夏本紀第二
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はじめに 
夏王朝は舜の次、禹が建てた王朝です。
未だに王朝の存在が不確かで、学校の教科書では「殷が中国最初の王朝」と書かれています。（中国河南省 二頭里遺跡が夏時代の遺跡であるという説もありますが、確定はしていません。）
※暴君として有名な桀王ですが、竹書紀念に詳しく淫乱の様子が書かれているそうです。
【参考文献】
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書籍名 二大漢籍国字解: 史記本紀. 第1巻
寄与者 早稲田大学出版部
出版社 早稲田大学出版部, 1928
��
書籍名 史記, 第 1 巻
寄与者 遷(145-86B.C.)·司馬, 哲三·塚本
出版社 有朋堂書店, 1920
未だに王朝の存在が不確かで、学校の教科書では「殷が中国最初の王朝」と書かれています。（中国河南省 二頭里遺跡が夏時代の遺跡であるという説もありますが、確定はしていません。）
※暴君として有名な桀王ですが、竹書紀念に詳しく淫乱の様子が書かれているそうです。
【参考文献】
��
書籍名 二大漢籍国字解: 史記本紀. 第1巻
寄与者 早稲田大学出版部
出版社 早稲田大学出版部, 1928
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書籍名 史記, 第 1 巻
寄与者 遷(145-86B.C.)·司馬, 哲三·塚本
出版社 有朋堂書店, 1920
禹
１
夏禹，名曰文命。禹之父曰鯀，鯀之父曰帝顓頊，顓頊之父曰昌意，昌意之父曰黃帝。禹者，黃帝之玄孫而帝顓頊之孫也。禹之曾大父昌意及父鯀皆不得在帝位，為人臣。
當帝堯之時，鴻水滔天，浩浩懷山襄陵，下民其憂。堯求能治水者，群臣四嶽皆曰鯀可。堯曰：「鯀為人負命毀族，不可。」四嶽曰：「等之未有賢於鯀者，願帝試之。」於是堯聽四嶽，用鯀治水。九年而水不息，功用不成。於是帝堯乃求人，更得舜。舜登用，攝行天子之政，巡狩。行視鯀之治水無狀，乃殛鯀於羽山以死。天下皆以舜之誅為是。於是舜舉鯀子禹，而使續鯀之業。
堯崩，帝舜問四嶽曰：「有能成美堯之事者使居官？」皆曰：「伯禹為司空，可成美堯之功。」舜曰：「嗟，然！」命禹：「女平水土，維是勉之。」禹拜稽首，讓於契、后稷、皋陶。舜曰：「女其往視爾事矣。」
禹為人敏給克勤；其��不違，其仁可親，其言可信；聲為律，身為度，稱以出；亹亹穆穆，為綱為紀。
禹乃遂與益、后稷奉帝命，命諸侯百姓興人徒以傅土，行山表木，定高山大川。禹傷先人父鯀功之不成受誅，乃勞身焦思，居外十三年，過家門不敢入。薄衣食，致孝于鬼神。卑宮室，致費於溝淢。陸行乘車，水行乘船，泥行乘橇，山行乘檋。左準繩，右規矩，載四時，以開九州，通九道，陂九澤，度九山。令益予眾庶稻，可種卑溼。命后稷予眾庶難得之食。食少，調有餘相給，以均諸侯。禹乃行相地宜所有以貢，及山川之便利。
夏禹は文命と曰ひ、禹の父を鯀と曰ひ、鯀の父を帝顓頊と曰ひ、顓頊の父を昌意と曰ひ、昌意の父を黄帝と曰ふ。禹は、黄帝の玄孫にして、帝顓頊の孫なり。禹の曽大父昌意、及び父鯀、皆帝位に在るを得ずして、人臣と爲る。帝堯の時に當り、鴻水天に滔り能く水を治る者を求む。群臣四嶽、皆曰く、「鯀可なり。」と。堯曰く、「鯀の人と爲り、命に負き、命に族を毀る。不可なり。」と。四嶽曰く、「之を等するに未だ鯀より賢なる者有らず。願はくは帝之を試みよ。」と。是に於いて「堯四嶽に聽し、鯀を用ひて水を治めしむ。九年水息まず、功陽成らず。是に於いて帝嶷乃ち人を求む。更に舜を得たり。舜登用せられ、攝行す。天子の政を巡狩し、行く行く鯀の水を治むる状無きを視たり。乃ち鯀を羽山に殛して、以て死なしむ。天下皆舜の誅を以て是と爲す。是に於いて舜鯀の子禹を擧げて、鯀の業を績がしむ。堯崩じぬ。帝舜四嶽に問ひて曰く、「能く堯の事を成美する者有れば、官に居らしめん。」と。皆曰く、「伯禹を司空と爲さば、堯の功を成美すべし。」と。舜曰く、「ああ、然り。禹に命ぜん。汝水土を平ぐ。維れ是れ之を勉めよ。」と。禹拜稽首して、契・后稷・皋陶に讓る。舜曰く、「女其れ往きて爾の事を視よ。」と。禹人と爲り、敏給にして、克く勤む。其の徳は違はず、其の仁は親むべく、其の言は信ずべく、聲は律と爲り、身は度と爲り、稍りて以て出す。亹亹穆穆として、綱と爲り紀と爲る。禹乃ち遂に�困塙＜佑函�帝命を奉け、諸侯百姓に命じ、人徒を興して、以て土を傅をき、山を行り木を表し高山大川を定む。禹先人〔父鯀〕功の成らずして誅を受けしを傷み、乃ち身を勞し思を焦し、外に居ること十三年、家門を過ぐるも敢て入らず。衣食を薄くして孝を鬼神に致し、宮室を卑しくして費を溝淢に致す。陸行には車に乗り、水行には船に乗り、泥行には橇に乘り、山行には檋に乘る。準縄を左にし、規矩を右にし、四時を載せ、以て九州を開き、九道を通じ、九澤を陂し、九山を度す。�困鬚靴峠綾遒飽陲糧�溼に種うべきものを予へしめ、公稷をして衆庶に得難きの食を予へ、食少なきときは餘有るを調べて相給し、以て諸侯に均うす。禹乃ち行く行く地宜の以て貢すべき有る所と山川の便利とを相みる。
夏禹は名を文命と言って、禹の父は鯀と言って、鯀の父を帝顓頊と言って、帝顓頊の父を昌意と言って、昌意の父を黄帝と言った。禹は黄帝の玄孫で、帝顓頊の孫だった。禹の曽祖父昌意と父鯀、皆帝位につくことが出来ず、家臣だった。帝堯のときに、洪水が天下にはびこって、広々と山を包み丘に登り、下々の民は洪水を憂えた。堯は治水出来る者を求めた。家臣四嶽が皆言うには、「鯀が出来るでしょう。」と。堯が言うには、「鯀の性格は、命令に背いて、一族を殺す。登用はできない。」と。四嶽が言うには、「人の能力を等級づけるに、鯀より賢い者はいません。どうか帝よ、鯀を試してみてください。」と。そして堯は、四嶽の言うことを聞き入れて、鯀を登用して治水させた。九年経っても洪水が治まらず、功績はなかった。そうして、帝堯は治水できる人を探し、舜を得た。舜は登用されて、天子の政治を代行し、巡幸し、行って鯀が治水している所を視察し、それから鯀を羽山に押し込めて、死なさせた。天下は皆舜の計画を是とした。それから、舜は鯀の子の禹を挙げて鯀のしていた治水事業を継がさせた。
堯が崩御した。帝舜が四嶽に問うて言うには、「よく堯の事業を成就っできる者がいるなら、官僚にさせろ。」と。皆曰く、「禹どのは、司空に就かせたら、堯の功績を成就できるでしょう。」と。舜は「ああ、わかった。」と。禹に「お前は水土を平らげて、がんばって仕事に努めなさい。」と命令した。禹は丁寧に拝礼して、契・后稷・皐陶に譲って辞退した。舜が言うには、「お前は行って、お前の仕事を全力でせよ。」と。禹の性格はすばしっこくて勤勉。その徳は道を踏み外すことなく、その仁は親しみやすく、その言うことは信頼でき、その声は音律にかない、行動は法律にかなった。総じて行動が模範的で、人の綱紀となった。禹はとうとう�此�后稷と、帝の命令を奉じて、諸侯百官百姓に命じて、人員を集めて、土地を分け与え、山を巡り、木を切り、高山大河の基準を定めた。禹は先人の父鯀の功績が挙がらずに殺されたのを悲しみ、身を労して一生懸命に働き、外に出てから十三年。家の門の前を過ぎても絶対に入らず、衣食を節約し、鬼神につかえて身を清潔にし、宮室を質素にし、代わりにその浮いた費用を田んぼの溝づくりに使った。陸を行くには車に乗り、川を行くには船に乗り、湿地を行くにはそりに乗り、山を行くにはかんじきを履いた。測量の縄を左手に持ち、定規やさしがねを右手に持って、行くときは季節がいい感じの時に行き、そうして九州を開拓し、九つの道を通し、九つの沢を治水し、九つの山を測量した。�困暴醋韻飽陲如⊆消呂某△┐蕕譴襪發里鰺燭┐気察�后稷に命じて、庶民に得難い食料を与えさせた。食料が少なければ余りあるところを調整して、少ないところに分け、そうして諸侯の事情を等しくした。禹は巡行して、地方の特産品、および山川の様子を見た。
當帝堯之時，鴻水滔天，浩浩懷山襄陵，下民其憂。堯求能治水者，群臣四嶽皆曰鯀可。堯曰：「鯀為人負命毀族，不可。」四嶽曰：「等之未有賢於鯀者，願帝試之。」於是堯聽四嶽，用鯀治水。九年而水不息，功用不成。於是帝堯乃求人，更得舜。舜登用，攝行天子之政，巡狩。行視鯀之治水無狀，乃殛鯀於羽山以死。天下皆以舜之誅為是。於是舜舉鯀子禹，而使續鯀之業。
堯崩，帝舜問四嶽曰：「有能成美堯之事者使居官？」皆曰：「伯禹為司空，可成美堯之功。」舜曰：「嗟，然！」命禹：「女平水土，維是勉之。」禹拜稽首，讓於契、后稷、皋陶。舜曰：「女其往視爾事矣。」
禹為人敏給克勤；其��不違，其仁可親，其言可信；聲為律，身為度，稱以出；亹亹穆穆，為綱為紀。
禹乃遂與益、后稷奉帝命，命諸侯百姓興人徒以傅土，行山表木，定高山大川。禹傷先人父鯀功之不成受誅，乃勞身焦思，居外十三年，過家門不敢入。薄衣食，致孝于鬼神。卑宮室，致費於溝淢。陸行乘車，水行乘船，泥行乘橇，山行乘檋。左準繩，右規矩，載四時，以開九州，通九道，陂九澤，度九山。令益予眾庶稻，可種卑溼。命后稷予眾庶難得之食。食少，調有餘相給，以均諸侯。禹乃行相地宜所有以貢，及山川之便利。
夏禹は文命と曰ひ、禹の父を鯀と曰ひ、鯀の父を帝顓頊と曰ひ、顓頊の父を昌意と曰ひ、昌意の父を黄帝と曰ふ。禹は、黄帝の玄孫にして、帝顓頊の孫なり。禹の曽大父昌意、及び父鯀、皆帝位に在るを得ずして、人臣と爲る。帝堯の時に當り、鴻水天に滔り能く水を治る者を求む。群臣四嶽、皆曰く、「鯀可なり。」と。堯曰く、「鯀の人と爲り、命に負き、命に族を毀る。不可なり。」と。四嶽曰く、「之を等するに未だ鯀より賢なる者有らず。願はくは帝之を試みよ。」と。是に於いて「堯四嶽に聽し、鯀を用ひて水を治めしむ。九年水息まず、功陽成らず。是に於いて帝嶷乃ち人を求む。更に舜を得たり。舜登用せられ、攝行す。天子の政を巡狩し、行く行く鯀の水を治むる状無きを視たり。乃ち鯀を羽山に殛して、以て死なしむ。天下皆舜の誅を以て是と爲す。是に於いて舜鯀の子禹を擧げて、鯀の業を績がしむ。堯崩じぬ。帝舜四嶽に問ひて曰く、「能く堯の事を成美する者有れば、官に居らしめん。」と。皆曰く、「伯禹を司空と爲さば、堯の功を成美すべし。」と。舜曰く、「ああ、然り。禹に命ぜん。汝水土を平ぐ。維れ是れ之を勉めよ。」と。禹拜稽首して、契・后稷・皋陶に讓る。舜曰く、「女其れ往きて爾の事を視よ。」と。禹人と爲り、敏給にして、克く勤む。其の徳は違はず、其の仁は親むべく、其の言は信ずべく、聲は律と爲り、身は度と爲り、稍りて以て出す。亹亹穆穆として、綱と爲り紀と爲る。禹乃ち遂に�困塙＜佑函�帝命を奉け、諸侯百姓に命じ、人徒を興して、以て土を傅をき、山を行り木を表し高山大川を定む。禹先人〔父鯀〕功の成らずして誅を受けしを傷み、乃ち身を勞し思を焦し、外に居ること十三年、家門を過ぐるも敢て入らず。衣食を薄くして孝を鬼神に致し、宮室を卑しくして費を溝淢に致す。陸行には車に乗り、水行には船に乗り、泥行には橇に乘り、山行には檋に乘る。準縄を左にし、規矩を右にし、四時を載せ、以て九州を開き、九道を通じ、九澤を陂し、九山を度す。�困鬚靴峠綾遒飽陲糧�溼に種うべきものを予へしめ、公稷をして衆庶に得難きの食を予へ、食少なきときは餘有るを調べて相給し、以て諸侯に均うす。禹乃ち行く行く地宜の以て貢すべき有る所と山川の便利とを相みる。
夏禹は名を文命と言って、禹の父は鯀と言って、鯀の父を帝顓頊と言って、帝顓頊の父を昌意と言って、昌意の父を黄帝と言った。禹は黄帝の玄孫で、帝顓頊の孫だった。禹の曽祖父昌意と父鯀、皆帝位につくことが出来ず、家臣だった。帝堯のときに、洪水が天下にはびこって、広々と山を包み丘に登り、下々の民は洪水を憂えた。堯は治水出来る者を求めた。家臣四嶽が皆言うには、「鯀が出来るでしょう。」と。堯が言うには、「鯀の性格は、命令に背いて、一族を殺す。登用はできない。」と。四嶽が言うには、「人の能力を等級づけるに、鯀より賢い者はいません。どうか帝よ、鯀を試してみてください。」と。そして堯は、四嶽の言うことを聞き入れて、鯀を登用して治水させた。九年経っても洪水が治まらず、功績はなかった。そうして、帝堯は治水できる人を探し、舜を得た。舜は登用されて、天子の政治を代行し、巡幸し、行って鯀が治水している所を視察し、それから鯀を羽山に押し込めて、死なさせた。天下は皆舜の計画を是とした。それから、舜は鯀の子の禹を挙げて鯀のしていた治水事業を継がさせた。
