東方キャラとウフフにイチャつくまとめ

理解が浅いのでキャラ崩壊とかあるかもしれません。
独自設定的な物も含まれています。
ご注意下さい。

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「あれ? 珍しい妖怪(ひと)が飲んでますね」

夜雀がやっているヤツメウナギの屋台で一杯飲んで居ると、背後から声。

「永遠亭の兎か、キミこそ珍しいじゃないか」

長い髪とオモチャのような耳に真っ赤な目が特徴的な兎。

人里で薬を売っているのを見かけるし、良く利用させてもらうが名前はまだ知らない。

別に興味も無かったから。

「彼氏と喧嘩して飲みに来たんだってさ。最近ちょくちょく来るよ? 鈴仙とかち合う事は無かったけど。

というか鈴仙ってそんな口調だっけ?」

「あはは、お得意様だからつい……。って彼氏居たんですかー!?

ちょっと、その話し詳しく聞かせてくださいよ! 馴れ初めから是非!」

身を乗り出して来る兎……鈴仙に思わず苦笑する。

ここまで食いついてくるのも珍しい。

「人間の少女のようだな、キミは。色恋沙汰には目が無いのかい?」

「やっぱり気になるじゃないですか〜、他の妖怪(ひと)の恋愛事情!

ミスティアさんも気になりませんか?」

「私は聞いたことあるけど、ナズーリンの彼氏語りは長くなるよー? 喧嘩の話し聞いても大体ノロケだしさ」

「ふむ、まぁいいさ、恥ずかしがるような話しでも無い」

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彼は外来人だった。出会いは何の変哲もない出会いだったが。

発端は無縁塚で『面白そうなモノ』を指定して探していて、それに反応したのが彼だった。

気を失った状態で無縁塚で倒れていたため、取り敢えずで保護する事にしたのだ。

まさかこの条件指定で人間が見つかるとは思っていなかったし、どうするかしばし悩んだのだが。

助ける義理は無いが、面白そうなモノ、として見つけたからには、何かしら有益だろうとの打算9割で助けた。

この時は、恋心を抱くなんて微塵も思ってなかったさ。

とにかく私は彼を無縁塚付近の拠点へと連れていき、布団に寝かせる事にした。

上等な家ではないが、野ざらしよりはよほどマシだろう。

「!」

一刻ほどは経過していたか、彼は勢い良く飛び起きると周囲を見渡し、そして私に視線を向けると怪訝そうな顔をする。

「コスプレ……?」

「コスプレ? 何だいそれは。私はナズーリン、鼠の妖怪だよ。

キミは無縁塚に倒れていたんだが、あんな所で何をしていたんだい?」

「倒れて? ……、無縁塚、聞いたことが無い地名だな……。

それに妖怪? 何かの冗談か?」

紅魔館の魔女のようなジト目でこちらをじーっと見てくる。

外からの人間だと気づいたのはこのあたりから。

外来人というものが居るという知識はあっても目にするのは初めてだったため、気づくのは遅くなった。

ただの人間ならレア度0だけど、外来人ならそうでもないだろうと、この時は納得したよ。

幻想郷とはどういう所か、妖怪とはどういう存在か等、一つづつ理解してもらうには苦労したけどね。

「で、ここは外の世界の物がちょいちょい落ちている無縁塚で、俺はそこに落ちていたと」

「そうなる。妖怪が居るのだからそういう事もあるだろうさ」

結局中々信じてはもらえず、妖怪だ、という事を証明するために耳に触れさせ、

これがオモチャではなく血が通っているそういう生物だという事を教えるとようやく納得したように見える。

「ナズーリンの話しが本当なら俺は助けてもらったわけだし、何かお礼をしないとな……」

「それなら、ここにある物がどういうものか、分かる範囲で教えてもらえるかな?

