The"BellKnight series"

「ハッハッハッハ!
 そうか、ご苦労だったな」

漆黒の魔王はさらに言葉を続ける

「月の女神は月から出られない、
 だからこうしてお前を派遣したわけだ」

漆黒の魔王が言う台詞には耳を貸さずに
カサシスクは魔王の元へと駆け出した
同時に無極も背後から魔王を狙う
漆黒の魔王を挟んだ状態のまま
二人は魔王との距離を一気に縮めて行く
最初からフルスロットル
相談した訳じゃない、そう体が動いた

「この戦いは俺の勝ちだな月の女神!」

両手を挙げ窓から見える月に漆黒の魔王は叫んだ

「女神様の悪口言うんじゃねぇ!」

アメリィの怒声と同時にカサシスクが剣を振りぬくと
魔王の体を月光色の剣閃が斬り抜けた

「ジェットブラック」

ダメージを受けながら魔王が反撃の体勢を取る
「烈空閃、倭姫命(やまとひめのみこと)!」
それを阻止するかの様に無極が追撃を入れるが
魔王の反撃を止める事は出来ない

「カーテンコール」

一面が漆黒に包まれる
慣れていたはずの闇はさらに深さを増し
カサシスク達の視界を完全に塞いだ

「まずいぜカサシスク、視界を確保しないと」

その言葉が終わらない間にカサシスクは駆け出した
自分を包む闇を振りほどくために
しかしその狙いは即座に潰されてしまう

「ぐっ」

突然カサシスクの体に痛みが走る

「きゃぁぁぁ」

カサシスクの断末魔が闇の中で響いた
漆黒の魔王が使ったカーテンコールは
対象を闇の中に閉じ込め無数の闇の斬撃で
闇の中の対象を刻み殺す技だ
大ダメージを受けたカサシスクが
普段絶対に出さない叫び声を出した
その現実がアメリィを焦らせる

「このままじゃヤバイ、無極なんとかしろ!」
「すでに手は打ってある」

アメリィの頼みを受けた無極が
静かに刀を頭上から振り下ろす

「気断の太刀」

音も無く漆黒の魔王による攻撃
ジェットブラックカーテンコールの闇が
無極の振り下ろした刃に切られたかの如く消滅した

「相手が大気であるなら、拙者の領域」
「カサシスク!おい大丈夫かっ!!」
「くっ――」

漆黒の魔王がこちらを見て微笑む

「それがどうした?さぁもう一度来い」

その余裕ある態度とは違い
カサシスク達に迫り来る圧迫感に
カサシスクと無極は動けない

「ジェットブラック」
漆黒の魔王が再び魔法の準備に入る
「アロービリオン」
再び無数の漆黒で形成された弓矢が出現し
こちらに向かって飛来する

「とにかく戦うしかないぞ」
「分かっている!」
無極の言葉にカサシスクが返すと
二人同時に弓矢に向かって駆け出した
弓矢を避けて魔王を攻撃する為に

「無駄だ、避けれるものか」

魔王の言葉の通り、アロービリオンは高速攻撃技
肉眼で無数の弓矢を避ける事など出来るわけがない

「言ったはずよ?それはもう効かないって」

戦いに割って入った声がそう言った
「攻撃のミキシング!」
「メーアスプラッシュ!!」
混合師エーデルワイスの混合術
メーアスプラッシュによって生まれた波が
弓矢を全て飲み込んで行く

「死に損ないが」
「そうねっ!回復のミキシング!!」

すぐに回復のミキシングに入るエーデルワイス
輝石を使っての連続のミキシングは難易度が高く
並居る混合師達の中でも扱える者は少ない

「トワイライトポーション!」

エーデルワイスの混合術で
カサシスクの傷が一気に治っていく

「助かる」
「チィッ!」

再び力を取り戻したカサシスクは
全力で漆黒の魔王を一閃する

「烈空閃、倭姫命(やまとひめのみこと)!」

「グアアアアアアアア!!」

手負いと踏んで油断した漆黒の魔王に
全力の二人同時攻撃がクリーンヒットした

「なんだこの攻撃はっ!?」
「気付いたか」

困惑の表情を浮かべる魔王から距離を取り
アメリィブレイカーがさらに続ける

「オレは月の聖剣
 アメリィブレイカー」
「お前みたいな闇野郎には
 抜群の威力を誇る光の化身だ」

アメリィの言葉に魔王がイラつき始める

「なるほどな、
 月の女神がお前に全てを
 託した意味が分かった」
「お前……名前は何だ?」

魔王の質問にカサシスクは剣を構えたまま答える

「ルナの騎士、カサシスク」

そのカサシスクを魔王は凄まじい表情で睨みつける

「お前は邪魔だ、
 遊びはやめて一気に片付けてやる」

魔王の言葉に対して
カサシスクが魔王に向けて走り出す

答える必要なんて無かった
漆黒の魔王を倒す
その為だけにここまで来たのだから


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