創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

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Claim CD031:
The KBS Tuff is an ash layer in the Koobi Fora Formation east of Lake Turkana in northern Kenya. It is significant because hominid fossils and artifacts were found in and under it, so its age gives a minimum age of the fossils. Various attempts to date it have yielded a wide range of different results, from 0.52 to 220 million years. The dating of the KBS Tuff exposes the fallacies of radiometric dating. "Good" dates are chosen to accord with accepted dates of fossils, while anomalous dates may not be reported at all. And in practice, it is impossible to be sure one has selected uncontaminated samples.

KBS凝灰岩は、ケニア北部トゥルカナ湖東のKoobi Fora Formationの火山灰層である。ヒト科の化石や人工物がその中や下から見つかり、化石の最新年齢を与えることから、ここは非常に重要である。年代推定が多く試みられたが、その結果は52万年〜2億2000万年に広がっていた。KBS凝灰岩の年代推定により、放射性同位元素による年代推定を誤謬が明らかになった。認められた化石の年代に合致したものが、"良い"年代推定として選択され、異常な結果はまったく報告されていないと思われる。そして、実際、コンタミの起きていない試料を選択したのか確認する方法はない。
Response:
1. KBS凝灰岩論争は、放射性同位元素による年代推定における多くの問題を示した。しかし、同時に、これらの問題が克服不可能ではないことも示した。

KBS凝灰岩(地質学者が最初に記述して以降、"Kay Behrensmeyer Site"を指す)は、再堆積した火山灰の層であり、したがって古い堆積物との混合物が含まれている。この地層はそれでも年代推定可能だが、最も若い岩石を選択することに注意を払う必要がある。そうしないと、地層に流れ込んだ古い堆積物の年齢を推定してしまい、地層そのものの年齢を推定できないからである。これが、凝灰岩の年代推定の最初の報告で起きた。凝灰岩の年代推定のフィージビリティスタディでは、試料には分離できない形で、若くない成分が混入していた。そして、それから推定された年代は2億年前というものだった。適切な単一の結晶を分離可能な新たな試料の収集することが必要だった[Fitch and Miller 1970]。新しい試料が40Ar/39Ar年代推定法に基づいて、261万年±26万年と推定された[Fitch and Miller 1970]。

しかし、この年代推定の乖離はすぐに問題になった。動物の化石、特にブタの化石から、問題の地層が近くのOmo Valleyの若い地層と一致していることが示された。最初の段階では、化石研究は十分には正確ではなく、261万年前という年代推定は正当化できた[(Maglio 1972]。しかし、化石研究の品質向上に伴い、より若い年代が化石から求められた。そして、1975年に、別の研究グループがK-Ar年代推定法を使って、182〜160万年前という結果を出した[Curtis et al. 1975]。

Fitch and Millerは別の独立した方法であるふぃっショントラック年代推定法によって、この年代推定結果の乖離を解決しようとした。最初の結果は244万年±8万年前というものだった[Hurford et al. 1976]。これはFitch et al.[1976]が元々の結果から再計算した242万年前という数字と合っていた。続いて、40Ar/39Ar推定法による結果は、52万年±33万年前から、260万年±30万年と大きく散らばっていた。これは堆積後の結晶の再加熱によるものだとされた。古地磁気学研究では曖昧な結果しか得られなかった[Brock and Isaac 1974; Hillhouse et al. 1977]。

しかし、証拠の重みは190万年前という数字に収束し始めた。鉱物中の微量元素の研究は、KBS凝灰岩が、論争の余地なく年代が180万年前と推定されているShungura FormationのH2凝灰岩[Cerling et al. 1979]と関連していることを示した。160万年前というCurtis et al.[1975]の結果は、誤ったバランスによるエラーであることが判明した[Drake et al. 1980]。鰓の可能性を除去する手間をかけた、後のフィッショントラック法による研究で、187万年±4万年前という結果が出た[Gleadow 1980]。論争が燃え上がったので、別の専門家Ian McDougallが独立に年代推定するように依頼された。彼はK-Ar年代推定法で189万年±1万年前を、40Ar/39Ar年代推定法で188万年±2万年前という結果を出した[McDougall et al. 1980; McDougall 1981, 1985]。
地質学的証拠と多くの調査から年代推定の一貫性から、堆積後の再加熱はありそうにないことが示された。

