此処は、ブルックリン=ラックフィールド家
長く続いた大戦後、クスハと結婚したブリットの家。
・・・・・事件はあれから3ヵ月後におきた。


「ふぅ・・・・・」
時刻は午後3時頃。
買い物に行った恋人・・・・・いや、妻であるクスハを見送った後。
自室に戻ったブリットはベッドに座りため息をついてた。

彼からのプロポーズで結婚した2人ではあったが、いまだに初夜というものを迎えてはいなかった。
結婚式の後、クスハのお手製のドリンクを飲まされ失神、気が付いたら初夜が終わってしまった。
という事件があって以来。
2人で同じベッドに寝ていても、おはようとおやすみのキス止まり。
完全にタイミングを失ってしまったブリットは、今日も部屋で悶々としていた。

「そりゃぁ、クスハとは・・・したいけど、痛い思いはさせたくないし・・・」
誰に言うわけでもなくブリットはつぶやく。

先の戦争で、ブリットは何度もクスハの泣き顔を見てきた。
何度もつらい思いをし、何度も悲しい経験をした愛しい人。
そんな彼女を、できるだけ傷つけないようにしてきた彼にとって、(おそらく)処女であるだろう彼女を痛がらせないように初体験を終わらせる自信は、
彼にはなかった。

元々、バルマー戦役からの記憶しかない彼には性的な知識はほとんど無く。
たまに夢精することはあっても誰にも相談できない。
そんな日々をすごしてきた彼に結婚式での。
『初夜では、痛くしすぎてその日のうちに離婚・・・なんて目にあうんじゃねーぞ?』
といった(冗談交じりの)言葉は、かなりのプレッシャーをあたえていた。

「なにか・・・そういった本で勉強をすればいいんだろうけど・・・」
金髪をくしゃくしゃとかきむしりながら悩める青年。
「だめだ、だめだ、あんな本を買ってるのがばれたら、クスハを別の意味で泣かせてしまう。」
純情すぎるゆえ、そしてやさしすぎるがゆえに苦悩する青年。
「でも・・・なんとかして、手に入れて勉強しないと・・・。どうすればいい・・・?」
そんな彼を、助けようとする風が吹くのはその数秒後だった。






てれれ〜〜〜ん♪ れ〜ん♪ てれれ〜〜ん♪
「ならばその役目、私に任せてもらおうか。」
ブリットの部屋に、独特のBGMとともに現れたのは『謎の食通』レーツェル=ファインシュメッカーその人だった。
いつものようにゴーグルを着け、いつものように存在感を感じさせながら、トロンベ兄ぃ・・・もとい、レーツェルはそこにいた。
「苦悩しているようだな? ブリット」
そして、いつもと同じやさしい笑みを浮かべブリットに話しかけてきた。
「レ・・・レーツェルさん・・・どうしてここに・・・?」
突然の来客に目を点にしている部屋の主。。
そんなブリットを気にせずに、レーツェルは続けた。
「なに、苦悩する戦友を救うべく参上したまでの事。」
そして、手にしていた紙袋を手渡し、
「さあ、受け取りたまえ。君の欲するものがこの中にはある。」
「え? あ、はぁ・・・・」
「そして、君の望むべき未来へ進むがいい。では、さらばだ!」
またもや唖然とする相手を気にせずに、颯爽と部屋の窓から出て行くレーツェル。
窓の外には「とろんべ」と書かれた黒い自転車があった。
「友との約束は果たした。トロンベよ!今が駆け抜ける時!!」
「ちょっ・・・レーツェルさん!」
彼の愛機「アウセンタイザー」に勝らぬともけっして劣らない勢いで、レーツェル=ファインシュメッカーは去っていった。
・・・・・・俗に言う、『エロビデオ』数点を残して・・・・・。

「・・・ゴクリ」
パッケージに書かれた。
『クールビューティーVol05 女教師初めての性教育』
『内気純情娘 あなたに初めて捧げます』
『義兄ちゃん 私と○○○してください』
などのタイトルに思わずつばを飲み込む、ブルックリン。
男の本能か、記憶が戻ったのか、タイトルを読むだけでも、彼の男の部分は反応している。
「こっち・・・いや、こっちか。だが・・・こっちも・・・」
十数分、いや、それ以上かもしれない。
数ある選択肢から彼の選んだ、彼の記念すべき初エロビデオは・・・
『巨乳看護兵 真夜中の看護』
だった。


