故人曰く、女には男の知らぬ世界あり。

悪を断つ剣ゼンガー・ゾンボルトはその場に立ち尽くしていた。
というより固まっていたというのが正しいか。

部屋に満ちた少女特有の体臭、それだけではない。
彼女の部屋の中には又別の雰囲気が漂っていた。
それは未知の世界に脚を踏み入れてしまったばかりのモノ。
性という人間の他の生命体には無い特有の生態。

彼から見て左側、ベットが置いてある方向。
そこにゼンガーの目は止まっていた。

「……うぁ…ゼンガー…!?」

何とか身体を起こそうとするイルイを見て、ゼンガーの頭が再起動を始めた。

イルイの細い脚の間に放り出されたピンクの物体、その周囲に広がる染み、そして恍惚(今は驚き)に潤んでいる彼女の瞳。
これらから認識するに…彼女はナニをしていたのか。
先程の悲鳴は何だったのか。
ゼンガーの頭で全てが結びつき、結果を報告した。

「ぁ…あの……」
頬を真っ赤にしていたイルイがゼンガーに声をかけてみる。
こちらも頭が働いていないのだ。

その瞬間、ゼンガーは回れ右をした。
それは早く、小型ロボット並みに、アポジモーターが火を噴くいて、急速方向変更、AMBACで姿勢制御、全身全速、テスラ・ドライヴフルブースト。
手でドアの開閉ボタンをポチっとな。
ドアが開いた瞬間に離脱、マザー・バンガードに帰艦せよ。

ゼンガーのするべきことは、見なかったことにして逃げること。
数多の敵を前にして背中を見せることをしなかった武人たるゼンガーにとっても、女性の忌み事程の天敵は無い。
早い話がどう取り扱えば良いのか分からないのだ。
彼も今年で29歳。
流石に経験が無いと言えば無いのだが……状況が状況である。

「ゼ、ゼンガー……」
背中にイルイの声が聞こえるが無視だ、仕方が無い。
ゼンガーは再び開かれたドアの外に脚を踏み出した……が、
「…待って……!」
ゼンガーの歩調がストップ、機能停止。
見るとイルイが彼の服にしがみ付いていた。
「行かないで…」
顔を下げたまま言う彼女の表情は分からない。

「…で、あの少年は俺の鳩尾に一発パンチを入れたんだ」
「よくそんな乱暴モノに手を貸す気になったな、リョウ」

(いかん…!)
部屋から半分出ているゼンガー、それを“半裸”で引き止めているイルイ、廊下の奥から近づく声と足音。
八方塞の状況でゼンガーは否応無しに、再び部屋に飛び込むことになった。

「『余計ぇなお世話だっつてんでろぉっ、くぉのクソ親父!』だぞ?あれはショックだ」
「ふ、リョウも餓鬼から見ればクソ親父か。そいう奴には一度地獄を見せるべきだ」
「それはどうかと思うが。とにかく…何だか又会うような気がする奴だった。真ゲッターと共にな」
「ゲッターと…?」

近づき、再び去っていく話し声。
話の内容からしてゼンガーらの姿を見た様子は無いらしい。
一先ず安心である。

「ゼンガー…」
「む」
だがもう一つの問題が残っていた。
イルイはどうする?
竜馬達が居なくなったのを確認してから又逃げるか?

そこでイルイが顔を上げる。
落ち着きを多少は取り戻したのか、赤い顔をしながらもゼンガーの目を見つめる。

ゼンガーから見ても可愛い娘だと思う。
数年もすればさぞ、卑猥な言い方だが『イイ女』とやらになるに違いない。
がしかしだ、今はどうか。
細かな歳までは分かっていないが、恐らくは10歳かそれ前後。
流石にジュニアハイの年齢までは達して無いだろう。
そんな彼女が部屋に篭り自慰(なんて言葉だ)に耽り、そこを自分が目撃した。
これは非常に色々とマズイのでは無いか?

