「おらぁタスク! もっと気合入れてやれ!!」
体育の時間。今日もカチーナ先生の怒声が体育館に響く。
「俺はいつでも真面目ッスよ?」
こちら、怒鳴られランキング単独首位のタスク君。いつものように軽口で返す。
「ほう…真面目ってのはサーブや3ポイント狙いの時だけか? もっと球に食らいついてだな」
「……(タマに? なんかやな言いかただなぁ)」
「何にやけてんだ? そうか、そんなに元気があるなら…」
ゆでダコのように真っ赤な顔でこめかみをひくつかせていた先生、お調子者をびしぃ!と指差して言い放つ。
「お前、今日居残り決定!! 基礎から鍛えてやる」
「ええ〜〜!?」
ああ〜、といった感じで顔を見合わせる級友の皆さん。
「とうとう居残りか。いつかこうなるとは思ってたけど」
「どんなきつい特訓なんだろう?」
「無傷じゃ帰れない方にジュース1本!」
「おい、それは賭けになるのか?」
などと好き勝手言っている。ずいぶん友達思いなようで。
「うっさいぞお前ら! ほら、とっとと片付けろ!」
「「「「はーい」」」」

「あー、ついてねぇな。遊ぶ予定がパァだぜ」
「運が悪かったな。でも、どうしていつも余計なこと言うんだ?」
「ん〜、何でだろ?」
放課後の廊下。友人のブリット相手にぼやきながら歩くジャージ姿のタスク。
「まぁそんなわけだから、他の連中に話しといてくれよ」
「お前だけ残して遊びには行けないだろ。俺も試合が近いし、自主練してくる」
袋に入った竹刀を握り締めるブリット。
「熱心だねぇ。俺のこたぁ気にしなくていいのに」
そこへやって来たのは、やはり悪友のリュウセイとリョウト。
「よう、聞いたぜ。これからお仕置きなんだって?」
「リュウセイ君、お仕置きじゃなくて個人指導だよ」
「どっちでも似たようなもんだけどな……。悪ぃけど、今日はお前らだけで遊びに行ってくれや」
「残念だなぁ……じゃ買い物だけしてこうか?」
「そうだな、新作ゲームでも見に行くか。タスク、また今度遊ぼうぜ」

「じゃ練習してくる。そっちも頑張れよ」
「おう、また明日〜」
剣道場に向かうブリットを見送り、体育館の方へ歩き出す。と、
「あ〜ら、背中がすすけてるわよん?」
脳天気に声をかけたのはエクセレン先生。ブラウスとタイトミニに白衣など羽織っている。
「聞いたわよー、これから個人授業なんですって? いけない人ね♪」
「耳が早いッスね。でも、どうせならエクセ先生に個人授業してもらいたいなー…なんて」
「そうねぇ、成績表が真っ赤っかになってもいいなら、してあげるわよ」
「……また今度でいいッス」

「遅いぞ! まぁ、逃げずに来ただけよしとしてやる」
体育館の真ん中には、いつものように真っ赤なジャージに身を固めたのカチーナ先生がお待ちかねであった。
「(逃げたりしたら後がこわいからなぁ……)」
「さぁ、とっとと始めるぞ。準備しな」
「準備って、今日は何やるんスか?」
「言っただろ? 基礎から鍛えてやるって。準備体操したら体育館20周だ!」
「いきなりそれかよ!?」

「おらぁ、もっと速く走れ! 気合入れてやんねぇと5周追加するぞ!」
「ひぃ〜〜」
タスクは運動のセンスはともかく体力がないわけではなく、むしろ持久力は平均以上にあるのだが、単調なランニングなどはどうしても気乗りしない。先生の大声にどやしつけられて走っているという感じである。
「(女の子と一緒に走ってでもいたら、もっとやる気出るんだけどなぁ)」
こんな時でも考えることはいつも通りのようだ。
と、その考えを読んだわけではないだろうが、
「そんなんじゃ日が暮れちまうぞ!? ……しょうがねぇ、あたしが一緒に走ってやる!!」
言うなり、ジャージの上下を脱ぎ捨てる先生。
「!?」
目を疑うタスク。何と、カチーナ先生はTシャツに臙脂色のブルマー……つまり体操服姿になっていた。脚も腕もむき出しである。
軽く脚を動かしてウォームアップすると、呆然としたままのタスクに駆け寄り、
ばこん。
「いってぇ〜、何なんスか〜」
「ぼけーっとしてるお前が悪い。ほら、いくぞ!」

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