その他諸々えとせとら。
買い物籠にたっぷりと。
若奥様歴3ヵ月のクスハ=ラックフィールドさんは、たくさんの食材とともに、満面の笑みでマイスィートハウスに到着した。
「まっててね、ブリット君。今日も栄養たっぷりのお料理作ってあげるからね。」
家にいるときは読書か修行か仕事といった、どれも集中する事をしていることの多い夫を気遣い、邪魔をしないように静かにキッチンに向かう若奥様。
朝から仕込んだ大鍋に、ポイポイポイと食材を投げ込む。
「えっと、大根の皮と、イモリの尻尾と・・・センブリの千切り・・・」
ぐつぐつ・・・いや、ごぽっごぽっと音を立てる大鍋。
「そして、最後に、けふっけふっ・・・草、っと。」
可愛く咳き込みながら、最後の食材が放り込まれ、クスハさん特製の『栄養ドリンク』が、完成した。
・・・・・してしまった。




「ブリット君、元気の出る飲み物ができたから持ってきたよ」
そういってノックをしたクスハの手に、違和感があった。
「あれ・・・? 開いてる・・・。」
キィ・・・と、音を立てて、部屋の扉は開いていく。
薄暗い部屋は物音ひとつせず、どこか空気がよどんでいる気がした。
「ブリット・・・君? いないの? 入るよ?」
留守なら、部屋の換気をしようと思いながら部屋に入っていくクスハ。
薄暗さのために、ゆっくり、ゆっくり歩いていったのが・・・
お互いを驚かせることになるとは、クスハは知らなかった。

床に落ちて割れるコップの音に、
『カーテンを閉めて、ヘッドホンをして、部屋を暗くして、下半身むき出しで、リモコンを握り締めてエロビデオに魅入っていた。』
ブルックリン=ラックフィールドは驚き、振り向く。
その拍子にヘッドホンがモニターから外れ、部屋に、
『やめっ・・・やめてぇ!! 私っ・・・私っ・・・』
『できちゃう!! 赤ちゃんが・・・赤ちゃんで来ちゃうぅぅ!!』
『やだぁ!! 孕むの・・・お腹大きくなるのいやぁ!!』
と、いった音声が部屋中に響いていく。
「ぶりっと・・・くん・・・」
「くすは・・・」
その場に膝を付き、前に倒れそうになる身体を何とか手で支えるクスハ。
床にこぼれた毒・・・いや、栄養ドリンクに、ポタッ、ポタッと、透明の液体、クスハの涙が落ちていく。
「ぶりっと・・・く・・・ん・・・」
そんなクスハを見て、慌ててズボンをはこうとするも、ビデオ鑑賞後5分で鼻血まみれにしたことを思い出して、クローゼットに向かおうとする。
その為にはクスハの横を通らなければいけないのだが・・・。
「あ・・・いや、クスハ。違うんだ。」
『何が違うのかね? 被告人』
と、言われそうな・・・言われても弁護できなそうなこの状況。
大体、何が違うのかすら本人にはわかってない。
それでも、愛する妻を泣かせているのだから必死に弁明しようとした。
だが・・・。

「・・・・・え・・・・えぇ・・・えええええ!!!」
一瞬意味が理解できなかったが、自分に対してとんでもない勘違いをしていた妻の言葉に、予想外の答えに驚く夫のブリット。
「いや、俺はクスハを・・・」
「わかってる! ブリット君が私を愛してくれてるのは、私を大事にしてくれているのはわかってる。でも、でも・・・・」
涙にぬれた顔を上げ、愛する夫に懸命に訴える妻、クスハ。
「甲児君や・・・ゼンガー少佐や・・・レーツェルさんや・・・ロブさんと、一緒にいること多いし、家庭をちゃんと持ってても、奥さんをちゃんと愛してても・・・・・」
涙をぽろぽろ流しながら、なんとか言葉を続ける。


「その・・・性欲は・・・別って人も・・・男の人しか・・・えっちな気分になれない人も・・・いるって・・・書いてあったし・・・」
「そんな・・・どこでそんな事・・・」
「・・・・・いんたーねっと・・・」
イージス計画終了後、アメリカに渡ったブリットとメールをするために、クスハはパソコンを購入していた。
はじめはさっぱりわからなかったパソコンだったが、当時、隣に住んでいた『真田 けん太』少年によって、1人でもネットサーフィン程度はできるようになっていたのだ。
・・・・・見てるの所は、偏ってるようだが。
「でも、よかった・・・。ブリット君がちゃんと女性に興味があって・・・」
「いや・・・ほら、レミーさんとかにからかわれて、鼻血だしたりしてたろ?」
大空魔竜でのことを思い出して弁明する。
なんだか情けない気もするが。
「だって・・・それって、私たち・・・女の子の事とは限らないでしょ?」
「・・・・・は?」
「いろんな男の人とお風呂入って・・・っていうのを想像したのかも知れないし・・・」
「・・・・・はぁ?」
「男の人って、町のお風呂屋さんとかで・・・その・・・相手を探したりするんでしょう?」
「いや、知らないぞ! そんなの! 初めて聞いたぞ?」
自分の妻の意外な一面・・・では済まされなさそうな爆弾発言。
いったい、どんな顔してそんな情報を調べたのかと、子一時間・・・。

