「………」
むせ返るような暑さ、息が詰まる。
護によれば「蒸し暑い」という感覚らしい。
これには流石に参る。

先の戦いで大空魔竜は大打撃を受けてしまった。
動力炉に一発、グランチャーの攻撃は全くいやらしい。
あのジョナサンとかいった青年の攻撃だ、一撃一撃が(逆)恨みの念が込められているに違いない。
結果大空魔竜は残るエネルギーをメインコンピューターに回しているのが現状である。
そうするとどうなるか。
陸海空万能移動要塞と言えど空調が止まり、内部には熱気がこもってしまう。
止まっているのはエネルギーを大幅に喰うメインエンジンと空調のみだが、それでも地獄だ。
今、αナンバーズの一角をなす戦艦はサウナ状態となってしまった。
ノヴィス・ノアのからっとした暑さとはまるで違う。
サコンによれば後一日は立ち往生するらしい。
他の戦艦も周囲に着陸している。
各艦のメカニック達が大急ぎで修理に取り掛かっており、その他の魔竜のクルーは他の艦で涼んでいる。
よって艦内はひっそりしている。

記憶喪失の美少女イルイはふらふらと大空魔竜内の廊下を歩いていた。
無論その場所も日本の梅雨と同じ気候を再現している。
「暑い…」
部屋の窓を開けても大して楽にはならない為、(涼しい)楽園を求めて部屋を後にしたところだった。
だが、全長400mの戦艦からそんな場所を見つけるのは至難の業であった。

『…巫女よ…バラルの園へ……気温は23度、湿気は5%…過ごし易い一日をバラルで……』

暑さで頭がヤられたのか、幻聴まで聞こえてくる。
その意味はよく分からなかったが、少なくともイルイが今いる場所よりはマシだろう。
是非とも行ってみたい。

そこまで暑いなら最初から他の戦艦に移れば良いではないか。
アルビオン、マザーバンガード、ラー・カイラムの冷房は今ガンガン使用中である。
ちなみに大空魔竜もブリッジだけは冷房がかかり、ピートがまったりしているのだが、イルイがそれを知る由も無い。
とにかく、イルイが大空魔竜から離れない理由……それはある人物に起因していた。

そこに
「はぁん、あっ、あぁ、あンっ」
「…?」

正面の角の向こうから声が聞こえた。
女の声だが、何処かで聞いたことがあるような…

「だ、駄目だよぉ…誰か来たら…はン……!」
「…大丈夫だって…っ…今は誰も通らないから……」

もう一人、男の何かに耐えるような声も聞こえる。
男、女なんて表現したが、実際聞こえる声はイルイよりも少しばかり上程度…まだ少年少女のものである。
同時に何やら湿った音もするが、イルイにはそれが何かを理解する知識は無かった。
この暑い中一体何を?
それだけの理由で、イルイは角から顔を出した。

「ト、トビアっ…そこはっ…ヤだぁっ」

「!」
イルイの目が驚きに見開かれる。
と言っても、その状況全てを理解しているわけでも無かった。
只、トビア・アロナクスがベルナデット・ブリエットを壁に押し付け、彼女の脚の間を割って腰を叩きつけていることだけは分かった。

「…好きだよ…ベルナデット……っ…」
「わ、私も…くぅっ、はぁ、あぅう」

とりあえずトビアとベルナデットにとって幸運だったことは、イルイが顔だけを、それもゆっくりそーっと角から出したことにある。
これがプルだったら「何してるのーっ?」などと飛び出ていたことだろう。

「あ、当たってる……お、奥に、トビアのが……ひゃうううッ!」
「…くっ、ベルナデット…そんなに締め付けたら…!」
「はぁっ…いいよ、トビアのを…うぅっ、頂戴…わ、私も…もうだめぇ!」

(トビアの…あんなに……苦しいの…?)
イルイの見当違いの考えとは別に、彼女自身の身体は先ほどよりもさらに熱く火照っていた。
(多分)生まれて初めて見る男女の営みというものを見たことにより、幼い少女の中心が自然に燃え上がっている。
それに気づけるわけもなく、イルイの視線は激しさを増す二人に釘付けになっており、脚がもじもじと擦りあわされる。
―――彼らが、自分とあの人だったら…?
「…ぅう…っく、はぁっ」
大きく息を吐く。
熱さが格段に上がった。

「あん、あ、やぁっ、イクッ、イっちゃうよ、トビアぁっ!うあぁ」
「べ、ベルナデットぉっ!」
「あ、あ、あああああああああああああああああああああああッ!」

「…っ!!」
二人の身体が、しばらく動かなくなり、ビクビクと震える。
同時にイルイの身体も軽くそれに同調する。
淡い恋人達の想いの一部が入ってきた、そんな感覚だった。

