最終更新:ID:B2X04fR00A 2017年11月18日(土) 15:35:07履歴
両依存系しましま
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「ただいま」
帰ってきた。早貴だ。嬉しくて、舞美は玄関まですぐ迎えに行った。
「おかえり。降られなかった?」
「ただいまー。なんとか大丈夫だったよ。リーダーの方が早かったんだね」
グループが解散して、もう4ヶ月以上経っていた。初めこそ新しい呼び方を考えていた早貴だったが、その内に考えることをやめてしまった。やはり自分には、“リーダー”という呼び方が最もしっくり来ることに気付いたのだ。
「うん。撮影、予定よりスムーズに終わったんだ」
「そっか。………あ、待っ…ん、んぅ…」
何か言おうとした早貴を制し、やや強引に抱き寄せて口付ける舞美。
解散後、舞美と早貴はすぐに同棲を始めた。そして一緒に住む上で、いくつかのルールも決めた。その一つがおかえりのキスだ。
舞美からのキスはいつも長くて、その上濃厚で。今日もまた、歯列をなぞられ、舌を吸われ、吐息さえ奪われるような熱い口付けを感じつつ、早貴の腰と後頭部に回している舞美の手が不穏な動きを見せることに期待と興奮を感じてしまう。
「っ…はぁ、待ってって言ったのに」
「ごめん…何言おうとしてたの?」
「唇ちょっと乾燥してたから。リップクリーム塗りたかったの」
「そうだったんだ。でも大丈夫だったよ?それに私は気にしないし」
「リーダーが気にしなくても早貴は気になるの!」
あはは。なんて笑いながら、まるで当たり前のことのように早貴をお姫様抱っこする舞美。
ご飯食べて来たんだよね?という舞美の問いに、うん。と早貴が答えると、じゃあ大丈夫だ。とニコニコしながら寝室に直行した。
一体何が大丈夫なのかは早貴には皆目検討もつかなかったが、舞美が大丈夫と言うなら大丈夫なのだろう。ベッドにゆっくりと寝かせられ、もはや興奮を隠そうともしない舞美が首筋に顔を埋める。
そのまま熱に溺れそうになったところで、早貴ははたと気が付いた。
「ぁ……待って、ちょっと待って」
「なに?」
珍しく、少し不機嫌そうな舞美。
「早貴まだお風呂入ってないっ」
「いいよ?」
「よくないよ、今日稽古で汗かいたの!」
「別に気にしないって。なっきぃいい匂いだし」
「でも」
「いいから。……それより、もう我慢できない」
一瞬怯んだ隙をついて、早貴の両手を頭上でまとめあげ片手で押さえつける舞美。慌てて抵抗する早貴だが、こうなってはもう遅い。
同棲を始めてから、二人は毎日のように身体を重ねていた。よく飽きないな、と早貴が自分でも思うほど、舞美は早貴を求め、早貴もまた舞美を求める日々が続いていた。
それはまるで、今までのハードなスケジュールの中で失われていた時間を取り戻そうとしているかのようだった。
激しい夜の後、ピンピンしている舞美と対照的にぐったりしている早貴など、もはや日常茶飯事の光景で。
徐々に仕事が入り始め、グループ時代を思い出させる忙しさが戻って来た頃、早貴はさすがにまずいと思い
一度行為をしようとする舞美の骨ばった肩を押しやろうとしたことがあった。
が、舞美の「多少は抵抗された方が燃えるね」という言葉とそれまでよりずっと強い力の前にあえなく撃沈。
…その後のことは、もう思い出したくもない。
自分は本当におかしくなってしまうのではという恐怖と、自分をどうにかしようとする舞美への愛おしさ、そしてどうにかなってしまいたいというほんの少しの期待が混ざり合って、もう何がなんだか分からなくなってしまった。
気付いた時には翌日のお昼過ぎで、身体中が痛み、声の出しすぎか喉は掠れていて、お腹や腰には舞美の付けた独占欲の痕が無数に残っていた。
以降、早貴は出来るだけ行為を嫌がらないよう努めた。あんな目に遭うのはこりごりだし、次こそ本当に仕事に影響する。
何より、泣きそうな顔で自分を求めてくる舞美を拒絶することなど出来ない。