堯が崩御した。帝舜が四嶽に問うて言うには、「よく堯の事業を成就っできる者がいるなら、官僚にさせろ。」と。皆曰く、「禹どのは、司空に就かせたら、堯の功績を成就できるでしょう。」と。舜は「ああ、わかった。」と。禹に「お前は水土を平らげて、がんばって仕事に努めなさい。」と命令した。禹は丁寧に拝礼して、契・后稷・皐陶に譲って辞退した。舜が言うには、「お前は行って、お前の仕事を全力でせよ。」と。禹の性格はすばしっこくて勤勉。その徳は道を踏み外すことなく、その仁は親しみやすく、その言うことは信頼でき、その声は音律にかない、行動は法律にかなった。総じて行動が模範的で、人の綱紀となった。禹はとうとう�此�后稷と、帝の命令を奉じて、諸侯百官百姓に命じて、人員を集めて、土地を分け与え、山を巡り、木を切り、高山大河の基準を定めた。禹は先人の父鯀の功績が挙がらずに殺されたのを悲しみ、身を労して一生懸命に働き、外に出てから十三年。家の門の前を過ぎても絶対に入らず、衣食を節約し、鬼神につかえて身を清潔にし、宮室を質素にし、代わりにその浮いた費用を田んぼの溝づくりに使った。陸を行くには車に乗り、川を行くには船に乗り、湿地を行くにはそりに乗り、山を行くにはかんじきを履いた。測量の縄を左手に持ち、定規やさしがねを右手に持って、行くときは季節がいい感じの時に行き、そうして九州を開拓し、九つの道を通し、九つの沢を治水し、九つの山を測量した。�困暴醋韻飽陲如⊆消呂某△┐蕕譴襪發里鰺燭┐気察�后稷に命じて、庶民に得難い食料を与えさせた。食料が少なければ余りあるところを調整して、少ないところに分け、そうして諸侯の事情を等しくした。禹は巡行して、地方の特産品、および山川の様子を見た。
２
地名に関しては下の地図を載せる代わり注釈を省いた。
Yugong Nine Provinces Map,Philg88,20 January 2014
禹行自冀州始。冀州：既載壺口，治梁及岐。既修太原，至于嶽陽。覃懷致功，至於衡漳。其土白壤。賦上上錯，田中中，常、衛既從，大陸既為。鳥夷皮服。夾右碣石，入于海。
濟、河維沇州：九河既道，雷夏既澤，雍、沮會同，桑土既蠶，於是民得下丘居土。其土�酳�，草繇木條。田中下，賦貞，作十有三年乃同。其貢漆絲，其篚織文。浮於濟、漯，通於河。
禹行くに冀州より始む。冀州は既に載す。壺口より治めて梁より峡に及ぶ。既に太原を修め、嶽陽に至る。覃懷より康を致し、衡漳に至る。其土は白くして壌。賊は上の上にして錯れり。田は中の中。常衛既に従ひ、大陸既に爲れりぬ。鳥夷皮服す。碣石を来右して海に入る。濟より河までは維れ沇州なり。九河既に道き、雷夏既に澤となし、雍沮は會同したり。桑土は既に蠶す。是に於いて民丘を下り土に居るを得たり。其土は黒くして墳てり。草は繇り、木は條し。田は中の下。賊は貞し。作ること十有三年にして、乃ち同じ。其の貢は漆と絲なり。其の篚は織文なり。濟漯に浮び、河に通ず。
禹が巡幸の時、冀州から始めた。冀州は都があったのですでに書物に載っていた。壺口山から梁山を治めて、岐山におよんだ。もう太原の平野を治め、太岳山の南までに至った。覃懷地方から土工の成果をいたし、衡水・漳水に至った。そこの土は白くて塊がない。納められる租税は上の上。田は中の中。常水・衞水はもとの流路に従い、大陸沢の洪水はもう収まった。蛮族は服従した。碣石山を右に見ながら黄河を登って海にまず出て、そこから黄河を登って来朝してきた。濟水から黄河の間が沇州だ。黄河に注ぐ九つの川は既に流路に従い、雷夏沢はもう収まり、雍水・沮水は合流していた。桑の生育にいい土で、養蚕をしていた。水が引いたので民衆は丘を降りて住むことが出来た。その土は黒くてふわふわしていた。草は茂り、木も高さが高かった。田は中の下。租税は下の下。耕作すること十三年で、ほかの八州と同じぐらいになった。その貢物は漆と織物。入れる竹籠は織り目がある模様つき。濟水・漯水に船を浮かべて、黄河を通って貢いだ。
Yugong Nine Provinces Map,Philg88,20 January 2014
禹行自冀州始。冀州：既載壺口，治梁及岐。既修太原，至于嶽陽。覃懷致功，至於衡漳。其土白壤。賦上上錯，田中中，常、衛既從，大陸既為。鳥夷皮服。夾右碣石，入于海。
濟、河維沇州：九河既道，雷夏既澤，雍、沮會同，桑土既蠶，於是民得下丘居土。其土�酳�，草繇木條。田中下，賦貞，作十有三年乃同。其貢漆絲，其篚織文。浮於濟、漯，通於河。
禹行くに冀州より始む。冀州は既に載す。壺口より治めて梁より峡に及ぶ。既に太原を修め、嶽陽に至る。覃懷より康を致し、衡漳に至る。其土は白くして壌。賊は上の上にして錯れり。田は中の中。常衛既に従ひ、大陸既に爲れりぬ。鳥夷皮服す。碣石を来右して海に入る。濟より河までは維れ沇州なり。九河既に道き、雷夏既に澤となし、雍沮は會同したり。桑土は既に蠶す。是に於いて民丘を下り土に居るを得たり。其土は黒くして墳てり。草は繇り、木は條し。田は中の下。賊は貞し。作ること十有三年にして、乃ち同じ。其の貢は漆と絲なり。其の篚は織文なり。濟漯に浮び、河に通ず。
禹が巡幸の時、冀州から始めた。冀州は都があったのですでに書物に載っていた。壺口山から梁山を治めて、岐山におよんだ。もう太原の平野を治め、太岳山の南までに至った。覃懷地方から土工の成果をいたし、衡水・漳水に至った。そこの土は白くて塊がない。納められる租税は上の上。田は中の中。常水・衞水はもとの流路に従い、大陸沢の洪水はもう収まった。蛮族は服従した。碣石山を右に見ながら黄河を登って海にまず出て、そこから黄河を登って来朝してきた。濟水から黄河の間が沇州だ。黄河に注ぐ九つの川は既に流路に従い、雷夏沢はもう収まり、雍水・沮水は合流していた。桑の生育にいい土で、養蚕をしていた。水が引いたので民衆は丘を降りて住むことが出来た。その土は黒くてふわふわしていた。草は茂り、木も高さが高かった。田は中の下。租税は下の下。耕作すること十三年で、ほかの八州と同じぐらいになった。その貢物は漆と織物。入れる竹籠は織り目がある模様つき。濟水・漯水に船を浮かべて、黄河を通って貢いだ。
３
海岱維青州：堣夷既略，濰、淄其道。其土白墳，海濱廣潟，厥田斥鹵。田上下，賦中上。厥貢鹽絺，海物維錯，岱畎絲、枲、鉛、松、怪石，萊夷為牧，其篚酓絲。浮於汶，通於濟。
海岱及淮維徐州：淮、沂其治，蒙、羽其藝。大野既都，東原底平。其土赤埴墳，草木漸包。其田上中，賦中中。貢維土五色，羽畎夏狄，嶧陽孤桐，泗濱浮磬，淮夷蠙珠臮魚，其篚玄纖縞。浮于淮、泗，通于河。
海より岱まで維れ青州なり。堣夷既に略し、濰、淄既に道きぬ。其土は白くして、墳てり。海濱に廣き潟あり。厥の田は斥。田は上の下なり。賊は中の上なり。厥の貢は鹽・絺。海物維れ錯れり。岱畎の絲・枲・鉛・松・怪石。萊夷は牧たり。其の篚は酓絲なり。汶に浮び濟に通ず。海・岱より淮に及ぶまで維れ徐州なり。淮・沂其れ治まりぬ。蒙・羽其れ藝う。大野既に都し、東原平を厎す。其の土は赤くして埴墳し、艸木は漸包す。其の田は上の中。賊は中の中。貢は維れ土の五色、羽畎の夏狄・嶧陽の孤桐・泗濱の浮磬・淮夷の蠙珠と魚とあり。其の篚玄纖縞。淮泗に浮び、河に通ず。
海から岱山までの間は青州だ。その東方に住む蛮族は治まり、濰水・淄水は流路に従って流れた。その土は白くてふわふわ。海辺に広い干潟があった。その田は塩分を含んでいた。田は下の上。租税は中の上だ。その貢物は藍・葛の布。海産物も混じっていた。岱山・畎山の布、麻、鉛、、松、珍しい石。來夷は牧畜をしていた。貢物の籠は糸が入っていた。汶に船を浮かべて、濟水を通って貢いだ。海・岱山から淮水におよぶまでは徐州だ。淮水・沂水は治まった。蒙山と羽山は開墾耕作していた。大野沢の洪水はおさまって、東原も平らかになった。其の土は赤くしてねばねば。草木はよく育った。その田は上の中。租税は中の中。貢物は儀式に使う五色の土。羽山の谷の雉・嶧山の南にある桐・泗水の真珠と魚。その竹籠は黒い絹が盛られた。淮水・泗水に船を浮かべて、黄河から貢いだ。
海岱及淮維徐州：淮、沂其治，蒙、羽其藝。大野既都，東原底平。其土赤埴墳，草木漸包。其田上中，賦中中。貢維土五色，羽畎夏狄，嶧陽孤桐，泗濱浮磬，淮夷蠙珠臮魚，其篚玄纖縞。浮于淮、泗，通于河。
海より岱まで維れ青州なり。堣夷既に略し、濰、淄既に道きぬ。其土は白くして、墳てり。海濱に廣き潟あり。厥の田は斥。田は上の下なり。賊は中の上なり。厥の貢は鹽・絺。海物維れ錯れり。岱畎の絲・枲・鉛・松・怪石。萊夷は牧たり。其の篚は酓絲なり。汶に浮び濟に通ず。海・岱より淮に及ぶまで維れ徐州なり。淮・沂其れ治まりぬ。蒙・羽其れ藝う。大野既に都し、東原平を厎す。其の土は赤くして埴墳し、艸木は漸包す。其の田は上の中。賊は中の中。貢は維れ土の五色、羽畎の夏狄・嶧陽の孤桐・泗濱の浮磬・淮夷の蠙珠と魚とあり。其の篚玄纖縞。淮泗に浮び、河に通ず。
海から岱山までの間は青州だ。その東方に住む蛮族は治まり、濰水・淄水は流路に従って流れた。その土は白くてふわふわ。海辺に広い干潟があった。その田は塩分を含んでいた。田は下の上。租税は中の上だ。その貢物は藍・葛の布。海産物も混じっていた。岱山・畎山の布、麻、鉛、、松、珍しい石。來夷は牧畜をしていた。貢物の籠は糸が入っていた。汶に船を浮かべて、濟水を通って貢いだ。海・岱山から淮水におよぶまでは徐州だ。淮水・沂水は治まった。蒙山と羽山は開墾耕作していた。大野沢の洪水はおさまって、東原も平らかになった。其の土は赤くしてねばねば。草木はよく育った。その田は上の中。租税は中の中。貢物は儀式に使う五色の土。羽山の谷の雉・嶧山の南にある桐・泗水の真珠と魚。その竹籠は黒い絹が盛られた。淮水・泗水に船を浮かべて、黄河から貢いだ。
４
淮海維揚州：彭蠡既都，陽鳥所居。三江既入，震澤致定。竹箭既布。其草惟夭，其木惟喬，其土涂泥。田下下，賦下上上雜。貢金三品，瑤、琨、竹箭，齒、革、羽、旄，島夷卉服，其篚織貝，其包橘、柚錫貢。均江海，通淮、泗。
荊及衡陽維荊州：江、漢朝宗于海。九江甚中，沱、涔已道，云土、夢為治。其土涂泥。田下中，賦上下。貢羽、旄、齒、革，金三品，杶、榦、栝、柏，礪、砥、砮、丹，維箘簬、楛，三國致貢其名，包匭菁茅，其篚玄纁璣組，九江入賜大龜。浮于江、沱、涔、（于）漢，踰于雒，至于南河。
淮より海まで維れ揚州なり。彭蠡既に都しぬ。陽鳥の居る所、三江既に入り、震澤定ると致す。竹箭既に布き、其の艸は惟れ夭れ、其の木は惟れ喬し。其の土は塗と泥なり。田は下の下。賊は下の上にして上雑れり。貢は金三品。瑤琨竹箭・齒革羽旄・島夷は卉服す。其の篚は織貝。其の包は橘柚。錫りて貢す。江海に均ひて淮泗に通ず。荊より衡陽に及ぶまで維れ荊州なり。江漢海に朝宗す。九江甚だ中なり。沱涔已に道く。雲は土みえ夢は治を爲す。其の土は塗泥なり。田は下の中。賊は上の下。貢は羽旄齒革。金三品、杶栝柏・礪砥砮丹。維れ箘簬楛。三國其の名を致貢す。包匭には青芽あり。其の篚は玄纁璣組。九江大龜を入賜す。江・沱涔より漢に浮び雒に踰え、南河に至る。