はぁ、はぁ、と息を整えているベルナデットが憎らしく口を開いた。
「…もうっ…汗びっしょりになっちゃったじゃない…」
「仕方ないじゃないか…マザーバンガードは人が多いし…」
「そうだけど…とにかくシャワーを…はぅっ」
腰が跳ねる。
トビアが意地悪く、まだベルナデット中にあり、再び硬さを取り戻した自身で奥を突いたのだ。
「もう一回…いける?」
「うぅう…トビアのH♪」
幼い少年少女は自然に顔を寄せ、唇が合わせられた。
ベルナデットの結わえられた金髪がふわりと解かれる。

そして再び宴は始まったのだが、角の場所にイルイの姿は既に無かった。

「あっ、まだ敏感だから優しく…ひあっ、あ、だっ、うぅ」

「はぁっはぁっはぁっ……」
イルイは全力疾走していた。
あの角からUターン、あれ以上あの場所にはいてはいけない。
そう考えて自分を取り巻く熱気を振りほどくように走っていた…
が、直ぐに遅くなっていまう。
元々蒸し暑さで体力が無いのだ。

色々とドキドキしている胸を押さえ、再び廊下を一人歩く。
全身汗でびっしょりである。
心なしか下着まで湿っているような…

と、

「チェストォーッ!」

何処からか雄叫びが聞こえ、続いて何かが砕ける音が響いた。
その発信源はそう遠くは無い。
……じゅく…
イルイの身体が、一番大切な部分が再び熱くなっる。
熱っぽく頬を上気させた少女は、頼りない足取りでそちらに向かった。

場所はやはりそこから然程と遠く無いホールであった。
「よくやるな、今のが稲妻重力落としなのか?」
ゴーグル男、レーツェルの質問にゼンガーは額の汗を拭って答える。
「そうだ。これで落としなのに横に斬っているだろうという質問は消える」
「何の話だ…?」

レーツェル同様ギャラリーに徹していたヴィレッタはゼンガーが今“木刀”で叩き斬った…というより壊したブロックに目を向ける。
「流石は示現流といったところね。だが業を磨くのも良いけど全体攻撃の開発も頭に置いてほしいものだわ」
「俺には斬艦刀一太刀あれば十分だ。お前達こそ、何だそのザマは」
レーツェルの今の格好、何時もの派手な服を着用していることは変わらない。
だが、膝から下はズボンを巻くしあげ黒いプラスチックの桶に入れられた水で冷やされていた。
ヴィレッタも同様の格好をしているのだが、ゴーグルを付けたままのレーツェルの滑稽さは笑えもしない。

「暑いからな」
「地球の科学は不便ね」
それぞれうちわを片手に返事をする。
「…。ところでお前達はここで何をしている。メカニック以外この艦には残っていない筈だが」
「この猛暑たる竜の体内で鍛錬に勤しむ友を見守ることが可笑しいか?」
「そのつきそい…ってとこかしら」
等と言いつつ、実際は自分達は涼しく楽をしながら汗水垂らすゼンガーに遠回りな嫌がらせをしていることに変わりは無い。
それはゴーグルの賜物か、トロンベの呪いか、因果律の崩壊か、作り物の宿命か。
何れにせよ脚を冷やすだけでは蒸し暑さに勝てるわけもなく、二人の頭も少しヤヴァイ感じなのかもしれない。

と、そこに
「ゼンガー…」
ホールの入り口に小さな影が見える。
「イルイ?」
ゼンガーの予想通り、あるいは期待通り、それはイルイであった。
「どうした?この暑い中何故ここに?」

「この暑い中刀を振り回す男もどうしたものか、だが」
「常識を疑うわね」
外野の煽りは無視してゼンガーはイルイに歩み寄る。
イルイはというと顔を熱気で赤くしており、汗びっしょりであることが分かった。

「ゼンガーが…ここにいるから…」
イルイの答えにレーツェルとヴィレッタは口々に
「ふ、可憐なことだ。カトライア、お前を思い出す」
「イングラム…貴方は今何処に…?」
等とのたまった。

「む。とにかく他の艦に行くのだ。ここにいれば奴らのように頭のネジが外れる」
一番激しい運動をしていたゼンガーがイルイに連れ立とうとするところに再び野次が入る。

「ゼンガー、お前はやはりレディに対する心構えがなっていない」
「えぇ、駄目ね」
「何…?」
「そのような状態で彼女を冷房の効いた所に行かせると風邪を引かせてしまうだろう。それに…」
「女というものは常に美しくありたい(らしい)のよ。汗まみれなのは御免ね(だと思う)」
「む」
レーツェルと誰かの入れ知恵で話すヴィレッタの言葉にゼンガーは立ち止まる。

