申し訳ありませんヒミカ様…
 次こそは、次こそは必ず……!」
「もうよい、お前の言い訳は聞き飽きた!」
 闇に覆われた洞窟で、二人の女性の声が響き渡る。
 片方の尊大にしている女性はヒミカ。 邪魔大国の女王たる存在。
 そしてもう一人の名はククル。 そのヒミカに使える女性である。
 ただしククルは本心からヒミカに心酔しているわけではい。
「お前は何のためにわらわに仕えているか、忘れはせんよな?」
 ヒミカはククルに問う。
 それは、自分の一族の眠りを覚ますため、やむ終えなくヒミカに仕えているのだ。
 ククルは唇をかみしめた。
 ここでヒミカの機嫌を損なっていては、一族を救うという大義が果たせなくなる。
「しかし、ヒミカ様……αナンバーズの思っていたよりも大きく、鋼鉄ジーグやアースクレイドルの生き残りの他にも、多くの戦闘用の機械が…」
「ほう……それが故に敗北したと?」
「ですが、もう一度の機会を……次こそは必ず!!」
 ククルとて必死だ、ここで退いていては一族の目覚めが夢と消えてしまう。
「αナンバーズのアースクレイドルの生き残り…とか言ったのう」
「ゼンガー=ゾンボルト……グルンガスト参式の繰者です」
「それはこの男の事かのぉ?」
 ヒミカがそう言いつつ、目線を横にずらした。
 そしてそこにいたのは―――紛れもなく、ゼンガー=ゾンボルトその人であった。
「な、なぜこの男がこの地に!?」
 ククルの疑問ももっともだ。
 なぜならばここは、邪魔大国が密かに本拠地にしている阿蘇山の地下。
 ゼンガーどころか、地球連邦に属するどの部隊も知らないはずなのだ。
 なのに、なぜこの男がここに?
「お前の言っていたゼンガー=ゾンボルト
 よもや、こうも簡単にわらわの妖術にかかるとは思わなかったぞ」
 つまり、ヒミカは自慢とする妖術を用いて、ゼンガーをここへと誘ったのだ。
「なぜ私たちの基地にまでこの男を連れてきたのですか!?」
「お前に罰を与えるためだ、ククルよ」
「……?」
 ククルにはヒミカが言っていることがわからなかった。
「わらわの目の前でこの男に犯されよ。 それがお前への罰だ」
「――――なっ!?」
 信じられない一言だった。
 ヒミカは、ククルがゼンガーに犯されるように言ったのだ。
 しかも、この場、ヒミカの目の前で――――
「そ、そんなことは出来ませぬ!」
「ほう、できないと申すか?
 ……では、お前の一族の安否はどうでもいいと?」
 唇の端を噛むククル。
(この男は敵だ、それに――――)
 ククルはそう思いつつ、ヒミカに言葉を紡ぐ。
「そ、それに、この男が私を抱くわけがある訳が……!」
「それはどうかな?」
 ヒミカはもう一度ゼンガーの方を向き、
「この男はわらわの妖術により、ククル、お前のことを、
 ……ソフィアとか言ったかな? あのアースクレイドルにいた女と錯覚させるようにした。
 まぁいまは気を失っているが、いざそのときには目を覚まさせてやろう」
「ま、まさか――!」
 ククルのその一言を聞くと、ヒミカはにんまりと笑みを浮かべ、
「そのまさかだ」
 そう一言つぶやいた。

 ククルはとまどった。
 ヒミカは敵に犯されろと言う。
 その相手はゼンガー=ゾンボルト。
 しかも、その相手はククルをククルと見ていない。
 しかし、ヒミカに逆らうことは、一族の終焉を示している。
(――――くっ!)
 意を決し、ククルはゼンガーの前へと歩を進めるのであった。