淮水から海の間は揚州だ。彭蠡沢はもう元通りになった。渡り鳥のいる所で、三つの川は海に注ぎ、震沢の洪水も治まって、竹が一面に生え、草は若くて長く、木は高く、土はドロドロで、田は下の下、租税は下の上。中の下もまじった。貢物は金銀銅、様々な木材、様々な動物の革や羽毛。蛮族は服従した。竹籠には錦織の布が盛られ貢納された。その包みものには橘と柚子。帝の命令があった時だけ貢納した。揚子江や海に沿って、淮水・泗水を通って貢いだ。荊山から衡山の南までに及ぶ間が荊州だ。揚子江と漢水が海に注いだ。九つの川がちょうどよく流れ、沱水・涔水はもう流路に導かれ、雲沢は水が引き土が表れ、夢沢の氾濫も治まった。その土はドロドロ、田は下の中、租税は上の下。貢物は動物の羽毛や革、金銀銅、様々な木材、砥石などの石材や朱色の砂。竹や木は三国がそれぞれ名産の物を納めた。茅を箱に束ねて入れた。その箱には黒く染めた絹や紐の玉などが入っていた。九江で捕まえた大きな亀も献上した。揚子江・沱水・涔水・漢水に船を浮かべて、雒水をこえて南河に至り貢納した。
荊及衡陽維荊州：江、漢朝宗于海。九江甚中，沱、涔已道，云土、夢為治。其土涂泥。田下中，賦上下。貢羽、旄、齒、革，金三品，杶、榦、栝、柏，礪、砥、砮、丹，維箘簬、楛，三國致貢其名，包匭菁茅，其篚玄纁璣組，九江入賜大龜。浮于江、沱、涔、（于）漢，踰于雒，至于南河。
淮より海まで維れ揚州なり。彭蠡既に都しぬ。陽鳥の居る所、三江既に入り、震澤定ると致す。竹箭既に布き、其の艸は惟れ夭れ、其の木は惟れ喬し。其の土は塗と泥なり。田は下の下。賊は下の上にして上雑れり。貢は金三品。瑤琨竹箭・齒革羽旄・島夷は卉服す。其の篚は織貝。其の包は橘柚。錫りて貢す。江海に均ひて淮泗に通ず。荊より衡陽に及ぶまで維れ荊州なり。江漢海に朝宗す。九江甚だ中なり。沱涔已に道く。雲は土みえ夢は治を爲す。其の土は塗泥なり。田は下の中。賊は上の下。貢は羽旄齒革。金三品、杶栝柏・礪砥砮丹。維れ箘簬楛。三國其の名を致貢す。包匭には青芽あり。其の篚は玄纁璣組。九江大龜を入賜す。江・沱涔より漢に浮び雒に踰え、南河に至る。
淮水から海の間は揚州だ。彭蠡沢はもう元通りになった。渡り鳥のいる所で、三つの川は海に注ぎ、震沢の洪水も治まって、竹が一面に生え、草は若くて長く、木は高く、土はドロドロで、田は下の下、租税は下の上。中の下もまじった。貢物は金銀銅、様々な木材、様々な動物の革や羽毛。蛮族は服従した。竹籠には錦織の布が盛られ貢納された。その包みものには橘と柚子。帝の命令があった時だけ貢納した。揚子江や海に沿って、淮水・泗水を通って貢いだ。荊山から衡山の南までに及ぶ間が荊州だ。揚子江と漢水が海に注いだ。九つの川がちょうどよく流れ、沱水・涔水はもう流路に導かれ、雲沢は水が引き土が表れ、夢沢の氾濫も治まった。その土はドロドロ、田は下の中、租税は上の下。貢物は動物の羽毛や革、金銀銅、様々な木材、砥石などの石材や朱色の砂。竹や木は三国がそれぞれ名産の物を納めた。茅を箱に束ねて入れた。その箱には黒く染めた絹や紐の玉などが入っていた。九江で捕まえた大きな亀も献上した。揚子江・沱水・涔水・漢水に船を浮かべて、雒水をこえて南河に至り貢納した。
５
荊河惟豫州：伊、雒、瀍、澗既入于河，滎播既都，道荷澤，被明都。其土壤，下土墳壚。田中上，賦雜上中。貢漆、絲、絺、紵，其篚纖絮，錫貢磬錯。浮於雒，達於河。
華陽�鄂絨堽遜�：汶、嶓既藝，沱、涔既道，蔡、蒙旅平，和夷厎績。其土青驪。田下上，賦下中三錯。貢璆、鐵、銀、鏤、砮、磬，熊、羆、狐、貍、織皮。西傾因桓是來，浮于潛，踰于沔，入于渭，亂于河。
�鄂綫床楼夭興�：弱水既西，�疼ま�汭。漆、沮既從，灃水所同。荊、岐已旅，終南、敦物至于鳥鼠。原隰厎績，至于都野。三危既度，三苗大序。其土黃壤。田上上，賦中下。貢璆、琳、瑯玕。浮于積石，至于龍門西河，會于渭汭。織皮昆侖、析支、渠搜，西戎即序。
荊より河まで惟れ豫州なり。伊・雒・瀍・澗既に河に入りて、榮播既に都す。荷澤を道きて明都に被す。土は壤げり。下土は墳壚らし。田は中の下。賊は雑りて上の中。貢は漆・絲・絺・紵。其の篚は纖絮、錫はりて磬錯を貢す。雒に浮び河に達す。
華陽より黒水まで惟れ梁州なり。汶嶓は既に藝し、沱涔は既に道きぬ。蔡蒙は旅平す。和夷績を厎す。其の土は�懶襪掘Ｅ弔浪爾両紂Ｂ韻浪爾涼罎砲靴道虻�す。貢は璆・鐵・銀・鏤・砮・磬・熊・羆・狐・貍・織皮。西傾より桓に因り是れ来る。潜に浮び、沔を踰え、渭に入り、河を亂る。
黒水より西河まで惟れ雍州なり。弱水既に西に、�瓩�渭汭に屬び、漆・沮は既に從ひ、灃水同する所なり。荊岐は已に旅し、終南敦物は、鳥鼠に至る。原隰より績を厎す。都野に至る。三危既に度し。三苗大いに序づ。其の土は黄くして壌ぐり、田は上の上。賊は中の下。貢は璆琳・瑯玕。積石に浮び、龍門・西河に至り、渭汭に會す。織皮あり。崑崙・析支捜・渠搜・西戎まで、既に序づ。
崑崙 西の方にある仙人の住む山。 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B4%91%E5%B4%99
析支捜
渠搜
荊山から黄河までが豫州だ。伊水・雒水・瀍水・澗水はもう黄河に注ぎ、榮沢の氾濫はおさまり、荷澤の水を導いて明都沢に入れた。土は塊がない。低地はふかふか。田は中の下。租税はいろいろ混ざって上の中。貢物は漆・糸・綿・布。その籠には細い絹綿。命令があれば矢じりの石を磨く石を貢いだ。雒水に船を浮かべ、黄河に達して貢納した。
崋山の南から黒水までが梁州だ。汶山や嶓山の麓は開墾され、沱水・涔水は元の流路に導かれた。蔡山・蒙山も山が祀られるまでに治まった。桓水周辺の蛮族も治まり、功績をあげた。その土は青黒かった。田は下の上。租税は下の中で下の上、下の下とわけた。貢物は黄金・鉄・銀・剛鉄・矢じりの石・クマの毛皮・ヒグマの毛皮・キツネ・タヌキ・毛皮の織物。西傾山からは桓水をたどって梁州に来た。潜水に船を浮かべ、沔水をこえて渭水に入り、黄河をわたって貢いだ。黒水から黄河の西までが雍州だ。弱水はもう西に流れ、�畤紊�渭水・汭水に入り、漆水・沮水はもう流路に従い、灃水が渭水に合流するところだ。荊山・岐山は祀られ、終南山・敦物山はすでに治めて鳥鼠山に至る。原隰から地を治めて耕作の功績をいたした。次に都野の地に至る。三危山はもう平らいだ。三苗の蛮族は大いに秩序が生まれた。その土は黄色でふかふか。田は上の上。租税は中の下。貢物は宝石・真珠に似た石。積水・石水に船を浮かべ、龍門・西河に至り、渭水・汭水に合流した。毛皮を着る崑崙・析支捜・渠搜・西戎の蛮族まで、もう秩序が生まれた。
華陽�鄂絨堽遜�：汶、嶓既藝，沱、涔既道，蔡、蒙旅平，和夷厎績。其土青驪。田下上，賦下中三錯。貢璆、鐵、銀、鏤、砮、磬，熊、羆、狐、貍、織皮。西傾因桓是來，浮于潛，踰于沔，入于渭，亂于河。
�鄂綫床楼夭興�：弱水既西，�疼ま�汭。漆、沮既從，灃水所同。荊、岐已旅，終南、敦物至于鳥鼠。原隰厎績，至于都野。三危既度，三苗大序。其土黃壤。田上上，賦中下。貢璆、琳、瑯玕。浮于積石，至于龍門西河，會于渭汭。織皮昆侖、析支、渠搜，西戎即序。
荊より河まで惟れ豫州なり。伊・雒・瀍・澗既に河に入りて、榮播既に都す。荷澤を道きて明都に被す。土は壤げり。下土は墳壚らし。田は中の下。賊は雑りて上の中。貢は漆・絲・絺・紵。其の篚は纖絮、錫はりて磬錯を貢す。雒に浮び河に達す。
華陽より黒水まで惟れ梁州なり。汶嶓は既に藝し、沱涔は既に道きぬ。蔡蒙は旅平す。和夷績を厎す。其の土は�懶襪掘Ｅ弔浪爾両紂Ｂ韻浪爾涼罎砲靴道虻�す。貢は璆・鐵・銀・鏤・砮・磬・熊・羆・狐・貍・織皮。西傾より桓に因り是れ来る。潜に浮び、沔を踰え、渭に入り、河を亂る。
黒水より西河まで惟れ雍州なり。弱水既に西に、�瓩�渭汭に屬び、漆・沮は既に從ひ、灃水同する所なり。荊岐は已に旅し、終南敦物は、鳥鼠に至る。原隰より績を厎す。都野に至る。三危既に度し。三苗大いに序づ。其の土は黄くして壌ぐり、田は上の上。賊は中の下。貢は璆琳・瑯玕。積石に浮び、龍門・西河に至り、渭汭に會す。織皮あり。崑崙・析支捜・渠搜・西戎まで、既に序づ。
崑崙 西の方にある仙人の住む山。 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B4%91%E5%B4%99
析支捜
渠搜
荊山から黄河までが豫州だ。伊水・雒水・瀍水・澗水はもう黄河に注ぎ、榮沢の氾濫はおさまり、荷澤の水を導いて明都沢に入れた。土は塊がない。低地はふかふか。田は中の下。租税はいろいろ混ざって上の中。貢物は漆・糸・綿・布。その籠には細い絹綿。命令があれば矢じりの石を磨く石を貢いだ。雒水に船を浮かべ、黄河に達して貢納した。
崋山の南から黒水までが梁州だ。汶山や嶓山の麓は開墾され、沱水・涔水は元の流路に導かれた。蔡山・蒙山も山が祀られるまでに治まった。桓水周辺の蛮族も治まり、功績をあげた。その土は青黒かった。田は下の上。租税は下の中で下の上、下の下とわけた。貢物は黄金・鉄・銀・剛鉄・矢じりの石・クマの毛皮・ヒグマの毛皮・キツネ・タヌキ・毛皮の織物。西傾山からは桓水をたどって梁州に来た。潜水に船を浮かべ、沔水をこえて渭水に入り、黄河をわたって貢いだ。黒水から黄河の西までが雍州だ。弱水はもう西に流れ、�畤紊�渭水・汭水に入り、漆水・沮水はもう流路に従い、灃水が渭水に合流するところだ。荊山・岐山は祀られ、終南山・敦物山はすでに治めて鳥鼠山に至る。原隰から地を治めて耕作の功績をいたした。次に都野の地に至る。三危山はもう平らいだ。三苗の蛮族は大いに秩序が生まれた。その土は黄色でふかふか。田は上の上。租税は中の下。貢物は宝石・真珠に似た石。積水・石水に船を浮かべ、龍門・西河に至り、渭水・汭水に合流した。毛皮を着る崑崙・析支捜・渠搜・西戎の蛮族まで、もう秩序が生まれた。
６
道九山：汧及岐至于荊山，踰于河；壺口、雷首至于太嶽；砥柱、析城至于王屋；太行、常山至于碣石，入于海；西傾、朱圉、鳥鼠至于太華；熊耳、外方、桐柏至于負尾；道嶓冢，至于荊山；內方至于大別；汶山之陽至衡山，過九江，至于敷淺原。
道九川：弱水至於合黎，餘波入于流沙。道�鄂紂せ衾音梓蹇て�于南海。道河積石，至于龍門，南至華陰，東至砥柱，又東至于盟津，東過雒汭，至于大邳，北過降水，至于大陸，北播為九河，同為逆河，入于海。嶓冢道瀁，東流為漢，又東為蒼浪之水，過三澨，入于大別，南入于江，東匯澤為彭蠡，東為北江，入于海。汶山道江，東別為沱，又東至于醴，過九江，至于東陵，東迆北會于匯，東為中江，入于梅。道沇水，東為濟，入于河，泆為滎，東出陶丘北，又東至于荷，又東北會于汶，又東北入于海。道淮自桐柏，東會于泗、沂，東入于海。道渭自鳥鼠同穴，東會于灃，又東北至于�瓠づ豌畆拭⊥�，入于河。道雒自熊耳，東北會于澗、瀍，又東會于伊，東北入于河。
九山を道く。汧より山を岐に及び、荊山に至るぬは、河を踰ゆるなり。壺口・雷首より太嶽に至る。砥柱・析城より王屋に至る。太行・常山より碣石に至り、海に入る。西傾・朱圉・鳥鼠より太華に至る。熊耳・外方・桐柏より負尾に至る。嶓冢を道き、荊山に至る。内方より大別に至る。汶山の陽より衝山に至り、九江を過ぎて、敷淺原に至る。九川を道き、弱水より合黎に至る。餘波は流沙に入る。河を積石より道き、龍門に至る。南して華陰に至り、東して砥柱に至り、又東して盟津に至り、東して雒汭を過ぎ、大邳に至る。北して降水を過ぎ、大陸に至り、北して播れて九河と爲り、同して逆河と爲り、海に入る。嶓冢より瀁を道く。東流して漢と爲り、又東して蒼浪の水と爲る。三澨を過ぎて大別に入り、南して江に入り、東に匯りて澤彭蠡と爲る。東して北江と爲り、海に入る。汶山より江を道く。東して別れて沱と爲り、又東して醴に至り、九江を過ぎ、東陵に至る。東に迆れて北して匯に會す。東して中江と爲りて海に入る。沇水を道く。東して濟と爲り、河に入り、泆れて滎と爲る。東して陶丘の北に出で、又東して荷に至り、又東北して汶に會し、又東北して海に入る。淮えお道くに桐柏よりす。東して泗沂に會し、東して海に入る。渭を道くに鳥鼠同穴よりす。東して灃に會し、又東北して�瓩忙蠅蝓�東して漆・沮を過ぎて、河に入る。雒を道くに、熊耳よりす。東北して澗・瀍に會し、東して伊に會し、東北して河に入る。
敷淺原 今日の陝西省臨潼の北東部。 百度百科 https://baike.baidu.com/item/%E6%95%B7%E6%B5%85%E5...