「分かった。先にシャワー室に行けというのだな」
「え、でも……ゼンガーは訓練が…」
「気にするな」
遠慮がちなイルイの背中を押しながらホールを後にした。
ゼンガーの手が触れた瞬間身体がびくりと振るわせたのだが、彼はそれには気づかなかった。

「男なら一緒に入るべきだぞ、わが友よ!」
「そんなことはせんっ、俺は赤い彗星では無い!」
ゼンガーの間髪入れない反論が最後となった。
粉々になったブッロクのあるホールの隅に男女が二人、妙な格好で突っ立っている。
「………」
「………」
「…ぬるいな」
「えぇ…」
彼らの桶の中の水は既に温度が上がっていた。

さてはてゼンガーとイルイは程なくシャワー室の前まで来ていた。
「着いたぞ」
「…うん」
「では俺も浴びてくる。恐らくこちらが早いだろうからゆっくりしろ」
男用のシャワー室のドアを開けながらイルイを見る。
湯船ならともかくシャワーでゆっくりするのも妙な話だが、ゼンガーなりに色々と彼女に気を使っている結果である。

「あ…ゼンガー…」
「む?」
中に入ろうとするゼンガーを思わす呼び止めてしまうが、後が続かない。
「どうした?」
「…な、なんでもない」

ゼンガーの姿が消えた後、イルイものろのろと女用のシャワー室へと入っていった。

他に誰もいないルームの中で、一人イルイがシャワー浴びる

しゃわわわわ〜

アクセサリーを外した白金の髪がお湯の滝でキラキラと明かりを反射する。
起伏の少ない体を雫が汗を流していく。
だが、身体の中の熱さは消えなかった。
トビアとベルナデットの行為を見てから、そしてゼンガーの手が背中に当たったときも、胸が弾けそうになった。
そして、一番熱い場所。

(ここ…ベルナデットもトビアのを…)
ふっくらと綺麗な両足の間、そこがずっと、一番熱い。

(触ったら…どうなるんだろう…?)
ふと思いついた疑問。
それを確かめる為、己の股間におずおずと手を伸ばした。

しゃわわわわ〜

くちゅ、びくっ

「ひっ!」
思わず手を引っ込める。
今まで感じていた感覚とはまるで違う感覚に恐怖感も抱く。
(今の……?)

そこに触れた右手をまじまじと見つめる。
シャワーによって幾分か流れてしまったが、粘着性の液体が指の間を糸を引いている。
そういえば服を脱いだ時、下着が汗以外のもので濡れていたような気がする。

(もう一回…)
何やらこれ以上やってはいけないような考えも浮かんだが、年頃の好奇心には勝てなかった。
先ほどよりゆっくりと秘部に触れる。

「う…んぅ…」
愛らしい目がぎゅっと閉じられ、形の良い細い眉がよせられる。
イルイの純粋な外見とはうってかわって淫らな音がシャワー室に響…きはしなかった。
シャワーの流れる音が打ち消しているのだ。
だが小さな唇から漏れる声は、次第に大きくなっていった。

「はっ、はっ、ふぅーっ…あっく、うぅ…」
(これ…す、凄い…)
懸命に息づく下の唇に刺激の先を求める指が這い回る。
ひくひくと身体が震え、次第に前かがみになっていく。
「うぅっ…んん…あ、ひゃう…」
サファイア色のような目が薄く開かれ、正面の壁にはめ込まれた鏡に視線を向ける。

当然だが)自分と同じ成り立ちの少女が、腰が引けている情け無い格好で股間を弄っていた。
真っ赤な顔をして目にはうっすら涙も浮かべているようだが、やはりシャワーが全てを流してしまう。
秘部から滲み出る愛液の量も増えているのか、くちゅくちゅというあの音が耳に入ってくる。

「うぅうーっ、あっ…!?」
にゅるっ
「…っはぁ、〜〜〜〜!!」
中指が膣の内部へと滑り込む。
瞬間、イルイの身体はガクガクと初めての感覚の嵐に翻弄され、

しゅあぁあああ〜…

シャワーとは別に小水が迸った。

「…っ、…はぁ、はぁ、はぁ…」
軽く絶頂を迎えた小さな身体がタイルの床にへたり込む。
失禁してしまった結果は例によって流されたが、アンモニアの匂いがイルイの鼻をついた。

