創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

否定論・陰謀論を信じる理由

「アメリカン保守の心理」概観


「アメリカン保守のアンチサイエンスや非寛容などが何に起因するのか」という問いに対して、心理学が長年挑んできた。そして、Chris Mooneyが共和党脳と呼ぶような傾向を見出してきた。
保守の心理は恐怖と関連

保守ははネガティブな刺激に影響を受けやすく、ネガティブな画像に関心を惹きつけられやすい。これと絡んで、保守はネガティブな結果の阻止を、リベラルはポジティブな結果の増大にフォーカスする傾向も見られる。このネガティブな兆候への関心は恐怖にも通じる。脅威を受けている状態では、実際、保守的な意見や指導者や政党への親近感が高まる。保守が実際にこの戦略を積極的に使っていると考えている人々もいる。

Michael Tomaskは言う。「保守主義は恐怖を教え込む必要性から逃れられないのではないかと思う。それが、黒人か、街のチンピラか、移民か、テロリストか、高圧的な政府のエージェントかにかかわらず、それが保守の心の働きである。それを私は冷笑的とも、巧みな表現とも思わない。保守はベッドの下に敵の姿をみる。しかし、それは実際に敵がいることを意味しない。」

また、恐怖を煽ることは、別な見方をするなら、「自分たちの利益・安全を脅かす者たち」への、人々の怒りを高める行為である。それは政治的に古来より使われてきており、その手法は「パラノイドスタイルと呼ばれる。現在の共和党もまた恐怖を煽ることで支持を高めようとしている。

なお、「恐怖を煽る」方法として「陰謀論」がある。陰謀論についての知識の増加は、リベラルな人々がリベラルな陰謀論を信じるのを抑制するのに対して、保守な人々が保守な陰謀論を信じるのを促進することもわかってきた。そのことは、保守とリベラルは非対称であり、保守な指導者が保守な人々に働きかけるには、陰謀論を以ってすることが有効な方法であることを示唆してる


保守の心理傾向は生理的な要因の可能性

リベラルに比べて保守は、新規刺激についての探索行動の範囲が狭く、ポジティブな刺激よりも、ネガティブな刺激を学習するという研究もある。同様に、リベラルと比べて保守は、ポジティブな刺激による条件付けよりも、ネガティブな刺激の条件付けの影響を受けやすい。すなわち、リベラルと比べて保守は、非対称にネガティブな刺激の学習をし、不確実性や紛争コンフリクトに非寛容で、探索範囲が狭い傾向があり、それは脳構造レベルでの違と相関しているらしい。

それが正しいとするなら、保守とリベラル(共和党支持と民主党支持)の差が、たまたま現在それを選択しているという、変更可能な政策選択のようなレベルではない。保守とリベラルで生理的反応が違っている

そのような生理的反応の実体が、持てる考え方によって認知がゆがむ「動機づけられた認識」なのか、それとも生まれ育ちで身についた反応なのかを明らかにするものではないが、少なくとも、保守とリベラルは同じ事実を同じには見ていないことは明瞭になっている。

そして、そのような保守とリベラルの認知スタイルが、前帯状皮質及び右扁桃体の体積と関連していることを示した研究がある。このことは、保守よりもリベラルが、不確実性とコンフリクトへの寛容度が高いと示唆している。

保守の心理は思考の節約

政治的保守主主義が思考の節約の結果であることを示唆する心理学研究がある。それによれば、バーの常連客は「血中アルコール濃度が増加するほど、(性別・教育・政治的アイデンティティを調整後の結果で)政治的保守」だった。常連客とは別の被験者たちへの心理学実験で、認知負荷をかけて、十分にものを考えられないようにすると、そうでないときよりも、保守的な態度を示した。時間的に急がせて、ゆっくり思考させないようにすると、そうでない場合により、保守的用語へ支持が大きくなった。

10歳と11歳の子供の知能を測定し、20年後に追跡調査し、知能と人種差別及び性差別の明瞭な関係を見いだした研究がある。子供の頃の高い知能は、成人後の人種差別意識の弱さと関連していた。この研究は、子供の頃の低い知能が、成人後のヘイトな態度につながることを強く示唆している。「社会についての、よく構造化された、秩序だった見方、すなわち、伝統と規律を守る見方を提供する。なので、変化に脅かされ、不確実性と曖昧さを避けたい人々に魅力的である。それは世界をより簡単に説明して言えるので、低いメンタル能力の人々を惹き付ける。」

このことは、人が老いると保守的になる理由を示唆している。人は老いれば、次第に知的好奇心や判断能力が減退し、結果として思考を節約していく。若い頃はリベラルな傾向があっても、人は老いるにつれ、保守的になり、右傾化し、権威主義的になり、頑固になっていく。

保守の被害者叩き

被害者叩き」は、公正世界であるという信念を守ろうとする心理的反応だという研究がある。「偶然、運悪く、不幸な事態に陥る」かもしれないという現実から逃れる一つの方法として、「被害者には落ち度があり、自分には落ち度がないから、そのような不幸な事態にはならないのだ」という心理が、「被害者叩き」をさせるのだという。

「犯罪被害者」と同様のカテゴリとして「福祉受給者=貧困者」がいる。同様に、「たまたまの不運などから貧困へ転落する」という現実から逃れるために、「自らの豊かさはハードワークや能力によるものであり、貧困者は怠惰あるいは低能なのだ」と考える心理が働く。結果として「福祉叩き」を始める。

この被害者叩きや福祉受益者叩きの傾向は、リベラルより保守の方が強いという研究は以前からある


「奪われた者たちの怒り」としての保守

保守は、被害者叩きをする一方で、自らを被害者と位置付ける。

恐怖が未来、すなわち「正当な権利を敵が奪われる」という感情であるのに対して、怒りは過去と現在、すなわち「正当な権利を敵に奪われた」という感情である。20世紀後半に入ると、保守な人々は「既に奪われた」という怒りに突き動かされ始めた。そして、外国人やアウトサイダーから、権力の頂点に立つ裏切り者まで、あらゆるところに敵を見出していく。






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