批判サイド>否定論・陰謀論を信じる理由
2011年にPsychology Todayに掲載された、心理学者Douglas T. Kenrickによる陰謀論を信じる心理について記事:
我々は危険を早期に察知して行動するようにできているらしく、それは同時に陰謀論を容易に信じることにもなっているという。
2011年にPsychology Todayに掲載された、心理学者Douglas T. Kenrickによる陰謀論を信じる心理について記事:
我々は生まれながらにして、隠された原因の信者であり、あらゆる手段を取らねばならない脅威に対して特に注意を怠らない。どうやって、健全な懐疑主義を守ればいいだろうか? 途方もない主張を考慮するときに、心にとどめたいことが幾つかある。
米国大統領とCIAがオサマ・ビン・ラディンの死を偽装したと、あるいは報道機関が裕福な過激派の強力な幹部によってコントロースされていると信じるほど、仲間を信じないのはどんな人間だろうか? 陰謀論信条について心理学文献を熟読すれば、あるいはトピックについての政治解説を読めば、パラノイアや疎外やアノミーの話を多く耳にするだろう。そして、ひとつの奇妙な陰謀論を信じる者は、(すべてはイルミナティとケネディ暗殺に結局つながる)他の陰謀論も信じる傾向があることを学ぶだろう。そして、陰謀論信条は、貧困や虐げられた少数派や、自分の声明が外部要因や不幸な状況にコントロールされているという一般的なセンスを持っていることとリンクしていることを知るだろう。
もうひつとの視点は、我々の種の進化的背景について思索から生み出されたものだ。人間の脳は陰謀論のためにデザインされている。この見方によれば、誰もが陰謀論者だ。
ただいま流行中の奇抜な陰謀論の詳細は横に置くとして、これを考えてみよう。誰かが主張した陰謀が、実際に現実のアルカイダとCIAとKGBとマフィアがすべて現実の人々を巻き込んで、現実に非道な行為を計略を謀ったとしよう。あなたがパラノイアだという理由だけでは、そのようなことにあなたが囚われないことを意味しない。Robert TriversとBill von Hippelは、コミュニケーションの深刻な否定的側面は、欺瞞への扉を開くことを観察した(それはおいしいワームか、アンコウの罠だろうか? チドリは本当に怪我をしているのか、そう偽装しているのか?)。人間は特にコミュニケータとして能力が高く、そしてかなりの詐欺師でもある。嘘の心理学を研究した研究者たちは、平均的人間が日々嘘をつくばかりか、我々には偶然以上の確率で、正しい言明と嘘を識別する能力はないことを見出した。
我々の祖先は、他の群れのメンバーの計略と同様に、自分の群れのメンバーの計略も心配しなければならなかった(害を為すより、失う物は少なく、得る物は大きい)。Pascal BoyerやAra Norenzayanのような進化心理学者は、人間の脳が複雑で隠された原因を探求する強力なメカニズムを持っていることを指摘している。 Sherlock HolmesやJames BondやHarry Potterの人気は、作者が読者に因果メカニズムを行使させる才能に多くを負っている。
進化心理学者Randy NesseとMartie Haseltonが論じたように、心は、(圧倒的証拠が揃うまで待って、消火に手遅れになるよりも)環境中のいかなる脅威の兆候にも警報を出すようにセットされた煙感知器のようにデザインされている。ひとたび我々が信条を受け入れれば、それを否定することに対してバイアスをかけるような認知メカニズムを持つことになる。そのような研究の中でも私のお気に入りは、Stanfordの心理学者Charlie LordとLee RossとMark Lepperによって行われた研究である。彼らは自らが受け持つ優秀な学生たちに、死刑の利点を注意深くバランスさせた支持・反対する科学的証拠を提示した。バランスのとれた証拠を聴いた後、もともと死刑を支持していた学生たちは自分たちが、より正しいと確信した。一方、死刑に反対していた学生たちは、より死刑反対方向に確信を強めた。起きたことは、学生たちが自分たちに反対する意見の弱点だけを選択的に記憶していたことだった。そして、自分たちを支持する意見の強い点だけを記憶していた。ありがちだろうか?(彼らはStanfordの学生たちであって、モンタナ州Two Dotに籠った過激派ではない。)
虐げられたグループの人々は、アッパーミドルクラスの郊外でNew York Timesを読んでいるような人々よりも、陰謀論を信じやすいことを示す研究についてはどうだろうか? これらの発見は、我々の進化心理の別の一面を指摘する。すなわち、我々の脳は、脅威にさらされたときに、我々の危機システムのボリュームを上げる。我々の研究室での研究は、(恐怖映画を見た後で)自己防衛的になっている人々は、他のグループの見知らぬ人物の顔に対して怒りを向けやすくなることを示した。Mark Schallerたちは、暗い部屋にいると、ある種のステレオタイプ(アラブジンヤアラブ系米国人の危険性など)が強化されることを見出した。日々の生活における脅威と危険の程度に、人はそこに潜んでいる危険の兆候を監視する傾向がある。
