(とらまる しょう / Toramaru Syou)

寅丸星

    • 寅は十二支の3番目の「とら」を表す漢字。
      この字は十二支の「とら」を意味する場合にのみ使用され、動物の「とら」は虎の字を用いる。
      • 諸説あるが主要な学説では、古代中国の時代から十二支に用いられている「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」の文字に動物を当てはめたのは後世(漢の時代)の後付とされる。
        寅も元々は暦に使われていた文字で動物の虎とは関連のない文字だったようである。
    • 聖徳太子が物部氏討伐のおり、信貴山にて寅の年・寅の月・寅の日・寅の刻に祈願したところ、毘沙門天が現れ二秘宝を得たとする伝説がある。
      (東方においては「飛宝」と「宝塔」の”二秘宝”に置き換えられている)
      • この故事から信貴山縁起の伝わる信貴山朝護孫子寺には「世界一の福寅」という世界最大の虎の張り子が作られた。
      • また、この故事が元となり日本においては虎は毘沙門天の使いとされるようになる。これは日本独自の信仰でインドや中国では見られない。
        朝護孫子寺以外でも毘沙門天を祀っている寺院では虎の石像が狛犬のように設置されているところが多数ある。
        著名な例としては、日本の民間における毘沙門天信仰発祥の地とされる京都府京都市の鞍馬寺、 毘沙門天大祭とダルマ市で有名な静岡県富士市の妙法寺など。
        寅の日を選んで毘沙門天を拝むと金運に関するご利益をさらに授かることが出来るとする伝承もある。
    • 東方星蓮船。
    • 毘沙門天は北天の守護神であることから、北極星や北斗七星の化身とされることがある。
      • 北天つながりで北極星の神である天帝や北斗七星の神である妙見菩薩との習合が生じた。
        ただし、妙見菩薩との習合は毘沙門天そのものより、妃神(妹とも)である吉祥天との習合である場合が多い。
        毘沙門天と吉祥天の信仰が一体化したことによって毘沙門天=妙見菩薩となった。
    • 虎の模様は夜空に輝く星に例えられ、干支の寅は昔は天に輝く星であったという言い伝えがあった。
      • 『枢星散じて寅となる』という言葉が残っている。
      • 枢星がどの星を指すのかについては諸説ある。北極星のことであるとする説、
        北斗七星の1つである天枢星(ドゥーベ、貪狼星)のことであるとする説などがある。

二つ名

  • 毘沙門天の弟子 (星蓮船、求聞口授)
    • 命蓮寺のモデル、信貴山朝護孫子寺の本尊は毘沙門天像。
      • 毘沙門天は仏教における仏教において四方を守護する四天王の一尊。多聞天(たもんてん)とも呼ばれる。
        上司は帝釈天(インドラ)(関連:光符「インドラのヴァジュラ」)。妻は吉祥天。
        毘沙門天は四方のうち北方を守護する。中国神話で同じく北方を守護する四神の玄武と関連付けられることもある。
        七福神の一尊でもあるように、福の神として庶民にも大変人気のある神。
        またかつては、軍神として信仰されていたこともある。
  • 妖獣の成り上がり (ダブルスポイラー)
    • 虎の妖獣から毘沙門天の代理に成り上がった。

能力

  • 財宝が集まる程度の能力
    • 毘沙門天の前身であるヒンドゥー教のクベーラ神は富と財宝の神
      仏教が中国に伝わる過程で軍神(武神)としての側面が加えられ、中国では事実上、軍神として信仰された。日本でも当初は中国同様、軍神として信仰されていた。
      平安時代末期に神仏習合から「エビス神」は毘沙門天の垂迹した姿であるという信仰が生まれたことにより、元のクベーラ神の富と財宝の神としての側面が復活した。
      その後、毘沙門天は七福神の一尊となったことで「福徳増進の神」、「財宝神」としての地位が確立し、今に至る。

