「リュウセイに好きな人が出来たぁ!?」
 始まりは、そんな素っ頓狂な声だった。
 丁度食事時と言うこともあり、主なメンバーは食堂に来ている。
 そんな食堂の中での素っ頓狂な声だった。
 最初に反応を示したのはライディース・F・ブランシュタインであった。
「バカな、あんな男に好きな女など出来ようはずもない」
 にべもなく、否定をするライ。
「さぁて、それはどうかしらねぇ?
 リュウセイだって男の子よ? 好きな女なんてすぐに出来ちゃうものよ」
 女どもはこれだ、色恋沙汰となるとすぐにクビを突っ込みたがる。
 特に今目の前にいる、エクセレンとか言う女性はそう言うことに関しては嗅覚が鋭すぎる。
 アルフィミィとかいう、敵の女パイロットと自分の恋人と三角関係を結んでいるという噂もあるが
 本人自身、話題の対象になってどうするのだろうか。
「―――話がずれた」
 最初に信じられないようなことを聞かされたからか、いつも冷静沈着なライの思考回路も少し狂った。
 しかし、ロボット一筋で、女の子のスカートよりもアンジュルグのスカートの方が気になる男に
 なんだ、その、好きな女性なんて出来るものなのか?
 ……天才とは、自分の想定外のことが起きると、得てして弱いモノだ。
「ほらほら、あなただっているぐらいなんだから、リュウセイにだって出来るんじゃない?
 というか、これでSRXチームもみんな同じ共通点が出来ちゃったぁ〜」
 ……この女、何を言い出すのだろうか?
 少なくとも、ライには『好きな女性』など居ない。 本人もそう思っている。
「よく話しに出すじゃない。 カトr―――」
「うぉぉぉ!?」
 天才の狼狽だ。
 カト……と、エクセレンが言いだした瞬間一気に口を塞ぎに行ったライ。
「な、な、な、なにを言い出すんでございますですことよ?
 カ、カトライアの義姉上は、決して私とはそんな関係ではないでございますことよ?」
「あらん、積極的。
 でもぉ、そこまで慌てるっていうのもないんじゃないの?」
 そう言ってエクセレンは、ライの背後に目線を送る。
 そこには、トロンベの人……というか、謎の食通の人がいた。
「どういう事かな、それは」
「あらん、知らなかったのかしらぁ? 知らぬは夫ばかりなりって?」
 エクセレンはどんどんと根も葉もない言葉を紡いでいく。
 ……と、
「ほほぉ、どういうトロンベなことがあったのかな、我が弟よ」
 眼鏡の奥で眼孔が煌めいた気がした。
 ライを持ってしても『数週間、股さけR−2は見れないな』と思ったぐらいだ
 せめて、何か一言言い返そう……と思い。
「な、なぜあなたが怒るのですかな、レーツェル殿?
 あなたは私の兄、エルザムではなくて、謎の食通・レーツェル・ファインシュメッカーという舌を噛みそうな名前の人じゃないですか?
 確か、昔の名前は捨てたと聞きました。 まさか、それは狂言だったとでも?」
「じ、実にトロンベな言い訳だ」
 ちょっとたじろぐトロンベ。
 そう言えばそんなことも言ったっけなぁ…
 あ〜、ここで素直にライの兄とか認めたら、あの時の名前を捨てて〜〜なんて決断も消え失せそうな気がするなぁ
 とか、何とか思ったかも知れないが。
 兄さん、それは違う。 もうみんな知ってるし、あんた、偽名使い必要もないんだから。
 素直にエルザムって名乗ろうよ、トロンベの兄さん。

