創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

批判サイド>否定論・陰謀論を信じる理由

自由市場支持と陰謀論思考の連鎖


ある陰謀論を信じる人々は、無関係な別の陰謀論も信じる傾向がある。温暖化否定やHIV否定論や反ワクチンなどのアンチサイエンスとも連鎖する。米国の場合は、共和党支持と温暖化否定が連鎖しているためか、自由放任市場主義支持と温暖化否定に関連が見られる。
Although nearly all domain experts agree that carbon dioxide emissions are altering the world’s climate, segments of the public remain unconvinced by the scientific evidence. Internet blogs have become a platform for denial of climate change, and bloggers have taken a prominent role in questioning climate science. We report a survey of climate-blog visitors to identify the variables underlying acceptance and rejection of climate science. Our findings parallel those of previous work and show that endorsement of free-market economics predicted rejection of climate science. Endorsement of free markets also predicted the rejection of other established scientific findings, such as the facts that HIV causes AIDS and that smoking causes lung cancer. We additionally show that, above and beyond endorsement of free markets, endorsement of a cluster of conspiracy theories (e.g., that the Federal Bureau of Investigation killed Martin Luther King, Jr.) predicted rejection of climate science as well as other scientific findings. Our results provide empirical support for previous suggestions that conspiratorial thinking contributes to the rejection of science. Acceptance of science, by contrast, was strongly associated with the perception of a consensus among scientists.

分野の専門家のほぼ全員が、二酸化炭素排出が地球環境を変えていることに同意しているが、一般大衆の一部は科学的証拠に納得していない。インターネットブログが気候変動否定論のプラットフォームとなり、ブロガーたちは気候変動への懐疑に重要な役割を果たしている。気候科学の工程あるいは否定の背後にある変数を特定するために、我々は気候ブログの訪問者たちを調査した。我々の発見は、過去の発見と同様のもので、自由市場経済の推奨傾向が、気候科学否定の予測指標となることを示していた。さらに、自由市場経済の推奨傾向は、その他の確立された科学に対する否定の予測指標となっていた。あとえば、HIVがAIDSを引き起こすという事実や、喫煙が肺癌を引き起こすことなど。我々はさらに、自由市場推奨に加えて、一群の陰謀論推奨(FBIがマルチン・ルーサー・キングJRを暗殺したとか)も、気候科学やほかの科学否定の予測指標となっていることを発見した。我々の発見は「陰謀論思考が科学否定に寄与する」という従来の示唆を経験的に支持する。


Figure 2. Latent variable model that predicts acceptance of climate science and acceptance of other scientific propositions on the basis of free-market ideology, the perception that earlier environmental problems have been solved, and conspiracist ideation. All regression weights and correlations are significant and standardized. Weights and correlations that are not shown were set to zero (e.g., correlation between the residuals of climate science and other science).

「自由市場イデオロギー」や「初期の環境問題がすでに解決したという認識」や陰謀論思考が、「気候科学肯定や他の科学的命題肯定」の予測指標になっているという潜在変数モデル。すべての回帰ウェイトと相関係数は有意であり、調整済みである。記載のないウェイトと相関係数はゼロである。

