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否定論・陰謀論を信じる理由

「ナチュラル志向」からオルト・ライトへのパイプライン (2022)


Belew (2022)によれば...
  • 「左=共産主義ソ連、中央=自由民主主義のアメリカ、右=ファシズム・ナチス」という直線的スペクトラムは、左右の断絶を前提としており、ファシズムをアメリカ政治から遠ざける。しかし実際には、近現代史はその逆を示している。
  • 自給自足的生活や代替医療は多くの場合、無害であり、近代性批判や「スローライフ」の表明にすぎない。しかし、この大半が白人で構成される文化空間は、右派組織の関心と重なる部分を持ち、しばしばリクルートの場として利用されてきた。
  • 政治学の一部では「蹄鉄理論(horseshoe theory)」、すなわち左右両端が互いに近接するというモデルが提案されているが、アーカイブを参照する限り、その実態はむしろ「円」に近い。
  • たとえば、反フッ素運動は、自由至上主義者にとっては「個人の選択権」をめぐる問題であり、ジョン・バーチ協会の右派にとっては「共産主義的陰謀」であった。同時に環境保護運動の一部は、フッ素を生態系汚染物質とみなし反対した。
  • この「パイプライン」の危険性は、1920年代の第二次KKK等からみられる、白人至上主義・武闘派右派によるリクルート戦略にある。


[ Kathleen Belew: "The Crunchy-to-Alt-Right Pipeline" (2022/12/14) on The Atlantic ]

「ナチュラル志向」からオルト・ライトへのパイプライン
左派と右派の周縁に生きる人々は、想像以上に多くの共通点を持っている。

近年、Twitter や TikTok において、自然食品・自然療法を支持するいわゆる「ナチュラル志向」コミュニティと、白人至上主義や武闘派右派のオンライン空間との不穏な親近性、すなわち「ナチュラル志向からオルト・ライトへのパイプライン」が議論を呼んでいる。

「ナチュラル志向(crunchy)」という語は本来、グラノーラをめぐる大衆文化的な表現に由来するが、今日では食品添加物や着色料の回避、小児科医の推奨を超えた予防接種スケジュールの遅延、さらには「健康」「自立」「純粋性」を追求する極端な行動様式など、多様な文化的実践を指すようになった。自給自足的生活や代替医療はその代表例である。これらは多くの場合、無害であり、近代性批判や「スローライフ」の表明にすぎない。しかし、この大半が白人で構成される文化空間は、右派組織の関心と重なる部分を持ち、しばしばリクルートの場として利用されてきた。

1970年代から80年代にかけて、クー・クラックス・クラン、ネオナチ、スキンヘッド、キリスト教アイデンティティ運動、納税拒否者などを結集した新興白人至上主義運動の女性たちは、今日でいう「ナチュラル志向的」関心を、文化的アイデンティティの表現の一部として用いた。

有機農業、マクロビオティック、ネオ・ペイガニズム、反フッ素運動、伝統的助産術などは、しばしば左派や「ヒッピー的」テーマとみなされるが、当時の白人至上主義運動の女性出版物には頻繁に登場した。

この「パイプライン」への驚き、すなわち急進左派と急進右派との近接性に対する驚きは、アメリカ政治における左派・右派・中道の理解枠組みに問題があることを示している。第二次世界大戦に由来する「左=共産主義ソ連、中央=自由民主主義のアメリカ、右=ファシズム・ナチス」という直線的スペクトラムは、左右の断絶を前提としており、ファシズムをアメリカ政治かこの「パイプライン」の危険性は、白人至上主義・武闘派右派によるリクルート戦略にある。
ら遠ざける。しかし実際には、近現代史はその逆を示している。


白人至上主義運動のアーカイブ(書簡、新聞、個人往復書簡、画像、FBI文書、報道、裁判記録など)は、左派と右派が1970〜80年代に相互接近し、ときに中道よりも互いに多くを共有していたことを示している。