盟津 黄河の渡し場。洛陽の北にある。 広辞苑無料検索 https://sakura-paris.org/dict/%E5%AD%A6%E7%A0%94%E...
禹は九つの山をおさめ、汧山から岐山に及び、荊山に至るには黄河をこえた。壺口山。雷首山から太獄山に至った。砥柱山・析城山より王屋山に至った。。太行山・常山より碣石山に至り、海に着いた。西傾山・朱圉山・鳥鼠山より太華山に至った。熊耳山・外方山・桐柏山より負尾山に至った。嶓冢山を治め、荊山に至る。内方山より大別山に至る。汶山の南から衝山に至り、九江を過ぎて、敷淺原に至った。
九つの川を過ぎて、敷淺原に至った。九つの川を流路に導き、弱水から導いて合黎水に至らせた。余った水は砂漠に注いだ。黄河を積石山から導いて、龍門に至らせた。南に行って華山の北に至り、東して砥柱山に至り、又東して盟津に至り、東して雒水・汭水を過ぎ、大邳に至らせた。北に行って降水を過ぎ、大陸沢に至り、北に流れてあふれて九河となり、同じように逆河となり、海に入った。嶓冢山より瀁水をみちびいた。東に流れて漢水となり、また東にいって蒼浪の水と爲なった。三澨水を過ぎて大別山に入り、南に流れて揚子江に入り、東にめぐって澤彭蠡となった。東に流れて北江となり、海に入った。汶山より揚子江をみちびいた。東に流れて別れて沱水となり、また東に流れて醴に至り、九江を過ぎ、東陵に至る。東側にあふれて北に流れて匯水に合流した。東に流れて中江となって海に注いだ。沇水をみちびいた。東に流れて濟水となり、黄河に入り、あふれて滎水となった。東に流れて陶丘の北に出て、また東に流れて荷に至り、また東北に流れて汶水に合流し、また東北に流れて海に注いだ。淮水を導くのに桐柏山からはじめた。東に流れて泗水・沂水に合流し、東に流れて海に注いだ。渭水を導くのに鳥鼠山・同穴山からはじめた。東に流れて灃水に合流し、また東北に流れて�畤紊忙蠅蝓�東に流れて漆水・沮水を過ぎて、黄河に入る。雒水を導くのに、熊耳山から初めた。東北に流れて澗水・瀍水に合流し、東に流れて伊水に會し、東北に流れて黄河に入った。
道九川：弱水至於合黎，餘波入于流沙。道�鄂紂せ衾音梓蹇て�于南海。道河積石，至于龍門，南至華陰，東至砥柱，又東至于盟津，東過雒汭，至于大邳，北過降水，至于大陸，北播為九河，同為逆河，入于海。嶓冢道瀁，東流為漢，又東為蒼浪之水，過三澨，入于大別，南入于江，東匯澤為彭蠡，東為北江，入于海。汶山道江，東別為沱，又東至于醴，過九江，至于東陵，東迆北會于匯，東為中江，入于梅。道沇水，東為濟，入于河，泆為滎，東出陶丘北，又東至于荷，又東北會于汶，又東北入于海。道淮自桐柏，東會于泗、沂，東入于海。道渭自鳥鼠同穴，東會于灃，又東北至于�瓠づ豌畆拭⊥�，入于河。道雒自熊耳，東北會于澗、瀍，又東會于伊，東北入于河。
九山を道く。汧より山を岐に及び、荊山に至るぬは、河を踰ゆるなり。壺口・雷首より太嶽に至る。砥柱・析城より王屋に至る。太行・常山より碣石に至り、海に入る。西傾・朱圉・鳥鼠より太華に至る。熊耳・外方・桐柏より負尾に至る。嶓冢を道き、荊山に至る。内方より大別に至る。汶山の陽より衝山に至り、九江を過ぎて、敷淺原に至る。九川を道き、弱水より合黎に至る。餘波は流沙に入る。河を積石より道き、龍門に至る。南して華陰に至り、東して砥柱に至り、又東して盟津に至り、東して雒汭を過ぎ、大邳に至る。北して降水を過ぎ、大陸に至り、北して播れて九河と爲り、同して逆河と爲り、海に入る。嶓冢より瀁を道く。東流して漢と爲り、又東して蒼浪の水と爲る。三澨を過ぎて大別に入り、南して江に入り、東に匯りて澤彭蠡と爲る。東して北江と爲り、海に入る。汶山より江を道く。東して別れて沱と爲り、又東して醴に至り、九江を過ぎ、東陵に至る。東に迆れて北して匯に會す。東して中江と爲りて海に入る。沇水を道く。東して濟と爲り、河に入り、泆れて滎と爲る。東して陶丘の北に出で、又東して荷に至り、又東北して汶に會し、又東北して海に入る。淮えお道くに桐柏よりす。東して泗沂に會し、東して海に入る。渭を道くに鳥鼠同穴よりす。東して灃に會し、又東北して�瓩忙蠅蝓�東して漆・沮を過ぎて、河に入る。雒を道くに、熊耳よりす。東北して澗・瀍に會し、東して伊に會し、東北して河に入る。
敷淺原 今日の陝西省臨潼の北東部。 百度百科 https://baike.baidu.com/item/%E6%95%B7%E6%B5%85%E5...
盟津 黄河の渡し場。洛陽の北にある。 広辞苑無料検索 https://sakura-paris.org/dict/%E5%AD%A6%E7%A0%94%E...
禹は九つの山をおさめ、汧山から岐山に及び、荊山に至るには黄河をこえた。壺口山。雷首山から太獄山に至った。砥柱山・析城山より王屋山に至った。。太行山・常山より碣石山に至り、海に着いた。西傾山・朱圉山・鳥鼠山より太華山に至った。熊耳山・外方山・桐柏山より負尾山に至った。嶓冢山を治め、荊山に至る。内方山より大別山に至る。汶山の南から衝山に至り、九江を過ぎて、敷淺原に至った。
九つの川を過ぎて、敷淺原に至った。九つの川を流路に導き、弱水から導いて合黎水に至らせた。余った水は砂漠に注いだ。黄河を積石山から導いて、龍門に至らせた。南に行って華山の北に至り、東して砥柱山に至り、又東して盟津に至り、東して雒水・汭水を過ぎ、大邳に至らせた。北に行って降水を過ぎ、大陸沢に至り、北に流れてあふれて九河となり、同じように逆河となり、海に入った。嶓冢山より瀁水をみちびいた。東に流れて漢水となり、また東にいって蒼浪の水と爲なった。三澨水を過ぎて大別山に入り、南に流れて揚子江に入り、東にめぐって澤彭蠡となった。東に流れて北江となり、海に入った。汶山より揚子江をみちびいた。東に流れて別れて沱水となり、また東に流れて醴に至り、九江を過ぎ、東陵に至る。東側にあふれて北に流れて匯水に合流した。東に流れて中江となって海に注いだ。沇水をみちびいた。東に流れて濟水となり、黄河に入り、あふれて滎水となった。東に流れて陶丘の北に出て、また東に流れて荷に至り、また東北に流れて汶水に合流し、また東北に流れて海に注いだ。淮水を導くのに桐柏山からはじめた。東に流れて泗水・沂水に合流し、東に流れて海に注いだ。渭水を導くのに鳥鼠山・同穴山からはじめた。東に流れて灃水に合流し、また東北に流れて�畤紊忙蠅蝓�東に流れて漆水・沮水を過ぎて、黄河に入る。雒水を導くのに、熊耳山から初めた。東北に流れて澗水・瀍水に合流し、東に流れて伊水に會し、東北に流れて黄河に入った。
７
於是九州攸同，四奧既居，九山刊旅，九川滌原，九澤既陂，四海會同。六府甚修，眾土交正，致慎財賦，咸則三壤成賦。中國賜土姓：「祗臺��先，不距朕行。」
令天子之國以外五百里甸服：百里賦納總，二百里納緫，三百里納秸服，四百里粟，五百里米。甸服外五百里侯服：百里采，二百里任國，三百里諸侯。侯服外五百里綏服：三百里揆文教，二百里奮武衛。綏服外五百里要服：三百里夷，二百里蔡。要服外五百里荒服：三百里蠻，二百里流。
東漸于海，西被于流沙，朔、南暨：聲教訖于四海。於是帝錫禹玄圭，以告成功于天下。天下於是太平治。
是に於いて、九州の同する攸、四奥既に九山に居るべく、九山は栞旅し、九川は原を滌ぎ、九澤は既に陂し、四海會同し、六府甚だ修り、衆土交々正し。財賦を致し慎み、咸三壌に則り、賦を中國に成す。土姓を賜ひて台が徳を祗み先てば、朕が行に距はじ、と。天下の國より以外五百里は甸服。百里の賦は總を納れ、二百里は銍を納れ、三百里は秸を納れ服す。四百里は粟。五百里は米。甸服の外五百里は侯服。百里は采。二百里は任國。三百里は諸侯。侯服の外五百里は綏服。三百里は文教を撥り、二百里は武を奮ひて衞る。綏服の外五百里は要服。三百里は夷。二百里は蔡。要服の外五百里は荒服。三百里は蠻。二百里は流ならしむ。東の方海に漸し、西の方流沙に被り、朔南より聲教を曁して四海に訖る。是に於いて帝禹に玄圭を錫ひ、以て成功を天下に告ぐ。天下是に於いて、太だ平ぎ治る。
そうして、九州を同じように徳を享受し、どこの水辺ももう山に住むように落ち着き、九山は道を通し祭祀が行われ、九川は水源が注がれて流れがよくなり、九沢は堤防が築かれ、四海の民は集まり、六府は順調に整い、九州の土地の等級はそれぞれ正しく定められた。財産や租税をその地の等級に応じて集め、慎重に集められ、みな上中下の土質に則り、租税を京師に致した。禹は土地と姓をおくって諸侯を封じて、「我が徳を敬い、これを先にすれば、天下は天子の政教に違うことがないだろう。」と。天下の国、すなわち都から五百里の土地は甸服とした。百里までの租税は稲の根から穂先まですべて納め、二百里までは藁を半分に切った稲を納め、三百里までは藁を納めて服従した。四百里はもみ。五百里は米を納めた。甸服の外の五百里が侯服。百里は王に仕え、二百里はだんっ爵のもの。そのまた二百里は諸侯のもの。侯服の外五百里は綏服。三百里は文教で治め、外の二百里は武力をふるって守った。綏服の外五百里は要服。三百里は蛮族でもわかる平易な方法で統治し、二百里は刑法だけ守らせた。要服の外五百里は荒服。三百里は野蛮で秩序もなく、王権が届かなかった。二百里は放っておいた。このような方針は、東の方は海にいたり、西の方は砂漠をおおい、北も南も遠方まで、四海の隅々までに及んだ。だから、帝は禹に赤黒い宝石を賜い、それで政策の成功を天下に告げた。天下はそうして大いに平らいだ。
令天子之國以外五百里甸服：百里賦納總，二百里納緫，三百里納秸服，四百里粟，五百里米。甸服外五百里侯服：百里采，二百里任國，三百里諸侯。侯服外五百里綏服：三百里揆文教，二百里奮武衛。綏服外五百里要服：三百里夷，二百里蔡。要服外五百里荒服：三百里蠻，二百里流。
東漸于海，西被于流沙，朔、南暨：聲教訖于四海。於是帝錫禹玄圭，以告成功于天下。天下於是太平治。
是に於いて、九州の同する攸、四奥既に九山に居るべく、九山は栞旅し、九川は原を滌ぎ、九澤は既に陂し、四海會同し、六府甚だ修り、衆土交々正し。財賦を致し慎み、咸三壌に則り、賦を中國に成す。土姓を賜ひて台が徳を祗み先てば、朕が行に距はじ、と。天下の國より以外五百里は甸服。百里の賦は總を納れ、二百里は銍を納れ、三百里は秸を納れ服す。四百里は粟。五百里は米。甸服の外五百里は侯服。百里は采。二百里は任國。三百里は諸侯。侯服の外五百里は綏服。三百里は文教を撥り、二百里は武を奮ひて衞る。綏服の外五百里は要服。三百里は夷。二百里は蔡。要服の外五百里は荒服。三百里は蠻。二百里は流ならしむ。東の方海に漸し、西の方流沙に被り、朔南より聲教を曁して四海に訖る。是に於いて帝禹に玄圭を錫ひ、以て成功を天下に告ぐ。天下是に於いて、太だ平ぎ治る。
そうして、九州を同じように徳を享受し、どこの水辺ももう山に住むように落ち着き、九山は道を通し祭祀が行われ、九川は水源が注がれて流れがよくなり、九沢は堤防が築かれ、四海の民は集まり、六府は順調に整い、九州の土地の等級はそれぞれ正しく定められた。財産や租税をその地の等級に応じて集め、慎重に集められ、みな上中下の土質に則り、租税を京師に致した。禹は土地と姓をおくって諸侯を封じて、「我が徳を敬い、これを先にすれば、天下は天子の政教に違うことがないだろう。」と。天下の国、すなわち都から五百里の土地は甸服とした。百里までの租税は稲の根から穂先まですべて納め、二百里までは藁を半分に切った稲を納め、三百里までは藁を納めて服従した。四百里はもみ。五百里は米を納めた。甸服の外の五百里が侯服。百里は王に仕え、二百里はだんっ爵のもの。そのまた二百里は諸侯のもの。侯服の外五百里は綏服。三百里は文教で治め、外の二百里は武力をふるって守った。綏服の外五百里は要服。三百里は蛮族でもわかる平易な方法で統治し、二百里は刑法だけ守らせた。要服の外五百里は荒服。三百里は野蛮で秩序もなく、王権が届かなかった。二百里は放っておいた。このような方針は、東の方は海にいたり、西の方は砂漠をおおい、北も南も遠方まで、四海の隅々までに及んだ。だから、帝は禹に赤黒い宝石を賜い、それで政策の成功を天下に告げた。天下はそうして大いに平らいだ。