ゼンガーとて健康な男である、人間がそういう生き物であることは認めざるを得ないだろう。
だが…他人の領域に踏み込むのはまずい。
例えそれが不可抗力やら偶然であったとしても、だ。

「あの、聞いて欲しいことがあるの」
イルイの告白は唐突に始まった。
「…なんだ」
「最近…ゼンガーのことを考えると…さっきみたいに……」
さっきとは…聞かなくても分かる。
ゼンガーの頭は三度回転が鈍くなった。
俺のことを考えるとさっきみたいに?
それは……つまり、どいうことだろうか。
「皆に教えてもらったの……好きな人のことを考えると、女の人はそうするんだって…」
どこのどいつだ、その皆とやらは。
大方予想はつくが。
「で…ね。ゼンガーは……私のこと好き…?」

さぁ困った。
好きか嫌いか、その二択で答えろときた。
ゼンガーにとってイルイは未だ『好き・嫌い』の基準で考えたことの無い人物なのである。
まぁ彼にとっての基準は『正義・悪』なので仕方ないことは仕方ないのだろう。
だが『嫌い』かと問われればNOであることは間違いない。
では、『好き』なのか。
『嫌い』では無いのだから『好き』なのだろう。
最早深く考えることを止めたゼンガーの頭はそう判断した。

「あぁ、好き…だろう」
歯切れの悪い台詞だがゼンガーの口からでた返事に、イルイはほっとした。
『嫌い』と言われることに恐怖を抱いていたのだろう。

「じゃあ……こうして良いんだよね」

ドアにもたれるように断っていたゼンガー、そのズボンにイルイが手をかけた。
「な、何を…!」
ゼンガーはイルイの行動に慌てるが、当の彼女は黙々と作業を続けた。
灰色のズボン越しに、股間を摩られる。
「…くっ」
今まで柄にも無くおたおたしていたので気が付かなかったが、イルイの惨状の跡を見てからその部分は完全に機能を発揮している。

(男の人は…女の人を可愛がる時に大きくなる……ゼンガーも…)
慣れない手つきでジッパーを探し当てるとジジーーーっと引きおろす。
小さな手が隙間を這って中に進入した。

びんっ
「きゃっ!」
ズボンと下着が少し落ち、ゼンガーのいきり立つ男根がイルイの目の前に飛び出てきた。
(これが…ゼンガーの……ここに私への気持ちが入ってるの?)
かなり官能小説的に教育されたものだが、やっていることは相当衝撃的である。

元から潤んでいた目がさらに潤みを増しながら自分のペニスを凝視しているイルイを見て、ゼンガーは我に返った。
流れに流されてされるままになっていたが、ここまで進むとマズイ所ではない。
「こ、これ以上はやめろ…!」
できるだけ強めに言ったつもりだが状況が状況である上に、少女の息遣いが敏感な部分に当てられる刺激が声の張りを無くす。
「………」
「イルイ!?」

ぴちゃ
小さな口から伸びた小さな舌が、鈴口を捕らえた。

「くぅっ…!」
イルイは顔を真っ赤にしたまま拙いフェラチオを続ける。
この刺激に疎いゼンガーにとってそれは非常に甘美な嵐となってペニスを襲った。
その間にもイルイの手がひくついたペニスに添えられ、恐る恐るといった感じで上下に擦られる。
そして先端をちろちろと舐めていた舌が一旦止められると、めいいっぱい広げられた口が亀頭を包んだ。

「んむ…っ、ふぅっ…んん」
「イルイ……うっぐ……!」
色魔で盛った女の入れ知恵だけで行われる行為ではあったが、様々な状況がゼンガーを追い詰めていく。
歯を立てないようにしているのか、目尻に涙を浮かべながら奉仕を一生懸命続ける。
「んっ、…むぅ…」
「………っ」
「んぐっ!」
刺激から本能的に逃れる為か、ゼンガーの手がイルイの頭を押し込むように抑える。
「んん〜っ…ふっ……」
(ゼンガ−……気持ちいいんだ…?)
喉を突かれる苦しみを感じながらも、歯を食いしばって刺激に耐えるゼンガーを見ていると、ほんの少し優越感が出現してくる。

じゅぶっ、じゅっ、ぐちゅっ

イルイの口の間から響く淫靡な音が響き、同時に唾液が溢れペニスに添えられた手を濡らしてゆく。

「い、イルイ…く、うおぉっ」
ゼンガーの臨界点を突破し、熱く煮えたぎる白濁が飛び出す。

「んん!?ぐ、んん〜!んはっごほっごほっ!」
突然喉を焼く液体にお約束通りに咽るイルイの思わず離された顔に、生命の神秘たる圧力によって打ち出された精液が降りかかる。
「むぅっ…ぐぅ」
「ごほ……ぁぅ…?」
白い精液によって汚されたイルイは、自分の顔を滴り口の中に満たされた液体にぼぉーっとしている。
何が起こったのか分かっていない状況のようだ。