政治学の一部では「蹄鉄理論(horseshoe theory)」、すなわち左右両端が互いに近接するというモデルが提案されているが、アーカイブを参照する限り、その実態はむしろ「円」に近い。

例えば1980年代、白人至上主義者の共同体とヒッピー共同体は、同一の田舎町に共存し得た。アイダホ州コー・ダリーン(Coeur d’Alene)は白人分離主義団体「アーリアン・ネイションズ」の拠点であったが、同時に国家から距離を取りたいサバイバリストや自然環境を愛好する左派も惹きつけた。学者たちは、農業危機に直面した農村部住民が白人至上主義に急進化する事例など、この時期の隣人関係に注目してきた。

1970年代以降、『マザー・アース・ニュース』誌は有機農業などの「左派的」課題を扱ったが、そのクラシファイド欄は白人至上主義活動家の出会いの場ともなった。白人テロ組織「ジ・オーダー」を率いたロバート・マシューズは、この雑誌を通じて最初の妻と出会っている。彼はのちに一連の人種差別的・反ユダヤ的暗殺や銀行強盗を行い、今日の武闘派右派の戦術的基盤を築いた。

このようなグループに共通するテーマは「純粋性」「生存主義」「政府不信」である。だが同一テーマも文脈により解釈が異なる。例として、ホームスクーリングは右派の人種主義的共同体にも、左派の意識的共同体にも利用され得た。助産術は右派では反フェミニズム的規範の一環として、左派では女性解放の象徴として実践された。

さらに反フッ素運動は、自由至上主義者にとっては「個人の選択権」をめぐる問題であり、ジョン・バーチ協会の右派にとっては「共産主義的陰謀」であった。同時に環境保護運動の一部は、フッ素を生態系汚染物質とみなし反対した。このように左右双方を横断する主題が存在し、1980〜90年代には「終末論的想像力」と結びついた。白人至上主義者は「フッ素が人々を従順にし、革命や人種戦争を困難にする」と恐れた。実際、1980年代初頭にはシカゴやニューヨーク、ワシントンD.C.の水道にシアン化合物を投入する計画も立案された。幸い摘発により未遂に終わったが、過激思想は「水に混入する毒」のごとく拡散していった。

この「パイプライン」の危険性は、白人至上主義・武闘派右派によるリクルート戦略にある。歴史的に見ても、1920年代の第二次KKKは地域ごとの緊張を利用して勧誘を展開した。メキシコ系移民の多い地域では反メキシコ主義を掲げ、労働運動が活発な北西部では反組合を強調し、北東部では反移民を、インディアナ州では反カトリックを訴えた。こうした「機会主義的適応」はKKKを400万人規模に拡大させた。

1980年代の白人至上主義者が迷彩服を着用したのも、単に準軍事訓練のためではなく、当時の文化的トレンド(ペイントボールや戦争映画の流行)を利用する「文化的機会主義」であった。

今日の「ナチュラル志向からオルト・ライトへのパイプライン」も、同様の操作である。ソシオロジストのシンシア・ミラー=イドリスが『Hate in the Homeland』で指摘するように、実際に個人が「ナチュラル志向」から白人至上主義コンテンツへと導かれている。特に女性や文化的ネットワークを通じた拡散は、この運動が単なる「街頭の男性デモ行進」ではなく、社会運動としての性格を持つことを示す。

例えば「伝統的妻(trad wives)」コミュニティでは、自家製保存食や掃除用品作りといった一見無害な「ナチュラル志向」実践が、白人至上主義的世界観と結びつけられ、より急進的コンテンツへと誘導される。これは確信犯的な操作であり、直接的リクルートである。

最終目標は明確である。白人至上主義者たちは過去も現在も、暴力を通じて「白人のみの民族国家/世界」を夢見ており、マクロビオティックやリンゴ酢の民間療法がその暴力的メッセージを和らげることは決してない。

この点、すなわちナチュラル志向は、オルトライトのリクルートの意図的対象となっていて、実際に成果をあげている点は重要。しかも、その始まりが前世紀前半。それが現状のオルトライトや極右の隆盛へとつながっている。





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