 ちなみに、その様子を端から見ていたエクセレンは、「?」と言う疑問符しか浮かばなかった。
 言い訳も何も、言い訳になっていないような気もするんだけど
 本人間で通じてるならそれはそれでイイかも知れない。
「じゃあ、あの噂は? リュウセイ君に聞いたんだけど」
「今度は何だ」
 何とかトロンベを言い臥せることが出来た。 とたん、エクセレンからの新たなる情報だ。
 このままこの女に付き合うのは得策じゃない。 何よりもタイトル通りの話に進まない。
「稚織ちゃん……」
 ボソッとエクセレンがつぶやく、ライは聞き逃さなかった。
 エクセレンが来た話では、R−2のパイロット選別のゲームになった作品のヒロインらしいのだが
 リュウセイに聞いただけの話なので、確証はない。
「〜〜〜〜ッ! リュウセイはどこだ!」
 聞き逃さなかったライは、リュウセイを探し出す!
 リュウセイはどこだ、絶対食堂のどこかに――――いた!
 今まさに、食堂に入ろうとか言うところだ。
 しかも、両手に花。 マイ、ラトという二大美少女を添えての登場だ。
 ちょっと神々しい。
 そんなリュウセイを目視した瞬間。
「喰らえぇ! リュウセイッ!」
 ターゲット・ロック。 発射。
 ライのブーストナックルが火を吹いた。

 ギャゴン!

 そしてそれは、ものの見事にリュウセイの顎にヒット。
 KO・ WINNER IS ライディース

 さて、問題はこのまま続けたところでタイトル通りの内容に行かないところだ。
「アイタタタ…」
 数瞬、リュウセイは記憶が飛んでいるものの、命には別状はないようだ。
「元はと言えば、リュウセイ、貴様が悪い!」
「な、なんだよ、いきなり!」
 ポーズを付け、リュウセイを悪人呼ばわりするライに抗議の声を上げる。
「貴様に好きな人が出来たという嘘の噂が流れるのが悪いのだ!」
 噂…なら、本人に悪気がある訳ではないので、リュウセイが悪いというのも違う気がするぞ、ライ。
「好きな人ぉ?」
 リュウセイがいぶかしげに首をひねる。
(私……私……私……!)
 ライの言葉にもっとも反応を示したのはマイとラトであった。
 さすが超音速の妖精。 さすが念動者。
 ちょっと怨念すらも感じる気がするが、それは気にしないで置こう。
「ん〜……あ、確かに居るぞ」
 パッと晴れやかな顔をするリュウセイ。
 そして、ドキッとする両手の花たち。
「ん〜、そんなに知りたいって言うなら……けどなぁ、紹介するまでもない人だし…」
 紹介するまでもない。
 当然だ、みんなに知られている、しかも今隣に居るんだもの。
 マイとラト、共通した意見だった。
「いや、気になる。 紹介しろ」
「そうねぇ、女の子に興味がないリュウセイ君が気になる相手だものねぇ」
「さぞかし、ダイトロンベのような女性なのだろう。 なあ我が友よ」
「むぅ」
 なんと親分まで参上してしまった。
 いや、トロンベ兄さん、どんな女性をさして言ってるんだ、それ。
「しかたねぇな……」
 リュウセイは困り果てた顔で言う。
「リュウセイ、困ってる…
 この場で私かマイかを選ばなくちゃいけないことに。
 でも……負けない」
 小声でつぶやくラト。
 何せラトは先日、リュウセイからの精をその躰に浴びるまでの関係になっていたのだ。
 対してマイは、まだリュウセイの操縦桿すら体内に入れたことはない。
「んじゃ、いうけどよぉ……決して引くなよ?」
 ………引く?
 何を引くというのだろうか?
 目の前に居るではないか、しかも二人して。
 疑問視をあげるマイとラトを後目に、リュウセイは、エクセレン・トロンベ・ライ・親分を引き連れ歩き出した。
 暫くの間をあけ、ラトとマイはその後を付いていく。

 そして、ついた先はリュウセイの部屋だった。

「あらん、もしかして、同じ部屋なのぉ? 誰かしらねぇ?」
「ヴィデオレィターという代物ではないのか? まさか、戦艦の中に想い人を入れる訳にもいかぬ」
 ちょっと不慣れな発音で、親分は言葉を紡ぐ。 親分、アンタの出身はどこだ?
 そして、その親分の言葉を裏付けるかの如く、リュウセイはビデオのスイッチを入れた。
「ちょ―――!」
 ちょっと躊躇いがちな言葉が空を切った気がするが、それは気のせいだろう。
 そして、そのテレビから流れたのは―――