ごくっ…

思わず吐き出せず嚥下してしまう。
「………ぅ」
苦味と喉を通る粘着性の感覚に顔をしかめる。

あどけない顔だけでなく、レースの付いた黒い服や開かれた薄い胸に転々と飛び散った白い纏りが、何とも淫靡な情景となっていた。
そしてそれは起こった。

ぷちっ

何かが切れる音がゼンガーは自分のこめかみ辺りに聞こえたが、次の瞬間にはそれを考える間もなく膝を付く。
今はイルイの後頭部に添えられた手が小さな身体を引き寄せる。
「ゼンガー…?んくっ!」
桃色にほんのり濡れた唇が、ゼンガーのそれに塞がれた。

「ん…!」
今まで、まぁ、リードしてた言えばしてたイルイが慌てる番となった。
目の前に見えるのはゼンガーの男強さと端整が両立された顔。
イルイにとっては彼のペニスを口淫するよりも心拍数が跳ね上がる状況である。
「んむっ!?」
ぬめっと舌が小さな歯を通り抜けイルイの口内に侵入した。
まだ精液が残っているにも関わらず、生き物のような舌が振るえるイルイの舌を捕らえた。

んちゅっ、ぬちゅっ

蹂躙される敏感な口の感覚にイルイの身体ががくがくと震える。
「んふっ……ゼン…ガぁ…」
たっぷり弄ばれた後口が開放されるが、力の抜けた脚がかくりと膝をついた。
僅かに離れた口の間の唾液が橋を作り、ぷつりと切れる。

「ゼン……あっ!?」
突然抱きかかえられたことにより視界が急上昇した。
「あ、あの…!」
「………」
慌てるイルイの声を無視して、その身体を歩み寄ったベットの上に頬リ投げる。

ぼふっ
「あうっ」
背中を柔らかい(多少湿っていた)布団に叩きつけられ、肺の空気が一気に抜ける。
その視界が今度は暗くなる。
見上げるとゼンガーが覆いかぶさってくる所であった。

「あ、私…まだ、むーっ、んん……ふぅっ」
再び塞がれる唇、再開されるディープキスがイルイの脳内をどろどろにしていく。
この状況はイレギュラーである、お姉さん方の説明会でも対処法は…『なるようになれ』。
実際されるがままであったイルイは、離れた唇が自分の胸に向かうのにも対抗できなかった。

ちゅっ、ちゅばっ、ちゅぅっ

「…あぁっ…いやぁ…はぅ、あぁぁっ…!」
指とは違う快感の電気が慎ましい乳首を襲う。
大好きな男によってもたらせた愛撫は確実に少女を狂わせてゆく。
「あうぅ…やっ…だ……うあっ!…ぜ、ゼンガー…!」
何だとばかりに上げられた顔を見つめ、イルイは途切れ途切れに口を開く。

「…私……まだ…ゼンガーの…受け入れられないの…?」
「……む」
何だか悲しげ表情がゼンガーの理性を呼び戻した。
確かに本番までは不可能であろう。
ゼンガーのモノは通常の成人男性の中でも大型に類するものであったし、幾ら濡れたとしてもイルイの身体はまだまだ未熟である。
「……せっくす、できないのかな…」
何やら凄い台詞を吐いているが、ゼンガーはそれには気が付かない。

が、一つ閃くものがあった。
こういう時だけレーツェルの意味の無い知識は役立つ。

「あ…何?」
イルイの小さな身体が持ち上げられ、
ずるっ
「…!」
度重なる快感で洪水となっていたイルイの秘所が、ベットに腰掛けたゼンガーのペニスによって擦りあげられる。
これが所謂一つの、
「ん、これって…すまた……?」
「………。…そこまで知っているのか…?」
ゼンガーとしてはレーツェルの予備知識に当初眩暈を起こしそうになったのだが…一体何処まで教えられているのか。

「ん…くっ」
発達途中どころか二次成長の兆しも殆ど見られないイルイだが、その太股は確実にゼンガーを挟み込み擦る。
自分の腰を持つ男の胸に震える手を当て身体を支えながら、腰を一所懸命に降る姿は少女らしい可愛さと儚さが滲み出ていた。
一方のゼンガーも擦られる刺激に耐えるの精一杯の状態、イルイが自分で動いてることにも気付かずその腰を前後に揺らす。

くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ

「っは……はぁ、ぁ……ふ…ぅ……お、お股が……っ」
スマタが本来男を責めるだけのものだと勘違いしていたイルイは、秘裂を割り広げられる感覚に首を振って抵抗する。
前後に激しく動く肉棒は慎ましやかに膨らんでいたこれまた小さな包皮を簡単に捲り、内部をクリトリスを直に刺激した。
「んっ…は、はあっはぁっ…あっ、んんーっ…!」
明らかに自分で自分を慰める快楽とは違うものが、幼女と言って構わないイルイを高い疼きの山を登らせてゆく。
手はゼンガーの服を強く掴み、涙と涎が淵から流れる目と唇はそれぞれきつく塞がれ、全身を快感が震わせる。
官能のメーターが既に『ここまで』の目印まで上がっていたイルイにとって、メーターが振り切るまで然程の時間は必要無かった。

「うぐっ、ふぅっ、んん、あうぅっ…も……駄目ぇっ…んんっ!」
自らとイルイも絶頂が近いと判断できたゼンガーは、白い光が視界を広がりつつあるイルイの唇を奪う。
「んうっ! ん! んぅー!」
ゼンガーの背中は海老形に曲がっていき、反してイルイの背中はやはり弓反りになり、ペニスが滑った。

ずぶっ
「ふ、んんん――っ!!」
男が少女を抱え込む姿勢から正常位となった為、亀頭の部分が――当然カリの部分までだが――秘部へと挿入された。

ドクッ、ドクッ、ドクッ

「んはっ、うあっ、―――――ぁっ!!」
「ぐっ、くぅ……!」
射出され奔流となった精液がまだ処女膜も破れていない初潮も迎えていない膣内部を満たしていく。
その熱さはイルイの脳を焼き切り、理性を彼方へと飛ばすのには充分であった。
目が見開かれたと同時に、キラリと光る涙が宙を舞った。


「…はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ……」
同じオルガニズムと言えど、急激に冷静になってしまう男は未だ余韻に浸る女を見守ることしかできない。
只の和姦なら幸せ万歳おめでとうカップルクリスマスなど消えてしまえ、で済むのだが…

(……何てことを……)
今ゼンガーを包む罪悪感は最終地獄より冷たく重いものだった。
行為の最中にもみくちゃになった為か服がずれ落ち、白い肩が露になって上半身は殆ど裸になったイルイを見ても、反応はできなかった。
すでにだらしなく無力になったペニスの先端がイルイから抜け出て、コポリと白い精液を溢れさせる。

彼女から迫ったものだことではあるが、自分が一時我を忘れて彼女を襲ったことも事実。
一応無理矢理してしまうまでには至らなかったが、それの一歩前まではヤったも同然だ。
かくなる上は切腹を…いや、それではヌルイ。何か……

自分に覆いかぶさったまま固まっているゼンガーに気付いたイルイは、心地良いまどろみの中でおぼつかない口を開いた。

「……はふぅ、はぁ、はぁ……ぜんがー……」
当然返事などできない。
「……ど、どう……だった………?」

既にイルイが自慰を始めてからどれだけ時間が経ったのか、その間の情事に光を奪われたかのような虚ろな目がゼンガーを映す。
しかも伏目がちに。

そして、ゼンガーの肉棒が再びむくりと持ち上がったのだが……それは、99.89%の確立で別のお話。


「…とまぁ、私はカトライアと巡るめく日々を過ごしたのだ。それをあの弟は…!」
「その現場を見られた、と…。やるせないわね。私も結局彼等を開放したけど、今となっては後悔してるわ」
何時の間にか互いの身の上話を咲かせるゴーグル男と女スパイ。
「リュウセイは何時もあの娘に付っきり、ついでに私には『ヴァルシオーネは何処言ったか知らないか』。…イングラム、返ってきて頂戴…」
「我が妻との情事を盗み見てハァハァするだけでは飽き足らず、母上の名を継ぐとは……!…母上、エルザムは悲しい…っ!」
互いの話の方向せいがズレていくことにも気付かず、色々な過去を持つ二人のその後も別のお話。

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