債務整理Wiki - 事務所日記 個人債権者(ヤミ金ではない)に(後半)

事務所日記 個人債権者(ヤミ金ではない)に(後半)


コラム
司法書士や弁護士が債務整理について受任すると、債権者(貸主)は債務者(借主)に請求や督促をすることはできません。(根拠法令:貸金業法21条1項9号)(注意:債権者は督促はできなくなりますが、請求権は喪失していないので、法律上の権利として請求権を行使することは可能です。わかりづらいとは思いますが、例えば債権調査期間が経過して、残債があるのにもかかわらず、任意交渉を(何らかの事由で)開始せず、長期間が経過した場合、債権者債務者に対して訴訟提起することも請求権により行使するものです)
特定調停申し立てた場合も同じです。
特定調停とは、簡易裁判所において調停委員主導により、債務者債権者との話し合いを仲裁する制度です。
  
特定調停法で貸金業法21条が準用されています。
この場合、法律上の請求権(債権者債務者に対して支払給付をさせる権利)は消滅するわけではなく、督促によって債権の弁済を求める行為(督促等)が禁止されます。
よって、債権者は督促しなくても、弁済の受領はできるわけです。

この規定は貸金業法の規定であり、貸金業者を規制する法律ですから貸金業者以外の債権者(個人債権者や貸金業者でない会社(敷金や家賃を立て替えた保証会社等)には適用がありません。
ですから、法律上は、貸金業者以外の債権者に対して債務整理を委任した場合や特定調停を申し立てた場合に、本人に対して直接督促を停止する義務はないことになります。
しかし、債務整理特定調停申し立てた場合は経済的に破綻している場合がほとんどなので、本人に督促しても支払いができない状態にあります。
よって、債権者としても整理や特特定調停を受け入れた場合が有益な場合が多いので督促をしない債権者も少なくありません。
余談ですが、弁護士や司法書士に法律行為を委任した場合でも、相手方(貸金業者については督促行為は禁止される)が本人に和解のために直接交渉や接触を保つ行為を規制する規定もないのでそのような行為があっても禁止できないことになります。
禁止する場合は裁判所に直接交渉禁止もしくは架電禁止を目的とした仮処分の申立を行って(申立が認められた場合に)禁止する手段があります。