債務整理Wiki - 事務所日記 突然、貸金業者から訴えられた相談者 消

事務所日記 突然、貸金業者から訴えられた相談者 消滅時効


コラム
先回までお話した金融業者から訴えられたAさんについてのお話です。今回から消滅時効の話です。ところで、Aさんに請求された請求の取引状況をよくみると、最後の取引から7年
たっていました。
「そんなに前の取引なんで、正直忘れてました。やっぱ、払わなきゃいけないんで
すよね
しかし昔なんで利息もけっこうついて苦しい。まーいままでほっといた自分がわる
いんですけど」
「いやいやAさん、はらわなくていいんですよ。」
「えーそうなんですか?なぜですか?訴訟提起されてるのに払わなくていいんです
か?」
「実はAさんの債務は、既に時効で消滅しているんですよ」
「な、なんですか、その時効って?」

消滅時効とは一定期間、権利が行使されないと権利が消滅する民法で定められてい
る制度です
「だから、Bカード会社が持っているAさんに対する債権(Aさんに貸し付けてい
るお金を返せという権利)も時効で消滅するんですよ。」
「それは何年で消滅するんですか?」
「一般的には、債権は10年で消滅になるんだけど、Bカード会社は会社(法人)
なんでBカード社が有する債権は商事債権となります。
(商法503条2項)
商事債権は、商法522条により5年で消滅するとされているから、Aさんの債務は
既に消えてるんですよ」

「えー、しかし、それじゃー、何で権利が消滅していて無効なはずなのに、なぜ、訴訟
ができるんですか?訴訟を提出した時に、5年以上経過していることは裁判所はわかっ
てますよね。」

「それは、消滅時効というのは自動的に消滅するのではなく、
権利を主張して初めて消滅する」という考えで民法が定めている
(民法145条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をする
ことができない。) ので、消滅時効の権利を主張しないと、消滅したと裁判所は認めない
わけですよ」
時効の権利を主張することを「時効の援用」といいます。
「それだと、僕らみたいに法律のことを詳しく知らない人は、背負わ
ないでもいい借金をせおったことになるんですか?」
「たしかに、Aさんのいうとおり、法律には非情にも思われるような
厳しいところはある。法律の諺で、「権利の上に眠る者は保護されない」
というのがある。また、権利が消滅するということは権利者にとって
大変な苦痛を伴うものであるし、また、「借金はかえさなくていいてい
われたって、わしは借りたものは返すってのが信条なんだい!」という
方の考えも尊重するってのが趣旨なんでしょうか」
次回は消滅時効の援用のお話をします。