1月23日、
ベルザフィリス国艦隊は、要塞への夜襲を計画して、深夜に密かに要塞に接近する。
この時、
ネイゲイは、艦影発見の報告を聞くと、本国から
ガイナルス艦隊が援軍に来たと勘違いし、「我ドラゴンファントム、援軍感謝する」と光信号を送り、旗艦の居場所を自ら敵軍に教えてしまう。
なぜ彼が艦影を確認もせず援軍と決めつけたのか、
ディルセアが援軍が迫っているという偽書状を送っていたという説もあるが、単に
ネイゲイがそれだけ迂闊で無能な人間であったという説もあり、真相は謎である。
これにより、
ベルザフィリス艦隊は一斉に攻撃を開始、
ルッダリザ艦隊は不意打ちをくらって緒戦から大損害を出す。
しかし、
フェザリアードの
サイリオン艦隊が現れると、一転して
ザルド艦隊は苦戦を強いらるが、この混戦の中で奇跡への布石が生まれる。
風に乗った流れ矢が、甲板から戦局を見ていた
フェザリアードの左目を貫き、彼は一時的に戦線から離脱する。
それでも、
エンパイアコスモスに取り付くことはできず艦隊は後退。
海戦そのものはまたしても
ベルザフィリス国軍の敗北であったが、
ルッダリザ艦隊を完全に沈黙させる事には成功、
ベルザフィリス国軍はザルド、ムーン両艦隊の残存艦艇を合流させ、最後の艦隊戦を仕掛けることとなった。
決戦は1月26日、後のない
ベルザフィリス国軍は、全艦隊をもって
エンパイアコスモスに総力決戦を挑む。
イェーガは、艦隊特攻を決意すると、
ムーン艦隊を
ベインに託し、自らは機動力に優れた
ザルド艦隊に移動する。
一方
フェザリアードは、目の負傷を理由についに艦隊指揮権まで剥奪され、
エンパイアコスモス要塞に駐屯する陸上部隊の指揮を命じられる。
こうして、海の名将不在の海域で両軍が至近距離で入り乱れた大混戦となると、互いの艦に抜刀隊を乗り込ませての壮絶な白兵戦が続き、
フェザリアード子飼いの将も次々と戦死を遂げる。
ルッダリザ艦隊は
イェーガ率いる
ザルド艦隊の特攻に近い猛攻撃を受けて次々と沈没、艦隊の性能をいかせないまま旗艦ドラゴンファントムは海の藻屑となり、
ネイゲイも戦死する。
だが、
イェーガも、
エンパイアコスモスへの突破口を開く突撃を仕掛け、艦と運命を共にする。
ベインの乗艦も轟沈し、既に艦隊戦は互いに指揮系統を失い、収拾の付かない乱戦となり、
エンパイアコスモスに上陸した部隊と防衛軍の白兵戦がはじまっていた。
フェザリアードは要塞にて最後の指揮をとるが、艦隊を率いてこそ羽ばたく彼も、要塞守備の白兵戦においてはもはや翼をもがれた存在でしかなく、彼の子飼いの将で、最後に残った
セルシアも要塞内の戦いで瓦礫の下敷となり、
フェザリアードは艦隊を奪われた悲劇の海将としての名を残しながら、炎上し、崩壊していく要塞と共に果てた。
艦隊の質、量、有数な海将、全てにおいて
アル国が優勢であったにも関わらず、戦いは
ベルザフィリス国の辛勝で幕を下ろした。
- アル国が、自らエンパイアコスモスに篭って行動の制限を作った。
- ルッダリザ艦隊の指揮権をフェザリアードから取り上げた。
- ネイゲイが勘違いから旗艦の場所を敵に知らせ、緒戦で大損害を出した。
- 風にのった偶然の流れ矢によりフェザリアードが地上部隊に回された。
この戦いは、「勝因なき勝利はあるが、敗因なき敗北はありえない」ことの教訓とされ、後世に語り継がれているが、同時に
イェーガの特攻が偶然うまくいったという、幸運の要素も大きく、奇跡と幸運に満ちた大勝利であった。