耐圧ガラスの向こうに広がる星々の煌きさえ、今の自分には鈍色にくすんで見える

〜twins〜

何時からだろうか。同一の存在である自分と彼が、こんな関係になってしまったのは
何時からだろうか。意識の奥底に、澱の様に蠢くそれに気付いたのは
仮設ベッドの上で二人が体を重ね合うのは、来るべき決戦への不安からだろうか
色鮮やかな星に満ちてはいれど、此処は死の海。暗黒のソラ――
その中にあって、それは対極に白く白く輝いて
けれどそれは救いにならず、死さえ飲み込む純白の魔
解る気はする。不安、恐怖――それら負の感情を払拭する為、誰かと繋がっていたいと思うのは
だがそれは自分たちにも当て嵌まるのだろうか?
不安はある。恐怖も憶える。しかし、だから自身の中に直接誰かを感じたいとは思わない
既に自分たちは繋がっているのだから。意識の底の更なる底で
それでも彼は、自分の後ろから小気味良い息遣いで、規則正しく腰を打ち付けてくるし
彼の腰が前後に動く限り、喉から鳴る音に色は付き、結合部からは蜜が溢れる
体中には常に電気が奔り、この狭い個室で声が洩れぬ様にするのは苦労する
お陰でお気に入りのリボンには歯形が付いて、誤魔化すのにも苦労する
と、いきなり彼の尖った歯が優しく耳に噛み付いてくる
不意の攻撃に悲鳴にも似た声が上がってしまうが、すぐにまた歯を食いしばる
責め立てる様に彼を見やれば、その顔は「どうせなら集中しよう」と語っていた
それからはもう、彼を感じる事に集中する。注挿の度に鳴る水音は変わらず淫らで
擦られる程に澱は溜まり、やがては形容しようの無い昂ぶりとなって渦巻き始める
一先ずの終焉は近い。自分も、彼も。絶倒のタイミングは何時も完璧に同じだ
だって自分たちは繋がっているのだから。物理的にも、意識的にも
自分を織り成す外も内も灼けた様に上気し、合わせる様に彼のリズミカルな振動は間隔を狭めていく
渦巻く昂ぶりが嵐となって膨張を続け、そして――……
体を弓の様にしならせ、彼の射精を膣内一杯に受け止める自分、というものを
何処か遠くから見ている様に認識した
と、本日三度目の絶頂を向かえ、未だ火照りの収まらぬ膣内が肉色の棒で満たされた
全く、不安なのも解るし盛んなのも結構な事だ
結構な事ではあるが……

「シロ〜、まだ終わらニャいの〜?」
「マサキ達が終わってくれニャきゃ、オイラには止め様がニャいニャ〜」
「クスハ汁ニャんて飲むから……」
「はぁ〜ぁ……」
「「ファミリアって辛いニャ〜」」

私と彼も、まだ終われない。直上の仮設ベッドで主たちが絡み合う限り――

                                         ―twins.FIN―
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