種族

  • 妖怪
彼女は虎の姿をした妖怪で、寺のある山では最も信頼された妖怪だった。
 ―東方星蓮船omakeテキストより

備考
  • ギリシャ神話の神ヘルメス〜毘沙門天への変遷
    • 毘沙門天の根本はギリシャ神話の「ヘルメス」にあるとされる。*1
      • ギリシャ神話の「ヘルメス」はアレクサンドロス大王の東征により東に伝わり、北インドのクシャナ朝で「ファッロー神」として取り入れられた。
      • 「ファロー神」は現在のアフガニスタン及びパキスタンあたりにあったガンダーラ国の土着神「クベーラ」と同一視され習合する。
      • 元々盗みと財宝の土着神である「クベーラ」は仏教では北方を治める四天王であったが、「ファッロー神」(ヘルメス)と習合したことで「ヴァイシュラヴァナ」(毘沙門天)と呼ばれるようになり、特に重視された。
        逆説的に、原初起源の性質を軸に再分解した結果が寅丸星とナズーリンという見方も可能である。
      • クベーラへの信仰は南インドにおいてはクベーラのまま長く残ったが、ガンダーラなどでは土着の神や外来の神に吸収される形での習合が進んでいった。
        クベーラと習合した神同士がさらに習合することで多様な職能を併せ持つことになり、西域・中国へと伝わったものが軍神としての要素も加えた「毘沙門天」となる。
      • 他にギリシャ神話から仏教にとりいれられた事例としては、金剛力士(参照:杵符「ヴァジュラパーニの呪文」)は遡るとギリシャ神話の「ヘラクレス」に由来するとされる。
  • ヘルメス
    • ギリシャ神話におけるオリュンポス十二神の一人。
    • 旅人や商人の神で「幸運と富」を司るとされる。毘沙門天と共通する。
    • 足の速い神としても有名で、ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズのアイテム「エルメスの靴」はこの神が由来。
    • ローマ神話ではメルクリウス(英語読みでマーキュリー)に相当する。水星の英語名「マーキュリー」の由来。
    • 参考:wikipedia:ヘルメース
  • ファッロー神
    • クシャナ朝(北インドで栄えたアーリア系王朝)の神。
      ゾロアスター教では財産、幸運、幸福、王位、栄光を象徴するとされる。
      アレクサンドロス東征によって伝えられたギリシャ神話のヘルメスとされている。
  • クベーラ
    • インド神話の富と財宝の神で、地下に埋蔵されている財宝の守護神。
      その起源は土着神であり、バラモン教が隆盛を誇ったヴェーダ期には洞窟や地中に棲む妖怪、あるいは盗みの精とされた。
      叙事詩『マハーバーラタ』あるいはプラーナ文献において初めて財宝の神として記述される。
      容姿は矮小、八重歯、一眼。
    • クベーラは、ヒンドゥー教の三大神の一尊であるブラフマー(参照:「ブラフマーの瞳」)のひ孫にあたる。
    • 参考:wikipedia:クベーラ
  • 斑足王
    • 紀元前300年頃に白面金毛九尾の狐が華陽天の名で滅ぼした二つ目の国、古代北インド摩訶陀(マガダ)国の王。
      足に獣のような「まだら」があったことからこの名がある。正名不詳。
      人肉を好み、獰猛・苛烈な性格を備え、獅子の血を引く
      (インドでは獅子の類は神であると共に最悪の害獣という価値観がこびり付いている)
      と当時はおろか後世においてすら忌避の対象となった。
    • 狐に唆された王は、数万の悪鬼羅刹(つまり妖怪の類)を率いて東西南北・遠国近国の王城を陥落せしめ、
      千人もの王達の頸を刎ねて肉を喰らったとされる。
      別の史書には傾国の妃は登場せず、王は邪法を操る人物を師と仰いで外道に目覚めた、というものもある。
      しかし結局のところ無茶な侵略が祟り、国は二十余年で亡びてしまった。
    • ちなみに、摩訶陀国では当時アーリア系(いわゆる金髪長身碧眼)が主流を占め、インドの中でも異端色の濃い地域であった。
      インド大陸最大の鉱山資源とガンジス川を介した水運、
      そして、潤沢な森林資源と穀倉地帯を背景にして急激に発達した地域でもある。
      さて、神主によると星は「山狗をイメージして」とのことらしいが…
  • 夜叉
    • 毘沙門天の配下である夜叉と羅刹から。インド神話の鬼神ヤクシャであり、善き者に加護を与え、悪しき者を食い殺す。

