バックストーリー
「ちょっとドジ踏んじゃったかな・・・。」
2頭のオオカミが今にも飛びついて来そうな顔で私を見ている。
泥に足を取られて上手く体勢を整えられない。
短剣は不意打ちで落としてしまった。
丸腰ってこの事だ。
1頭が草を飛び越え襲いかかってくる。
歯を食いしばって出来る限り構えた・・・。
「私の友達に手を出すなぁあああ!」
突然叫び声が聞こえたかと思うと、あいつが飛び出してきた。
私に襲いかかってきたオオカミは巨大な盾で押し飛ばされ、大木を揺らした。
なんだ・・・そんな大きな声出せるんじゃん。
「助かったよ・・・ありがとう」
彼女はギリギリと歯を食いしばり、オオカミに威圧を続ける。
それを見たオオカミは後ずさりして森の奥へ消えていった。
彼女の表情から緊張が抜けていく。
ほっとした所で視線が私へと向く。
「もーいきなり一人で突っ込まないでよ!私の足じゃベリアに追いつけないんだよ!?今も大分危なかったし・・・もしもの事が・・・」
さっきまでの表情が嘘のように、どんどん顔が曇り、ついには泣き出す彼女。
「ごめん、ごめん!でもミーネが、守ってくれたお陰で私はピンピンしてるよ!おい、泣くなよ!相変わらず泣き虫だなぁ」
「うぅ・・・誰のせいだと思ってるのよぉ!」
「あはは!ごめんごめん!痛い!やめろって!叩くな・・・痛いって!」
きっかけはあの時。
大粒の涙を流しながらポコポコと叩いている彼女は・・・・・・
私の背中を守ってくれる、大切な友達。