人間の脳は陰謀に敏感なようにデザインされており、常に現実の陰謀が存在するなら、オバマやAMAやローマカトリック巨魁についての計略についての話を聞いたとき、それを信じ込むのを回避する方法がないということだろうか? そうではない。Charlie LordたちはStanfordの学生たちが、単純なことを自問すれば、少しは客観的になれることを見出した。それは「もし、同じ証拠が真逆の結論を支持しているなら、どう感じるだろうか?」である。Rutgers大学の社会学者Ted Goertzelは、陰謀論信条について20年以上にわたり研究してきた。彼は「おかしい変人と、正直に見当違いしている人と、貪欲な訴訟人と、時期尚早なコンセンサスに真剣に懐疑的な人を区別したい」人々への幾つかの助言を持っている。第1は、誰かが自分たちの主張に反する証拠を報告したら、常に陰謀に加わる人数が増加することが必要な推論、すなわち「カスケードロジック」をさがすことだ(彼らはまさにそうだ)。第2は、陰謀実行者の一部に非現実的な力と支配力を必要とする主張に懐疑的になることだ。Goertzelは月面着陸をフェイクしたという陰謀を例に挙げる。その例では、プロジェクトに参加した幾千の科学者と技術者や、月面着陸を報道したメディアや、イベントを追跡したロシアを含む他国の科学者たちを巻き込まなければならない。もちろん、CIAが私にこの原稿を委託している可能性があり、ここで述べたことは、私はあなたを欺くためかもしれない。
Douglas T. Kenrick is the author of Sex, Murder, and the Meaning of Life: A psychologist investigates how evolution, cognition, and complexity are revolutionizing our view of human nature. The book was recently chosen as a monthly selection by Scientific American Book Club. He claims to have no connections to the illuminati.
References
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Boyer, P. (2003). Religious thought and behavior as by-products of brain function. Trends in Cognitive Science, 7, 119-124.
Nesse, R. M. (2005). Evolutionary psychology and mental health. In D. Buss (Ed.), Handbook of evolutionary psychology (pp. 903–930). Hoboken, NJ: Wiley.
Haselton, M. G., & Nettle D. (2006). The paranoid optimist: An integrative evolutionary model of cognitive biases. Personality and social psychology Review, 10, 47–66.
Lord, C. G., Lepper, M. R., & Preston, E. (1984). Considering the opposite: A corrective strategy for social judgment. Journal of Personality and Social Psychology, 47, 1231–1243.
Lord, C. G., Ross, L., & Lepper, M. R. (1979). Biased assimilation and attitude polarization. Journal of Personality and Social Psychology, 37, 2098–2109.
Schaller, M., Park, J. H., & Mueller, A. (2003). Fear of the dark: Interactive effects of beliefs about danger and ambient darkness on ethnic stereotypes. Personality & Social Psychology Bulletin,29, 637–649.
Goertzel, T. (2010). Conspiracy theories in science. EMBO reports, 11, 493-499.
von Hippel, W. & Trivers, R. (2011). The evolution and psychology of self- deception. Behavioral and Brain Sciences, 34, 1-16.
[ Douglas T. Kenrick, Ph.D.:"Why the Human Brain Is Designed to Distrust" (2011) ]
我々は危険を早期に察知して行動するようにできているらしく、それは同時に陰謀論を容易に信じることにもなっているという。
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