８
皋陶作士以理民。帝舜朝，禹、伯夷、皋陶相與語帝前。皋陶述其謀曰：「信其道��，謀明輔和。」禹曰：「然，如何？」皋陶曰：「於！慎其身修，思長，敦序九族，眾明高翼，近可遠在已。」禹拜美言，曰：「然。」皋陶曰：「於！在知人，在安民。」禹曰：「吁！皆若是，惟帝其難之。知人則智，能官人；能安民則惠，黎民懷之。能知能惠，何憂乎驩兜，何遷乎有苗，何畏乎巧言善色佞人？」皋陶曰：「然，於！亦行有九��，亦言其有��。」乃言曰：「始事事，�郤�栗，柔而立，願而共，治而敬，擾而毅，直而溫，簡而廉，剛而實，彊而義，章其有常，吉哉。日宣三��，蚤夜翊明有家。日嚴振敬六��，亮采有國。翕受普施，九��咸事，俊乂在官，百吏肅謹。毋教邪淫奇謀。非其人居其官，是謂亂天事。天討有罪，五刑五用哉。吾言厎可行乎？」禹曰：「女言致可績行。」皋陶曰：「余未有知，思贊道哉。」
皐陶士と作り以て民を理む。帝舜朝す。禹・伯夷・皐陶相興に帝の前に語る。皐陶其の謀を述べて曰く、「其道徳を信にして、謀を明かにして輔け和げしめよ」と。禹曰く、「然り。如何。」と。皐陶曰く、「ああ、慎みて其の身を修め、長きを思ひ、敦く九族を序ぢば、衆明亮翼す。近きより遠くすべきは己に在り。」と。禹美言を拝して曰く、「然り。」と。皐陶曰く、「ああ、人を知るに在り。民を安んずるに在り。」と。禹曰く、「ああ、皆是の若きは、惟れ帝も其れ難んず。之を人を知れば則ち智なり。能く人を官にす、能く民を安ず、則ち恵なり。黎民之に懐く、能く知り能く恵めば、何ぞ驩兠憂へんや。何ぞ有苗を遷さんや。何ぞ巧言善色佞人を畏れんや。」と。皐陶曰く、「然り。ああ、亦た行に九徳有り。亦た其の有徳を言んには、乃ち言を曰へ。事を事とするに始ると、寛にして栗、柔にして立、愿にして共、治にして敬む、擾にして毅、直にして温、簡にして簾、剛にして實、彊にして義。其の常有るを章かにして吉なるかな。日に三徳を宣べ、蚤夜に翊け明かにせば家を有つ。日に嚴に振へて六徳を敬み采を亮にせば國を有つ。翕せ受け普く施し、九徳咸事とせば、俊乂官に在り。百吏肅み謹みて、邪淫奇謀を教ふること毋く、其の人に非ずして其の官に居るは、是を天事を亂すと謂ふ。天有罪を討ち、五刑五ながら用んかな。吾が言厎して行ふべきや。」と。禹曰く、「女の言致して績として行ふべし。」と。皐陶曰く、「余れ未だ知ること有らず、思ひて道を贊けんかな。」と。
皐陶は士という訴訟事をつかさどる役職になって、民を治めた。帝舜が朝廷に出てきた。禹・伯夷・皐陶は互いに帝の前で語り合った。皐陶が考え事を述べて言うには、「君主の道徳を信にして、考え事を明らかにして帝を助け和らげよう。」と。禹が言うには「ああ。どうだろう。」と。皐陶が言うには、「ああ、謹んで自分を修め、深く思い、熱心に自身の親戚の秩序を重んじれば、賢人はよく補佐する。政治を近いところより遠いところに及ぼすべきなのは、王自身に徳があるからだ。」と。禹はその良い言葉を敬って言うには、「その通り。」と。皐陶が「ああ、王の務めは人を知ることにある。民を安心させることにある。」と。禹が「ああ、このようなことは全部、帝であっても難しい。人を知ることは智である。人を見出し官僚にでき、民を安心させられる。すなわち恵だ。民衆は恵をもたらす者に懐く。よく知るこでき、よく恵むことができれば、どうして驩兠のような者を憂うだろうか、いや憂えない。どうして有苗を遠くに移すだろうか、いや移さない。どうして言葉巧みにゴマすりをする下心の在る者を恐れるだろうか、いや恐れない。」と。皐陶曰く、「その通り。ああ、また人の行いに九徳がある。またその人に徳があるのを言うには、実績を言え。九徳とは、寛容であるが時に厳しく、柔和だが自立し、実直であるが敬意をもち、才能があるが慎み、従順だが毅然つぃていて、冷静だが温和、おおざっぱだが細かいところもあり、剛健だが優しく、強いが仁義があること。それがずっと有ることを明らかにすれば吉だなぁ。毎日三徳を述べ、朝から晩まで絶えず明らかにする人は、よくその家柄を保つ。毎日その身を厳かにして六徳を敬い、政治をよくすれば諸侯としての国を保つ。三徳の人と六徳の人を合わせて登用し、広く均等に政治を行い、九徳を皆に備えさせれば、秀でて才能がある者が官僚になる。百官が厳粛に謹んで、よこしまでみだらなことや奇妙な考えを教えることがなくなる。適材でない人であるのが官僚になるのは、天事を乱すということだ。天は罪が有るのを討ち、五刑は五つしかないが適当に用いるだろうなぁ。私のこの言葉は実行するべきか。」と。禹が言うには、「あなたの言葉は実行して功績とするべきです。」と。皐陶が言うには、「私はまだあまりわからないが、思いを尽くして王の政道を助けようかな。」と。
皐陶士と作り以て民を理む。帝舜朝す。禹・伯夷・皐陶相興に帝の前に語る。皐陶其の謀を述べて曰く、「其道徳を信にして、謀を明かにして輔け和げしめよ」と。禹曰く、「然り。如何。」と。皐陶曰く、「ああ、慎みて其の身を修め、長きを思ひ、敦く九族を序ぢば、衆明亮翼す。近きより遠くすべきは己に在り。」と。禹美言を拝して曰く、「然り。」と。皐陶曰く、「ああ、人を知るに在り。民を安んずるに在り。」と。禹曰く、「ああ、皆是の若きは、惟れ帝も其れ難んず。之を人を知れば則ち智なり。能く人を官にす、能く民を安ず、則ち恵なり。黎民之に懐く、能く知り能く恵めば、何ぞ驩兠憂へんや。何ぞ有苗を遷さんや。何ぞ巧言善色佞人を畏れんや。」と。皐陶曰く、「然り。ああ、亦た行に九徳有り。亦た其の有徳を言んには、乃ち言を曰へ。事を事とするに始ると、寛にして栗、柔にして立、愿にして共、治にして敬む、擾にして毅、直にして温、簡にして簾、剛にして實、彊にして義。其の常有るを章かにして吉なるかな。日に三徳を宣べ、蚤夜に翊け明かにせば家を有つ。日に嚴に振へて六徳を敬み采を亮にせば國を有つ。翕せ受け普く施し、九徳咸事とせば、俊乂官に在り。百吏肅み謹みて、邪淫奇謀を教ふること毋く、其の人に非ずして其の官に居るは、是を天事を亂すと謂ふ。天有罪を討ち、五刑五ながら用んかな。吾が言厎して行ふべきや。」と。禹曰く、「女の言致して績として行ふべし。」と。皐陶曰く、「余れ未だ知ること有らず、思ひて道を贊けんかな。」と。
皐陶は士という訴訟事をつかさどる役職になって、民を治めた。帝舜が朝廷に出てきた。禹・伯夷・皐陶は互いに帝の前で語り合った。皐陶が考え事を述べて言うには、「君主の道徳を信にして、考え事を明らかにして帝を助け和らげよう。」と。禹が言うには「ああ。どうだろう。」と。皐陶が言うには、「ああ、謹んで自分を修め、深く思い、熱心に自身の親戚の秩序を重んじれば、賢人はよく補佐する。政治を近いところより遠いところに及ぼすべきなのは、王自身に徳があるからだ。」と。禹はその良い言葉を敬って言うには、「その通り。」と。皐陶が「ああ、王の務めは人を知ることにある。民を安心させることにある。」と。禹が「ああ、このようなことは全部、帝であっても難しい。人を知ることは智である。人を見出し官僚にでき、民を安心させられる。すなわち恵だ。民衆は恵をもたらす者に懐く。よく知るこでき、よく恵むことができれば、どうして驩兠のような者を憂うだろうか、いや憂えない。どうして有苗を遠くに移すだろうか、いや移さない。どうして言葉巧みにゴマすりをする下心の在る者を恐れるだろうか、いや恐れない。」と。皐陶曰く、「その通り。ああ、また人の行いに九徳がある。またその人に徳があるのを言うには、実績を言え。九徳とは、寛容であるが時に厳しく、柔和だが自立し、実直であるが敬意をもち、才能があるが慎み、従順だが毅然つぃていて、冷静だが温和、おおざっぱだが細かいところもあり、剛健だが優しく、強いが仁義があること。それがずっと有ることを明らかにすれば吉だなぁ。毎日三徳を述べ、朝から晩まで絶えず明らかにする人は、よくその家柄を保つ。毎日その身を厳かにして六徳を敬い、政治をよくすれば諸侯としての国を保つ。三徳の人と六徳の人を合わせて登用し、広く均等に政治を行い、九徳を皆に備えさせれば、秀でて才能がある者が官僚になる。百官が厳粛に謹んで、よこしまでみだらなことや奇妙な考えを教えることがなくなる。適材でない人であるのが官僚になるのは、天事を乱すということだ。天は罪が有るのを討ち、五刑は五つしかないが適当に用いるだろうなぁ。私のこの言葉は実行するべきか。」と。禹が言うには、「あなたの言葉は実行して功績とするべきです。」と。皐陶が言うには、「私はまだあまりわからないが、思いを尽くして王の政道を助けようかな。」と。
９
帝舜謂禹曰：「女亦昌言。」禹拜曰；「於，予何言！予思日孳孳。」皋陶難禹曰：「何謂孳孳？」禹曰：「鴻水滔天，浩浩懷山襄陵，下民皆服於水。予陸行乘車，水行乘舟，泥行乘橇，山行乘檋，行山刊木。與益予眾庶稻鮮食。以決九川致四海，浚畎澮致之川。與稷予眾庶難得之食。食少，調有餘補不足，徙居。眾民乃定，萬國為治。」皋陶曰：「然，此而美也。」
禹曰：「於，帝！慎乃在位，安爾止。輔��，天下大應。清意以昭待上帝命，天其重命用休。」帝曰：「吁，臣哉，臣哉！臣作朕股肱耳目。予欲左右有民，女輔之。余欲觀古人之象。日月星辰，作文繡服色，女明之。予欲聞六律五聲八音，來始滑，以出入五言，女聽。予即辟，女匡拂予。女無面諛。退而謗予。敬四輔臣。諸眾讒嬖臣，君��誠施皆清矣。」禹曰：「然。帝即不時，布同善惡則毋功。」
帝舜禹に謂ひて曰く、「汝も昌言せよ。」と。禹拝して曰く、「ああ、予れ何をか言はん。何をか孳孳と謂ふ。」と。禹曰く、「鴻水天に滔り、浩浩として山を懐ね、陵に襄る。下民皆水服り。予れ陸行すは車に乘り、水行すは船に乘り、泥行には橇に乘り、山行には檋に乘り、山を行りて木を栞り、�困判綾遒飽陲帆�食を予ふ。以て九川を決し、四海に致し、畎澮を浚へて、之を川に致す。稷と衆庶に得難きの食を予へ、食少なきときは、餘り有るを調べ、足らざるを補ひ、居を徙す。衆民乃ち定まり、萬國治を爲す。」と。皐陶曰く、「然り。此れ而の美なり。」と。禹曰く、「ああ、帝乃の在位を慎み、爾の止に安ぜよ。徳を輔けば、天下大いに應ぜん。意を�罎�して以て昭に上帝の命を待たば、天其れ重ねて命ずるに休を用てせん。」と。帝
曰く、「ああ、臣なるかな。臣なるかな。臣は朕の股肱耳目たり。予れ有民を左右せんと欲す。女之を輔け、余古人の象・日月星振を觀て文繡服色を作らんと欲す。女之を明にせよ。予六律五聲八音を聞き、以て言を出入せんと欲す。女聽け。予れ即ち辟はば、女予を匡拂せよ。女面諛し、退いて予を謗ること無かれ。敬めや四輔の臣、諸衆讒嬖の臣。君徳誠に施さば皆�罎�らん。」と。禹曰く、「然り。帝即ち時れならず。善悪を布同せば、即ち功毋けん。」と。
六律 音楽用語。「陽律」「陰律」それぞれ六つを合わせたのが十二律。ここではその片方。 十二律のWikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E...