 こちら宇宙の何でも屋 竹尾ゼネラルカンパニィ♪

 軽快なアニソンだった。
「何ビデオ間違えてるんだ、リュウセイ」
 相棒の不甲斐なさにため息を吐きながら、不承不承突っ込みを入れるライ。
 が、リュウセイはそんな一言を気にもせずに続きを流し……流し……
『社長、今日の予算はミサイルが二発です』
 アニメのヒロインがそう言った時だった。
「ミサイル二発が一日に使える武装か、民間も大変だなぁ」
 トロンベが身に摘まれるように言った。
 そんなシーンの最中、リュウセイは画像を静止画にする。
 ………で
「この娘」
 静寂が、その空間を支配した。


 それはひょっとしてギャグで言ってるのか?
 一同、考える。 ライやマイとて例外ではない。
 リュウセイは……笑顔だ。
「リュ、リュウセイ。 まさかそんなトロンベなこと真剣に言っている訳ではないだろうな」
 よく聞いてくれた、トロンベ。 誰もそれを聞くのが怖くて聞けなかったんだよ。
「へ…? 何?」
 ………
 真剣だったようです。
 本気と書いてマジだったようです。
 戦々恐々としながら、一同はリュウセイの部屋を出ていく。
「お、おい、お前らどこにいくんだよ」
「どこでもない。
 ただ、この場にいるのが辛いだけだ」
 代表して親分が言う。
 同意した全員は次々と部屋を出ていく。
 マイも例外ではない。 ラトは……ラトで一番ショックを受けていた。
「な、何だって言うんだよ。言えって言うから言っただけなのによ」
 自分の歓声が間違っているとは露ほどにも思わず、リュウセイは呆然と取り残された。

 数日後。
 衝撃的な事件は、一部の人間の痕として深く残っていた。
 ライやトロンベ。親分はリュウセイのその後のことを考えて誰にも言う訳ではなかった。
 マイとラトに至っては……必死に脳からその情報を追い出そうとしていた。
 マイに至っては、ケンゾウに必死にすがったぐらいだ。
 曰く―――
「過、過去の記憶を消して!」
 一瞬ケンゾウは、レビとしての記憶がよみがえったのではないかと危惧したが。
 どうやら違うようだと分かると安心し、『気にすることはない』の一言で斬って捨てた。
 ラトは…ラーダさんにヨガを習っている。
 忘れたい記憶を綺麗さっぱり消すヨガだそうだ。 そんなのあるのかよ?
 一人だけ、一人だけ自分の中だけに収めずに一人の男に対していった女ガイル。
 エクセレン・ブロウニング。
 彼女だけは、何とその恋人のギャンブル好きの男に話してしまったのだ。
「ブラフじゃないのか?」
 信じられないようにキョウスケは言った。
 そりゃそうだ、作り物の女性に恋をするなど。
 ピュグマリオンの神話の中の話ではないのだ。
「それがねぇ、どう見ても本気の表情だったのよ。
 アレは本気ね、お姉さん、リュウセイ君のことが心配になって来ちゃったわよ」
 普段はおちゃらけてる彼女も、いつになく真剣な顔をして言う。
 そんな二人が廊下の角を曲がった当たりで目にした光景。
 それは、マイを押し倒しているリュウセイの姿であった。
「あらま、だ〜いたん」
「ほら見ろ、ブラフだ。
 真のジョーカーはマイ・コバヤシだな。 この勝負、俺の勝ちだ。
 分の悪い方に賭けて正解だったな」
「……と言うことは、キョウスケもちょっとは信じてたのね」
「勝負士たるもの、全ての情報を覚えている必要がある。
 とは言え、大胆だな二人とも。 往来で行為に至ろうとするなど」
「若さ故ねぇ、若さって何だ?わお! Wモードじゃない!」
「意味がわからん。 ほら、エクセレン、行くぞ」
「はいはいっと……、お邪魔はいけないわよね。 それよりも、ね?」
 そそくさと退場し、夜の闇に消える鉄と白騎士。

