創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

誤謬・詭弁

Self Sealing Argument(自己封印論法)


自己封印論法あるいは空疎な論と呼ばれる詭弁がある。これは、主張の根拠として反証不能な主張が提示される形でなされる。
Self-Sealing Argument (also known as: vacuous argument)

定義: その主張に対して対抗する証拠を提示不可能な場合、論あるいは立場は何であれ自己封印となる。

論理形式:

主張Xがなされる。
主張Yについて、理由Yが提示される。
主張Yは論破不可能である。

例1:
キミがどこへ行っても、そこにはキミがいる。

説明1: この立場に対して、反論不可能であり、結果として、この論は空疎あるいは無意味である。

例2:
A: 私の人生は運命に導かれている。
B: どうやって、それがわかるのか?
A: 私に起きたことは、すべて起こるべくした起こった。

説明2: ここにも同様の空疎問題がある。ただし、例1よりは明確ではなく、また哲学的信念体系によって擁護されている。「我々のために運命が用意されているかもしれない」ことを知る方法がないので、これに反論する方法がない。結果として、無意味である。「起きたことはすべて、起きたから起きた」と言っているのと同じである。

例外: 反証不可能な信念を持つことは、特にそれを信念あるいは意見として述べるなら、詭弁ではない。反証不可能な主張を論の証拠として提示すれば、それは詭弁となる。

指針: 大半の迷信的信念は、自己封印的あるいは空疎な論に終始しており、それ故に、多くの人々は自らの迷信的信念を手放そうとしない。なぜなら、その信念は証明も反証もできないからだ。

[ Logically Fallacious: Self-Sealing Argument ]

例としては...
Self-Sealing argument 例1

A: 「すべての行動は利己的である」
B: 「自分の生命を他人のために投げ出す行為はどうか?」
A: 「彼らはそれを利己的動機で行った。彼らは英雄のように死にたかった」

Self-Sealing argument 例2

A: 「誰もが子供の頃に傷を負っている」
B: 「そんなことはないね。素晴らしい子ども時代を過ごしたよ」
A: 「誰もが傷を負っている。キミはそれを否定しているだけだ」

Self-Sealing argument 例3

A: 「起きることはすべて、神の意志」
B: 「AIDSや、癌や、殺人や、レイプや、テロや、戦争も?」
A: 「そうだ」

[ "CRITICAL THINKING15 Bad arguments to avoid" ]

陰謀論者の場合

陰謀論では、このような自己封印的=反証不可能な主張がよくなされる。
これは、「主張に対抗して提示された全ての証拠を、隠蔽の一部であるとして、却下できる」方法で主張を提示した場合、自己封印論法となる。

「彼らの結論が真である」という論には、「彼らの結論が真である」ことが必要となる。この論法に説得力がないことは、すぐにわかる。納得するのは、既に主張者に同意している人々だけである。
~ P1: X は真である。
P2: X には証拠がないか、矛盾した証拠が提示されている。
P3: 証拠がないか、矛盾した証拠の存在は、X が何らかの方法で隠蔽されていることを意味する。
C: したがって、X は真である。

[ "As a logical fallacy" in "rationalwiki: Conspiracy Thepry ]

よく提示される例としては...


A: 米国政府が「9.11が内部犯行であることを否定している」ことは、隠蔽工作の一部であり、「彼らはそう言うだろう」

[ "CRITICAL THINKING15 Bad arguments to avoid" ]

陰謀論では、この自己封印論法以外に、以下の2がよく見られる:
  • 「誰かの銭でやっている」と論敵を攻撃する手法をシルカード(Shill card)と呼ぶ。
  • 「仮説を否定する証拠が提示されたり、支持する証拠に誤りが見つかると、アドホックな説明を追加する」アドホック誤謬のうち、「新たな説明が、最初の仮説を否定するものである」場合を、仮説無効化(Canceling Hypotheses)と呼ぶ。





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