五聲 音律の基本となる五つの聲のこと。 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E5%A3%B0#:...
八音 八種類の楽器。 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E9%9F%B3#:...
帝舜が禹に対して言うには、「お前も善いことをいいなさい。」と。禹は礼をして言うには、「ああ、私は何を言いましょう。何を怠けないというのか。」と。禹が続けて、「洪水が天下にはびこり、広々と山を包み丘にのぼった。下々の民は皆水に浸かった。私が陸を行くには車に乗り、川を行くには船に乗り、湿地を行くにはそりに乗り、山を行くにはかんじきを履き、山を巡って木を切り、�困判醋韻飽陲鮨形�な肉を与えた。そうして九つの川の流路を定め、全国に同じようにして、田の間の溝を掘り、これを川とつなげた。稷と庶民に得難い食料を与え、食料が少ない時は、余りが有る所を調べて、足りないのを補い、住居を移した。そうして庶民は安定し、万国は治まった。」と。皐陶が「その通りだ。これはあなたの美しい功績だ。」と。禹が「ああ、帝よ、態度を慎み、その位を守ってください。徳を助ければ、天下はそれに大いに答えるでしょう。心を清らかにして、それを明らかにして上帝の命令を待っていれば、天は重ねて命じるに吉なることをもって命じるでしょう。」と。帝が「ああ、臣たち、臣たちよ。家臣は我が股肱であり耳目である。私は人民を助けたいと思う。お前はそれを助けよ。お前が之を助け、私は昔の人が決めた象服や、日月の運行を見て、当世風な上着を作ろうと思う。お前はこれを明らかにするよう調査せよ。私は様々な音楽を聴いて、それで国の治乱を明らかにしたい。お前は音楽をよく聴け。私が道を外したら、お前は私の過失を補え。お前はこびへつらって、退出してから私の悪口を言わないで。慎みなさい、四輔の家臣よ。讒言したり、媚びる家臣も、君主が徳をまことに施せば皆清らかになるだろう。」と。禹が「その通りです。帝はそのようなことをせず、善悪を混同すると、功績はないでしょう。」と。
禹曰：「於，帝！慎乃在位，安爾止。輔��，天下大應。清意以昭待上帝命，天其重命用休。」帝曰：「吁，臣哉，臣哉！臣作朕股肱耳目。予欲左右有民，女輔之。余欲觀古人之象。日月星辰，作文繡服色，女明之。予欲聞六律五聲八音，來始滑，以出入五言，女聽。予即辟，女匡拂予。女無面諛。退而謗予。敬四輔臣。諸眾讒嬖臣，君��誠施皆清矣。」禹曰：「然。帝即不時，布同善惡則毋功。」
帝舜禹に謂ひて曰く、「汝も昌言せよ。」と。禹拝して曰く、「ああ、予れ何をか言はん。何をか孳孳と謂ふ。」と。禹曰く、「鴻水天に滔り、浩浩として山を懐ね、陵に襄る。下民皆水服り。予れ陸行すは車に乘り、水行すは船に乘り、泥行には橇に乘り、山行には檋に乘り、山を行りて木を栞り、�困判綾遒飽陲帆�食を予ふ。以て九川を決し、四海に致し、畎澮を浚へて、之を川に致す。稷と衆庶に得難きの食を予へ、食少なきときは、餘り有るを調べ、足らざるを補ひ、居を徙す。衆民乃ち定まり、萬國治を爲す。」と。皐陶曰く、「然り。此れ而の美なり。」と。禹曰く、「ああ、帝乃の在位を慎み、爾の止に安ぜよ。徳を輔けば、天下大いに應ぜん。意を�罎�して以て昭に上帝の命を待たば、天其れ重ねて命ずるに休を用てせん。」と。帝
曰く、「ああ、臣なるかな。臣なるかな。臣は朕の股肱耳目たり。予れ有民を左右せんと欲す。女之を輔け、余古人の象・日月星振を觀て文繡服色を作らんと欲す。女之を明にせよ。予六律五聲八音を聞き、以て言を出入せんと欲す。女聽け。予れ即ち辟はば、女予を匡拂せよ。女面諛し、退いて予を謗ること無かれ。敬めや四輔の臣、諸衆讒嬖の臣。君徳誠に施さば皆�罎�らん。」と。禹曰く、「然り。帝即ち時れならず。善悪を布同せば、即ち功毋けん。」と。
六律 音楽用語。「陽律」「陰律」それぞれ六つを合わせたのが十二律。ここではその片方。 十二律のWikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E...
五聲 音律の基本となる五つの聲のこと。 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E5%A3%B0#:...
八音 八種類の楽器。 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E9%9F%B3#:...
帝舜が禹に対して言うには、「お前も善いことをいいなさい。」と。禹は礼をして言うには、「ああ、私は何を言いましょう。何を怠けないというのか。」と。禹が続けて、「洪水が天下にはびこり、広々と山を包み丘にのぼった。下々の民は皆水に浸かった。私が陸を行くには車に乗り、川を行くには船に乗り、湿地を行くにはそりに乗り、山を行くにはかんじきを履き、山を巡って木を切り、�困判醋韻飽陲鮨形�な肉を与えた。そうして九つの川の流路を定め、全国に同じようにして、田の間の溝を掘り、これを川とつなげた。稷と庶民に得難い食料を与え、食料が少ない時は、余りが有る所を調べて、足りないのを補い、住居を移した。そうして庶民は安定し、万国は治まった。」と。皐陶が「その通りだ。これはあなたの美しい功績だ。」と。禹が「ああ、帝よ、態度を慎み、その位を守ってください。徳を助ければ、天下はそれに大いに答えるでしょう。心を清らかにして、それを明らかにして上帝の命令を待っていれば、天は重ねて命じるに吉なることをもって命じるでしょう。」と。帝が「ああ、臣たち、臣たちよ。家臣は我が股肱であり耳目である。私は人民を助けたいと思う。お前はそれを助けよ。お前が之を助け、私は昔の人が決めた象服や、日月の運行を見て、当世風な上着を作ろうと思う。お前はこれを明らかにするよう調査せよ。私は様々な音楽を聴いて、それで国の治乱を明らかにしたい。お前は音楽をよく聴け。私が道を外したら、お前は私の過失を補え。お前はこびへつらって、退出してから私の悪口を言わないで。慎みなさい、四輔の家臣よ。讒言したり、媚びる家臣も、君主が徳をまことに施せば皆清らかになるだろう。」と。禹が「その通りです。帝はそのようなことをせず、善悪を混同すると、功績はないでしょう。」と。
１０
帝曰：「毋若丹朱傲，維慢游是好，毋水行舟，朋淫于家，用絕其世。予不能順是。」禹曰：「予（辛壬）娶涂山，［辛壬］癸甲，生啟予不子，以故能成水土功。輔成五服，至于五千里，州十二師，外薄四海，咸建五長，各道有功。苗頑不即功，帝其念哉。」帝曰：「道吾��，乃女功序之也。」
皋陶於是敬禹之��，令民皆則禹。不如言，刑從之。舜��大明。
於是夔行樂，祖考至，群后相讓，鳥獸翔舞，簫韶九成，鳳皇來儀，百獸率舞，百官信諧。帝用此作歌曰：「陟天之命，維時維幾。」乃歌曰：「股肱喜哉，元首起哉，百工熙哉！」皋陶拜手稽首揚言曰：「念哉，率為興事，慎乃憲，敬哉！」乃更為歌曰：「元首明哉，股肱良哉，庶事康哉！」（舜）又歌曰：「元首叢脞哉，股肱惰哉，萬事墮哉！」帝拜曰：「然，往欽哉！」於是天下皆宗禹之明度數聲樂，為山川神主。
帝舜薦禹於天，為嗣。十七年而帝舜崩。三年喪畢，禹辭辟舜之子商均於陽城。天下諸侯皆去商均而朝禹。禹於是遂即天子位，南面朝天下，國號曰夏后，姓姒氏。
帝曰く、「丹朱が傲りて、維れ慢游是れ好み、水毋きに舟を行り、家に朋淫し、以て其世を絶つが若き毋れ。予是に順ふこと能はず。」と。禹曰く、「予れ辛壬に塗山を娶り、癸甲にゆく。啓を生めども予れ子とせず。故を以て能く水土の功を成し、五服を輔け成し、五千里に至り、州に十二師あり、外は四海に薄り、咸くに五長を建て、各道て功有り。苗のみ頑にして功に卽かざりき。帝其れ念へよや。」と。帝曰く、「吾が徳を道きしは、乃ち女が功之を序ぢたるなり。」と。皐陶是に於いて禹の徳を敬ひ、民をして皆則らしむ。禹に、言の如くならざれば、刑之に從はんと。舜の徳大いに明なり。是に於いて夔樂を行ふ。祖考至り、羣臣相る。鳥獸翔り舞ふ。簫韶九成するとき、鳳凰來儀し、百獸率ゐ舞ひ、百官信に諧ぐ。帝此れを用て歌を作りて曰く、「天の命を陟すには、維れ時をし維れ幾をす。」と。乃ち歌ひて曰く、「股肱喜ぶかな、元首起さんかな、百工熙らんかな。」と。皐陶拝手稽首し揚言して曰く、「念へや。率ゐて興事を爲せ。乃の憲を慎み、敬めや。」と。乃ち更に歌を爲りて曰く、「元首明かなれば、股肱良し、庶事康し。」と。〔舜〕又歌ひて曰く、「元首叢脞なれば、股肱惰り、萬事事堕れん。」と。帝拝して曰く、「然り。往け欽めや。」と。是に於いて天下皆禹の度數聲樂に明なるを宗び、山川の神主と爲す。帝舜禹を天に薦めて嗣と爲す。十七年帝舜崩じぬ。三年の喪畢り、禹辭し舜の子の商均に陽城に辟く。天下の諸侯、皆商均を去りて禹に朝す。禹是に於いて遂に天子の位に卽き、南面して天下を朝せしむ。國號を夏后と曰ふ。姓は姒氏なり。
。 夔 音楽をつかさどる官僚。 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%94#:~:text=%E...
帝が言うには、「丹朱が驕って、だらけた遊びばかり好み、水がないのに船を使ったり、家で大勢の人とみだらなことをしたりして、後世を絶つようなことはするな。私は丹朱を従わせることができない。」と。禹が言うには、「私は辛壬の日に塗山氏の娘を娶り、癸甲に治水に行った。啓を産んでも子としなかった。だからよく治水の功績をあげられ、五服の統治を助けられ、五千里にいたり、州には十二人の諸侯がいて、外は四海の外まで、どこも五人の長をたてて各々が民を導いて功績があった。三苗のみ頑なで功績がなかった。帝はそれを心に留めてください。」と。帝が言うには、「私の徳を導いたのは、お前が功績をあげて、秩序を作ったからだ。」と。皐陶はそうして禹の徳を敬い、民を徳に則らせた。禹の、言っているようでなければ刑を受けさせた。舜の徳は大いに明らかになった。そうして音楽をつかさどる夔は音楽を作った。先祖の霊にも徳の高いことが伝わり、諸侯は譲り合い、鳥獣は舞い飛び、簫韶と言う歌を九回歌うと鳳凰が飛来し、百獣を連れて踊り、百官は本当に和らいだ。帝はこのことを用いて歌を作って言うには、「天の命をつつしめ、時をよろしくして、機微を察せ。」と。そうして歌うには、「家臣が喜んでいるなぁ、百工が功績をあげているなぁ、百官の功績が広く成就するなぁ。」と。皐陶は丁寧に礼をしてから、声を張り上げて「帝よ、心に留めてください。家臣の様子が良いなら、いろいろなことがうまくいくなぁ。」と。また歌って言うには、「元首が細かいことをきにしていると、臣は怠って、いろいろなことが失敗するなぁ。」と。帝が礼して言うには、「その通り。つつしめ。」と。そうして天下は皆禹の才能を、山川の神主とした。帝舜は禹を天に薦めて跡継ぎとした。十七年に、帝舜が崩御した。三年の喪が終わり、禹は舜の子の商均に譲って陽城に避けた。天下の諸侯は皆商均のもとを去って禹に来朝した。そして禹は天子の位につき、南を向いて天下の諸侯を謁見させた。国号を夏后と言った。王族の姓は姒氏だった。
皋陶於是敬禹之��，令民皆則禹。不如言，刑從之。舜��大明。
於是夔行樂，祖考至，群后相讓，鳥獸翔舞，簫韶九成，鳳皇來儀，百獸率舞，百官信諧。帝用此作歌曰：「陟天之命，維時維幾。」乃歌曰：「股肱喜哉，元首起哉，百工熙哉！」皋陶拜手稽首揚言曰：「念哉，率為興事，慎乃憲，敬哉！」乃更為歌曰：「元首明哉，股肱良哉，庶事康哉！」（舜）又歌曰：「元首叢脞哉，股肱惰哉，萬事墮哉！」帝拜曰：「然，往欽哉！」於是天下皆宗禹之明度數聲樂，為山川神主。
帝舜薦禹於天，為嗣。十七年而帝舜崩。三年喪畢，禹辭辟舜之子商均於陽城。天下諸侯皆去商均而朝禹。禹於是遂即天子位，南面朝天下，國號曰夏后，姓姒氏。
帝曰く、「丹朱が傲りて、維れ慢游是れ好み、水毋きに舟を行り、家に朋淫し、以て其世を絶つが若き毋れ。予是に順ふこと能はず。」と。禹曰く、「予れ辛壬に塗山を娶り、癸甲にゆく。啓を生めども予れ子とせず。故を以て能く水土の功を成し、五服を輔け成し、五千里に至り、州に十二師あり、外は四海に薄り、咸くに五長を建て、各道て功有り。苗のみ頑にして功に卽かざりき。帝其れ念へよや。」と。帝曰く、「吾が徳を道きしは、乃ち女が功之を序ぢたるなり。」と。皐陶是に於いて禹の徳を敬ひ、民をして皆則らしむ。禹に、言の如くならざれば、刑之に從はんと。舜の徳大いに明なり。是に於いて夔樂を行ふ。祖考至り、羣臣相る。鳥獸翔り舞ふ。簫韶九成するとき、鳳凰來儀し、百獸率ゐ舞ひ、百官信に諧ぐ。帝此れを用て歌を作りて曰く、「天の命を陟すには、維れ時をし維れ幾をす。」と。乃ち歌ひて曰く、「股肱喜ぶかな、元首起さんかな、百工熙らんかな。」と。皐陶拝手稽首し揚言して曰く、「念へや。率ゐて興事を爲せ。乃の憲を慎み、敬めや。」と。乃ち更に歌を爲りて曰く、「元首明かなれば、股肱良し、庶事康し。」と。〔舜〕又歌ひて曰く、「元首叢脞なれば、股肱惰り、萬事事堕れん。」と。帝拝して曰く、「然り。往け欽めや。」と。是に於いて天下皆禹の度數聲樂に明なるを宗び、山川の神主と爲す。帝舜禹を天に薦めて嗣と爲す。十七年帝舜崩じぬ。三年の喪畢り、禹辭し舜の子の商均に陽城に辟く。天下の諸侯、皆商均を去りて禹に朝す。禹是に於いて遂に天子の位に卽き、南面して天下を朝せしむ。國號を夏后と曰ふ。姓は姒氏なり。
。 夔 音楽をつかさどる官僚。 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%94#:~:text=%E...