「ぶりっとくん・・・ちゃんと・・・」
「な、なんだ? クスハ? 服か?」
「ちゃんと・・・女の子に興味あったんだ・・・」
「・・・・・は?」
クスハの言葉を理解できずに、思わず口をあけるブリット。
下半身裸という間の抜けた格好で、クスハの次の言葉を待った。
「私・・・もしかして・・・まさかとは思ったけど・・・ブリット君・・・私に・・・その・・・えっちなこと・・・しないから・・・」
ぽつり、ぽつりと、クスハはつぶやくように言った。
「・・・男の人の方が・・・好きなのかもって・・・思ってた。」
「いや、俺は、その・・・クスハが大事だから・・・」
「・・・本当?」
「ああ、俺はクスハを愛してるし、いや、それ以前に男に興味はないし。」
「・・・じゃあ、ゼンガー少佐とレーツェルさんも・・・」
「あ・・・いや、どうだろ・・・」
一瞬、まさか・・・と、思ってしまうブリット。
「ふぇ・・・、やっぱり・・・ぶりっとくん・・・」
「いや、違う! 違うぞクスハ!! ・・・ほら、ソフィアさんっていたじゃないか、ソフィアさんって、心の伴侶だって言ってたろ?」
「・・・心の・・・でしょ? やっぱり、身体は・・・」
「いや、だから・・・その・・・」
「・・・それじゃあ、えっと・・・ブリット君。そのビデオ・・・」
 先ほどから流しっぱなしのエロビデオを指さすクスハ。
「あぁ、ごめん。今、止めるよ」
振り向こうとしたブリットにまたもや意外な言葉を放つ。
「・・・男の人の方が目当てじゃないよね?」
「・・・いや、だから・・・」
「女の子のほうだよね? ブリット君、女の子にも興味あるよね?」
「いや、『女の子にも』じゃなくて『女の子にしか』だし・・・クスハにしか・・・興味は・・・」
「本当?・・・なら、確かめさせて。」
「・・・・・え?」

(なんか・・・おかしなことになってるな・・・)
割れたグラスとビデオ関係を片づけ・・・下半身をむき出しのまま、いったん部屋に戻ったクスハを待っていた。
『そのままの格好で待ってて、すぐに戻ってくるから。』
と、いった言葉通りに待つブリット。
正直、恥ずかしかったが、それ以上にクスハの
『確かめさせて』
の言葉が気になっていた。
さっきまで見ていたビデオの女性。
汗にまみれた屈強の男たちに、何度も何度も犯され、最後には・・・。
「・・・どうなるんだろう?」
全2時間の作品の未見の最後が気になって、首をひねり始めたころ、クスハはようやく戻ってきた。
・・・・・それも、彼女を知る人間が驚かずに入られない格好で。
「クスハ・・・その格好は・・・?」
子供にとってはヒーロー物の悪役女幹部。
青年にとってはSMクラブの女王様・・・
いや、それ以上の人にも同じだが、全身レザーのコスチュームで、いつものように、素足や腕は隠して入るが、大きく開いた胸元やハイレグの・・・部分は、クスハの女性としての魅力をいっそう引き出していた。
「似合う・・・かな? 通販で買ったんだけど。」
やっぱり・・・。
と、言う意見が聞こえそうなほど、クスハは通販好きだった。
そして、まだまだ通販グッズを持ってきていた。




「これが、人肌ローションで、痕のつかないロープと火傷しないローソクと・・・
 アナルバイブでしょう・・・ボールギャグと手錠もあるのよ・・・フフフ・・・」
うっとりと道具を並べるクスハ。
もしやと思ったブリットは恐る恐るたずねた。
「なぁ・・・・『それ』って・・・」
「うん? そうよ、ブリット君に使うために買ったの。」
「な・・・いや・・・それは・・・」
「ブリット君・・・いっぱい愛してあげる・・・もしも、抵抗なんかしたら・・・」
「・・・したら・・・?」
「・・・・・秘密。ブリット君が私を愛してるなら、抵抗なんかしないもの・・・」
「・・・・・」
ガチャッ!!
そう言いながらも、クスハはブリットに手錠をかけ、仰向けにロープでベッドに拘束する。
「おい! クスハ!! これ・・・」
パシーン!!
ブリットが言い終わる前に、クスハの平手がペニスに打ちつけられる。
「あ・・・くぁ・・・」
「抵抗しないで・・・そう言ったわよね?」
冷たい目で見下ろしながら、クスハは言った。
「いや・・・でも・・・」
パシッ! パシッ! パシッ!!