ということで、軽くイラつかせてしまった今、早貴に抵抗するという選択肢は消えてしまった。
いや、初めからそんな選択肢はなかったのかもしれない。どちらにしろ、もう自分は彼女の欲望を受け止めるしかない。
観念した早貴はゆっくり目を閉じ、舞美の暴力的とも言える愛に身を任せた。
--------------
降りしきる雨の音で目が覚め、舞美は傍らの早貴に目をやった。
台風の影響で秋雨前線が刺激されたらしく、ここ最近は雨続きだ。遠いが、雷も鳴っている。
この雨音で早貴が起きないか心配になったが、当の早貴は身動ぎ一つせずよく寝ている。まぁあれだけすればよく眠れもするか……とそこまで考えてから、以前真っ赤な顔をした早貴に「激しすぎだから!」と怒られたことを思い出し、苦笑した。
可愛い。好き。そんな気持ちは、それこそずっと昔からあった。だけど、その頃と今の気持ちは少し違う。舞美は早貴の首の下に腕を差し込み、そのまま抱き締める体勢を取りつつ考える。
正確には、その気持ちに恐怖が混じった。
可愛い。好き。だからこそ、他の誰かが彼女をさらってしまうのではないか。もう自分たちはアイドルではない。つまり、自由に恋愛してもいいということ。
ならば、こんなに可愛いこの子のことを狙う不届き者が出ないとも考えられない。舞美は、それが不安でたまらなかった。それだけではない。
年齢も舞美の頭を悩ませた。自分は25歳で早貴は23歳。これから先60年はある人生の中で、彼女は自分といて幸せになれるだろうか。自分は彼女を、他の誰より幸せにしてあげられるだろうか。
今はよくても、いずれ普通に結婚し子供が欲しくなったりするのではないか。そんな普通の幸せを与えられる人の方が、彼女にはふさわしいのではないか。
………手を離す時が来るならば、それは今ではないか。
その考えは身を切るよりも辛くて、でも避けては通れない話だと気付いていた。
分かっている。分かっている。でも嫌だ。他の誰かにこの温もりを渡すなんて考えられない。手放すことなんて出来ない。
大きな瞳も、セクシーな唇も、形のいい耳も。おいしい料理も、熱っぽく自分を見つめる視線も、甘くて可愛らしい声も。全て自分だけのものにしたい。自分にしか見せないでほしい。
同棲を始めても、恐怖は拭えなかった。少しでも帰りの時間が遅くなると、自分の知らない男に言い寄られている姿が脳裏によぎった。
妄想の中の早貴は軽薄そうな男の口車にまんまと乗せられ、そのまま舞美の手の届かないところまで連れ去られてしまう。
いつしか思った。見知らぬ誰かに奪われるくらいなら、いっそのこと早貴を縛ろう。…でも痛みや恐怖は与えたくない。早貴を奪われるのと同じくらい、早貴に嫌われることもまた恐ろしかった。
だとしたら。舞美は自分でも驚くほど冷静に思案する。
……快感で縛ろう。自分の存在を彼女の身体に刻み付けて、自分以外じゃ満足出来ない身体にしてしまおう。幸い、テクニックなら自信はあった。
そうして、毎日のように早貴を愛した。
当初の予想に反して、彼女はほとんど嫌がらなかった。しんどい、とか疲れた、という言葉を、彼女はほとんど発しなかったのだ。それは舞美にとって好都合で。
一度だけ肩を押されたことはあったが、純粋な力で負けるわけがない。尚も抵抗しようとする腕を押さえつけたまま、舞美は無理やり行為を続けた。
涙を流して失神した早貴を見て、感動で心が打ち震えた。支配欲と征服欲がこれ以上ないほど満たされたのを感じた。気絶した彼女を、心の底から綺麗だと思った。自分でも自分が恐ろしかったが、もう止まれなかった。
このまま進み続けたとして。この暴走列車は、いずれどこかにぶつかって止まるのだろうか。それとも、行くところまで行き、その先の崖から落ちてしまうのか。
どっちでもいい。舞美は目を閉じながら思った。早貴と一緒ならば、どっちでもいい。早貴が傍にいてくれるだけで、自分は幸せなのだから。
雨はまだ、止みそうになかった。
終わり