帝が言うには、「丹朱が驕って、だらけた遊びばかり好み、水がないのに船を使ったり、家で大勢の人とみだらなことをしたりして、後世を絶つようなことはするな。私は丹朱を従わせることができない。」と。禹が言うには、「私は辛壬の日に塗山氏の娘を娶り、癸甲に治水に行った。啓を産んでも子としなかった。だからよく治水の功績をあげられ、五服の統治を助けられ、五千里にいたり、州には十二人の諸侯がいて、外は四海の外まで、どこも五人の長をたてて各々が民を導いて功績があった。三苗のみ頑なで功績がなかった。帝はそれを心に留めてください。」と。帝が言うには、「私の徳を導いたのは、お前が功績をあげて、秩序を作ったからだ。」と。皐陶はそうして禹の徳を敬い、民を徳に則らせた。禹の、言っているようでなければ刑を受けさせた。舜の徳は大いに明らかになった。そうして音楽をつかさどる夔は音楽を作った。先祖の霊にも徳の高いことが伝わり、諸侯は譲り合い、鳥獣は舞い飛び、簫韶と言う歌を九回歌うと鳳凰が飛来し、百獣を連れて踊り、百官は本当に和らいだ。帝はこのことを用いて歌を作って言うには、「天の命をつつしめ、時をよろしくして、機微を察せ。」と。そうして歌うには、「家臣が喜んでいるなぁ、百工が功績をあげているなぁ、百官の功績が広く成就するなぁ。」と。皐陶は丁寧に礼をしてから、声を張り上げて「帝よ、心に留めてください。家臣の様子が良いなら、いろいろなことがうまくいくなぁ。」と。また歌って言うには、「元首が細かいことをきにしていると、臣は怠って、いろいろなことが失敗するなぁ。」と。帝が礼して言うには、「その通り。つつしめ。」と。そうして天下は皆禹の才能を、山川の神主とした。帝舜は禹を天に薦めて跡継ぎとした。十七年に、帝舜が崩御した。三年の喪が終わり、禹は舜の子の商均に譲って陽城に避けた。天下の諸侯は皆商均のもとを去って禹に来朝した。そして禹は天子の位につき、南を向いて天下の諸侯を謁見させた。国号を夏后と言った。王族の姓は姒氏だった。
１１
帝禹立而舉皋陶薦之，且授政焉，而皋陶卒。封皋陶之後於英、六，或在許。而后舉益，任之政。
十年，帝禹東巡狩，至于會稽而崩。以天下授益。三年之喪畢，益讓帝禹之子啟，而辟居箕山之陽。禹子啟賢，天下屬意焉。及禹崩，雖授益，益之佐禹日淺，天下未洽。故諸侯皆去益而朝啟，曰：「吾君帝禹之子也」。於是啟遂即天子之位，是為夏后帝啟。
帝禹立ちて、皐陶を擧げて之を薦め、且に政を授けんとす。皐陶卒す。皐陶の後を英六に封ず。或は許に在り。而して后に�困鰄�げ、之に政を任す。十年にして帝禹東に巡狩し、會稽に至りて崩じぬ。天下を以て�困房�く。三年の喪畢り、�債諠擦了匏爾膜�りて辟て箕山の陽に居る。禹の子啓は賢なり。天下意を屬く。禹の崩ずるに及び�困房�くと雖も、�困例擦鮑瓦�ること日淺し。天下未だ洽からず。故に諸侯皆�困魑遒蠅董�啓に朝して曰く、「吾が君は帝禹の子なり。」と。是に於いて啓遂に天子の位に卽く。是を夏后帝啓と爲す。
帝禹が帝位について、皐陶を登用して天に薦め、まさに政治を任せようとした。皐陶が亡くなった。皐陶の子孫を英六に封じた。またある者は許にいた。そして�困鯏侏僂靴得�治を任せた。十年後、帝禹は東に巡幸して、會稽に至って崩御した。天下は�困棒�治を任せた。三年の喪が終わって、�困歪諠擦了劼侶爾望�って、箕山の南に住んだ。禹の子の啓は賢かった。天下は意を寄せていた。禹の崩御するに及んで、�困棒�治を任せると言っても、�困�禹を助けていたのはごくわずかの期間だった。天下に権威が広くいきわたらなかった。だから諸侯は皆�困里發箸魑遒辰董�啓に面会して言うには、「我らの君主は帝禹の子である。」と。そうして啓はとうとう天子の位についた。これを夏后帝啓とした。
十年，帝禹東巡狩，至于會稽而崩。以天下授益。三年之喪畢，益讓帝禹之子啟，而辟居箕山之陽。禹子啟賢，天下屬意焉。及禹崩，雖授益，益之佐禹日淺，天下未洽。故諸侯皆去益而朝啟，曰：「吾君帝禹之子也」。於是啟遂即天子之位，是為夏后帝啟。
帝禹立ちて、皐陶を擧げて之を薦め、且に政を授けんとす。皐陶卒す。皐陶の後を英六に封ず。或は許に在り。而して后に�困鰄�げ、之に政を任す。十年にして帝禹東に巡狩し、會稽に至りて崩じぬ。天下を以て�困房�く。三年の喪畢り、�債諠擦了匏爾膜�りて辟て箕山の陽に居る。禹の子啓は賢なり。天下意を屬く。禹の崩ずるに及び�困房�くと雖も、�困例擦鮑瓦�ること日淺し。天下未だ洽からず。故に諸侯皆�困魑遒蠅董�啓に朝して曰く、「吾が君は帝禹の子なり。」と。是に於いて啓遂に天子の位に卽く。是を夏后帝啓と爲す。
帝禹が帝位について、皐陶を登用して天に薦め、まさに政治を任せようとした。皐陶が亡くなった。皐陶の子孫を英六に封じた。またある者は許にいた。そして�困鯏侏僂靴得�治を任せた。十年後、帝禹は東に巡幸して、會稽に至って崩御した。天下は�困棒�治を任せた。三年の喪が終わって、�困歪諠擦了劼侶爾望�って、箕山の南に住んだ。禹の子の啓は賢かった。天下は意を寄せていた。禹の崩御するに及んで、�困棒�治を任せると言っても、�困�禹を助けていたのはごくわずかの期間だった。天下に権威が広くいきわたらなかった。だから諸侯は皆�困里發箸魑遒辰董�啓に面会して言うには、「我らの君主は帝禹の子である。」と。そうして啓はとうとう天子の位についた。これを夏后帝啓とした。
帝啓
夏后帝啟，禹之子，其母涂山氏之女也。
有扈氏不服，啟伐之，大戰於甘。將戰，作甘誓，乃召六卿申之。啟曰：「嗟！六事之人，予誓告女：有扈氏威侮五行，怠棄三正，天用勦絕其命。今予維共行天之罰。左不攻于左，右不攻于右，女不共命。御非其馬之政，女不共命。用命，賞于祖；不用命，僇于社，予則帑僇女。」遂滅有扈氏。天下咸朝。
夏后帝啓は禹の子なり。其の母は塗山氏の女なり。有扈氏服さず。啓之を伐ち、大いに甘に戰ふ。將に戰はんとす。甘誓を作り、乃ち六卿を召して之に申ぶ。啓曰く、「ああ、六事の人、予れ誓ひて女に告げん。有扈氏は五行を威侮し、三正を怠棄す。天用て其の命を勦絕す。今予れ維れ共して天の罰を行はん。左左を攻めず、右右を攻めず。女命を共まざるなり。御其馬の政に非ざるは、女命を共まざるなり。命を用ひば、命を祖に賞せん。命を用ひざれば、社に僇せん。予れ則ち汝を帑僇せん。」と。遂に有扈氏を滅す。天下咸夏后に朝す。
有扈氏 諸侯の名。 Wikipedia https://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E6%89%88%E...
甘 現在の中華人民共和国陝西省西安市鄠邑区甘亭鎮にあたる Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%98
夏后帝啓は禹の子である。その母は塗山氏の女である。諸侯の有扈氏が服さなかった。啓はこれを討伐し、大いに甘で戦った。まさに戦おうとするときに、甘誓という書を作った。そこで六人の将軍を召して述べた。啓が言うには「ああ、六人の将軍よ。わたしは誓ってお前たちに告げよう。有扈氏は五行を侮り、三正を怠けて放棄した。天はその行いから考えて、有扈を絶やそうとする。今わたしはこれに合わせて天罰を行おう。隊列の左側の兵士が弓で攻めず、右側の兵士が戈で攻めない。これは命令を聞いていないことになる。兵士の馬の乗りこなし方でないなら、これも命令を聞いていない。命令を聞いていれば、先祖の前で賞讃しよう。命令を聞かないなら、社の神の前で殺そう。わたしはただお前たちを殺すだけでなく、妻子も殺そう。」と。とうとう有扈氏を滅ぼした。天下の諸侯は皆来朝した。
有扈氏不服，啟伐之，大戰於甘。將戰，作甘誓，乃召六卿申之。啟曰：「嗟！六事之人，予誓告女：有扈氏威侮五行，怠棄三正，天用勦絕其命。今予維共行天之罰。左不攻于左，右不攻于右，女不共命。御非其馬之政，女不共命。用命，賞于祖；不用命，僇于社，予則帑僇女。」遂滅有扈氏。天下咸朝。
夏后帝啓は禹の子なり。其の母は塗山氏の女なり。有扈氏服さず。啓之を伐ち、大いに甘に戰ふ。將に戰はんとす。甘誓を作り、乃ち六卿を召して之に申ぶ。啓曰く、「ああ、六事の人、予れ誓ひて女に告げん。有扈氏は五行を威侮し、三正を怠棄す。天用て其の命を勦絕す。今予れ維れ共して天の罰を行はん。左左を攻めず、右右を攻めず。女命を共まざるなり。御其馬の政に非ざるは、女命を共まざるなり。命を用ひば、命を祖に賞せん。命を用ひざれば、社に僇せん。予れ則ち汝を帑僇せん。」と。遂に有扈氏を滅す。天下咸夏后に朝す。
有扈氏 諸侯の名。 Wikipedia https://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E6%89%88%E...
甘 現在の中華人民共和国陝西省西安市鄠邑区甘亭鎮にあたる Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%98
夏后帝啓は禹の子である。その母は塗山氏の女である。諸侯の有扈氏が服さなかった。啓はこれを討伐し、大いに甘で戦った。まさに戦おうとするときに、甘誓という書を作った。そこで六人の将軍を召して述べた。啓が言うには「ああ、六人の将軍よ。わたしは誓ってお前たちに告げよう。有扈氏は五行を侮り、三正を怠けて放棄した。天はその行いから考えて、有扈を絶やそうとする。今わたしはこれに合わせて天罰を行おう。隊列の左側の兵士が弓で攻めず、右側の兵士が戈で攻めない。これは命令を聞いていないことになる。兵士の馬の乗りこなし方でないなら、これも命令を聞いていない。命令を聞いていれば、先祖の前で賞讃しよう。命令を聞かないなら、社の神の前で殺そう。わたしはただお前たちを殺すだけでなく、妻子も殺そう。」と。とうとう有扈氏を滅ぼした。天下の諸侯は皆来朝した。
帝太康・帝中康・帝相・帝少康・帝予・帝槐・帝芒・帝泄・帝不降・帝扃・帝厪・帝孔甲
夏后帝啟崩，子帝太康立。帝太康失國，昆弟五人，須于洛汭，作五子之歌。
太康崩，弟中康立，是為帝中康。帝中康時，羲、和湎淫，廢時亂日。胤往征之，作胤征。
中康崩，子帝相立。帝相崩，子帝少康立。帝少康崩，子帝予立。帝予崩，子帝槐立。帝槐崩，子帝芒立。帝芒崩，子帝泄立。帝泄崩，子帝不降立。帝不降崩，弟帝扃立。帝扃崩，子帝廑立。帝廑崩，立帝不降之子孔甲，是為帝孔甲。帝孔甲立，好方鬼神，事淫亂。夏后氏��衰，諸侯畔之。天降龍二，有雌雄，孔甲不能食，未得豢龍氏。陶唐既衰，其后有劉累，學擾龍于豢龍氏，以事孔甲。孔甲賜之姓曰御龍氏，受豕韋之後。龍一雌死，以食夏后。夏后使求，懼而遷去。
帝啓崩じて、子の帝太康立つ。帝太康国を失ふ。昆弟五人、洛汭に須つ。五子の歌を作る。太康崩じて、弟中康立つ。是を帝中康と爲す。帝中康の時、義和湎淫し、時を廃て、日を亂す。胤往きて之を征す。胤征を作る。中康崩じて、子の帝相立つ。帝相崩じて、子の帝少康立つ。帝少康崩じて、子の帝予立つ。帝予崩じて、子の帝槐立つ。帝槐崩じて、子の帝芒立つ。帝芒崩じて、子の帝泄立つ。帝泄崩じて帝不降立つ。帝不降崩じて、弟帝扃立つ。帝扃崩じて、子の帝厪立つ。帝不降の子の孔甲立つ。是を帝孔甲と爲す。帝孔甲立つ。好みて鬼神に方らべ淫亂を事とす。夏后氏徳衰へ、諸侯之に畔く。天龍二を降す。雌雄有り。孔甲食なふこと能はず。未だ豢龍氏を得ず。陶唐卽に衰へ、其の後に劉累有り。龍を擾くことを豢龍氏に學び、以て孔甲に事ふ。孔甲之に姓を賜ひて、御龍氏と曰ふ。豕韋の後を受く。龍に一雌死す。以て夏后に食はしむ。夏后求めしめ、懼れて遷り去る。
【関連】 羿 太康に反乱を起こした。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%BF
夏朝君主列表
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%8F%E6%9C%9D%E...