「まずはその窮屈そうなものを脱がしてやるがよい」
 ヒミカの言葉に導かれるように、ククルはゼンガーのジッパーをおろす。
 一般的男子のモノより大きいゼンガーのそれが勢いよく姿を現した。
「男の方はすでに準備万端と言うことか。しかし、人間とは本当に度し難いものよのぉ」
 ククク……と、ヒミカはそのまま笑い出す。
「まあよい、ではその男の意識を覚醒させるぞ。 よいな? ククル」
「………」
 ククルは無言で通した。 それが彼女に出来るヒミカへの唯一の抵抗だったからだ。
「そうか、何も言わぬか……まぁ、それもいいだろう。ならばこちらからも何一つ口は出さん。 お前の性癖をそのままさらけ出すがいい。それ、その男の意識が覚醒するぞ!」
 そうヒミカが言うとともに、ゼンガーの意識は覚醒した。
 ただ、いつものゼンガーと違うこと。それは―――
「ソ、ソフィア!? な、何をしてるのだ!?」
 そう、彼の目にはククルがソフィアに見えていたのだ。
(さて、どうするのかなククル?その男の目に見えるのは、『ソフィア=ネート』だけであるのだぞ?それに、いくらお前が反抗をして見せても、この男にはそうは見えまい。自分ながら、恐ろしい呪術をかけたものよ)
 ヒミカは内心で笑っていた。
(早く……終わらせたいものだ。しかし、男のものとは大きいと聞いていたことはあったが、まさか……こんなに巨大なものだとは…)
 ククルはゼンガーの大きくなっているものを直視できないものの、感想ぐらいは抱くことが出来る。
(えぇっと……確かこれを刺激すれば、よかったのだな…)
 まだ一族が健在であった頃、ククルは自分付きの侍女から情事について聞いたことがあった。
 曰く、男のものを刺激し、準備万端にしなければいけない…と。
 とはいえ、すでにゼンガーのモノはすでに大きくなっているのだが…

 たどたどしい手つきでククルはゼンガーのモノを握った。
 ククルにとってそれは初めての経験であり、それはあまりうまいモノでは無いともいえる。
 対象者のゼンガーはただ、驚くばかりだった。
「な、なにを……!」
「静かにせい! 気が散る!」
 そんなゼンガーを一喝するククル。
 冷静に考えてみれば、そこまで気合いを入れて男のモノを必死に握る女も珍しい…。
(こ、これを色々といじればいいのだったな?)
 ククルは顔を紅く染め、必死に考え、それを実行しようとする。
 ゼンガーはというと、ただそれを第三者のように呆然と見ているだけだった。
 暫くゼンガーのモノをしごき続けるククルだが、やがて腕の方に疲れが出てきてしまった。
(まだ、まだなのか?ずいぶんと長い間、いじっているような気もするが…)
 確かにククルの思うとおりかなりの時間がたっている。
 しかし、いっこうにゼンガーの様子が変化することがない。それどころか困惑しているようだ。
「ククル、まだ先に進みもしないのか?」
 ただ傍観に徹していたヒミカからも言葉が発せられる。
(しかし……これ以上はどうしろと…!?)
 ククルがそう思ったとき、その両肩がゼンガーの両腕によって押さえ込まれた。

「な、何を!?」
 ククルが非難の声を上げる前に、ゼンガーはククルを押し倒していた。
 もっとも、ゼンガーの目には彼女がソフィアにしか見えていないはずなのだが。
「ただそれだけでは……無闇に時間を消費するだけです」
 そう言いつつ、ゼンガーはククルの着物をはだけさせる。
 今まで鈍重な着物に隠れていたククルの胸が露わになった。
「な、何をする!」
 ククルの非難の声をよそに、その胸をたくましい量の腕でつかむゼンガー。
 さらに、自分自身、ククルの上にまたがるようになり、己が一物をその胸の谷間に挟む。
「や……やめ……」
 先ほどまで強気だったククルも弱気になっていく。
 だが、そんな言葉をよそにゼンガーはつかんだその胸を左右にすりあわせる。
 形的に言えば、先ほどククルが指先でしていたことを、胸に置き換えただけだ。
 だがククルにとっては『置き換えた』だけではすまない。
「い、痛い……や、やめんかっ!!」
 自分の胸によって、ゼンガーのモノがしごかれている。
 それは、目の前で行われており、先ほどよりも近くに彼の一物が見えてしまうのだ。
 しかも、一回の交差によって痛みまでも感じられているのだ。
「……」
 しかし、ゼンガーはその言葉を耳にも貸さずに、ただひたすらにその行為を続けている。

「ん…あ…ぁ」
 次第にククルの方も敏感な部分をいじられているせいか熱を帯びてきていた。
 彼女自身マダ気づいてはいないが、その股間は濡れてきている。
 もっとも、彼女に『濡れる』という知識が存在するかどうかもわからないが。
 そして、一方のゼンガー―――
 先ほどのつたない手での奉仕よりも、ククルの胸を使ったその行為はさすがのゼンガーすらも限界に近づかせていた。
「……っ!」
 ゼンガーの顔色が一瞬だが変わる。
 その瞬間、ゼンガーのモノからは彼の白濁液がとばされた。
 そしてそれはククルの顔へと到達するのであった。
「はぁ…はぁ…、うぁ、これが精液というやつ…なのか…?」
 ゼンガーの精液でまみれた顔でククルはヒミカの方を見た。
「ヒ、ヒミカ様、こ、これで…よろしいのですか」
 ククルはただ、ゼンガーが達したことによりヒミカの罰は終わったモノだと思っていた。
 しかし、それはまだ始まりにすぎなかったことを彼女は知らない。

