創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

インテリジェントデザイン概説>CSIあるいはSC

Dembskiの情報量保存則


インテリジェントデザイン理論家Dr. William Dembskiは、その後に忘れ去ってしまうのだが、旧世紀末には情報量保存則を提唱していた。それは...
To see that natural causes cannot account for CSI is straightforward. Natural causes comprise chance and necessity (cf. Jacques Monod's book by that title). Because information presupposes contingency, necessity is by definition incapable of producing information, much less complex specified information. For there to be information there must be a multiplicity of live possibilities, one of which is actualized, and the rest of which are excluded. This is contingency. But if some outcome B is necessary given antecedent conditions A, then the probability of B given A is one, and the information in B given A is zero. If B is necessary given A, Formula (*) reduces to I(A&B) = I(A), which is to say that B contributes no new information to A. It follows that necessity is incapable of generating new information. Observe that what Eigen calls "algorithms" and "natural laws" fall under necessity.

CSI を自然の原因で説明できないことをわかるのは簡単だ。自然の原因は(Jacque Monodの本の表題である)偶然と必然から構成される。情報は偶発性を前提とするので、必然は情報の、言うまでもなく"複雑な指定された情報"の、生産を定義上できない。そこに情報があるためには、複数の有効な可能性のうち、一方が現実化され、それ以外が除外されなければならない。これは偶発性だ。しかし、もしある結果Bが前提条件Aによって必然的に与えられるなら、Aが与えられたときのBの確率は1であり、Aが与えられたときのBの情報量はゼロである。もしBがAから必然的に与えられるなら、公式はI(A&B)=I(A)に還元される。すなわちBは新しい情報をAに与えない。Manfred Eigenが"アルゴリズム"と"自然法則"と呼ぶものは"必然"に帰着することがわかる。

[ William A Dembski: "Intelligent Design as a Theory of Information" (1997) ]
というもので、整理すると:
  • Aが起きたら、必ずBが起きるなら、Bは新しい情報ではない。
  • 自然法則による必然とは「Aが起きたら、必ずBが起きる」というものである
  • よって、自然法則による必然からは、新しい情報は生み出されない
  • 従って、情報は"偶発性"(contingency)からしか生み出されない

これは、時間発展の数値シミュレーションとしてはまったく正しい。初期値(初期乱数)が同一であれば、途中で乱数を参照しないプログラムであれば、シミュレーションを繰り返しても結果は同一である。その場合、数値シミュレーションは、「プログラムとして実装されたルール(自然法則)と初期値」という圧縮された情報を、解凍する過程ということになる。シミュレーション結果に違いがあるとしたら、時間発展過程で乱数を参照するプログラムな場合。

さらに、通常の数値シミュレーションで使われる乱数は、メルセンヌツイスターのような擬似乱数であり、初期値と法則によって生成されているという点では、新しい情報は生み出されない。
CSIという情報


このあと、Dembskiは「情報」をDembski用語「CSI = Complex Specified Information」として定義する。

そして、シミュレーション開始後に取り込む乱数について、Dembskiは"偶発性(contingency)"と"自然法則に従う偶然(chance)"に分けて、偶然(Chance)からCSIが生み出せないと言う:
Since information presupposes contingency, let us take a closer look at contingency. Contingency can assume only one of two forms. Either the contingency is a blind, purposeless contingency--which is chance; or it is a guided, purposeful contingency--which is intelligent causation. Since we already know that intelligent causation is capable of generating CSI (cf. section 4), let us next consider whether chance might also be capable of generating CSI. First notice that pure chance, entirely unsupplemented and left to its own devices, is incapable of generating CSI. Chance can generate complex unspecified information, and chance can generate non-complex specified information. What chance cannot generate is information that is jointly complex and specified.

