バックストーリー
「魔素は足りてる・・・問題は術式の方ですの?なんでうまくいかないのかしら・・・」
ビーニの研究室には魔法陣が描かれた数え切れない紙が散らばっている。
明日は魔法学校の期末試験。
しかしビーニは最後の課題に頭を抱えていた。
「あら、ビーニまだやってたの?もう寮のご飯冷めてるよー?」
同級生の女の子は、ビーニとは違い余裕の表情を浮かべている。
「そんな事言ったって、落第しちゃったらまた1年やり直しじゃない」
少し涙目になりつつあるビーニに同級生は笑顔で答える。
「大丈夫よ!噂では帝国軍がマーニルの方まで来てるから、もうすぐ学校どころじゃなくなるだろうしね!」
「え?ちょっと待ってください!それって本当ですの!?」
ガルヴァンド帝国。
急に力を付けた北国が、王都を陥落させたという噂はビーニの耳まで届いていた。
「うん・・・。本当みたい。もしそうなったら・・・こうやって一緒に研究もできなくなるのかなぁ?」
「そんなのは嫌ですわ・・・!」
「噂では、学長が帝国と戦う方針を固めてるって。私は兵士に志願するつもり。これでも、マジシャンの端くれだしね!」
突然、ビーニは真剣な顔で身支度を始めた。
「私もその兵士に志願するわ!あなただけに戦わせるなんてできないですもの!」