創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

インテリジェントデザイン概説>反証可能性をめぐって

Beheの「インテリジェントデザインの反証可能性」


インテリジェントデザイン理論家Dr. Michael Beheは、2005年のKitzmiller v. Dover Area School District Trialの証言で、実際に実験すれば原理的にはインテリジェントデザインは検証・反証可能だと述べている。
In fact, intelligent design is open to direct experimental rebuttal. Here is a thought experiment that makes the point clear. In Darwin’s Black Box, I claimed that the bacterial flagellum was irreducibly complex and so required deliberate intelligent design. The flip side of this claim is that the flagellum can’t be produced by natural selection acting on random mutation, or any other unintelligent process.

To falsify such a claim, a scientist could go into the laboratory, place a bacterial species lacking a flagellum under some selective pressure, for mobility, say, grow it for 10,000 generations, and see if a flagellum, or any equally complex system, was produced. If that happened, my claims would be neatly disproven.

実際、インテリジェントデザインは直接実験による反証を受け入れている。これを明らかにするための思考実験を提示しよう。Darwin’s Black Boxで、私はバクテリアの鞭毛が還元不可能な複雑さを持つので、インテリジェントデザインであると主張した。この主張は、突然変異に対して自然淘汰が働くこと、あるいはその他のアンインテリジェントな過程では鞭毛は創れないを意味する。

この主張を反証するには科学者は実験室に行って、鞭毛のないバクテリアを運動性に対する適当な淘汰圧のもとにおいて、10000世代培養する。そして鞭毛もしくは同等の複雑なシステムができているか見る。出来ていれば、私の主張は完全に反証される。

[ Kitzmiller v. Dover Area School District Trial transcript: Day 10 (October 17), AM Session, Part 2 ]

この主張は翌年にDr. William Dembskiと仲間たちのブログでも繰り返されている:
The National Academy of Sciences has objected that intelligent design is not falsifiable, and I think that’s just the opposite of the truth. Intelligent design is very open to falsification. I claim, for example, that the bacterial flagellum could not be produced by natural selection; it needed to be deliberately intelligently designed. Well, all a scientist has to do to prove me wrong is to take a bacterium without a flagellum, or knock out the genes for the flagellum in a bacterium, go into his lab and grow that bug for a long time and see if it produces anything resembling a flagellum. If that happened, intelligent design, as I understand it, would be knocked out of the water. I certainly don’t expect it to happen, but it’s easily falsified by a series of such experiments.

米国科学アカデミーはインテリジェントデザインが反証不可能だと異議を唱えた。私はそれはまったく正しくないと考える。インテリジェントデザインはまったく反証可能だ。たとえば、私は自然選択ではバクテリアの鞭毛は生じないと主張する。それは意図的に、インテリジェントにデザインされる必要がある。さて、科学者たちが私が間違っていることを証明するためにしなければならないことは、鞭毛のないバクテリアもしくは、鞭毛の遺伝子を破壊したバクテリアを用意して、実験室に行って、増殖させて、長時間観察し、鞭毛のおうなものが生じるか見ればいい。鞭毛のようなものがあれば、インテリジェントデザインは反証される。そんなことは起きないと私は考えているが、そのような実験でインテリジェントデザインは容易に反証される。

[ GilDodgen: "Michael Behe On Falsification", 2006/12/26 ]
インテリジェントデザイナーをコントロールできないので実験にならない

Dr. Michael Beheは、2005年のKitzmiller v. Dover Area School District Trialの証言で、インテリジェントデザイナーの属性についての知識は不要と述べている。
Q. Now does the conclusion that something was designed, does that require knowledge of a designer? (何かがデザインされたと結論するとき、デザイナーについての知識は必要か?)

A. No, it doesn’t. And if you can advance to the next slide. I discussed that in Darwin’s Black Box in Chapter 9, the chapter entitled Intelligent Design. Let me quote from it.(不要だ。次のスライドに移ってほしい。私はDarwin’s Black Boxの9章"インテリジェントデザイン"で論じた。引用すると:

The conclusion that something was designed can be made quite independently of knowledge of the designer. As a matter of procedure, the design must first be apprehended before there can be any further question about the designer. The inference to design can be held with all the firmness that is possible in this world, without knowing anything about the designer.

何かがデザインされたという結論は、デザイナーについての知識とはまったく独立に得られる。手順からいって、デザイナーについて問う前に、まずデザインをとらえなければならない。デザインに至る推論は、まったくデザイナーについて知らなくても、この世界において可能な堅牢さで行える。


[ Kitzmiller v. Dover Area School District Trial transcript: Day 10 (October 17), AM Session, Part 2 ]

これによって「Beheの実験」は意味をなさなくなる。Richard B. Hoppeは次のように指摘する

  • 10000世代後に鞭毛のあるバクテリアが存在していたら?
    • 進化したので、Beheの還元不可能な複雑さは反証される
    • デザイナーが介入して鞭毛を創ったので反証されない
  • 10000世代後に鞭毛のあるバクテリアが存在していなかったら?
    • 進化しなかったので、Beheの還元不可能な複雑さが証明される
    • デザイナーが鞭毛のあるバクテリアを撃ちまくって滅ぼしたので、反証される

インテリジェントデザイナーの属性が不明である以上は、デザイナーが実験に介入しないことが確認できない。したがって、たとえ厳格な実験状態のもと1億年かけて実験したとしても、何も証明しないことになる。

これは、インテリジェントデザイナーという超自然を召喚したことにより検証不可能になるという、方法論的自然主義を逸脱の実害が出たということ。

God of the gaps論形式の反証可能性


もうひとつの問題点はDembskiの「インテリジェントデザインの反証可能性」と共通の点。すなわち、インテリジェントデザイン理論がデザインだと主張するものが、進化論で説明されたら、インテリジェントデザインは反証された」という形式になっている点。あくまでも、「Beheの実験」は進化論の検証であって、インテリジェントデザインに触れていない。

つまり、Beheは始めから、インテリジェントデザインを検証・反証対象にしていない。








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