The"BellKnight series"

 ――魔魂

大地の中に眠る魂は
その大地から司る情報を吸収する
それは力でもあり知識でもあり感情でもある

魔魂はその魂が球体となり具現化された存在

この世界、大地の中には数多くの魔魂が眠っている

人々はその魔魂を発見してから
時間の流れと共に魔魂を自らの力と変える術を手にした

魔剣鍛冶

魔魂を加工し人の姿へと変えてしまう技法
眠っていた魔魂を剣に加工する事で
特殊な反応が起こり、剣は人の形へと変化する
火を司る魔魂から作り出された場合は
火を自在に操る存在…人の形をした魔剣が誕生する

人ではない、よって魔剣は歳を取らない

この世界には多くの魔魂が存在する
その存在に危険を感じた漆黒の魔王は
世界から光を奪い、全てを消し去ろうとした

情報が無ければ魔魂も育たないと考えたからだ

ゆっくりと視線を下へと移す

「闇は心を落ち着かせる」

世界を漆黒に包んでから約半日が経過した
漆黒の魔王は包まれた闇の世界を
奪い取った城の窓から眺めている

「90%といったところか」

魔王が闇を世界に放ち
人々はその力で闇の中に引きずり込まれた
しかし――中にはそれに抵抗出来る者も居る
漆黒獣による追撃がその存在を狙う

「生意気な……、
 だが時間の問題だ」

王座に再び腰掛けると魔王は肘をついた

「漆黒の闇は少しずつ体を蝕む、
 力を奪われていくお前達に未来は無い」

世界で微かに抵抗を続けている、戦い続けている者達がいる
確かに世界は漆黒の闇によって包み込まれた
しかし完全に――というわけでは無かった
世界は最後の力を振り絞り漆黒と戦いを続けていた

「攻撃のミキシング、
 ショコラバングボム!」

闇の中で小さな隕石が降り注ぎ爆発が起こる
高等攻撃魔法であるショコラバングボムを
ミキシングと呼ばれる混合術で唱え漆黒獣にお見舞いした女性は
次の混合術に備えて準備をする

高等な魔法は高い魔力を持った者にしか扱えない

それをミキシング、混合術は
特殊な材料を混合し魔力と共に使う事で使用可能にする

ヴァング大陸の中でベステン区域と呼ばれる場所に
古くから伝えられ続けている技術の一つだ

爆発の中から漆黒獣が飛び出した

「元気な子が居るわね」

そう言うと右手に持った輝く石に魔力を注入する

「ミキシング」

石が魔力の中に溶けると同時に右手全体が光りに包まれた

「ホーリーレイ!」

右手から放たれた光のレーザー光線が漆黒獣を貫いた

「美味しく無さそうな串焼きね」

間を空けずにさらに別の漆黒獣が攻撃を仕掛ける
体の向きを漆黒獣の方向にゆっくりと向き直すと同時に
今度は青色に輝く石に魔力を込めた

「メーアスプラッシュ」

発生した大津波が敵を一掃する
これもショコラバングボムと同じく
高等攻撃魔法の一種、簡単に扱えるような魔法では無い

「何のつもりか知らないけど
 ベステンはあたしが居る限り陥落しない」

ベステン区域には古くから伝わる詩がある

風に吹かれてベステン区域
私は見習い混合師

混合師とはベステン区域を拠点にしている
混合術ミキシングを用いて戦う者達を指す

一瞬で漆黒獣達を倒したこの女性
彼女の名前は エーデルワイス
現在ベステン区域で一番有名な実力のある若き混合師だ


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