真如苑の創成期とも言える1936年、開祖・伊藤真乗は、縁あって京都にある醍醐寺の門を叩きます。醍醐寺は9世紀に創建された古刹で、千数百年にわたり真言密教の伝統を伝えている真言宗醍醐派の総本山です。
1939年には、醍醐寺を開山した聖宝理源大師が伝承したとされる当山派の恵印灌頂を修め、1943年には、弘法大師・空海が唐に渡り恵果阿闍梨から相承したとされる三宝院流の伝法灌頂を修めて、阿闍梨位に就きました。醍醐寺に伝わる恵印法流と三宝院流という二つの法流を相承したのです。
密教では、儀式や作法の形だけを伝えるだけでなく、師資相承といって、奥義を師から弟子へと直接伝えることを重んじます。釈尊の時代から、絶えることなく伝えられてきたその伝統は、川の流れや血流にたとえて法流、あるいは血脈といわれます。
真乗は、修験道の流れを汲む恵印法流を在家法流、醍醐寺三宝院に伝わる三宝院流を出家法流として位置づけ、やがて、出家を基盤とした在家仏教としてそれらを束ね、涅槃経の精神と密教の精神的な力とを込めた、独自の法流・真如三昧耶流(しんにょさんまやりゅう)を創始します。醍醐寺には、1997年、この法流を顕彰する真如三昧耶堂が建立されました。
伝統の法流