外から来たのなら、見知ったものもあるだろう?」

そういうと、彼は少しむずかしい顔をする。

どう説明するかとしばし悩んだ後に、単刀直入に言う。と、前置きをし、きっぱりと言った。

ほぼすべてがゴミだと。

用途も使い方も知っているが、電源がなければうんともすんとも言わない鉄くずに等しい物で、

尚且つ、電源があったとしても、もし雨にでも濡れていたならば、壊れて動かないだろう、というのだ。

彼が持っていた、スマホ、と言う物は面白い物だったが、これも数日もすれば動かなくなってしまうらしい。

といっても私が見たのはごく一部、写真やゲームを少し見せてもらったりしたぐらいだが。

「そう……か。香霖堂の店主の鼻を明かしてやれるかと思ったんだけどね」

「落胆するだろうと思ったから、言いたく無かったんだけどね。せっかく集めた物が使い物にならない鉄くずだなんて言ったら」

「ヘタな希望を持たせるよりは優しいと思うけどね。それに河童達なら君の話を聞けば電源を用意出来るかもしれないし」

一通りどのような物であるか等を聞き、そうするうちに日も傾いたので

取り敢えず今夜一晩はここに泊め、翌日人里に送り届け、寺のツテで面倒を見てくれそうな所をいくつか斡旋する。

それで彼との関係は終わり。

そう思っていたのだが。

彼は私が思っていたより活動的だったらしい。

帰宅すると、塵一つ無いように掃除がされていたり、

食事が用意されていたりという事があるようになった。

間が悪いらしく彼は帰ってしまっている事が多かったが、それでも比較的良く顔をあわせるようになった。

無縁塚は危険だから近寄らないようにとは言ったのだが。

彼はそれを聞き入れず、私の家に来るのを辞める事はなかった。

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「へぇ、それがその彼との馴れ初め?」

「おおまかに言えばね。ありきたりだろう?」

話しをしながらだと酒が進む。二合徳利がもう2本カラになっている。

「相手が外来人という事以外は、そうですね。でも、耳、触らせちゃったんですか?

耳、敏感だから基本的に触らせたくないのに」

「尻尾に触れられるよりマシだろうし、手っ取り早いと思ったんだ」

「それで? その後の話しは?」

「その後か。結局彼は私の小屋へ来るのを辞めることはしなかったからな。

一人で放置するより私が見ている方がいいだろうと思ってね、二人で無縁塚で面白いものを探してみたり、

香霖堂を冷やかしにいったり、色々やったものさ。

でも、往復が大変だし、危険もあるから、最終的に私が人里に迎えに行くハメになった。

一度妖精か何かに襲われたらしくて、傷だらけで来た事もあったし」

「ひょっとして……、血相変えて薬を買いに来た時ですか?」

傷だらけ、といっても擦り傷切り傷程度で命に別状があったわけでもないのだが、

出血が多かったので柄にもなく狼狽してしまった。

「嫌なことを思い出すね、そこに関しては恥ずかしい限りだよ」

「でも変わった人間も居るもんですね。妖怪、それも人間からは嫌われ者になりがちの鼠の妖怪相手にそんな親しくするなんて」

「私もそれで興味を持ってね。会う頻度も結構な物だったし、その興味が恋心に変わるにもそうかからなかった。

迎えに行くようになってからは、待ち合わせ場所を決めて、会いに行く物だから、逢引みたいだろう? よけいさ」

「わぁ、そこハッキリ言っちゃうんだ」

「見た目はともかく、齢10やそこらの娘じゃあるまいし、恥じらう事でも無い」

肩をすくめて見せれば苦笑い。まぁ何となく予想出来る反応だ。

「彼に思いを告げた時も、ありきたりだったよ?

私でなければ一波乱あったかもしれないけど」

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「キミと会うようになってから忙しいよ。

もっとも食事は作ってくれるからありがたい所ではあるけれど」

彼を迎えに行き、無縁塚の拠点へと連れて行くと、持ってきた物で料理を作り始める。

最近彼の料理が楽しみになりつつある。少々味付けが濃いがこれはこれで美味しいし。

自分の気持ちにも気づいていたし、彼の行動を見る限り脈はあるだろうと判断した私は切り出した。

「キミは私と付き合って見る気は無いかい?」

「付き合う?」

「馬鹿だな、キミは。いくら鈍感でも気づいていてくれていると思ったのだけど。

私と恋人同士にならないか? と言ったんだよ」

しばしの沈黙、彼は眉間に手を当て、揉むようにするとゆっくり口を開く。

表情を見て、その口が声を発する前に言葉を続け、言葉を挟ませないように一気に言葉を紡ぐ。

「キミの考えていることは大体分かる、キミは最近考え事をしがちだったし、私を見る表情も何かおかしかった。

寿命の事を考えているんだろう? キミよりはるかに長く生きている私がその程度の事に考えが至らないとでも思ったかい?