KBS凝灰岩年代推定論争から学ぶべき教訓は、放射性同位元素による年代推定が使えないことではなく、幾つか注意することで使えることである。
  • ある種の地層は他の地層よりも容易に年代推定できる。KBS凝灰岩は、複数の時代の火山性堆積物を含んでいるので、特に年代推定が困難である。さらに、他の凝灰岩と同じに見えたことから、他の地域で同じ地層について研究されているか確認する必要があった。これらはすべて知識ある地質学者の注意深い研究作業を必要とする。重要なヒト科化石の年代推定には重要ではなかった。地質学者たちはおそらくヒト科化石の年代推定に煩わされることはなかっただろう。
  • ある状況には、ある種の年代推定法は不適切である。上記のように、古地磁気学は、このサイトでは特に有益ではなかった。
  • 年代推定結果の乖離は手におえなくて無視されることはない。さらなる年代推定によって問題解決を図ろうとするとともに、この乖離はエラーの原因を探求させることにもなった。Fitch and Millerによる元々の誤った年代推定結果は、Koobi Fora Formationから浸蝕された隣接地域にある火山灰層の約250万年前という正しい推定結果たりえた。同じ火山風化からの幾らかの軽石がKBS凝灰岩に紛れていた。独立した研究グループに送られた試料のブラインド年代推定では、より古い年代が確認された[Fitch et al. 1996]。これらの年代推定結果の乖離は、古い年代の物質の混入によるものだろう。そのような混入が、試料の精製手順を変えるまで、Curtis et al.[1975]の分析にあるような200〜620万年前という乖離を引き起こした。多量のアルゴンの試料への混入と、分析エラーも影響していたかもしれない[McDougall et al. 1980]。
  • フィッショントラック法は244万年前という結果をだし、ジルコンの年代のそのような若い年代を推定した最初の方法だった。Gleadow[1980]の再分析で、標準的方法の問題が指摘され、トラック密度が小さい時のジルコンの年代推定方法の発展に寄与した。
  • 人々の先入観や個性がデータの客観性の評価方法に影響した。KBS凝灰岩論争では、個性の摩擦が問題解決を遅らせ、ドラマを大きくした。しかし、最終的には客観的証拠が科学者たちが従うべき制約となった。再現性と、情報へのフリーアクセスと、利益相反の周知が、個人的弱点による結果への影響を及ぼさないようにした。そのようなメカニズムが動くことで、最初は260万年前というKBS凝灰岩の年代推定結果を支持していた科学者たちも、188万年前とい結果を受け入れた[Lewin 1987]。

既知のエラー要因が取り除かれることで、異なる方法が同じ結果を出すようになったことに注意しよう。K-Ar法と40Ar/39Ar法とフィッショントラック法は最終的には同じ結果を出した。これらの結果は、化石及び微量元素分析結果に基づく、別の場所の同じ年代の地層とも相関していた。

2. KBS凝灰岩についての真剣な論争となった年代の乖離は160〜260万年前というものであり、若い地球の創造論者が求めるような年代ではまったくない。
References:
  1. Brock, A. and G. Ll. Isaac. 1974. Paleomagnetic stratigraphy and chronology of hominid-bearing sediments east of Lake Rudolf, Kenya. Nature 247: 344-348.
  2. Cerling, T. E., F. H. Brown, B. W. Cerling, G. H. Curtis and R. E. Drake, 1979. Preliminary correlations between the Koobi Fora and Shungura Formations, East Africa. Nature 279: 118-121.
  3. Curtis et al. 1975. Age of KBS Tuff in Koobi Fora Formation, East Rudolph, Kenya. Nature 258: 395-398.
  4. Drake, R. E., G. H. Curtis, T. E. Cerling, B. W. Cerling and J. Hampel, 1980. KBS Tuff dating and geochronology of tuffaceous sediments in the Koobi Fora and Shungura Formations, East Africa. Nature 283: 368-372.
  5. Fitch, F. J. and J. A. Miller. 1970. Radioisotopic age determinations of Lake Rudolf artefact site. Nature 226: 226-228.
  6. Fitch, F. J., P. J. Hooker and J. A. Miller. 1976. 40Ar/39Ar dating of the KBS Tuff in Koobi +Fora Formation, East Rudolf, Kenya. Nature 263: 740-744.
  7. Fitch, F. J., J. A. Miller and J. G. Mitchell. 1996. Dating of the KBS Tuff and Homo rudolfensis. Journal of Human Evolution 30: 277-286.
  8. Gleadow, A. J. W. 1980. Fission track age of the KBS Tuff and associated hominid remains in northern Kenya. Nature 284: 225-230.
  9. Hillhouse, J. W., J. W. M. Ndombi, A. Cox and A. Brock. 1977. Additional results on paleomagnetic stratigraphy of the Koobi Fora Formation, east of Lake Turkana (Lake Rudolf), Kenya. Nature 265: 411-415.
  10. Hurford, A. J., A. J. W. Gleadow and C. W. Naeser. 1976. Fission-track dating of pumice from the KBS Tuff, East Rudolf, Kenya. Nature 263: 738-740.
  11. Lewin, Roger. 1987. Bones of Contention. New York: Simon and Schuster.
  12. Maglio, Vincent J. 1972. Vertebrate faunas and chronology of hominid-bearing sediments east of Lake Rudolf, Kenya. Nature 239: 379-385.
  13. McDougall, Ian, Robyn Maier, P. Sutherland-Hawkes and A. J. W. Gleadow. 1980. K-Ar age estimate for the KBS Tuff, East Turkana, Kenya. Nature 284: 230-234.
  14. McDougall, Ian. 1981. 40Ar/39Ar age spectra from the KBS Tuff, Koobi Fora Formation. Nature 294: 120-124.
  15. McDouball, Ian. 1985. K-Ar and 40Ar/39Ar dating of the hominid-bearing Pliocene-Pleistocene sequence at Koobi Fora, Lake Turkana, northern Kenya. Geological Society of America Bulletin 96: 159-175.
  16. White, T. D. and J. M. Harris. 1977. Suid evolution and correlations of African hominid localities. Science 198: 13-21.
Further Readings:
Hay, R. L. 1980. The KBS tuff controversy may be ended. Nature 284: 401.
Johanson, Donald and James Shreeve. 1989. Lucy's Child, New York: Avon, pp. 91-101.
Lewin, Roger. 1987. Bones of Contention. New York: Simon and Schuster, chaps. 9-10.


オリジナルページ

これはIndex to Creationist Claims, edited by Mark Isaakの和訳です。




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