夢は、終わったはずだった。
「……東京、か」
古き記憶に残された景色、それによく似た街を眺めながら彼は呟く。
非常に良く出来ているが、それが本物ではないことはわかっている。
誰一人としていない無人の街は、恐らく生み出されたもの。
ならば、あの"魔神皇"以外に誰が生み出せるというのか。
その答えは、探すまでもなかった。
殺し合い。
全ての命を奪うことを、全ての人間に課せられた、呪いの遊戯。
どういうわけで自分が巻き込まれたのかは、わからない。
だが、この場所を生き抜くには"力"が必要だ。
何者にも勝り、全てを掌握せんとする"力"。
いつか手にしようとして、手に出来なかった"モノ"。
それが、この場所では必要だ。
「俺は……」
空を見上げ、太陽を掴むように握りこぶしを作る。
見ていた、見終わったはずの、夢。
存在しないはずの、夢の続き。
そこに今、自分は立たされている。
何のために? 何が目的で?
わからない、わからない。
わからないまま、彼は袋からあるものを取り出す。
それは、夢を見させてくれていた男が使っていた、始まりの機械。
ふと気がつけば、あの男の見様見真似で、悪魔を呼んでいた。
まさか自分が"そっち"に立つとはな、と笑いながら、光が姿を作るのを待つ。
間もなくして現れたのは、漆黒に身を包んだ、一人の剣士だった。
瞳は血のように赤く、腰元まで伸びる銀髪に、尖った耳。
容姿端麗なその姿は、男から見ても思わず見とれてしまうほどだった。
「貴様か、私を喚んだのは」
「ああ、そうだな」
ウソをついた所で、何のメリットも無い。
だから、問いかけには短く答える。
すると現れた男は、少し目を細め、自分の顔をじっと見つめてきた。
「その眼……力を欲し、追い求め続ける眼だな」
「……分かるか?」
「ああ、これ以上ないほどにはな」
喋ってもいないことを、ズバリと当てられた。
目は口ほどに物を言う、なんて言葉があるが、まさかそこを当てられるとは思っていなかった。
恐らく、男はそんな人間をゴマンと見てきたのだろう。
「……そうだな、確かに俺は力を求めた。全てを乗り越えられるくらいの、圧倒的な力を」
それを切っ掛けに、ぼろぼろと言葉が溢れ出してくる。
嘗ての記憶、繰り返される夢、何度見ても、心地のいい夢。
その話を、ただ淡々と告げる。
「でもダメだった、そんなもんじゃ、足りなかったのさ」
そして、心地のいい夢が教えてくれる、残酷な真実を口に出す。
神にも肉薄する力を手にしても、それだけではダメだった。
けれど、何が足りないのかは分からなくて、何度も同じ夢を見て、そして何度も同じように朽ちていった。
「あんたもそうだったんだろ? 力を求めて、その力を掴んで、そして溺れて、一度は滅んだクチだろ?」
「……ふん」
ふと、意地悪っぽく笑いながら、彼は男へとそう問いかける。
否定も肯定もなく、鼻で笑う声だけが返される。
その返事を受け、彼はニヤリと笑ってから、言葉を続ける。
「ここは夢の続き。俺が見ていた、見終わったはずの夢の続きだ」
自分が置かれている場所、状況。
それを理解した上で、言い聞かせるようにそう呟く。
存在し得なかったはずの舞台に立たされた今、自分は何をやるべきなのか。
「だから俺は、力の"先"にあるものが何なのかを知りたい」
それを呟いて、笑った。
【?????/1日目/朝】
【カオスヒーロー@真・女神転生if...】
[状態]:健康
[装備]:COMP(アームターミナル型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[所持マッカ]:三万
[思考・状況]
基本:"力"の先にあるものを探す
[備考]
※真・女神転生if...における魔人カオスヒーローが何かしらの手段で呼び出されています
[COMP]
1:ピサロ@ドラゴンクエスト4
[種族]:魔人
[状態]:健康
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