そのことに関しては、私からすればどうでもいいんだが、

気になるなら人間を辞めるという選択肢がキミにはある。人間が化生、妖怪になった話しはどこにでも転がっているからね。

方法は探せばあるはずだ。幸い探しものは私の十八番だしね。

キミが人間のまま居たいなら、限られた短い時間で精一杯私を愛してくれればそれでいい。

そこを理解してもらった上でキミの返事を聞きたい。

それと……、私は探しものが得意だけど、話しの中から嘘を『探す』事も得意だよ?」

私の言葉が終わると、彼は少し考えをまとめるようにして間を開ける。

「恋人同士になるのはこちらからお願いしたいぐらいだよ、

一目惚れだったんだ。好きだ」

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「その人、ナズーリンさんが遮らなかったら何て言うつもりだったんでしょうね」

「鼠妖怪が調子に乗るな、なんて事を言って嫌われ者になろうとしてたらしい。

自分が先に死んで悲しませるから、今のうちに嫌われて別れようってね。

そちらの方がよほど辛いと思うけど」

「それで、結局どちらを選んだんですか? 人間のままか、人間を辞めるか」

「人間を辞める方だよ。彼はこちらに来る前から天涯孤独だったらしくてね、人を辞めようが死のうが悲しむ人間は居ないらしい。

だったら、より長く私と居られる方を取る、って言ってたよ」

「羨ましいなぁ……。私もいい人探そうかなぁ」

鈴仙の言葉に薄く笑って言葉を返す。

「良いんじゃないか? 人里に良く出ているなら出会いもあるだろうし、キミの容姿なら人間が放っておかないだろう?

私のような貧相な身体でもないし」

「そ、そんなこと無いですよ!」

パタパタと手を振って、顔を赤くするのは、酒のせいかそれとも照れているのか。

否定は私の身体が貧相な事へなのか、それとも自分の事なのか……。

「彼はこの貧相な身体がお気に入りらしいけどね。童女趣味だって自分言っていたし」

「お、お気に入りって……」

「……、床での話しも聞きたいかい? 見た目はこんなだけど、ヤることはヤっているよ?」

少々ジト目と意地の悪い笑顔を作って鈴仙を見ると、更に顔を赤くして、心なしか目をそらしつつ、興味はありそうに見える。

ミスティアも、皿を洗ったり作業をしているように見えるが、顔を赤くして、時折こちらに視線を向けたりしつつ、

同じ皿をずっと拭いているのを見れば、こちらの話しにしか意識が無いのがまるわかりだ。

「さ、さすがにそこはー、聞きたいとは言えませんけどー……。いや、聞きたいですけどぉー。

は、恥ずかしく無いんですか……?」

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「そういえば、キミは私の気持ちに何時から気づいていたんだい?」

