!!?」
自分が賞金首として手配されていることを知り、モモは心の底から驚きの声を上げた。
『本当に知らなかったのか?しかし、これだけ派手にやったんだ。お前も覚悟は…』
「はぁ?なんか証拠でもあるの?モモがやったっていう証拠は?まさか証拠もないのにイチャモン付けてんじゃないよね?」
『……ほんの数人だが生存者がいてな。それぞれ別の村の住民なんだが全ての証言で実行犯の名前、特徴が一致したらしい。…どう見てもお前だよ』
「………ちぇっ、生き残りがいたのかぁ。キチガイどもに限ってゴキブリ並みの生命力してんな。あのね、モモは悪くないからね?あっちがキチガイなんだからね!
だってね、モモが村を襲ってた悪者とか化物退治してもちゃんとしたお礼してくれないんだよ?だから文句言ったら逆切れしてくんの。
キチガイでしょ?キチガイだよね!!だから懲らしめたの。キチガイは生きてる価値無いからね?
………何その目?モモの言うこと信じてないの?正義のヒロイン信じられないの?あんたもキチガイなの?キチガイなんでしょ!!
そっか、モモがこの世界に転生した意味が分かったぁ。この世界がキチガイだらけだからなんだね?キチガイどもを一掃する為なんだね!!!」
『……………』
あまりに自己中心的な思考回路。そのうえ訳の分からない事を言い出し始めた。しかし異常者を装っている風ではない。本物の異常者なのだろう。
フライヤは意思の疎通を諦めて口を噤んだ。
そんな試合前のやり取りで一触即発の空気が流れる中、ようやく試合開始の合図が鳴り響く。
「キチガイにかける情けはありません!!一撃でこの世から消滅させてあげますっ!!!」
正義のヒロインを気取った、もっともらしい前口上。しかし言っている内容は滅茶苦茶だ。
かなり頭に血が上っているのか台詞を言い終わるや否や即攻撃に入るモモ。
「必殺っっ!!メテオナーーーックル!!!」
一撃で消滅させるという言葉通り、初っ端から自身最大の必殺技を繰り出す。
ただ右拳を前に突き出し突進するだけの技術も工夫も無い技。しかしモモの常人離れした身体能力で繰り出せばそれは文字通り必殺の威力を持つ。
モモはこの技で己の正義に反する人々を一瞬で肉塊に変えてきた。
自分の拳が目前に迫ってもフライヤは反応する素振り見せない。
たとえ反応出来たとしてもあんなに重そうな武器を抱えた状態では自分のスピードに対応出来る筈がない。
(楽勝っ!!)
モモは勝利を確信する。
バギャッ!!
しかし、モモの拳はフライヤに届くことはなかった。
拳が到達する寸前、目にも止まらぬ超高速で振り下ろされた大剣がモモの上半身を跡形もなく粉々に爆ぜ砕いていた。
臍から上を失った下半身はそれでもなお、直前まで脳で命じられていた通りにはみ出た腸を引きずりながら闘技場を駆け抜けて行く。
ドサッ
…そしてそのまま場外に転落した。
場外に転落してもしばらくは足をバタつかせて中身を撒き散らしながら跳ね回っていた下半身だったが、やがてピクピクッとした細かい痙攣に変わり、その後完全に静止した。
『……最期まで迷惑なゴミクズだったな』
フライヤはモモの残骸が飛び散り汚れた場外を一瞥すると闘技場を後にした。
えんじ色のコスチュームに身を包んだ少女・モモは対戦相手に語り掛けながら右手を差し出す。
しかし右肩に巨大な剣を携えた対戦相手・フライヤは差し出された右手を無視してモモを凝視する。
『…モモ・アイバだな。お前のような『有名人』は大抵、変装したり偽名を使ったりするものだが…。大胆なのかそれとも…』
「えっ!?モモってば、もうそんなに有名人!?こまったなぁ、有名になり過ぎると正義のヒロインとして活動しにくくなっちゃう♪
