戦いを起こしたのはセリーナであったが、実際の戦闘では、まず神聖帝国軍が先手を取ることとなる。
ラビー隊、カレン隊、グレイアス隊が一糸乱れぬ連携を見せるのに対して、やや連携を欠く帝国前衛部隊間、カレン隊はそれを見逃さず、ラディス隊へ強引に突破にかかった。
同僚と戦うことにまだ躊躇のあったラディスは、迷いなく突撃してくるカレンの前に、部隊が混乱する。
更に、陣形の瞬時変化の手腕に定評のあるユウ将軍は、周囲の部隊をまるで自分の部隊の様に操って、カレンの防波堤とする。
これに対してイリスは、大きく迂回してカレン部隊の側面を狙おうとするが、それより早くカレンがセリーナの本陣に肉薄。これを親衛隊であるネルが迎え討つ。
神聖帝国がこのまま押し切るかと思われたが、それまで沈黙を守り続けていたアリスがカレン部隊を撃退し、そのまま一気にルディの本陣を目指す。
ユウ、ラビーがこれを迎え撃つべく別動隊を送るが、ユウの陣形応用術を逆手にとって、アリスが逆に二人を包囲して殲滅に入り、更に救援に来たカレン部隊までもアリスの張った罠に取り込まれて危機を迎える。
同時刻、紅が、伝令に変装してオーディスの暗殺を狙うが、これは間一髪でオーディスが回避する。
それでも、アリスによる猛攻により、アリサ部隊が半壊、神聖帝国軍は一度は敵本陣にまで迫った勢いから一転して崩壊寸前まで押し込まれる。
逆転の手も見当たらず、このまま戦いが続けば、神聖帝国軍は崩壊するかと思われたが、そこで突如セリーナからの全軍撤退命令が下され、勝利を目前にしながら撤退することとなった。
突然の撤退命令、それは、帝都から届いた報告が原因であった。
「帝都にてキリカが蜂起、最初からルディと内通しており、リングオブクラウンも手中にして、ルディを迎え入れる準備に入った」というものであった。
これは、ミナが帝都に潜入して実行した偽情報であったが、その偽情報を簡単に信じてしまった事実が、セリーナとキリカの信頼関係が既に全く存在しなかったことを内外に知らしめることとなった。
こうして、両軍の決戦は、セリーナが勝利を目前としながら、ミナの謀略によって撤退し、決着をつけることができず、両軍の屍だけを晒したが、セリーナが、既に諸将との信頼関係を失っていることを神聖帝国が知る重要なきっかけにはなった。
また、アリスの武勇は、「まさに戦女神」として国外にまで響き渡り、後世に至るまで常勝の代名詞となった。
「帝都にてキリカが蜂起、最初からルディと内通しており、リングオブクラウンも手中にして、ルディを迎え入れる準備に入った」というものであった。
これは、ミナが帝都に潜入して実行した偽情報であったが、その偽情報を簡単に信じてしまった事実が、セリーナとキリカの信頼関係が既に全く存在しなかったことを内外に知らしめることとなった。
こうして、両軍の決戦は、セリーナが勝利を目前としながら、ミナの謀略によって撤退し、決着をつけることができず、両軍の屍だけを晒したが、セリーナが、既に諸将との信頼関係を失っていることを神聖帝国が知る重要なきっかけにはなった。
また、アリスの武勇は、「まさに戦女神」として国外にまで響き渡り、後世に至るまで常勝の代名詞となった。
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