「これでいい……とは? なぜそう思うのだ、ククルよ?」
「それは……どういう意味ですか?」
 ククルは不思議に思い、その場から立ち上がりヒミカに問いた。
 なぜなら、ゼンガーはすでに『達して』しまったのだ、これ以上ヒミカは何を求めるというのだろう。
 そこのところの知識が、あまり無いククルはただ純粋にそう思っていた。
「どうしても疑問に思うなら、ゼンガーのモノを見るが良い」
 そのヒミカの言葉を聞き、ククルは先ほど白濁液を放出したゼンガーのモノを見る。
 ―――そこには、出した直後というのに未だに巨大化をしたままの一物があった。
「では……これをどうしろと…?」
「お前は知らないのか? 『交わる』ということを」
 意外そうな顔持ちで、ヒミカはククルに問う。
 ククルは『交わる』という言葉は知っていたものの、その実質は全く知らなかった。

 一方置いてきぼり状態のゼンガーは、というと――
「『ソフィア』はいったい何を言っているんだ?」
 ゼンガーの目にはヒミカは映らない。
 つまり、『ソフィア』は何もない空間に話しかけているのだ。
(ま、まさか俺が強引にソフィアを襲ってしまったから、精神か何かに異常を!?)
 ―――ならば、俺はどうすればいい―――
 ゼンガーが自問自答したそのとき、彼の脳裏に一つの言葉が浮かんだ。
『同じようなショックを与えたら、直るのではないかな?』
 それはヒミカの呪術による影響だろうか? それとも別の要因だろうか?
 ただ一つ確かなこと、それはゼンガーが素直にその言葉を信じたことだ。
 未だに巨大化している己の一物を『ソフィア』に突き立てるべく、ククルの背後に近寄り、その腰をたくましい両腕でわしづかみにした。
「ほう……あの男、堅物そうに見えてやるときは結構やるものだな」
 ヒミカもさぞ驚いた様子でつぶやいた。
 この3人の中で一番驚いたのはククルだ、何せ油断しているときに自分の腰をとられたのだから。
 驚きのあまり振り向くが、もちろんそこいるのはゼンガーだ。
 しかもそのゼンガーは今まさに挿入しようとしている瞬間だった。
「やっ! お、お前は何をするつもりなのだ!」
「ちょうど良いではないかククルよ、ゼンガーに『交わる』ということを実践を踏まえて教えてもらうと良い」
 ククルの質問に答えるのはヒミカ。 ゼンガーは無言だった。
「ま、まさかそんな大きいモノを私のそこに入れようとでも言うのか!?
 や、やめっ! そんな大きいモノは入らない!!」
 そんなククルの言葉を無視するかのように、ゼンガーの動きは止まらない。
 ゼンガーの頭にあることは、『ソフィア』を強引なりとも直すこと、ただそれだけだった。
 ただそれだけの結論に縛られた男に、他の言葉は通用しない。
「止めろと言ってるに!」
 ククルも何とかその行為から逃げようと必死の抵抗を見せるが、所詮男と女の力の差か……
 ククルの抵抗もむなしく、彼女の中にゼンガーは入っていくのだった。