あっ、でもアナタ、有名人を目の前にして緊張しちゃうのはしょうがないけど握手を無視するのは失礼だと思うな。でもまぁ、モモは心が広いから気にし…」
『何が正義のヒロインだ。たった一月半の間に5つの村で略奪行為と大虐殺…。お前の首には生死不問で多額の賞金が懸けられている。』
「はぁぁぁ?賞金!?何それ!!?」
自分が賞金首として手配されていることを知り、モモは心の底から驚きの声を上げた。
『本当に知らなかったのか?しかし、これだけ派手にやったんだ。お前も覚悟は…』
「はぁ?なんか証拠でもあるの?モモがやったっていう証拠は?まさか証拠もないのにイチャモン付けてんじゃないよね?」
『……ほんの数人だが生存者がいてな。それぞれ別の村の住民なんだが全ての証言で実行犯の名前、特徴が一致したらしい。…どう見てもお前だよ』
「………ちぇっ、生き残りがいたのかぁ。キチガイどもに限ってゴキブリ並みの生命力してんな。あのね、モモは悪くないからね?あっちがキチガイなんだからね!
だってね、モモが村を襲ってた悪者とか化物退治してもちゃんとしたお礼してくれないんだよ?だから文句言ったら逆切れしてくんの。
キチガイでしょ?キチガイだよね!!だから懲らしめたの。キチガイは生きてる価値無いからね?
………何その目?モモの言うこと信じてないの?正義のヒロイン信じられないの?あんたもキチガイなの?キチガイなんでしょ!!
そっか、モモがこの世界に転生した意味が分かったぁ。この世界がキチガイだらけだからなんだね?キチガイどもを一掃する為なんだね!!!」
『……………』
あまりに自己中心的な思考回路。そのうえ訳の分からない事を言い出し始めた。しかし異常者を装っている風ではない。本物の異常者なのだろう。
フライヤは意思の疎通を諦めて口を噤んだ。
そんな試合前のやり取りで一触即発の空気が流れる中、ようやく試合開始の合図が鳴り響く。
「キチガイにかける情けはありません!!一撃でこの世から消滅させてあげますっ!!!」
正義のヒロインを気取った、もっともらしい前口上。しかし言っている内容は滅茶苦茶だ。
かなり頭に血が上っているのか台詞を言い終わるや否や即攻撃に入るモモ。
「必殺っっ!!メテオナーーーックル!!!」
一撃で消滅させるという言葉通り、初っ端から自身最大の必殺技を繰り出す。
ただ右拳を前に突き出し突進するだけの技術も工夫も無い技。しかしモモの常人離れした身体能力で繰り出せばそれは文字通り必殺の威力を持つ。
モモはこの技で己の正義に反する人々を一瞬で肉塊に変えてきた。
自分の拳が目前に迫ってもフライヤは反応する素振り見せない。
たとえ反応出来たとしてもあんなに重そうな武器を抱えた状態では自分のスピードに対応出来る筈がない。
(楽勝っ!!)
モモは勝利を確信する。
バギャッ!!
しかし、モモの拳はフライヤに届くことはなかった。
拳が到達する寸前、目にも止まらぬ超高速で振り下ろされた大剣がモモの上半身を跡形もなく粉々に爆ぜ砕いていた。
臍から上を失った下半身はそれでもなお、直前まで脳で命じられていた通りにはみ出た腸を引きずりながら闘技場を駆け抜けて行く。
ドサッ
…そしてそのまま場外に転落した。
場外に転落してもしばらくは足をバタつかせて中身を撒き散らしながら跳ね回っていた下半身だったが、やがてピクピクッとした細かい痙攣に変わり、その後完全に静止した。
『……最期まで迷惑なゴミクズだったな』
フライヤはモモの残骸が飛び散り汚れた場外を一瞥すると闘技場を後にした。
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