創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

否定論・陰謀論を信じる理由

疑似深遠ブルシットを深遠だと思う人はフェイクも信じやすい


疑似深遠ブルシット(Pseudo-profound bullshit)を深淵だと評価する傾向と、フェイクニュースを信じる傾向について調べたPennycook and Rand (2019)を概説した記事がPsyPostにあったので紹介する。
Journal of Personalityに発表された新しい研究によれば、知識のレベルを誇張し、疑似深遠ブルシットに感銘を受けた人々はフェイクニュースを信じる可能性が高くなる。

「私は長い間、人間の推論の落とし穴(および長所)に関心を持ち、人々がブルシットに陥る理由に関するいくつかの研究を発表した。2016年の大統領選挙では、フェイクニュースがこの巨大な物語として浮上し、多くの人々が答えを求めて争った。David Randと私は、これは調査するのに本当に興味深い(そして重要な)ものだと判断した。」と、University of Reginaの助教授である研究論文の著者のGordon Pennycookは述べた。

疑似深遠ブルシットとは、深遠に思えるが実際は無意味な文のことで、「We are in the midst of a high-frequency blossoming of interconnectedness that will give us access to the quantum soup itself(我々は、量子スープ自体へのアクセスを可能とする相互接続性の高周波開花のまっただなかにいる)」とか「Hidden meaning transforms unparalleled abstract beauty.(隠れた意味は比類なき抽象美に変容する)」といったものである。

AmazonのMechanicalTurkを介して募集された1,606人の被験者を対象とした3つの研究で、研究者は、ブルシットステートメントを深遠であると見なした人々は、フェイクニュースの見出しを正確であると見なす可能性が高いことを発見した。

被験者は、さまざまなフェイクニュースやリアルニュースの見出しの正確さを判断した。実際には存在しなかった、または知ることができなかったものに精通していると主張する傾向があった参加者も、フェイクニュースを正確であると見なす傾向があった。

一方、分析的思考の尺度で高得点を獲得した人は、フェイクニュースの見出しを信じる可能性が低くなる傾向があった。

「推論エラーは(多くの場合)ランダムではないせん。ソーシャルメディアのコンテンツにアプローチする方法に関しては、人々の間で体系的な違いがある。「最も広く言えば、人々は我々が"反射的オープンマインド"と呼ぶものを使う一般的傾向がみられる。彼らは、分析的に考えずに、さまざまな主張を受け入れたり信じたりすることを過度に望んでいる。これにより、彼らはフェイクニュース、疑似深遠ブルシット、そしておそらく他の種類の欺瞞的または単に虚偽の主張の大規模なクラスを信じてしまう傾向がある。」とPennycookはPsyPostに語った。

研究者たちはまた、ブルシット受容性が、ソーシャルメディアでフェイクニュースとリアルニュースの両方をシェアする意欲とポジティブに関連していることを発見した。

見出しの正確さの認識とニュースをシェアする意欲との関連は比較的弱く、「ニュース記事をシェアする判断、それがフェイクであるかリアルであるかにかかわらず、評判や美徳のシグナリングに関する懸念によって引き起こされている」ことを示唆している。

「我々は、より大きなブルシットのパイの薄いスライスを見ただけである。(特にインターネット時代に)人々が対処しなければならない、欺瞞的で誤ったタイプの主張がたくさんある。本研究は、この問題の予備的な調査だと考えている。」とPennycookは述べた。

研究「Who falls for fake news? The roles of bullshit receptivity, overclaiming, familiarity, and analytic thinking」はGordon PennycookとDavid G.Randによって実施された。

[ Eric W. Dolan: "New findings about why some people fall for fake news and pseudo-profound bullshit" (2019/04/06) on PyPost ]