[ Stephan Lewandowsky, Klaus Oberauer, and Gilles E. Gignac: "NASA Faked the Moon Landing—Therefore, (Climate) Science Is a Hoax -- An Anatomy of the Motivated Rejection of Science", Psychological Science May 2013 vol. 24 no. 5 622-633 PDF ]
なお、自由経済推奨・初期の環境問題は解決済み・陰謀論思考・気候科学・その他の科学についての支持・反対の測定は、以下のステートメントが用いられた。
Free market政府に規制されない自由市場に基づく経済システムは自動的に人間の需要に適合するように働く。
自由市場を支持するが、環境基準への支出は支持しない。
自由市場は資源再配置には不適な面があるかもしれないが、それは社会正義を推進に限られる。
自由市場制度の存続は地域的環境問題よりも重要である。
自由で規制されない市場は持続的発展に脅威である。
自由市場制度は持続不可能な消費を推進する。
Problems solvedCFCはもはやオゾン層への脅威ではない。
酸性雨は地球生態系にとって、もはや重大な問題ではない。
Conspiracist Ideationニューワールドオーダーは世界支配をもくろんでいる。
SARSは生物兵器。米国政府は事前に真珠湾攻撃を知っていた。マルチン・ルーサー・キングJRの暗殺はCIAとFBIの陰謀。
アポロは月に行っていない。ジョンFケネディ暗殺は陰謀。
米国政府は対外・国内目的達成のため911攻撃を容認した。
ダイアナの死は英国王室の陰謀。
オクラホマ爆弾テロはネオナチ集団の支援を受けていた。
コカコーラが味を変えたのは、以前の製品への需要を高めて利益を得るためだった。
米軍はロズウェルの残骸を回収し、事実を隠ぺいした。
エリア51には宇宙人と宇宙船がある。
気候変動は納税者の金をもっと使おうとする腐敗した科学者の捏造。
米国政府は黒人とゲイを統治するためにAIDSをつくった。
Climate sciences化石燃料を燃やすと、大気の気温が観測可能なほど上昇する。
過去50年以上、観測可能な規模での化石燃料の燃焼は明らかに大気の気温を上昇させた。
過去50年以上、観測可能な規模での化石燃料の燃焼は、二酸化炭素排出ゼロへの転換がないと、地球の気候への重大にネガティブな影響を引き起こす。
過去50年以上、観測可能な規模での化石燃料の燃焼は、地球の気候への重大にネガティブな影響を引き起こす。
Other sciencesHIVはAIDSを引き起こす。
喫煙は肺癌を引き起こす。
陰謀論の「力」

このような傾向は、もともと陰謀論支持でなくとも、陰謀論と接するだけでも生じる。
In a new study, I find that mere exposure to a popular conspiracy theory can make you less pro-social—and less likely to accept established scientific principles.

In the experiment, I instructed people to watch a short two-minute video clip of a popular global-warming conspiracy movie. I randomly assigned people to one of three groups:

a) a "conspiracy" group, whose members watched the clip
b) a group that watched an "inspirational" United Nations video about taking action on global warming instead
c) a "neutral" control group.

新たな研究で、私は「ポピュラーな陰謀論に接するだけで、向社会行動をしなくなり、確立された科学的原理を受け入れないようになる」ことを発見した。実験では、被験者に2分間のポピュラーな地球温暖化陰謀論動画を見てもらった。被験者をランダムに3つのグループに分けて
a) 陰謀論グループには、この地球温暖化陰謀論動画を見てもらった。
b) 次のグループには、地球温暖化対策の行動についてのインスプレーションな国連の動画を見てもらった。
c) 残りはニュートラルな対照群。
~ Results clearly showed that those participants exposed to the conspiracy video were:

less likely to think that there is widespread scientific agreement on human-caused climate change.
less likely to sign an online public petition to help stop global warming.
less willing to donate or volunteer for a charity in the next six months.

I have termed this phenomenon the "conspiracy effect."

結果は明瞭で、陰謀論動画を見た被験者たちは:
人間起源の気候変動について広く科学的合意があると考えない
地球温暖化対策を求めるオンライン署名をしない
今後6か月で、チャリティへの募金やボランティアをしようとしない
傾向が大きくなった。私はこの現象を陰謀論効果と呼ぶ。

These findings are troubling. Consider the fact that 97% of leading climate scientists have independently concluded that human-caused global warming is real and happening. Yet, just watching a two-minute clip about how it all might be part of a global conspiracy appears to be enough to compel us to dismiss science and make us feel less inclined to engage with important societal issues in general, including helping others in need.

この発見は厄介だ。97%の主要な気候科学者たちが独立に人間起源の地球温暖化はリアルで実際に起きていると結論しているという事実を考えてみよう。しかし、わずか2分の地球温暖化陰謀論の動画を見るだけで、科学を否定し、必要としている他人を助けるなどの、重要な社会問題への関与しようという意欲を低下させる。

[ Sander van der Linden:"The Surprising Power of Conspiracy Theories" ]







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