「ぐっ・・・ぐぁっ・・・くはっ・・・」
立て続けにペニスを叩かれ、ブリットは痛みにのたうちまわる。
「抵抗しないで、いいわね?」
「あ・・・ああ・・・・・」
ギリッ・・・
「ぐぁぁぁぁ!!」
「それが愛する女性に対する返事なの? ねぇ、本当は私なんか愛してはいないんでしょ?」
右手を睾丸にもっていき、握りつぶす。
二つの睾丸をまるでつぶしてひとつにするように、グリグリと弄ぶ。
「クスハっ・・・やめっ・・・て・・・くれぇ・・・」
息も絶え絶えに抗議する夫を無視して、さらに力を強めていった。
「ねぇ、私を愛しているなら・・・ココにはたくさん詰まっているんでしょう?」
「やめ・・・」
「詰まっているんでしょう! 私の為に、私だけの為に!! 濃くて、臭くて、一発で孕んじゃうような、ブリット君の精液がつまってるんでしょ!! ねぇ!!」
「〜〜〜〜〜!! 〜〜〜〜!!」
口から泡を吹きながら、ブリットは何とかうなずく。
「そう、それなら、うれしいな。」
いつものように優しい顔に戻りながら、優しくペニスを撫でまわす。
「はぁっ・・・はぁ・・・はぁ・・・クスハ・・・」
「苦しいの? ブリット君。いま射精させてあげるからね・・・・・」
ローションを手に取り、ペニスに塗ろうとするクスハを、ブリットは静止しようとした。
(いや・・・まてよ・・・)
ちゅぷちゅぷと音を立てながらローションを準備するクスハを見ながら、ブリットは思いとどまった。
「な・・・なぁ、クスハ・・・」
「ん〜? なぁに? ブリット君・・・」
「あのさ、今、俺って、クスハに愛されてるんだよな?」
どことなく怯えながら、言葉を選んで尋ねた。
「うん、そうだよ。だって、私、ブリット君の奥さんだもん。」
「じゃ・・・じゃあ、せめて手錠を・・・」
「ダメよ」
妖艶な笑みを浮かべ、クスハはローションを垂らしながら言った。
「だって、気持ちよすぎてブリット君暴れちゃうもの。」
「な・・・・・」

ぬちゅっ・・・ぬちゅっ・・・くちゅっ・・・くちゅっ・・・
「ふぅ・・・くっ・・・ふっ・・・くはっ・・・」
クスハの手が上下するのに合わせて、ブリットの声が漏れる。
「ふふふっ・・・可愛い・・・」
ちゅっ、くちゅっ・・・
手の方からの音に加え、首筋を舌で舐める音。
二つの音が合わさり、さらに2人を興奮させていく。
音が大きくなるたびに、ガチャガチャと手錠の音が鳴る。
手と、舌と、手錠の音と、喘ぐ声。
興奮の四重奏にブリットの限界が訪れる。
「クスハ・・・もう・・・」
「射精そうなの? んっ、ブリット君。」
舌の動きを止めずに、クスハが聞き返す。
「ああ、もう・・・でそうだ・・・」
「そうなんだ・・・、私、こういうこと初めてなのに・・・、すぐに射精ちゃうんだ・・・、意外と・・・早いんだ・・・」
昨日までのブリットなら、なんて事の無い言葉。
しかし、先ほどまで見ていたビデオで
『おい、兄弟。もう射精ちまうのかい?』
『そんなに早いと、女を満足させられないぜ!』
と、いったシーンがあった。
そのため、
(俺は・・・ダメな・・・男なのか・・・?)
「すま・・・ない・・・クスハっ・・・俺はっ・・・」
「もっと、もっと、気持ち良くしてあげたいんだけどなぁ・・・」
「うっ・・・・あ・・・あぁ・・・」
「いいわ・・・射精して・・・もう射精ちゃうんだもんね・・・・」
じゅっ・・・じゅくっ・・・じゅちゅっ・・・ぐちゅっ・・・
クスハは動きを手に集中する。
ブリットの意識がペニスに集中する。
ローションを垂らした手が上へ・・・下へ・・・
「ああぁああぁぁっ・・・でる・・・・でるぅ・・・」
ドクン・・・・・
ドク・・・ドク・・・
ビュルッ・・・ビュッ・・・ビュクッ・・・
ブリットのペニスから、長らく溜まっていた精液が飛び出す。
その勢いはすごく、一部がクスハの顔へかかっていた。
「一回射精したんだから・・・次はもっと、我慢できるよね?
 何回射精せるか試してあげるからね。ブリット君・・・。」
「クス・・・ハ・・・・・」
「この精液は全部、私のものだもの・・・誰にも渡さないんだから・・・」
ペニスを握る手に力を込めて、クスハは言った。
顔についた精液を、まるで悪霊に取り付かれているかのような表情で舐め取りながら・・・。


終わり

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