|
高峯のあ | むかしむかし、あるところに 竹取の翁という、おじいさんが住んでいました。 |
高峯のあ | ある日のこと。 おじいさんは、世にも珍しい光る竹を見つけました。 おじいさんがその竹を切ってみると、そこには……。 |
|
財前時子 | ……それで? |
プロデューサー | 事務所をあげての十五夜イベントがあり、 その中の演劇に出演していただきたいと……。 |
財前時子 | 演目はかぐや姫。 私は大人になったかぐや姫役。子どものころは福山舞。 一度聞けばわかるわ。 |
財前時子 | ……察しが悪いわね。 |
視線の先にいたのは…… |
高峯のあ | …………。 |
のあが無言でビデオカメラを回している…… |
プロデューサー | イベントを映像化した際のために、 特典となる舞台裏映像を撮ってもらっています。 |
財前時子 | ……私に何の断りもなく、ね。 |
|
財前時子 | …………。 |
財前時子 | ……今、貴方が何をしようとしてるか知らないけど、 その無様な姿を撮る彼女の身にもなりなさい。 |
財前時子 | やりたければ、ひとりで勝手にすることね。 ……のあ、行くわよ。 |
高峯のあ | カメラは? |
財前時子 | 好きにしなさい。 |
プロデューサー | …………。 |
どうにか撮影許可はいただけたようだ…… |
財前時子 | 待たせたわね。 |
三船美優 | あっ。 時子さん、のあさん。 プロデューサーさんのお話は終わったんですね。 |
三船美優 | えっと、そのカメラは……? もしかして、取ってるんですか? |
財前時子 | ええ。 イベントの映像特典にするそうよ。 |
三船美優 | そうなんですね。 みなさん、こんばんは。三船美優です。 |
財前時子 | のあ、カメラはここまで。 これからはオフよ。 |
高峯のあ | わかったわ。 私も、これ以上は見せるのを好まない。 |
三船美優 | レナさんと瞳子さんは、 もうすぐお店に着くってさっき連絡がありました。 |
財前時子 | そう。 車はもう呼んであるわ。 行きましょう。 |
財前時子 | ……ここでいいわ。 ご苦労様。 |
高峯のあ | …………。 |
三船美優 | のあさん、どうしたんですか? 空に何か……? |
|
三船美優 | わあ……。 きれいなお月様……。 |
高峯のあ | ……星の観測には不向きな夜ね。 強い月の輝きに、小さな星々の輝きが呑まれている。 |
財前時子 | ……フン。 そんなこと、月のせいじゃないわ。 |
財前時子 | 格が違った。 それだけのことよ。 |
兵藤レナ | ふうん、舞台裏の撮影か。 それで、主役の時子は特にマークされてるってわけね。 |
服部瞳子 | ふふ。 じゃあ、いずれ私たちも撮られるのかしら。 私たち、全員お芝居に出るみたいだもの。 |
服部瞳子 | 私とレナさんは宮廷の侍女役だし、 美優さんは月からのお迎え役。 それで、のあちゃんが……。 |
高峯のあ | かぐや姫を監視する、月の監視者役。 |
兵藤レナ | ふふっ♪ のあちゃんが監視者って手ごわそうね。 どんなイカサマも見逃さないって感じだし? |
財前時子 | フン。 それは貴方のことでしょう? |
服部瞳子 | でも、もしかしたら、 時子さんの意外な一面が見られるのかも、 って思ったら、嬉しい特典にはなるわね。 |
財前時子 | …………。 そうなるかどうかは、 カメラマンの腕と光の当たり方次第ね。 |
高峯のあ | …………。 |