「俺が怪我した時かなぁ。すごく心配してくれたしね」

「んん、あの時か。あの時の事は忘れてくれると嬉しいのだけどね」

あの時は思い出しても恥ずかしいぐらい取り乱してしまった。

切り傷がいくつもあって、服が血だらけだったから、重症に見えた、

彼が死んでしまう事に恐怖していたと思う。それも彼が思い悩む原因の一つになったのだろうけど。

「というか布団一つなのか?」

「何も問題無いだろう? 好き合っている仲なんだから」

彼は苦笑しながらも、素直に布団に潜り込み、私もそれに続く。

二人して布団に入り、何もしない彼に私が焦れて来た頃、彼が口を開く。

「ナズーリン」

「皆まで言わなくてもいい、だから布団が一つなんだ」

そう言うなり引き寄せられ、唇を奪われる。舌が唇を割り開き、舌を絡めとるように動く。

片手が私の胸に触れ、服の上から撫でるようにいじり始める。

「ん、私は胸が貧相だから、触ってもあまり楽しくないだろう?」

「童女趣味だからこれぐらいがいい」

本気で言っているのかどうなのか、彼の手は私の服へと潜り込み、直接撫で回し始める。

そうかと思えば逆の手が下半身へと這わされ、そこを下着の上からまさぐり始める。

存外上手いから困ってしまう。

「け、結構がっつくね、んっ、と、取り敢えず下着は脱いでいいかい? 汚れてしまう」

一度両手が離れたので一度身体を起こし、下着を脱いでしまう。

そうすると彼は私の腰を捕まえて頭を股座にねじ込んでくる。さすがにコレは恥ずかしい。

抗議の言葉を発する前に、唇を押し付けられ、生暖かい物が割れ目を割り開き、舐りあげて来るのが分かる。

さすがにこれをやられると声を抑えるのに難儀する。

思わずその頭を両手で抑えつけるが、それは彼を喜ばすだけの行為だとも理解している。

じゅるじゅると、すするような音や、ぴちゃぴちゃと舐める音を立てさせるのはやめて欲しい。

きっとわざとやっているのだろうが……。耳に響くその音は毒だ。

「んんっ、キミもいい性格してるね、あ!? 歯を立てるんじゃない!」

「だいぶ濡れてるよ?」

「それは、き、キミのよだれだろう!?」

自覚はしているけどね、濡れているのは。

気持ちいい、けれど、やはり舌では満たされない。

「い、いつまで舐めてるつもりだい?」

「欲しい?」

「んんっ! 本当にイケズだねキミも、欲しいに決まってるじゃないか……」

股を開いて、自分で割れ目を広げて誘うと、彼は誘いに乗り、私の中へその一物をねじ込もうとする。

私は身体が小さいからかなりキツかったけれど、痛みは無かった。

彼も私に気遣ってかゆっくりとした挿入だったが、

そこで私が甘い声を出し、蕩けた表情をするや、痛いぐらいに私を抱きしめ、激しく動き始める。

彼が動く度に甘い声を上げ、同時に甘い言葉を囁やけば、彼もそれに応えて私をもとめてくれる。

声を堪えていた私が、余裕を無くし、乱れる様に興奮してさらに深く求めてくるのが見て取れる。

まだこんなことを考えるだけの余裕はあったけど、やはり彼を立ててあげたいし。

目一杯啼いてあげると本当に満足そうで、嬉しそうで。

多分小屋の外を誰かが通りかかったら驚くんじゃないかというぐらいの声。

「ナズ、そろそろ……」

彼の名をよんで、頷く、それが精一杯というように。

足を彼の腰に絡めてこちらからも目一杯抱きしめながら、二人揃って達して……。

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「最初の夜はそんな感じだったよ?」

「な、生々しい……」

「これでもかなり端折ったけどね。一回で終わらなかったし」

酒をすすりながら2人の表情を見ると、ミスティアは真っ赤っ赤で、皿がすり減ってなくなるんじゃないかという勢いでお皿を拭いている。

鈴仙も赤い顔をして、なんだか落ち着かない様子。

「彼は結構イケズだから、焦らされたりっていうのは結構あるかな。わざわざ私にどうして欲しいか言わせたりね。

後はそうだな、私が声を抑えていると、必死に啼かせようとする。だから、後半に派手に啼いてあげると燃えてくれるね。

腰が立たないぐらいされることもあるけど。あとは、彼は中出しを好むね」

「へ、へぇ……。何か、相手にされるがままと見せかけて、実際思惑通りというか……、踊らせてるのがらしいですね……」

「私の性癖に付き合ってもらう事もあるしそこはお互い様だね。

最近彼は耳と尻尾にご執心らしくてね、想像してごらんよ、敏感な耳に舌を突っ込まれてくちゅくちゅやられるのを。

それにキミと違って私は尻尾が長いから、やらしい手つきで撫で回されるとゾクゾクしてね」

私の言葉に耳を抑え、微妙に緩んだ表情をする鈴仙。

おそらく想像の中で誰かに耳を舐られているんだろう。

「で、でもその時、ナズーリンさんは結局満足出来なかったんですか? 終始余裕があったみたいに言ってましたけど」

遠慮している風にありながら、結構突っ込んだ質問を投げかけてくる鈴仙。

どうにも、遠慮より好奇心が勝っているらしい。

「まさか。十分満足させてもらってたよ?」

「あ、あはは、余計な心配でしたね。でも、いいなぁ、私も好きな人から好きとか愛してるとか言われてみたい。

まだ片思いのお相手すら居ないけど」

しょんぼりしたように耳をへたらせてため息を付き、酒を煽る。

「……言っとくけど、私達はお互いあまり言わないよ?

あまり日常的に好きだの愛してるだの言っていると、その言葉の価値は陳腐に、安っぽくなっていく気がしてね。

言うのはせいぜい床でだね。でも、抱き合いながら滅多に言わないその言葉を耳元で囁かれたらそれだけで達しそうになるよ?」

「でも、その彼氏さんとそんなに仲がいいと、よく一緒にいる……星さん……でしたっけ?