「うぁ……あ……ぁ……」
 必死に声をかみ殺そうとしているが、その痛みは半端ではなく漏れてしまう。
(こんなに痛みを伴わせて……! この男には誇りはないのか!)
 初めての痛みに加え、ゼンガーのそれは人並み以上のモノである。
 ゼンガーはククルの中で『膜』を感じたが、彼はかまわずにそれを破るようにさらに突き上げる。
 ブチブチッ!
 実際にそんな音がいたかどうかはわからないが、ククルはそんな音が聞こえたような気がする。
「ひぅ! い、イタイ、やめんか!!」
 無論、ゼンガーは止めることもなく。
「あぅ……! 揺さぶる……な!」
 ―――イタイだけではないか!
 ククルは双言葉を紡げようとしたが、依然ゼンガーが入れたり出したりを繰り返すので、言葉にも成らない。
 それどころか、どちらかというと、喘ぎ声段階の声まで出ている。
 しかし、痛みはどんどんと増してゆく。
 ふとククルは、ゼンガーと自分の接合部を見た。
「……! 血が出ておる! 少しは遠慮というものを……!」
 ――知らないのか!
 と、ククルは言葉をつなげようとしたのだが、ゼンガーのあまりにも真剣な顔に言葉を失った。
 もっとも……、本当に真剣な顔を見ただけで言葉を続けるのを止めたかどうだか…
「今は苦しい……っかもしれないが……許せ、『ソフィア』!」
 そのゼンガーの一言を聞いたとき、ククルはなぜか気を落とした。
(この男、私ではなく……ソフィアを傷つけている気持ちなのか…)
 そう思うと、先ほどまで感じていた痛みはむしろ消えていくようだった。
(そうか……ならばこの男に消える事なき精神の蝕みを与えるのもいいかもしれない)
 そう思い、それを実行に移す。
 実行に移す……と言っても、ただ下半身に力を入れただけだ。
 ククルは最初、自分の中に入っているゼンガーのモノをきつくしめ、痛みを伴わせようとしたのだ。
(信じている女、守るべき女から、これを傷つけられたとあっては後々の心理的外傷となるだろう!)
 それは、ククルの経験無さから出てくる無知であった。
 実際、そんな事されたら、ゼンガーは別の意味でたまったモノではない。

「き……きつい……!」
(なぜだ、この男苦痛の表情を出すどころかむしろ歓喜の……アァ!)
 さらに、力を加えようとするククル。
 が、しかし、ククルの気持ちも変化しつつあった。
(はじめは痛みしかなかったというのに……なんだ、この……気分は!)
 それは、男に抱かれるときに女が感じる特殊な幸福感であったが、ククルが気づくはずもなかった。
「ふぁ……これ以上……! 持たない……!
 目の…前が……真っ白に……!!」
「俺もそろそろイキそうだ……! 『ソフィア』……!」
「ど……どこに行くのだ!? ア……ン……!アァーーーー!」
 二人の限界が近づく。
 ――――そして。
「我が名はゼンガー=ゾンボルト! 悪を断つ剣なり!!」
 その言葉を発するとともに、ククルの中へと熱きほとばしりが飛んだ。
 その様子を、見てたヒミカは満足そうに笑みを浮かべるのであった。

 それから数日後、再びククルに出撃の機会が与えられた。
 ゼンガーは元のαナンバーズの元へ戻されていた。
 ククルは、
「なぜ奴をαナンバーズに戻したのですか!?奴はまだ使い道があったはず!」
 と、ヒミカに問うが、ヒミカは、
「戯れのためにここに連れてきたのだ。それに長々といては、いつ何時わらわの術が切れるともしらん」
 とヒラリと交わすだけであった。

 ふとそんな様子を思い出しながら、愛機のマガルガをとばしていると…
「貴様はククル!!」
 目の前にゼンガーが現れた。
「ゼンガー=ゾンボルト! ここであったが貴様の最後だ!」
 二機はそのままいつものように戦闘に突入する。
 ……が、いつもと違うことがあった。
「なんだこの感覚は……身体が熱い…?」
 ククルの身体がうずき始めたのだ。
 気がつくと、ククルのその股も濡れ始めている。
「はぅ……!」
 ククルは身をよじれさせながらもゼンガーの参式と戦う。
 が、しかし、その状態ではまともに相対できる訳もなく。
「もらったぁ! 斬艦刀・星薙の太刀!」
「あ……あぁ!」
 マガルガは参式の一撃を受け、敗退を余儀なくされた。

 しかし、マガルガはそのまま邪魔大王国には向かわなかった。
 では、機体を半壊させられたククルは何処へ言ったのだろう?
 答えは、すぐ近くのうっそうとした森であった。
 ククルはそこで何をしているのだろう?
 それに対する答えは一つ。
「ふぁ……こ、こんなに気持ちが……良いものだったなんて…」
 ゼンガーに相対し、収まりのつかなくなってしまった身体に収拾をつけるべくククルがとった行動。
 それは、自慰行為であった。
 特に道具も使うこともなく、ただ自分の秘所をいじるだけの自慰。
「ア……あぁ! ン、アアアァァーーーー!!」
 それだけで、すぐにイッてしまうのは経験の無さだけだろうか?
 そしてそこには、ただぼんやりと考え込むククルが残される。
 そして一言―――
「私は……変になってしまったのか……?」
 ―――と呟き、余韻に浸るのだった。

 陰の物語・終わりゅ

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