 さて、問題は何故にリュウセイがマイを押し倒しているのか?
 答えは数秒に戻るのだが。
 そんな長々と話しても仕方がないことなので、結果論だけ述べると。 正面衝突しただけだ。
 よく見れば、マイが持っていたと思われる缶コーヒーも転がっている。
 で、その結果、形から見ればリュウセイがマイを押し倒したような形になっているだけだった。
「リュ……リュウ?」
 ドキドキしているちっちゃなこの気持ち もう止められないよ。
 と、言わんばかりにマイの小さな胸は張り裂けそうだった。
 想い人が今目の前で(結果的には)押し倒しているのだ。
(リュウ、やっぱり前のは冗談だったんだ。それで、あたしを今押し倒してくれてるんだ)
 ……落ち着け、マイさん。
「ヘクチッ」
 ちょっとトリップ気味だったマイの口から、かわいらしいくしゃみが飛び出る。
 そう言えば、マイは先程コーヒーを持っていて、リュウセイとぶつかった際に頭から被ってしまったのだ。
 ご都合主義と言われれば、それまでのこと。
「あ、ああ、悪ぃ! 悪ぃ!」
 慌てて、リュウセイは立ち上がる。
 そして、改めてマイの惨状を見てみると、かなり悲惨だ。
 特にコーヒーのシミは早く落とさないと大変なことになってしまう。
「わ、悪ぃ、マイ! 俺の部屋近くだからよ、とにかくコーヒーだけでも流した方がいいぜ!」
 あっけにとられるマイの手を引き、部屋に連れ込むリュウセイ。 悪い意味ではないぞ?

 シャワ〜

 さて、細かい話は不要だろう。
 マイはリュウセイ自室でシャワーを浴びている。 コーヒーを落とす為だ。
(ここ、リュウの部屋。
 リュウの部屋って前に来た時はヘンな話になっちゃったけど、その前は…)
 深く思い出す。
 深く思い出す。
 ラトとリュウセイが合体した瞬間のシーンを。
 そのシーンを思い出した刹那、マイは首をぶるんぶるんと振る。
 前は、「また後で自分が取り返せばいい」と、ちょっと大人びた風に考えてしまったが
 再び自分の素肌をリュウセイの部屋で晒している(と言っても、浴室だが)と考えが纏まらなくなってきている。
「やっぱり、先にリュウのを入れられたのは悔しい…けど……あの時はラトが…」
 強引にと呟きかける。
「強引……か。 いま、ラトは居ないんだし、だったらあたしも強引に…」
 ちょっとした悪戯めいた考えが浮かんだ時―――
「マイー、着替え、俺ので悪いけど、ここおいとくから」
 リュウの明るい声だ。
 この声を聞くと……どうしてだろう。
 自分の胸の中にふとした大きな塊が生まれる。
「リュウ、ゴメン」
「いいって、きにすんqあwせdrftgyふじおkpl@;:「!?」
 きにすん…まで言ったところで、リュウセイは吹いた。
 丁度その時に、リュウセイは風呂上がりのマイを見た訳なのだが、問題は其の服装。
 リュウセイが貸したSRXのオーバージャケット。 それはいい。
 問題は前を開いていたことだ。
 ああ、ちょっと風が吹けば、うまくそのポッチが……ポッチが!
「ま、ま、前を隠せよマイ!」
「隠さない。 だってリュウも前に中は見たことがあるよね。
 今更、恥ずかしがることもないよ」
 ずぃっと近づくマイ。
「マイ……」
 リュウセイは、おそるおそるマイのその小さな胸に手を伸ばし…

 ぐいっ!
 
 強引に引っ張られた。
「リュウ、聞いて、私の胸、こんなにドキドキしてる。多分、この前の時以上……だと思う」
「な……」
「何でも何もない。この前は唐突だったから、心の準備が出来ていなかっただけ。でも、今は違う、これから自分が何をしようとしているか、自分で理解してるから。だから、ドキドキしてるの」
 そこまで言いきると、マイは一呼吸を置き
「リュウ、抱いて」
 と……

 さて、ここでスレ住人の貴兄たちに質問である。
 果たして、我らがリュウセイ君はマイのこの誘惑を耐えることが出来るのだろうか?
 答えは……否 でいいよね? 