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「ただいま」
帰ってきた。早貴だ。嬉しくて、舞美は玄関まですぐ迎えに行った。
「おかえり。降られなかった?」
「ただいまー。なんとか大丈夫だったよ。リーダーの方が早かったんだね」
グループが解散して、もう4ヶ月以上経っていた。初めこそ新しい呼び方を考えていた早貴だったが、その内に考えることをやめてしまった。やはり自分には、“リーダー”という呼び方が最もしっくり来ることに気付いたのだ。
「うん。撮影、予定よりスムーズに終わったんだ」
「そっか。………あ、待っ…ん、んぅ…」
何か言おうとした早貴を制し、やや強引に抱き寄せて口付ける舞美。
解散後、舞美と早貴はすぐに同棲を始めた。そして一緒に住む上で、いくつかのルールも決めた。その一つがおかえりのキスだ。
舞美からのキスはいつも長くて、その上濃厚で。今日もまた、歯列をなぞられ、舌を吸われ、吐息さえ奪われるような熱い口付けを感じつつ、早貴の腰と後頭部に回している舞美の手が不穏な動きを見せることに期待と興奮を感じてしまう。
「っ…はぁ、待ってって言ったのに」
「ごめん…何言おうとしてたの?」
「唇ちょっと乾燥してたから。リップクリーム塗りたかったの」
「そうだったんだ。でも大丈夫だったよ?それに私は気にしないし」
「リーダーが気にしなくても早貴は気になるの!」
あはは。なんて笑いながら、まるで当たり前のことのように早貴をお姫様抱っこする舞美。
ご飯食べて来たんだよね?という舞美の問いに、うん。と早貴が答えると、じゃあ大丈夫だ。とニコニコしながら寝室に直行した。
一体何が大丈夫なのかは早貴には皆目検討もつかなかったが、舞美が大丈夫と言うなら大丈夫なのだろう。ベッドにゆっくりと寝かせられ、もはや興奮を隠そうともしない舞美が首筋に顔を埋める。
そのまま熱に溺れそうになったところで、早貴ははたと気が付いた。
「ぁ……待って、ちょっと待って」
「なに?」
珍しく、少し不機嫌そうな舞美。
「早貴まだお風呂入ってないっ」
「いいよ?」
「よくないよ、今日稽古で汗かいたの!」
「別に気にしないって。なっきぃいい匂いだし」
「でも」
「いいから。……それより、もう我慢できない」
一瞬怯んだ隙をついて、早貴の両手を頭上でまとめあげ片手で押さえつける舞美。慌てて抵抗する早貴だが、こうなってはもう遅い。
同棲を始めてから、二人は毎日のように身体を重ねていた。よく飽きないな、と早貴が自分でも思うほど、舞美は早貴を求め、早貴もまた舞美を求める日々が続いていた。
それはまるで、今までのハードなスケジュールの中で失われていた時間を取り戻そうとしているかのようだった。
激しい夜の後、ピンピンしている舞美と対照的にぐったりしている早貴など、もはや日常茶飯事の光景で。
徐々に仕事が入り始め、グループ時代を思い出させる忙しさが戻って来た頃、早貴はさすがにまずいと思い
一度行為をしようとする舞美の骨ばった肩を押しやろうとしたことがあった。
が、舞美の「多少は抵抗された方が燃えるね」という言葉とそれまでよりずっと強い力の前にあえなく撃沈。
…その後のことは、もう思い出したくもない。
自分は本当におかしくなってしまうのではという恐怖と、自分をどうにかしようとする舞美への愛おしさ、そしてどうにかなってしまいたいというほんの少しの期待が混ざり合って、もう何がなんだか分からなくなってしまった。
気付いた時には翌日のお昼過ぎで、身体中が痛み、声の出しすぎか喉は掠れていて、お腹や腰には舞美の付けた独占欲の痕が無数に残っていた。
以降、早貴は出来るだけ行為を嫌がらないよう努めた。あんな目に遭うのはこりごりだし、次こそ本当に仕事に影響する。
何より、泣きそうな顔で自分を求めてくる舞美を拒絶することなど出来ない。
ということで、軽くイラつかせてしまった今、早貴に抵抗するという選択肢は消えてしまった。