しゃわわわわ〜

お湯が出しっぱなしになったままだが、今のイルイにそれを気にする余裕は無かった。
膣に少しだけだが確実に入っている指がふと動いてしまう。
「やっ、う……ふぅ…」
今指を動かしたり引き抜けば再び自分は未知の感覚に囚われてしまうだろう。
(暫く…じっとして…)
足を投げ出した格好のまま、熱が冷めるのを待った。

「………」
何故こうなったのだろうか。
ぼうっとした頭でよくよく思い出してみる。
元々は涼しい場所を求めて…まぁ大空魔竜全ての空調が止まっている筈なのだから何処を探しても無いものは無いのだろうが…
そこでトビアとベルナデットの情事に出会ってしまい、ゼンガーと……
「あ…」
そう言えばシャワーを浴び始めて結構な時間が経ってしまった。
もしや、いや間違いなくゼンガーはもう出てしまっているだろう。
そんな場所で待たせては申し訳ない。

慌てて出ようと身体を起こそうとしたが、ゼンガーのことが脳裏に浮かぶとおまりかけた熱が上昇した。
「ひゃあっ!」
きゅっと肉の壁が指を締め付け、後から止まることを知らないかのように分泌液が溢れ出す。
「んん〜っ、あは、あ、あン、やぁぁ…!」
指は膣の中を勝手に暴れまわる。

(は、早く出ないと…ゼンガーが待ってる…)
頭ではそう考えているのに体が言うことを聞かない。
むしろゼンガーのことが頭の中をちらつく度に痺れるような感覚…快感が背中を通り抜ける。
「ふゎ、あ、ああぁ……あああっ、ゼン…ガぁ…はふぅ…ひィっ」
手にぐちゅぐちゅと膣をかき回され白い喉を逸らして悶える。
「ン! …あ、あ、ひあああ!…や、だぁっ…」
顔面からシャワーを浴びてしまうことにもお構いなし、身体の官能は急激に上がり続ける。

「ぜ、ゼンガー…あう、だめぇ、いやいやぁっ……」
涙が溢れて歪んだ視界、もしその向こうにゼンガーがいたなら…?
「うあぁ…見ないで…っ、見ちゃいや…はっ、はっ、や…」
イルイの目の前にはいる筈も無いゼンガーの姿が。
それに呼応するかのように身体を支えていた左手も快楽を求めて始める。

「うぐっ、はっ…な、何…?…は、はじけっ…!」
絶頂への道を駆け上がる中、左手の指は内部を抉る右手に邪魔され膣の上部を滑る。
「――――――っ!!」
そこにあるのは小さいながらはっきりと勃起し、ひくひくと怯えるクリトリス。
大して耐性の無いイルイにとって、それは通常よりも敏感なのか開発しきってないのか。
どちらにしても、それが指によってその包皮を剥かれ、そして潰されたことが、イルイにトドメをさした。

「あうっ、は、うあぁあああああああああああああ!!」

びくっびくっびくっびくっ!

限界まで弓剃りになった幼い身体が痙攣する。
「うぅ、うあ、ふぅっ、んん、あひぃっ…!」
絶頂の波は収まらず、そのまま楽園へとイルイをさらっていく。

(……ゼんがー……)

はぁっ、はぁっ、はぁっ」
何とか意識を繋ぎとめ、息を切らし寝そべるイルイ。
けだるい感覚の中、朦朧と天井の明かりを見ていた。

『ヴィレッタさん、あんなところにいちゃ倒れちゃいますよ』
『いや、少しばかり頭が熱気で参っていたらしい』
「!!」
脱衣所の方からベルナデットとヴィレッタの会話が聞こえる。
(は、早く出ないと…!)
このままの惨状でいるのはマズイ。
自分の出した液体は…なんとまぁ今日はシャワーに助けらた日だ。

あたふたしながらシャワー室を出、二人に適当な挨拶をした後早々に着替えてその場を後にした。
その際ベルナデットの顔は見なかったことは言うまでも無い。

ドアを出た直ぐ横に、ゼンガーが立っていた。
「ご、ごめんなさい…遅くなって…」
「それ程時間は経っていないが…?気にすることは無い」
(そんなに長い間シテたんじゃないんだ…)
「そろそろ他の艦に移るとしよう。ここにいてはシャワーを浴びた意味が無い。一番近いのはアルビオンだったか…」
「うん…」
イルイはゼンガーの裾を掴み並んで歩き出す。
ゼンガーはその行為に少し驚いたが、そのまま出口へと向かった。

(…あ…また…)
彼が近くにいるということを意識したのか、イルイの中で妖しい炎がくすぶり始めたのは…それから直ぐのことだが、それは又、別のお話。

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