創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

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「宇宙植民地化を望み、その能力を持つ」という「動機と能力」あるいは「非合理性」というグレートフィルター


グレートフィルターと従来から挙げられてきた課題

グレートフィルターとは、生物発生の初期段階からカルダシェフスケールの最高レベルの発達に至るまでの生命の発達には、検出可能な地球外生命体を非常に稀なものにする発達の障壁があるという考えである。

Hanson (1998)は、グレートフィルターとして以下を挙げている。
  1. 適切な星系 (有機物や居住可能な可能性のある惑星を含む)
  2. 生殖分子 (例: RNA)
  3. 単純な(原核生物の)単細胞生命
  4. 複雑な(真核生物の)単細胞生命
  5. 有性生殖
  6. 多細胞生命
  7. 知性を持った道具を使う動物
  8. 宇宙移民急増の可能性に向かって前進する文明(我々が現在いるポジション)
  9. 宇宙移民急増

ここで、8.については
  • 8.1: 技術や科学を活用できるレベルまで進化する技術的知性
  • 8.2: 核戦争、環境崩壊、パンデミックなどによって自滅せずに存続する初期文明
  • 8.3: 初期文明の資源の枯渇または崩壊の回避
また9.については
  • 9.1: その文明が、宇宙植民地化を望み、その能力を持つ(動機と能力)
  • 9.2: その文明が、超新星、ガンマ線バーストによって破壊されない
  • 9.3: その文明が、敵対的な異星文明によって破壊されない
というフィルターが挙げられる。

8.1をクリアすると、その後の問題として、8.2, 8.3が20世紀より懸念されてきた。それらは国際政治・国内政治での課題となり、対処され、あるいは対処されつつある。

9.1をクリアすると、その後の問題として、9.2は対処困難ではあるものの、何が起きそうで、その確率がどの程度になるかは探究されてきた(ネオカタストロフィズム仮説)。また、9,3に関してはダークフォレスト仮説バーサーカー仮説などが挙げられてきた。
「宇宙植民地化を望み、その能力を持つ」という「動機と能力」

上記フィルターたちの中では「9.1: その文明が、宇宙植民地化を望み、その能力を持つ(動機と能力)」についての論として、これまで検討されてきた・挙げられてきたものとして...
  • 文明は極めて説得力のあるアイデアに遭遇し、外への探査をすべて停止する (ie. Youvan (2025))
    • 完全な実存的満足をもたらす完璧な哲学。文明が存在の究極の意味を発見
    • 幸福と安定を最大化し、市民が故郷の惑星を離れる意欲を失わせる、最適化された統治体制
    • すべての個人を集合意識に統合し、探検を不要にする普遍的なAIマインド
    • 他の文明から伝わったイデオロギーによって、宇宙の探求は無意味、危険、あるいは不道徳であると確信
  • 核兵器などと「非合理性」の組合せ (PNRJ, 2017)
    • 核兵器自体は、広範な非合理性と偏見と共存しているからこそ、存在そのものに対する脅威となる
    • 種の中には、常に他の個体よりも合理的な個体が存在し、種が合理性のレベルを高めても、一度にすべてが高まるわけではない
    • 種をより合理的にする経済発展と科学の進歩のプロセスは、均等に広がる可能性は低い(合理性の平均レベルが上昇するにつれて、分散もまた増加する)

すなわち、「文明の発展によって、発展の動機を喪失する」という「前向き」の課題と、「合理性の発展とともに進む、非合理性」という「後向き」の課題がある。従来から「前向き」の課題は列挙・検討されてきているが、「後向き」の課題は新たな指摘とだろう。
非合理性(あるいは愚か)というグレートフィルター

PNRJ (2017)は「核兵器と非合理性」の組合せを挙げたが、さらには「非合理性」だけでも「グレートフィルター」たりうる。このとき「非合理性」として挙げられるのは
  • 認知バイアス
  • 部族主義
  • 短期主義
  • 長期的な生存戦略を無視する感情的な意思決定
など。これらは、高度な知能を持つ存在でさえ、個人として、あるいは集団として、自らの長期的な最善の利益のために一貫して行動することができない可能性があることを示唆している。

現実問題として実体化していると考えられる例としては(ie. Mbakpuo, 2024)
  • 文明は気候変動、核戦争、AIのリスクを認識するも、否定論や利益追求や政治的分裂のために行動できない
  • 短期的な報酬が長期的な計画に優先する(例:有限の惑星における際限のない経済成長)。
  • 合理的な行動には世界的な調整が必要となる場合があるが、部族主義、ナショナリズム、あるいは不信感によってそれが機能不全に陥る。
  • 社会は、宗教教義やタブーのために科学や探査を阻害する(文明は、技術的に進歩する前に、文化的停滞の中で燃え尽きてしまう)。

これらに加えて、2025年時点で遭遇・認識された項目として
  • 人々は自国を偉大にするという動機を持っているが、依拠する方法論が「陰謀論が提示したもの」であるために、結果的に自国を破壊する
というものがある。これが人類全体規模で進めば、まさしくグレートフィルターとして機能する。


「非合理性(あるいは愚か)」は「グレートフィルター」の細目として列挙するに値するだろう。





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