前回のあらまし
ある日、道端に行き倒れていた“俺”は
俺の事を死体だと思い込んだ火車の少女、燐と名乗る少女に拾われ
あわや灼熱地獄に生きたまま放り込まれるところだったのだが
すったもんだの上、妖怪のペットになることになっちまった
このまま生きててもいい事が何も無いなら、いっそ。
力でも性的な意味でも惨めに屈服させられてしまった俺は
彼女を主として、余り長くはならないだろう余生を楽しむ事にした……
決して、その……辱められたのが気持ちよかったからとかじゃない
断じてない
「んふふふふふ〜〜ん♪ふふふふふふふ〜〜ん♪」
燐様は何が楽しいのかずっと鼻歌を歌っている
そんなにペットを手に入れたのが嬉しいのだろうか、
人間の俺から見ても最高に楽しそうな血色のよい表情だった
さっきまで妖艶に俺を辱めていた少女とはとても思えない
俺はというと猫車のスピードがアップしたせいでほとほと参っていた
今走っている場所が悪路なもんだからなおさら酷いことになっている
歯を食いしばって揺れに耐えなければ舌打ちの一つも上げていただろう
流石に走る速度をもう少しゆっくりにして欲しかったのだが
口を開いた瞬間舌を噛みそうでそれもできないという……ここは正に地獄だ
天井の染みでも数えられればよかったんだろうがそんな余裕すらない
……こんな調子で一体何処へ運ばれるというのだろうか。
祈るような気分で猫車のへりにしがみついていると次第に速度が緩やかになる
歩みは普通の人並みの速度にまで落ち、やがてぴたりと止まった
どうやら三度目は無かったようだ……ホッとした。
「さあついたよ!」
元気よくそういう燐様の声に周囲を見渡すと……
「お、おお?」
そこには何処となく薄気味悪い色の大きな屋敷がそびえていた
俺の背の何人分だろう?幻想郷じゃここまで大きな建物はそうそうお目にかかれない
もしかしてこのバカみたいにでかい屋敷が燐様のものなんだろうか?
「怨霊の棲まう屋敷、地霊殿へようこそ、お兄さん!」
「随分広い屋敷なんだな」
「まぁね」
俺を乗せた猫車を押しながらだだっぴろい廊下をとことこと進んでいく燐様
内装自体も少しおどろおどろしい感じもするが、外見よりはずっとまともだった
何より意外なのが、手入れが行き届いている、生活感があるということだ
配色こそどぎついものの、ろうそくのような明かりと清潔さと相まって
とてもじゃないが恐ろしい妖怪の棲家とはとても思えない
「まぁ掃除の手はいくらでもあるからね」
「そうなのか?」
「うん」
今は見えないがそんなに大勢使用人でも居るんだろうか?
ますますもって、立派なもんだな
ちなみに俺が燐様に敬語を使っていないのはその方がいいと燐様が言ったからだ
俺が上手く敬語を使えずに変な喋り方になってしまうから、というのもあるが
かしこまる俺に「いいよいいよ」と手を振って普通に接する事を許してくれたので
有難くそうさせてもらっている。俺も堅苦しいのは好きじゃない
「そろそろあたいの部屋だよ」
言って、燐様は猫車を持ったまま華麗にコーナリングをし――
「おりん。」
「にぎゃあ!?」
「うお!?」
――その先にいた人物の呼び声に凄まじい悲鳴を上げて猫車を放り出した
燐様と出会って三度目のダイビングであった
「さあ、ささささ、さとり様ぁ!?」
「そう……なるほど?そういうことですか」
燐様にさとり様と呼ばれた少女はくるりとこちらを振り向き、
あまり感情を感じない二つの目が俺に向けられ、俺は視線だけで射すくめられた
胸元に奇妙な目玉の飾りをつけていて恐ろしく不気味だった
人間とは明らかに違う、異質な感じがする
「私が恐ろしいですか?地上の人間」
「…………」
まさか素直に、はい、と言うわけにもいくまい
何か下手な事を喋った瞬間に何をされるともわかったもんじゃない
そういう強烈な、威圧感とも違う何かをその少女は纏っていた
そもそも燐様がさとり様と呼ぶこの少女は何者なのだろう
そこからして既に判らないもんだから、軽く混乱状態だったのだが……
「私ですか?私は古明治さとり、この地霊殿の主です」
「!?」
しかし俺の心を読んだような一言で、俺はますます混乱した
どういうことだ、俺は何も喋っていないぞ?そもそも何故俺が地上の人間だと?