保守とリベラルでの、疑似深遠ブルシットを深遠と評価する度合いの違い

Pfattheicher & Schindler (2016)は、この疑似深遠ブルシット評価に関して、リベラルと保守の差異を調査している。それによれば、保守(2016年大統領選挙の際に、共和党予備選候補を選好した人々に、有意に疑似深遠ブルシットを深遠だと評価する傾向が見られた。
The present research investigates the associations between holding favorable views of potential Democratic or Republican candidates for the US presidency 2016 and seeing profoundness in bullshit statements. In this contribution, bullshit is used as a technical term which is defined as communicative expression that lacks content, logic, or truth from the perspective of natural science. We used the Bullshit Receptivity scale (BSR) to measure seeing profoundness in bullshit statements. The BSR scale contains statements that have a correct syntactic structure and seem to be sound and meaningful on first reading but are actually vacuous. Participants (N = 196; obtained via Amazon Mechanical Turk) rated the profoundness of bullshit statements (using the BSR) and provided favorability ratings of three Democratic (Hillary Clinton, Martin O’Malley, and Bernie Sanders) and three Republican candidates for US president (Ted Cruz, Marco Rubio, and Donald Trump). Participants also completed a measure of political liberalism/conservatism. Results revealed that favorable views of all three Republican candidates were positively related to judging bullshit statements as profound. The smallest correlation was found for Donald Trump. Although we observe a positive association between bullshit and support for the three Democrat candidates, this relationship is both substantively small and statistically insignificant. The general measure of political liberalism/conservatism was also related to judging bullshit statements as profound in that individuals who were more politically conservative had a higher tendency to see profoundness in bullshit statements. Of note, these results were not due to a general tendency among conservatives to see profoundness in everything: Favorable views of Republican candidates and conservatism were not significantly related to profoundness ratings of mundane statements. In contrast, this was the case for Hillary Clinton and Martin O’Malley. Overall, small-to-medium sized correlations were found, indicating that far from all conservatives see profoundness in bullshit statements.

本研究は、2016年の米国大統領候補の民主党候補か共和党候補のどちらを選好するかと、ブルシットステートメントを深遠だと評価する度合いの関係を探求する。本論文では、ブルシットは、自然科学の観点から内容、論理、あるいは真実性を欠いているコミュニケーション表現として定義される専門用語である。我々はBSR(ブルシット受容性スケール)を使用して、ブルシットステートメントの深遠さを測定した。BSRスケールには、正しい統語構造を持ち、一見すると正しく有意味なように見えるが、実際は空疎なステートメントが用意されている。被験者(N = 196、Amazon Mechanical Turk経由で募集)は、(BSRを使用して)ブルシットステートメントの深遠さを評価し、3人の民主党候補(Hillary Clinton, Martin O’Malley, and Bernie Sanders)と3人の共和党候補(Ted Cruz, Marco Rubio, and Donald Trump)への選好度を評価した。 被験者はまた、政治的リベラル・保守測定も実施した。結果は、共和党候補3名への選好度と、ブルシットステートメントを深遠だと評価する度合いは、ポジティブに関連していることを明らかにした。相関が最も小さかったのはDonald Trumpだった。ブルシットと3人の民主党候補者の支持との間に正の関連性が見られるが、この関係は実質的に小さく、統計的有意ではない。政治的リベラル・保守の一般尺度は、より政治的保守である被験者がブルシットステートメントに深遠さを見る傾向が高いという点で、ブルシットステートメントを深遠であると判断することにも関連していた。注目すべきことに、これらの結果は、保守の間で、あらゆるステートメントに深遠さを見るという一般的な傾向によるものではなかった。共和党候補者選好や保守的見方は、平凡なステートメントを深遠だと評価する傾向とは、有意に関連していなかった。対照的に、>Hillary Clinton支持とMartin O’Malley支持には、中小規模の相関関係が見られた。これは、ブルシットステートメントを深遠だと評価する保守とは大きく異なる。

[ Stefan Pfattheicher ,Simon Schindler: "Misperceiving Bullshit as Profound Is Associated with Favorable Views of Cruz, Rubio, Trump and Conservatism", PLOS/One, Published: April 29, 2016 ]







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