創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

批判サイド > 創造論者の主張

Claim CD011.3:
Living snails were carbon-14 dated at 2,300 and 27,000 years old, showing that the dating method is invalid.
生きているカタツムリの放射性炭素14年代測定結果は2300〜2700年だった。これは年代測定方法が使えないことを示している。
Response:
  1. 2300年前という放射性炭素年代測定結果[Keith and Anderson 1963, discussed by Strahler 1987, 156-157]は放射性炭素年代測定の信頼性を貶めるために、悪用かつ不正に使われてきた。これらの文献は、"死んだ炭素"が軟体動物の年代測定に入り込むことによる測定の誤りの可能性を論じている。たとえば、水中の二酸化炭素の一部は炭素14を含まない古生代の石灰岩からのものである。結果として水中の二酸化炭素は大気中に比べて、相対的に炭素14が少なくなる。水中の軟体動物の殻は実際よりも古い年代に見えてしまう。これも「貯留効果」のひとつである。

27000年前という測定結果はRiggs[1984, 224]によるものである
Carbon-14 contents as low as 3.3 +/- 0.2 percent modern (apparent age, 27,000 years) measured from the shells of snails Melanoides tuberculatus living in artesian springs in southern Nevada are attributed to fixation of dissolved HCO3- with which the shells are in carbon isotope equilibrium.

カタツムリの殻の炭素14測定では最大3.3±0.2%少なかった(見かけの年代27000年前相当)。ネバダ州南部の被圧地下水井に生息するMelanoides tuberculatusは溶解したHCO3-を固定していて、殻は炭素同位体平衡状態となっていた。

言い換えるなら、27000年前という見かけの年齢は、これらのカタツムリの殻が「貯留効果」の別な例だということである。それらのカタツムリが生息していた被圧地下水井は炭酸水層から湧き出したものである。これらの水には、数百万年前の石灰岩とドロマイトが溶けて炭酸が浸透している。石灰岩とドロマイトが溶けて"死んだ炭素"を大量に地下水に侵入している。これにより、被圧地下水井に水を供給し、カタツムリが生息している地下水は、大気中よりも炭素14が相対的にかなり少なくなっている。カタツムリが殻をつくるとき、現在の大気よりも、過剰の"死んだ炭素"を取り込むために、その分だけ古い年代のものに見える。

創造論者の主張とは対照的に、通常の科学者はこの問題を熟知している。彼らは試験し、放射性炭素データの解釈の際にそれを考慮する。"死んだ炭素"の存在を補正できない場合は、そのようは年代測定結果は誤りと判断されて、破棄される。これは創造論者たちが主張するような年代測定法の欠陥ではない。河川や湖沼の軟体動物の年代測定の信頼性を高めるには、注意深くなる必要があることを示しているにすぎない。木材や木炭や骨格など他の物質では、このような貯留効果の影響を受けない。同じ地層から殻が見つかった場合、それらを年代測定することで、殻が局所的な貯留効果の影響をうけたのかどうか判断できるかもしれない。そうであれば、放射性炭素年代がどれくらい影響を受けているか判断できる。

(貯留効果の別な例であるアザラシの炭素14年代測定も参照)
References:
  1. Keith, M. L., and G. M. Anderson, 1963. Radiocarbon dating: Fictitious results with mollusk shells. Science 141: 634-637.
  2. Riggs, A. C., 1984. Major carbon-14 deficiency in modern snail shells from southern Nevada springs. Science 224: 58-61.
  3. Strahler, Arthur N., 1987. Science and Earth History: The evolution/creation controversy, Buffalo, NY: Prometheus Books.
Further Reading:
Aitken, M. J., 1990. Science-based Dating in Archaeology. Longman, England.
Bowman, Sheridan, 1990. Radiocarbon Dating. Berkeley: University of California Press.
Faure, G., 1986. Principles of Isotope Geology, 2nd ed. New York: Wiley.
Taylor, R. E., 1987. Radiocarbon Dating: An Archaeological Perspective. Orlando, USA: Academic Press.

オリジナルページ

これはIndex to Creationist Claims, edited by Mark Isaakの和訳です。



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