……主?この屋敷の?
「どうやら混乱が酷いようですね」
さとりと名乗った少女はふうとため息をつき、イチから説明をし始めた……
「つまり、ここは元々私の屋敷であり、お燐は私のペットなのです」
「…………」
「信じられませんか?確かに私はお飾り的意味も強いし、怨霊はお燐に任せきりですが」
「…………」
「そうですか。ご理解いただけたようでなによりですわ」
しばらくそんな感じの奇妙な会話が続いた
はたから見ると彼女が一人で延々喋っているようだが違う
俺が心に思ったことを次の瞬間には口に出されているせいで喋る暇が無いのだ
これが心を読める覚というやつらしい……いやはや凄い能力の妖怪も居るものだ
「まぁ、全体で見れば大した事の無い能力ですよ」
少女は本当にそう思っているのか、眉一つ動かさずそういった
……個人的にはえらく便利な能力だと思うのだが。
「……随分と順応性の高い人間ですね、あなたは」
それだけ言うと俺から興味をなくしたのか、さとりは燐様の方へ向き直る
すると廊下の隅で小さくなっていた燐様はびくんと身体を震わせた
どうやら完全に怯えているようだ
「……お燐?何が言いたいかわかりますね?」
びくびくと身体を震わせて、許しを請うようにさとりを見上げる燐様
その姿には先ほどまでの快活さや元気はつらつさはまるでなく、
ああ本当に、このさとりこそは燐様の主なのか、と実感した
「この人間を地上へ帰してきなさい」
燐様はさとりの言葉にもう一度、びくりと身体を強張らせた
俺のペット生活は早くも終わりを迎えそうな勢いだった
燐様はいまやがっちがちに縮こまって、本当に借りてきた猫のようだった
「死体ならともかく、生きた人間を攫ってくる……これは重大な違反ですよ」
「で、でもさとり様」
「地上の存在と交わした約定は今でも生きています。その意味がわかるでしょう?」
「…………」
「貴女だけではない、地獄そのものに責任が降りかかる可能性だってあるんです」
「で、でも……」
「でももかももないのです、お燐。これは貴女のためでもあるのですよ?」
どうやら事態は俺が考えていたよりかなり深刻なようだ
さとりは本気で燐様を叱っていた
しかしそれは、決して憎くて叱っているわけではないということも、同時に伝わってきた
燐様は耳と尻尾をしなだらせ、それでも諦めきれない表情をしていた
たったこれだけの短い間でそこまで気に入られてると思うと悪い気はしない
しないが、状況のまずさは俺にも大体把握できてきた
少し勿体無い気もするが、俺は地上へ帰ろう。
……この出来事は夢だったと思えば諦めもつくさ
しかし俺が口を開きかけたかけた所で燐様がそれをさえぎった。
「さとり様……もう二度と我儘は言いません、お願い、お願いですから」
燐様は頭を地べたにつけ、ほとんど涙声で懇願する
「お燐……」
さとりは大きなため息をつき、あからさまに困ったような顔をした
おそらく、それだけ燐様の意志が固いのだろう
「お願いですっ!その人間を私の……ペッ……」
顔を上げた燐様を、さとりはみっつの目玉で思い切りギョロリと睨んだ
なんとも凄まじい絵面だった……俺なんかが真正面から見たら卒倒してしまうだろう
しかし、燐様は怯みきらず言い放った
モロに言い放った
俺の人生を終える一言を
「〜〜〜〜〜〜っ、ぺっ、ペニスケースとして認めてくださいッ!!」
――世界が凍ったような気がした
陰茎や男根。つまりナニであり男のアレを意味する
一般的に容器、入れ物という意味を持つ
ペニスケースとは、つまり「男の入れ物」ってことだ
「「…………」」
さとりは怒った様な呆れた様な笑い出す寸前の様な非常に面白い顔で絶句していた
勿論俺も絶句していたが、何故か当のセリフを放った燐様まで絶句していた
自分の喉から出てきた言葉が信じられないといった様子だった
薄ら寒い何かが三者の間にひょおっと流れてその場に沈黙をおとしていく
やがて沈黙を破ったのはさとりだった
「ふっ、あははははっ!」
何がおかしいのか、お腹を押さえて笑い始め、ひとしきり笑った後、
「そう、ペニスケース!ペニスケースね……くっ、ふっふふっ」
ペニスケースペニスケースとあられもない言葉を連呼し始める