 まずリュウセイは自分からリードしようと動いた。
 何せこの前はされるがママだったのだ。 多分、男としてそれはどうなのか…と。
 だからちょっと勉強もした。 メイドさんが沢山出てくるようなロボットアニメならそんなシーンも多いかなと思って、沢山何度も見直した。
 けど、いつの間にかロボットシーンに燃えてる自分が居た。
 代わりに、R−1がアンジュルグを襲っているようなシーンを頭の中でシミュレートしようとした。
 ……が、その時はシミュレートだけでは済まなくなっていた。

 結論:まだまだリュウセイは青い。

 かわいらしいマイの胸を掴んだままで凍るリュウセイ。
 それに少しいらつき始めたのはマイの方だ。
(もう……何でリュウってこうなの……)
 こんなシーンになれば、男という生物はすぐにでも覆い被さってくるモノと、姉から聞いた。
 でも、現実はそうは行かなかった訳で。
 逆に覆い被ろうとしてしまったわけで……姉さん。 今日もリュウセイ部屋は大変です。
 結論から言うと、またまたリュウセイは襲われる側の立場になってしまったとさ。 無念。
「ん……はむ」
 ちょっとわざとらしい声を出しながら、上目遣いでリュウセイを見つつ操縦桿を舐めるマイ。
 さり気なく、大きめのオーバージャケットから胸を出しているのが高ポイントだ。 グッ!
「ひゅ、ひゅうひゃ……きょれもしゅきにゃんだよにぇ?」
 もはや言葉になってないって。
 くわえながら、無理に言葉を発そうとするからこうなってしまう。
「ほぅぁ〜…」
 至極ご満悦なリュウセイを見つつも、その口内で責め立てるマイ。
 舌技を駆使し、リュウセイの、まだ女性の感覚にそれほど慣れていないモノを舐め攻める。
 その時出る音、通常ピチャ音と呼ばれる音が、妙に生々しく
 リュウセイすらも不思議な気持ちにさせるのであった。

 ぴちゃ…
 気づけば、マイも自分のその股間を空いた指でいじっていた。
 もっとも、それに気づいている者は居ない。 マイですらも、だ。
「あぅ…マ、マイ……もういいって」
「ひゅ……ひゅう…?」
 不思議がりつつ、上目でリュウを見上げるマイ。
「それ以上やっちゃうとさ、出ちゃうよ、マイの口に」
 リュウセイは本心ではないものの、そう言った。
 マイの耳に、それは聞こえていたのだが、マイは決して止めることはなかった。
 どころか、さらに執拗に責め立てる
「ゥムァイ!?」
 これ以上はヤバイ!
 そう、直感でリュウセイが感じた時に、マイの舌がリュウセイの操縦桿にクリティカルヒット。
 これが、精神コマンド:直撃である。
 フラッシュバック、そして後に暗転。
 リュウセイはマイの小さな口の中に、その思いの丈をぶちまけてしまったのだ。
 そしてそれは……喉を伝い、マイの中へと滲入するのだった。
「けほっ! けほっ! に、苦いよ…リュウ」
 口の中でぶちまけられたものは、全てが外に出る訳でもなく、一部飲んでしまったものもある。
 それだけ、勢いが激しかったのだ。 さすがは念動者。
「わ、悪ぃ、マイ! 耐えられなかったんだ!」
 慌てて謝るリュウセイ。 お前今回謝ってばっかりだぞ。
「本当に悪いと思ってるの?」
 意地悪っぽくマイは言う。
「思ってる思ってる! 何でもするから、その許してくれ!」
 両手を拝みながら、マイに対し謝るリュウセイ。
「だったら……」
 未だに衰えの見せないリュウセイのものを指さし、伏せ見がちに
「それ、ほしい」
 と、一言。

