姉上が死んだ後だ、俺が偶然東方から来た学者に会ったのは。彼が言うには、最初の症状は姉上の持病だが、最後にあった時の症状は治療の失敗によるものだということだった。そもそも、人間の身体をロクに知らないで診断や治療ができるのがおかしい。例えばこれが料理だったら、材料や料理名を知らずに調理方法がわかるか?
『塔の悪魔と異邦のメイド 〜冷徹貴族の医療革命〜』より。【引用元】
小説家になろう
太陽と思えたそれは、人のかたちをとった、巨大なモニュメント。
傾国の美女とも絶世の美男子とも思える容貌は白に近い金色に輝き、背丈を超える猛禽の翼は焔のように揺れ、およそ生命の気配を感じさせない、無機質な、それでいて崇高な、人が触れることの叶わぬ幻影であった。
「我が名はラツィエル。神の秘密を預かる者。汝が受けるに足る器であるならば、その一片を授け人の子の助けとしよう。真瀬沙羅よ、何を求める。」
『沙羅さん、それは魔術で解決しましょう』より。【引用元】
小説家になろうステキブンゲイ
あの人が私のもとを去ってから
飢えて飢えて仕方がありませぬ
何を口にしても味はせず
腹もくちくならぬのです
くいたしくいたしと思いしに
喉を通るのが気味が悪うてなりませぬ
『ゆめわたり』より。【引用元】
小説家になろう
ああ鈍色の曇天を頂き
ひとりいのりぬる男よ 誰そ
肉のそげた頬は個を失い
眼だけが凛然と耀いている
がらさみちみちたまふまりや
がらさみちみちたまふまりや
唱う唇に確信を嚙み
その頭に灰かぶり
泥染入る靴脱ぎて
ひとりいのりぬる男よ 誰そ
『再臨』より。【引用元】
小説家になろうステキブンゲイ|
確かに、僕の死を自分のために祝福する人ならいるかもしれない。
でも僕はまだ、僕の死を僕のために祝福してくれそうな人には出会えていないのだよ。
『ねむりねずみの詩』より。【引用元】
小説家になろう