直感的にだが、俺はこの少女も見た目通りの年齢ではないのだろうと悟った
それはもちろん燐様も……俺の想像を超える年月を重ねているだろう
「さ、さとり様……」
「そう、ペニスケース。なるほど、それはいいアイディアよお燐」
さとりがなんかトンでもないことを言い出した
事態は何故か、俺を燐様のペニスケースにするという方向で決着しそうな勢いだ
「じゃあさとり様!」
「ええ、ペニスケースね……それならいいわ、認めてあげるお燐」
というか決着した。俺の意思を完全に無視して。
「ただし!条件があります」
「?!」
しかし、さとりはすぐさま元の厳かな調子に戻ると、ピシャリと言い放った
さっきとは違う、嫌らしい笑みを無表情だった貌に浮かべながら……
「……相応の覚悟を見せてもらいますよ?」
相応の覚悟。
勿論それは、俺のペニスケースとしての覚悟だ
此処で少しの間我慢すれば、俺ははれて燐様専用ペニスケースとして仕える事となる
……ペットならまだしもモノ扱い、それもペニスケースときたもんだ
大体ペニスケースってなんだ?燐様はれっきとした女の子だろうに
素肌ならさっき地獄跡で見てしまったが、あの時はそんなもんなかったぞ
「さて、準備はいいですか?」
「…………」
「あまりよくない、ですか。まぁそれもそうでしょう」
「…………」
「ええ、運命と思って諦めてもらうしかありませんね」
くそっ、なんつー背水の陣だ
……通された客間の、わりとふかふかの寝床の上。
俺はまたしても強制的に四つんばいにさせられ、しかもがっちりと手足を固定された
地べたのように顔が痛くないのだけが、救いといえば救いだ
「ではお燐?はじめなさい」
「は、はいさとり様……」
さとりの合図に従って燐様が俺の目の前に回ってくる
既に服を脱ぎ捨て全裸になり、頬を染める姿は外での時と違って更に可愛く見えた
見ているだけで下半身がなにやらもにょもにょしそうになるというものだが――
「おにーさん……」
「!!!??」
燐様の股間には、いつの間にやら薄紅色の先端を持つ、立派なモノがそびえていた
「ちょっ、なんっ……!?」
「おにーさん……今からコレをおにーさんの中に入れるんだけど」
びくんびくんと跳ねながら手をさすそれは正に陽根だった
華奢で少女らしい身体に不釣合いな物体、まさしく物体だ
しかもそれを、俺に?いれる?どこに?
「いきなりだとアレだと思うから……その……濡らして?」
「濡らして……って、おま……いや、燐様……」
ずずいと俺の顔に近づけられた燐様の……ペニス。
間近でよく見れば、なんだかトゲのような突起が無数についている
これを、こんな凶器みたいな代物を……入れる……だと?!
「おにーさん……っ」
切なげな燐様の吐息、それとは裏腹に次第に凶悪さを増していくペニス
俺は人生で最高に追い詰められていた
「どうしたのですか?あなたはお燐のペニスケースなのでしょう?
「くっ……」
にやにやと笑いあざけるようなさとりの声が俺を責め立てる
俺は正真正銘心根まで男だ、それが他者の男の象徴を受け入れるなんて。
確かに衆道という文化が無いわけではない……だが正直俺はご免だと思っていた
それなのに……
「おにー……さんっ……!」
どうしてだろうか?燐様の俺を呼ぶ切なそうな声を聞いていると……
……俺はよくわからない感情が胸の内で昂ぶっていくのをはっきりと感じていた……
「ええい、ままよ!」
「ひゃ、ふああっ!?」
俺は高鳴る心臓の鼓動を押さえつけるように、燐様のペニスに不器用に口をつけた
かつて燐様にそうされたように、舌を突き出し、一気に舐めあげる
ぞりぞりっ
「……!」
「ふにゃああぁぁ……」
ほのかにしょっぱいような味と共に舌に当たる突起の感触に、俺は改めて戦慄した
本物の茨のトゲよりは柔らかいだろうが、思った以上に硬くてしっかりしている
おそらく、性交の際に簡単に抜けないようにするためのものなのだろう
こんなものを俺は受け入れないといけないのか……
「お、おにーさんっ!ごめん、あたいもう……!」
「ん、ごっ!?」
燐様はそれだけいうと俺の口の中に無理やり剛直を突っ込んできた
大きさ的にそれほど大きくは無かったのが救いといえば救い、とはいえ