 後は、難しい問題もなかった。
 以前マイとは肌を見せた中だ。
 こうなるのも時間の問題だったとも言えなくはない。
 と言うか、むしろマイも望んでいたことだったのだ。
 リュウセイは導かれるかの如く、マイの秘所に突き立て……
 用としたのだが、微妙に場所が分からない。
「そ、そう言えば前はラトが自分で入れてくれたんだっけ…ど、どこになるんだろ? アンジュルグとは違うし…」
 慌てるリュウセイ。 自分から始める最初とはこんなものなのかも知れない。
「リュウ……その、こっち」
 慌てて、マイも先導する。
 果たしてソコには……
「あ、あった……い、いくぜ、マイ?」
 半信半疑ながらも、マイの中に突き立てる。リュウセイ。
 合体は……成功した。

「ヒッ! い、痛いっ!?」
 想像以上の激痛だった。
 あの時、ラトは特に悲鳴も上げてはいなかった。
 だから、そんなに痛いものではないのだろう。 そう考えていたのだが。
 痛い。
 痛いのだからしょうがない。
「マ、マイ、大丈夫か!?」
 慌てて引き抜こうとするリュウセイ。
 が、腰を引こうにも、何とマイの足が絡まれており不可能になっているではないか。
「いい、リュウ。 気にしないで…前出来なかったこと、今できてるんだもん。 嬉しいよ」
 涙目で、涙声でマイはリュウセイに伝えた。
 自らの股には血の糸が引いているというのに、健気なことだ。
「マイ……」
 リュウセイは応えてやることにした。
 ちょっとずつでも、少しづつでも、その腰を動かす。
「はぅ……ん…あぁ」
 そのたびに悩ましげな声が、マイの口から漏れる。
「はぁ……はぁ……マイ…」
「リュウ、気にしない、、、、で。あたし、これで…も! 嬉しい んだか ら」
 ところどころつっかえながらではあるが、先程よりも聞き取りやすい。
「それに、気持ちよくなってきてるの」
 いいつつ、リュウセイの首に手を回す。
「リュウ、キスして」
 言われるがままに、体をそのままマイの上に乗せキスをするリュウセイ。
 ちょっと苦いのは、先程の名残というのだろうか?
 …我ながら、凄い味…
 勿論、腰の加速は止めない。
「リュ、リュウ?! ちょ、ちょっと!」
「悪いけどマイ、一気に貫くぜ!」
「そ、それ別の人のセリ―――フアッ!」 
 言い切る前に、リュウセイのモノがその膣内を異様に責め立てる。
 もう、何も考えたくない。
「リュ、リュウ……!」
「はぁ……はぁ……マイ!」
「何これ、やっぱぁりおかしいにょぉ…。意識が飛んじゃう…とんじゃうよお!」
「俺もだ、俺もだ、マイ!」
 二人して限界が近い。
 特に、リュウセイに至っては先ほど出した分、さらに敏感になっているのだ。
「マ、マイ!」
「リュ……ゥ!!」

 ……仲良きことは、美しき哉。

 時間も制御された戦艦の中で。
 確かに朝を感じた時があるのだ。
 それは、もっとも愛おしき者と一緒に目覚める時。
 マイにとっては、今が朝だった。
 昨夜の激しい行為の後、二人して眠りについてしまった。
 そして、先に目を覚ましたのはマイ。
 眠っているリュウセイの頬に軽い口づけをし、自分の服を着てその部屋を立ち去る。
 ただ一通、リュウセイに対して置き手紙を残したまま。

 自分の部屋に戻る最中の帰り道に、ラトゥーニに出会った。
 そして…ラトは昨夜、マイがリュウセイに何をしたかも知らずに、話しかける。
「あの…リュウセイ、あれ、本気だったと思う?」
「あ……あ、アレって?」
「あの、アニメのヒロインの人が好きだって言うの」
「あ、そっちか……、あ、あたしはいくらなんでも、リュウの冗談だと思うな」
「だよね……だよね!」
 ハハハ。
 二人の可憐な少女達は同時に笑い出し
「でも、私たち、あのヒロインと違って、リュウセイから直接「好き」とも言われてないんだよね」
 と、ラトゥーニは至極当然の質問をするのであった。

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