小説家さんの情報をまとめるwikiです。



 こちら一珠蓮ひとせ先生による、作家さんのPNをタイトルにしたSSです。


 美しいものが美しいように、人の感性の数だけ美学は存在する。かつて古代の人々が、死を、星を信仰していたように、私もまた、己の美学を信じている。数々の可能性を秘めている人間の中の宇宙は、今日もまた、未知に手を伸ばし続けることだろう。

『空乃 千尋』


 広く澄んだ青空を、千の渡り鳥は羽ばたきます。それは朝露の一滴。砂漠の中のオアシスの煌めき。流星のような瞬く間の光。美しいものとは、光り輝く一瞬の熱。胸に響く、あの夏の夜の花火のような。人間の人生みたいに。

 その鳥は、過ぎ去りし時にゆらゆらと眠る森のように、歌った。誰もいない空、地上の上澄みの中だから、息ができる。その鳥は、やがて地上に降りる。また羽ばたく日を信じて。

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