見た目

  • 金髪
    • 虎の毛の色から。
  • 左手の戟(げき)
    • 矛の一種。
    • 星の持つ戟は刃先が一つのもの。
      一般的な毘沙門天像が持つ戟は三叉戟と呼ばれる刃先が3つに別れたものが多い。
      三叉戟には仏教において克服すべき煩悩「三毒」を撃ち破るという意味があるとされる。
      • また、三叉戟の代わりに宝棒(ほうぼう)を持つ造形の毘沙門天像も多数存在する。
  • 右手の宝塔
    • 宝塔とは円筒や八角などの塔身に方形などの屋根を被せ、さらに相輪を載せた仏塔。
      仏陀の遺骨である仏舎利をおさめる塔。宝塔は毘沙門天の代表的な装飾物。
    • 東方星蓮船の作中において、寅丸星は一時的に宝塔を失くしている。
      • 信貴山朝護孫子寺の霊宝館には長崎長者の持念仏と伝えられている兜跋毘沙門天像が展示されているが、左手に掲げられているはずの宝塔が無くなっている。
      • この例に限らず、仏像が持つアイテムが長い年月とともに失われてしまうことは決して珍しいことではない。
        毘沙門天の宝塔に限らず、広目天の筆、羂索(けんさく)、法輪、宝珠、金剛杵などが失われた(もしくは失われて後年に補充された)姿で仏像が安置されているケースは多々ある。
あらゆる物を焼き尽くす武器だ。
宝石を集め、その輝きをレーザーにして放つのである。
高エネルギーのレーザーが地面に当たると、それがまた宝石となる。
(東方求聞口授より)
  • 虎柄の腰巻き
    • 星は元々は虎の姿をした妖獣だった。
      日本では、虎は毘沙門天の使いとされる。
    • 虎皮を腰に巻くのはヒンドゥー教のシヴァ神の特徴。仏教では降三世明王などシヴァ神の影響が強い尊格に見られる。
    • 日本では、鬼は虎の腰巻きをしている姿で描かれることが多い。
  • 天衣(てんい、てんね、てんえ)
    • 星の背後頭上に白い帯状の天衣。
    • 天衣とは、仏教では如来、菩薩、天部が身に付けている薄い衣のこと。
    • 通常、毘沙門天を含む四天王像は甲冑を着て武装しているため、天衣はベルトのように腰に巻き付けている。
      星のように天衣が頭上にひるがえる造型は天部では仁王像や韋駄天像などに良くみられる。
  • 背後頭上の円(天衣による)
    • この位置の円は仏像にみられる「光背」(頭光)の意匠に近い。
      これは尊さを視覚化させる効果がある。
      毘沙門天像では炎が見える「火焔輪宝光」(かえんりんぽうこう)かオーソドックスな円だけの「輪光」(りんこう)が備え付けられてる場合がある。
  • 炎のように見える冠(髪飾り?)
    • 上記の天衣による円と合わせて「火焔輪宝光」のイメージか
      • 火焔輪宝光とは、四天王を含む憤怒の形相をした天部像の頭部後方に見られる光背のことで、名称の通り火焔の造形が付いた輪光となる。
  • ポーズ
    • 左足を上げ、腰を少し横に曲げたポーズ。
      • 毘沙門天像は足で邪鬼を踏みつけている形態のものが多い。
        その為、左右の足の高さが異なることから、毘沙門天像は腰を横に曲げた姿勢のものが多い。
        星は邪鬼を踏んではいないが、ポーズは一般的な毘沙門天像を意識したものと考えられる。


備考
  • 頭に炎があるものとしては他に烏枢沙摩明王(火頭金剛)がある。
    • 烏枢沙摩明王は天台宗において五大明王の一尊とされており、毘沙門天と同じく北方に配置される。毘沙門天の眷属とされる夜叉の出身でもある。
  • 多宝如来の宝塔
    • 多宝如来は法華経(見宝塔品)に登場する東方の宝浄国の教主。釈迦が法華経を説いているときに、地中から宝塔を出現させ、その説法が正しいことを証明した。
      多宝如来が出現させた宝塔は七宝で飾られていたといわれる。
  • 宝塔は毘沙門天の最も特徴的な持物だが、宝塔を持たない毘沙門天もある。上杉謙信が信仰した「泥足毘沙門天」や鞍馬寺の毘沙門天は宝塔を持たないタイプである
  • 毘沙門天の持つ宝塔は一部異なる部分もあるが五輪塔の形状と近似性がみられる。
    • 五輪塔は各部位の形状に意味がある。下から方形(地輪)球形(水輪)三角形(火輪)半月形(風輪)上の尖った丸(空輪)。
      これは仏教において宇宙を構成する要素である五大(地水火風空)をあらわしている。ちなみに、これは中国で生まれた五行説(木火土金水)とは全く別概念。
      本来、五輪塔は宝塔とは別の物だが、五輪塔の形状は宝塔を含めた他の仏塔の形状に強い影響を与えたとされる。
      寅丸星の宝塔の形状も、一番下が方形ではなく、また上部は相輪となっているが、球形、三角形、最上部の尖った丸にその影響が見て取れる。

スペルカード背景

スペルカード


備考
(星のスペルカードについて)
すごく太いレーザーと、へにょへにょ曲がるレーザーがすごく好き。
(中略)
そのレーザーの組み合わせで神々しさを出すのはすごい好きだった。
 ─東方外來韋編 2019 Spring!号 ZUN氏インタビューより

登場

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