麺棒をいきなり突っ込まれたくらいの衝撃はあった
そして……
「あにゃあ!もうっ、もうでりゅう!」
「んぐ!?ぐぶっ!」
燐様のペニスから強烈な勢いで精が迸り、俺の口内を埋め尽くしていく
喉の奥に焼ける様な熱い塊が何度もぶち当たり、思わず飲み下す以外の選択肢が無かった
「あーっ!ひゃああ、はっ、ふあ、飲んでるっ!おにーさんがっ!あたいのぉっ!」
「ぐっ、ぶえっ!げほっ」
そんなことをするのも初めてなら、当然それを飲んだのも初めてだ
あまりに苦々しい、絶対に好きになれそうに無い味だった
「はーっ、はーっ、はぁぁ……」
燐様は放心したように俺の口から引き抜いたペニスをびくりびくりと震わせている
先端からはまだじわり、どろりと残滓が零れ落ちて、太股まで伝っていた
頬を染めて、だらしなく口で息をするその姿は、普段の彼女からは想像もつかない
猫の耳と尻尾も時折連動してひくひくと動き、可愛さを促進させている
……胸の中が粟立つ感覚
自分のイチモツが勝手に反応して硬度を増していく
俺は……興奮してるのか?男根を咥えさせられて、飲精までさせられたってのに……
「まさかコレで終わりじゃないでしょう?」
沈黙を保っていたさとりがニヤニヤと笑みを浮かべながら聞いてきた
言葉の意味は覚じゃない俺にもわかる……「さっさと本番に移れ」、だ
さとりの言葉に、燐様もとろけていた表情を一瞬で曇らせる
「……で、でも……」
ちらりと俺のほうを見たその目が物語っていた
……燐様は俺のことを心配してくれているのだ
行きずりに、死体と間違って拾っただけのこんな男の事を
人間としちゃろくなもんじゃない生き方しか出来ないこんな俺の事を
頭の中と身体の芯と胸の奥で、カッと火がついたような気がした
そして俺は……
「燐様、俺に……燐様のそれを収めてください」
「お、おにーさんっ!?」
気がついたときにはとんでもないことを口走っていた
正直怖いし、痛いのも辛いのも嫌だ……でもそれでも不思議と後悔はなかった
なぜなら
俺のせいで彼女の顔が曇るのはもっと嫌だったから
……俺は自覚した
自分は案外、戻れないところまで来ていたんだな、と
「お燐、彼の覚悟はもう出来ていますよ?後はあなた次第です」
「……はい……」
「それじゃあ、おにーさんっ……いくよ?」
俺は無言で頷いた
燐様のペニスの先端がぬるりと菊門を濡らす感触、声を上げそうになったがこらえた
そして、指よりも太く、熱すぎるものが、門を貫き穿ち始める
「くっ、うっ……」
「…………!!!」
指とは比べ物にならない異物感
鋭い痛みが入り口のあたりに走り……しかしそこまで想像していたほどの事もなく
燐様のモノは意外なほどすんなり、ズルリと俺の中に納まっていった
「ふっ、はぁあ〜〜〜…………っ……お、おにーさぁん!」
だが。本来、そこはそういう風な事をするためには出来ていない
ましてや、俺はそんな行為に慣れてなど居やしない
第一、燐様のペニスには、凶器のようなトゲがついている
「ぐっ、ぐぅああああアア……ッ!!!」
痛いなんてもんじゃなかった
それほどでもなかったのは最初だけで、燐様が動き始めてからは真の地獄だった
地獄の針山で直接、尻の中も外もえぐられるようなものなのだ
全身から脂汗がふきだし、異物を排除しようと括約筋が悲鳴を上げる
当然締め付ければ締め付けるほど……こちらの苦しみは増すばかりだ
「お、おにー…さん……だ、だいじょう、ぶ?」
燐様が心配そうな声をあげる……だめだ、これじゃあだめなんだ
「い、いいですっ……きもち……ぐぅ……いいですっ、からっ」
「そ、そんな……だって……」
「続けてっ……くだ、さ……あ、ぐ……ぅ」
無理やり笑っているような声を作って燐様に先を促した
声が震えて上手く喋れなかったけれど、俺はちゃんと伝えきった
自分にこれほどの根性があるなんて正直思わなかった
「……わかったよ……少し、力抜いて?」
燐様の言葉に、つっかえる胸で深呼吸をし、落ち着ける努力をする
身も心も、もう既にいっぱいいっぱいだったが、それでもこれは意地だ
男には、意地をはりたい、通したときが、誰だってあるもんだ
「すぐ……終わらせるから」