あの人が寂しがりそうに思いますけど」

「ご主人はいわば仕事の上司だからね、私が遠慮することは何も無いんだ。私は公私を分ける方だし。

情事の最中に呼び出された時は殺してやろうかと思ったけど」

そろそろウッカリで物を無くして私を頼るのは卒業して欲しいものだけど。

今は私は私でやるべきことがあるのだし。思い出しても腹立たしい。

「目が、目が怖いですよ!?」

「まぁ流石にそれはマズいから殴るだけにしておいたけど」

「上司を殴ったんだ!?」

驚きの声はミスティアから。

「グーでね」

「平手じゃなくてまさかのグーパン!?」

続いての驚きは鈴仙からあがった。

「一人で飲みに来てるのも意外かも。止められたりしないの?」

「いや? 恋仲になってからは私の家に住んでるけど、私も彼が出かけるのを止めたりはしないし、

お互い相手を過度に束縛したりはしないね。ま、今は程よい束縛加減を模索中さ。

最近は護身用にスペルカードとペンデュラムをもたせてるから一応安心だから外出を止める理由も無い」

「いや、普通の人間では扱えないんじゃ? 霊夢や魔理沙ならともかく」

「所謂妖気というか……、私の力を与えてるしね、妖精程度なら彼でも追い払えるよ?

力をどうやって与えているかは、まぁ察してくれ」

「んー、今日は喧嘩したから一人で飲みに来たんですよね?

そんなに仲がいいのに何故喧嘩を?」

「ん、ああ……。バケモノの返り血を浴びた英雄がバケモノになってしまうという話しがあるだろう?

だから彼に私をコレで切って血を浴びろと言ったらものすごく叱られてね」

尻尾にぶら下げた籠から短刀を取り出して見せる。別に何か装飾がされているわけでもない、どこにでもある安っちい短刀だ。

「ちょっと切れるぐらいなら妖怪ならどうってこと無いだろう?

一応今朝キミの所の傷薬も買ったし」

「そ、それは怒りますよ!」

「んん、そうかい?」

「好きな人に傷を付けたいわけ無いと思うけど、普通」

「誰にも迷惑を掛けないし、失敗した所で失う物もない、いい方法だと思ったんだけどね」

「いや、引きますそれ。そんなことばっかり言ってると、嫌われちゃいますよ?」

「しかしだな……」

「はぁ、ちょーっと私の目を見てもらえます?」

「ん?」

鈴仙の目を覗き込むと、頭が冷えたような感覚。

冷静に考えて、彼にとても酷な事を言ったような……。いや、言った。

「……ちょっと彼に謝ってくる!」

酒代を置いて私は屋台を飛び出した。

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「慌てて出て行ってもお金はちゃんとおいて行ってくれるあたり、しっかりしてるなぁ。で、何したの?」

「私の能力は知ってるでしょ。狂気を少し落ち着けてあげただけ。

想うあまりに常識からズレちゃうんじゃ、狂ってるっていっても同じでしょ」

「え、そんなこと出来るんだ?」

「波長操作だからね、私の能力は。さて、もういっぱいお酒頂戴」

「はいはい。お、始まった始まった」

空を見上げると妖精等を相手に弾幕を展開するのが見て取れる。

人里から少し離れているからか、屋台から飛んで帰ろうとすると大抵妖精にちょっかいを掛けられるので、

ここに居ると帰りの客の弾幕が見れる。

「今日の弾幕はとってもルナティックだねぇ」

「妖精相手にスペルカード宣言……。そんなに急がなくても……」

「で、鈴仙はどうおもう? ナズーリンのこの先」

「んー、意外と妖怪化は早い気がするわ。毎日妖気を浴びてたら体質も変わりそうなものだし。

私は前例をしらないから実際どうなるかはなんともだけど」

「直近で予想がつくのは、帰って仲直りしたらベッドインかな? 酔ってるから寝ちゃうかなぁ、彼氏に介抱されながら」

「羨ましい……」

「どっちかというとこうじゃない?」

ミスティアと鈴仙は顔を見合わせて示し合わせたように同時に口を開く。

『妬ましい……』


メガリス Date: 2016/05/10 20:53:52

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