情報が偶発性を前提とするので、偶然のより詳細な観察をしよう。偶発性には2つの形式の1つしか仮定できない。ひとつは、盲目の目的のない偶発性すなわち偶然。もうひとつは指導された目的のある偶発性、すなわちインテリジェントな原因である。既に、インテリジェントな原因がCSIを生産可能であることがわかっているので、"偶然"がCSIを生産できるか考えてみよう。何も補給されずに、それ自身で勝手に働くように放置された純粋の偶然は、CSIを生産できない。"偶然"は複雑な指定されない情報と、複雑でない指定された情報を生産できる。偶然が生産できないのは、複雑かつ指定された情報である。

[ William A Dembski: "Intelligent Design as a Theory of Information" (1997) ]

最初の論にしたがえば、
  • 自然法則と初期値と乱数によって生成されたものは、直感的にはインテリジェンスのように見えたとしても、「インテリジェントな原因」ではない。
  • CSIは「インテリジェントな原因」でなければ生み出せない。
  • したがって、外部から「何も補給されない」なら、宇宙にはCSIは生じない。

このことから、もし、
  • 人間が自然法則と初期値と乱数による進化の産物であり、
  • 人間を超自然な魂がコントロールしていない
のであれば、
  • 人間が機械を発明する行為は、Dembski定義の情報を増やさない。すなわち、発明はCSIではない。
  • 人間が芸術を創作する行為は、Dembski定義の情報を増やさない。すなわち、芸術品はCSIではない。
これを認めるなら、以下のDembskiの情報量保存則は正しい。
Natural causes are therefore incapable of generating CSI. This broad conclusion I call the Law of Conservation of Information, or LCI for short. LCI has profound implications for science. Among its corollaries are the following: (1) The CSI in a closed system of natural causes remains constant or decreases. (2) CSI cannot be generated spontaneously, originate endogenously, or organize itself (as these terms are used in origins-of-life research). (3) The CSI in a closed system of natural causes either has been in the system eternally or was at some point added exogenously (implying that the system though now closed was not always closed). (4) In particular, any closed system of natural causes that is also of finite duration received whatever CSI it contains before it became a closed system.
従って、自然の原因ではCSIを生み出せない。この明白な結論は私が情報量保存則あるいは略してLCIと呼ぶものだ。LCIは科学に深い影響を与える。以下は当然の帰結である:

自然に起因する閉鎖系では、CSIは、一定のままであるか、減少する
CSIは自発的に発生することができないか、内生的に起因しないか、(生命の起源の研究で使われる用語である)自己組織化できない。
自然に起因する閉鎖系のCSIは、永続して系にあるか、ある時点で外因的に加えられたか(系は現在は閉じているが、常に閉じていたわけではない)である
特に、有限の期間存在する、自然に起因する閉鎖系は、その系が閉鎖系になる前に受け取ったCSIを含むv
....
CSI demands an intelligent cause. Natural causes will not do.
CSIにはインテリジェントな原因が必要である。自然の原因では創られえない。

[ William A Dembski: "Intelligent Design as a Theory of Information" (1997) ]

ここで重要なことは、CSIの定義である。
  • 自然法則と初期値と乱数によって生成されたものは、直感的にはインテリジェンスのように見えたとしても、「インテリジェントな原因」ではない。
  • CSIは「インテリジェントな原因」でなければ生み出せない。
  • したがって、CSIは外部から「補給された」ものである。

すなわち、CSIは出自を以って定義されており、機械や芸術品を観察しても、それがCSIなのかは判断できない。
CSIを出自から切り離すこと


このままだと

  • 超自然の介入なしに生じえない生物=CSIは、超自然の介入なしに生じえない
と言っているだけであり、「超自然の介入なしに生じえない生物=CSI」を独立に定義しない限り、まったく正しくも、何の意味も持たない。

ところで、インテリジェントデザインにおいて「超自然の介入なしに生じえない生物=CSI」はDembskiの説明フィルタで検出することになっている。それは...
  • 自然法則でも、偶然でも説明できないものはデザインだ
というものである。

つまるところ、「進化不可能な生物が存在したら、それは超自然の介入」と言う主張を、情報量保存則という「数学のように見える」表現で語ったもの。










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