燐様のピストンが激しさを増した
俺はもう悲鳴を上げる事も出来ず、目の前の敷布をかみ締めて耐えた
はぁ、はぁという燐様の息遣いが艶かしく俺の耳を犯してくる
「もう、すぐ!もうすぐっ!だからっ!あっ、あああッ!」
ピストンにあわせてえぐられ、えぐられては削られる
だがそうやって幾度となく燐様のペニスを尻穴でしごき続けていると、
……ある変化が俺の身体を襲った
次第に尻の感覚が無くなっていき、段々下半身の感覚も麻痺したようになくなってくる
やがて麻痺は全身に広がり、頭の中がぐわんぐわんと揺さぶられる感じに変わった
痛みが消えてくると次に来たのは、腹の底からこみ上げてくる熱い熱い何かだった
射精の感覚とは違う、燐様に指でされたのとも違う、変な感覚
痛みがあった部分から、次第に溢れてくるのは紛れもなく快感だった
「うあっ……?ふぁ……あ、ああ、あああ……」
……俺はついにおかしくなってしまったのかもしれない
さっきまであんなに痛かったのに、こんなにも気持ちいいだなんて
それも並大抵の気持ちよさじゃない……死んでしまいそうなほどの気持ちよさだ
「おにーさんっ!おにーさん!!あたいっ、もうっ!!」
「あぐっ、うああ、ひゃ、ひゃあああーーーっ!」
無意識に女みたいな悲鳴を上げて快楽にのた打ち回る
頭の中で何かが何度も爆発していくような感じに翻弄される
こみ上げてくるものが、抑えきれない
「っく、うっ……ああああ!もう、くるうううう!!」
「っにゃああ!!おにーさーんっッッ!!!!」
「きっ、は、おああーッッッ!!?」
腹の中に火傷しそうなくらい熱い感覚が生まれ、
同時に俺は目の前が全て真っ白に塗りつぶされる様な錯覚に襲われた
自分の身体がどこかへトンで行ってしまいそうな、凄まじい快感だった
勝手に痙攣してのけぞった背が寝床に落ちた瞬間、俺は唐突に理解した
女が本気で気をやる瞬間に、逝くだの来るだのと叫ぶというのは
ありゃ本当にそういう感覚だったんだな、と
「っはーっ、っはああーー……お、おにーさぁん……あ……に……し」
……燐様のどことなく幸せそうな声が聞こえた気がした
が、残念ながら、俺の意識はそのまま闇に向かって真っ逆さまに沈んでいった
「……気がつきましたか?」
俺が目を覚ますと、枕元にさとりが座っていた
出会ってすぐの時の暗く不気味な空気はそこにはなく、
育ちの良い柔和な物腰を程よく感じさせる、普通の少女らしい雰囲気だった
「ええ、あの時は少し機嫌が悪かったものですから。……気分は如何です?」
「…………」
「そう、悪くはないようでなによりです」
相変わらず俺の心を先読みして話しかけてくるさとりは、そこでふふっと笑い
「まさか本当にやり遂げるとは思ってませんでしたよ」
と、意地悪そうな目をこちらに向けて微笑んだ。
「まぁ約束は約束です、認めましょう……あなたとお燐の事を」
「そりゃどうも……つつ」
だるい身体を無理やり起こそうとすると、さとりにやんわり止められた
「無理はしないほうが身のためですよ」
「……そうさせてもらう」
「そう、それが賢い選択です」
さとりはぴょんと跳ねて立つと、ふわっと服の裾を翻して扉に向かおうとする
しかし途中でまたくるりと振り向いて
「ちなみにお燐はあなたの隣にいますよ?ごゆっくりどうぞ」
と言ってさっさと出て行ってしまった
「お燐は隣にいる」
その言葉に従って反対側を見ると、一匹の黒猫が俺の傍で添い寝していた
猫の姿にはなっているが、黒い耳に黒いリボン、まさしく燐様のものだ
ということはやはり、この猫が燐様の獣時の姿なのだろう
「なんだかなぁ」
俺はすやすやと気持ちよさげに眠る猫の、いやさ燐様の喉元を撫でてやった
その姿を見ていると、なんかもうどうでも良くなるというかなんと言うか
こそばゆいような、申し訳ないような、変な気分だ
「もうちょっと寝るか……」
もういいや、考えるのは後にしよう
この変な出来事と、幸か不幸か判らない俺のこれからの行く末についてなど……
――結局
その後すぐ、尻に塗ってあった薬の効果が切れて
痛みに飛び起きてえらく苦しむ羽目になった
……もう使い物にならないかもしれん。
to be continued...?