帝啓が崩御して、子の帝太康が即位した。帝太康は反乱で国を追い出された。兄弟の五人が、洛水のほとりで待っていた。五子の歌というのを作った。太康が崩御して、弟の中康が即位した。これを帝中康とした。帝中康の時、義氏・和氏が酒におぼれて、仕事を捨てて、暦を乱した。胤国の君主が遠征してこれを征伐した。胤征という書を作った。中康が崩御して、子の帝相が即位した。帝相が崩御して、子の帝少康が即位した。帝少康が崩御して、子の帝予が即位した。帝予が崩御して、子の帝槐が即位した。帝槐が崩御して、子の帝芒が即位した。帝芒が崩御して、子の帝泄が即位した。帝泄が崩御して、帝不降が即位した。帝不降が崩御して、弟の帝扃が即位した。帝扃が崩御して、子の帝厪が即位した。帝不降の子の孔甲が即位した。是を帝孔甲とした。帝孔甲が即位した。好んで鬼神をまねて乱暴した。夏后氏の徳は衰え、諸侯は夏に背いた。天から龍が二頭降りてきた。雌雄のつがいだった。孔甲食は養うことができなかった。龍を養える豢龍氏を登用することができなかった。堯の子孫の陶唐氏は衰えていたが、その子孫に劉累という者がいた。龍を飼育することを豢龍氏から学んだので、孔甲に仕えた。孔甲は劉累に姓を賜って、御龍氏と言った。豕韋の地を継がせて封じた。龍の雌が死んだ。それを夏后に食べさせた。夏后はもっと龍の肉を求めさせたので、劉累はそれが恐ろしくて違う場所へ逃げ去った。
太康崩，弟中康立，是為帝中康。帝中康時，羲、和湎淫，廢時亂日。胤往征之，作胤征。
中康崩，子帝相立。帝相崩，子帝少康立。帝少康崩，子帝予立。帝予崩，子帝槐立。帝槐崩，子帝芒立。帝芒崩，子帝泄立。帝泄崩，子帝不降立。帝不降崩，弟帝扃立。帝扃崩，子帝廑立。帝廑崩，立帝不降之子孔甲，是為帝孔甲。帝孔甲立，好方鬼神，事淫亂。夏后氏��衰，諸侯畔之。天降龍二，有雌雄，孔甲不能食，未得豢龍氏。陶唐既衰，其后有劉累，學擾龍于豢龍氏，以事孔甲。孔甲賜之姓曰御龍氏，受豕韋之後。龍一雌死，以食夏后。夏后使求，懼而遷去。
帝啓崩じて、子の帝太康立つ。帝太康国を失ふ。昆弟五人、洛汭に須つ。五子の歌を作る。太康崩じて、弟中康立つ。是を帝中康と爲す。帝中康の時、義和湎淫し、時を廃て、日を亂す。胤往きて之を征す。胤征を作る。中康崩じて、子の帝相立つ。帝相崩じて、子の帝少康立つ。帝少康崩じて、子の帝予立つ。帝予崩じて、子の帝槐立つ。帝槐崩じて、子の帝芒立つ。帝芒崩じて、子の帝泄立つ。帝泄崩じて帝不降立つ。帝不降崩じて、弟帝扃立つ。帝扃崩じて、子の帝厪立つ。帝不降の子の孔甲立つ。是を帝孔甲と爲す。帝孔甲立つ。好みて鬼神に方らべ淫亂を事とす。夏后氏徳衰へ、諸侯之に畔く。天龍二を降す。雌雄有り。孔甲食なふこと能はず。未だ豢龍氏を得ず。陶唐卽に衰へ、其の後に劉累有り。龍を擾くことを豢龍氏に學び、以て孔甲に事ふ。孔甲之に姓を賜ひて、御龍氏と曰ふ。豕韋の後を受く。龍に一雌死す。以て夏后に食はしむ。夏后求めしめ、懼れて遷り去る。
【関連】 羿 太康に反乱を起こした。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%BF
夏朝君主列表
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帝啓が崩御して、子の帝太康が即位した。帝太康は反乱で国を追い出された。兄弟の五人が、洛水のほとりで待っていた。五子の歌というのを作った。太康が崩御して、弟の中康が即位した。これを帝中康とした。帝中康の時、義氏・和氏が酒におぼれて、仕事を捨てて、暦を乱した。胤国の君主が遠征してこれを征伐した。胤征という書を作った。中康が崩御して、子の帝相が即位した。帝相が崩御して、子の帝少康が即位した。帝少康が崩御して、子の帝予が即位した。帝予が崩御して、子の帝槐が即位した。帝槐が崩御して、子の帝芒が即位した。帝芒が崩御して、子の帝泄が即位した。帝泄が崩御して、帝不降が即位した。帝不降が崩御して、弟の帝扃が即位した。帝扃が崩御して、子の帝厪が即位した。帝不降の子の孔甲が即位した。是を帝孔甲とした。帝孔甲が即位した。好んで鬼神をまねて乱暴した。夏后氏の徳は衰え、諸侯は夏に背いた。天から龍が二頭降りてきた。雌雄のつがいだった。孔甲食は養うことができなかった。龍を養える豢龍氏を登用することができなかった。堯の子孫の陶唐氏は衰えていたが、その子孫に劉累という者がいた。龍を飼育することを豢龍氏から学んだので、孔甲に仕えた。孔甲は劉累に姓を賜って、御龍氏と言った。豕韋の地を継がせて封じた。龍の雌が死んだ。それを夏后に食べさせた。夏后はもっと龍の肉を求めさせたので、劉累はそれが恐ろしくて違う場所へ逃げ去った。
帝皐・帝發・帝桀
孔甲崩，子帝皋立。帝皋崩，子帝發立。帝發崩，子帝履癸立，是為桀。帝桀之時，自孔甲以來而諸侯多畔夏，桀不務��而武傷百姓，百姓弗堪。乃召湯而囚之夏臺，已而釋之。湯修��，諸侯皆歸湯，湯遂率兵以伐夏桀。桀走鳴條，遂放而死。桀謂人曰：「吾悔不遂殺湯於夏臺，使至此。」湯乃踐天子位，代夏朝天下。湯封夏之後，至周封於杞也。
孔甲崩じて、帝皐立つ。帝皐崩じて、子の帝發立つ。帝發崩じて、子の帝履癸立つ。是を桀と爲す。帝桀の時、孔甲より以来、諸侯多く畔く。夏桀徳を務めず、百姓を武傷す。百姓耐えず。湯を召して之を夏臺に囚ふ。已にして之を釋す。湯徳を修め、諸侯皆湯に歸す。湯遂に兵を率ゐ以て夏桀を伐つ。桀鳴條に走り、遂に放たれて死にぬ。桀人に謂て曰く、「吾れ遂に湯を夏臺に殺さずして此に至らしめして悔ゆ。」と。湯乃ち天子の位を踐みて、夏に代りて天下を朝せしむ。湯夏の後を封ず。周に至り杞に封ぜらる。
湯 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E4%B9%99
夏臺 中国夏王朝の桀王によって築かれた牢獄。 中国神話伝説ミニ事典/地名編 http://flamboyant.jp/prcmini/prcplace/prcplace031/...
孔甲が崩御して、帝皐が即位した。帝皐が崩御して、子の帝發が即位した。帝發が崩御して、子の帝履癸が即位した。これを桀といった。帝桀のとき、孔甲から、多くの諸侯が離反した。夏の桀は徳を修めず、人民を乱暴して傷つけた。人民は耐えきれなかった。諸侯であった湯を召して牢屋に捕らえた。しかししばらくして湯は釈放された。諸侯は皆湯に服従した。湯はとうとう兵を率いて夏の桀を征伐した。桀は鳴條に逃げたが、遂に放伐されて死んでしまった。桀がある人に言うには、「私がとうとう湯を牢屋で殺さなかったからこのような事態に至ってしまった、殺さなかったのを後悔している。」と。湯は天子の位について、夏に代わって天下を治めた。湯は夏の王家の子孫を諸侯として封じた。周の時代になって、杞に封ぜられた。
孔甲崩じて、帝皐立つ。帝皐崩じて、子の帝發立つ。帝發崩じて、子の帝履癸立つ。是を桀と爲す。帝桀の時、孔甲より以来、諸侯多く畔く。夏桀徳を務めず、百姓を武傷す。百姓耐えず。湯を召して之を夏臺に囚ふ。已にして之を釋す。湯徳を修め、諸侯皆湯に歸す。湯遂に兵を率ゐ以て夏桀を伐つ。桀鳴條に走り、遂に放たれて死にぬ。桀人に謂て曰く、「吾れ遂に湯を夏臺に殺さずして此に至らしめして悔ゆ。」と。湯乃ち天子の位を踐みて、夏に代りて天下を朝せしむ。湯夏の後を封ず。周に至り杞に封ぜらる。
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夏臺 中国夏王朝の桀王によって築かれた牢獄。 中国神話伝説ミニ事典/地名編 http://flamboyant.jp/prcmini/prcplace/prcplace031/...
孔甲が崩御して、帝皐が即位した。帝皐が崩御して、子の帝發が即位した。帝發が崩御して、子の帝履癸が即位した。これを桀といった。帝桀のとき、孔甲から、多くの諸侯が離反した。夏の桀は徳を修めず、人民を乱暴して傷つけた。人民は耐えきれなかった。諸侯であった湯を召して牢屋に捕らえた。しかししばらくして湯は釈放された。諸侯は皆湯に服従した。湯はとうとう兵を率いて夏の桀を征伐した。桀は鳴條に逃げたが、遂に放伐されて死んでしまった。桀がある人に言うには、「私がとうとう湯を牢屋で殺さなかったからこのような事態に至ってしまった、殺さなかったのを後悔している。」と。湯は天子の位について、夏に代わって天下を治めた。湯は夏の王家の子孫を諸侯として封じた。周の時代になって、杞に封ぜられた。
評論
太史公曰：禹為姒姓，其後分封，用國為姓，故有夏后氏、有扈氏、有男氏、斟尋氏、彤城氏、褒氏、費氏、杞氏、�啝瓠⊃瓢瓠¬住瓠�斟（氏）戈氏。孔子正夏時，學者多傳夏小正云。自虞、夏時，貢賦備矣。或言禹會諸侯江南，計功而崩，因葬焉，命曰會稽。會稽者，會計也。
太史公曰く、「禹を姒姓と爲す。其の後分れ封ぜられ國を用て姓と爲す。故に夏后氏・有扈氏・有男氏・斟尋氏・彤城氏・襃氏・費氏・杞氏・�啝瓠�辛氏・冥氏・斟氏・戈氏有り。孔子夏の時を正しとす。學者多く夏小正を傳ふと云ふ。虞夏の時より、貢賦備れり。或は言ふ、「禹諸侯を江南に會し功を計りて崩じぬ。因りて葬る。命けて會稽と曰ふ。會稽とは會計なり。」と。
太史公が言うには、「禹は姓を姒姓とした。その子孫は分れて封ぜられ国名を使って姓とした。だから夏后氏・有扈氏・有男氏・斟尋氏・彤城氏・襃氏・費氏・杞氏・�啝瓠�辛氏・冥氏・斟氏・戈氏がいる。孔子は夏の歴を正しい歴とした。学者の多くは夏小正という書を遺したと言っている。虞夏の時より、貢物と租税の制度が備わった。ある人はこう言っている、「禹は諸侯に江南で会って功績を考えているときに崩御した。だからその地で葬った。名づけて會稽といった。會稽とは會計のことだ。」と。
太史公曰く、「禹を姒姓と爲す。其の後分れ封ぜられ國を用て姓と爲す。故に夏后氏・有扈氏・有男氏・斟尋氏・彤城氏・襃氏・費氏・杞氏・�啝瓠�辛氏・冥氏・斟氏・戈氏有り。孔子夏の時を正しとす。學者多く夏小正を傳ふと云ふ。虞夏の時より、貢賦備れり。或は言ふ、「禹諸侯を江南に會し功を計りて崩じぬ。因りて葬る。命けて會稽と曰ふ。會稽とは會計なり。」と。
太史公が言うには、「禹は姓を姒姓とした。その子孫は分れて封ぜられ国名を使って姓とした。だから夏后氏・有扈氏・有男氏・斟尋氏・彤城氏・襃氏・費氏・杞氏・�啝瓠�辛氏・冥氏・斟氏・戈氏がいる。孔子は夏の歴を正しい歴とした。学者の多くは夏小正という書を遺したと言っている。虞夏の時より、貢物と租税の制度が備わった。ある人はこう言っている、「禹は諸侯に江南で会って功績を考えているときに崩御した。だからその地で葬った。名づけて會稽といった。會稽とは會計のことだ。」と。
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