いや、初めからそんな選択肢はなかったのかもしれない。どちらにしろ、もう自分は彼女の欲望を受け止めるしかない。
観念した早貴はゆっくり目を閉じ、舞美の暴力的とも言える愛に身を任せた。
--------------
降りしきる雨の音で目が覚め、舞美は傍らの早貴に目をやった。
台風の影響で秋雨前線が刺激されたらしく、ここ最近は雨続きだ。遠いが、雷も鳴っている。
この雨音で早貴が起きないか心配になったが、当の早貴は身動ぎ一つせずよく寝ている。まぁあれだけすればよく眠れもするか……とそこまで考えてから、以前真っ赤な顔をした早貴に「激しすぎだから!」と怒られたことを思い出し、苦笑した。
可愛い。好き。そんな気持ちは、それこそずっと昔からあった。だけど、その頃と今の気持ちは少し違う。舞美は早貴の首の下に腕を差し込み、そのまま抱き締める体勢を取りつつ考える。
正確には、その気持ちに恐怖が混じった。
可愛い。好き。だからこそ、他の誰かが彼女をさらってしまうのではないか。もう自分たちはアイドルではない。つまり、自由に恋愛してもいいということ。
ならば、こんなに可愛いこの子のことを狙う不届き者が出ないとも考えられない。舞美は、それが不安でたまらなかった。それだけではない。
年齢も舞美の頭を悩ませた。自分は25歳で早貴は23歳。これから先60年はある人生の中で、彼女は自分といて幸せになれるだろうか。自分は彼女を、他の誰より幸せにしてあげられるだろうか。
今はよくても、いずれ普通に結婚し子供が欲しくなったりするのではないか。そんな普通の幸せを与えられる人の方が、彼女にはふさわしいのではないか。
………手を離す時が来るならば、それは今ではないか。
その考えは身を切るよりも辛くて、でも避けては通れない話だと気付いていた。
分かっている。分かっている。でも嫌だ。他の誰かにこの温もりを渡すなんて考えられない。手放すことなんて出来ない。
大きな瞳も、セクシーな唇も、形のいい耳も。おいしい料理も、熱っぽく自分を見つめる視線も、甘くて可愛らしい声も。全て自分だけのものにしたい。自分にしか見せないでほしい。
同棲を始めても、恐怖は拭えなかった。少しでも帰りの時間が遅くなると、自分の知らない男に言い寄られている姿が脳裏によぎった。
妄想の中の早貴は軽薄そうな男の口車にまんまと乗せられ、そのまま舞美の手の届かないところまで連れ去られてしまう。
いつしか思った。見知らぬ誰かに奪われるくらいなら、いっそのこと早貴を縛ろう。…でも痛みや恐怖は与えたくない。早貴を奪われるのと同じくらい、早貴に嫌われることもまた恐ろしかった。
だとしたら。舞美は自分でも驚くほど冷静に思案する。
……快感で縛ろう。自分の存在を彼女の身体に刻み付けて、自分以外じゃ満足出来ない身体にしてしまおう。幸い、テクニックなら自信はあった。
そうして、毎日のように早貴を愛した。
当初の予想に反して、彼女はほとんど嫌がらなかった。しんどい、とか疲れた、という言葉を、彼女はほとんど発しなかったのだ。それは舞美にとって好都合で。
一度だけ肩を押されたことはあったが、純粋な力で負けるわけがない。尚も抵抗しようとする腕を押さえつけたまま、舞美は無理やり行為を続けた。
涙を流して失神した早貴を見て、感動で心が打ち震えた。支配欲と征服欲がこれ以上ないほど満たされたのを感じた。気絶した彼女を、心の底から綺麗だと思った。自分でも自分が恐ろしかったが、もう止まれなかった。
このまま進み続けたとして。この暴走列車は、いずれどこかにぶつかって止まるのだろうか。それとも、行くところまで行き、その先の崖から落ちてしまうのか。
どっちでもいい。舞美は目を閉じながら思った。早貴と一緒ならば、どっちでもいい。早貴が傍にいてくれるだけで、自分は幸せなのだから。
雨はまだ、止みそうになかった。
終わり

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