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Tiktaalikの発見


古生物学者たちによるTiktaalikの発見は
  • 魚類と両生類の隙間を埋めるのに、まさにそような移行形態が
  • デボン紀後期の3億7500万年前頃に存在していたはずだ
と予測し、その予測に基づいて、デボン紀後期の地層を探索してことによって、なされたもの。すなわち、「仮説・仮説に基づく予測・実験/観察による検証」がうまく回った例である。

以下のその発見と意味を解説したSteven Novellaのエントリの和訳である。


Steven Novella: "The Judgement of Tiktaalik", (2007/11/14)

昨日(2007/11/13)、NOVAスペシャル"Judgment Day, Intelligent Design on Trial"がPBSで放映された。これは2005年のKitzmiller vs Dover intelligent design裁判のすばらしいドキュメンタリーだ。製作者たちは誤ったバランスをとろうとせず、インテリジェントデザイン支持者自身に自らの言葉で、自らの擁護をさせた。私は、実際、それはとても有効だったと思う。インテリジェントデザイン支持者たちは、ナレーションが語るよりも雄弁に自らを批難してしまっていた。インテリジェントデザイン支持者たちは、いかに自分たちが不公平に扱われているか、そしてダーウィニズムが公教育で優位にあることに愚痴を言い続けた。

ドキュメンタリーの中で、裁判の中でも、そして科学自体としても、進化論の擁護者たちは、実際の科学と証拠を整理することができた。ドキュメンタリーは、裁判の進行中に発見されたために、裁判では提示されなかった一つの証拠を取り挙げた。それにより、裁判の進行中も、生物学的進化の事実を支持する、さらなる証拠が出て来るということを示された。この新しい証拠はTiktaalikと呼ばれる驚くべき移行形態の化石だった。

創造論者たちは中間化石がないと攻撃する。そして、進化論は化石記録が完全に連続的に見つからないのといけないと予測すると言う。その主張は明らかに間違って、その間違いの多くの部分は、中間化石が何であるかという藁人形な概念から生じている。この最もアフォな例はRey Comfortのクロコダックである。移行形態は、ちょっと驚くような怪物などではない。事実、すべての種は、関連した種たちの形態的に中間の位置を占める、移行形態である。化石化した中間の種は、祖先の種や集団や子孫などとの中間の位置を占める。

その形態が実際に移行形態なのかどうか進化論は証明できないと言って、創造論者たちは明確な中間化石の存在に対抗する。始祖鳥は歯とトカゲのような尾と爬虫類の胸骨などを持つ鳥であり、獣脚竜と鳥の移行形態だとは証明されないと言う。創造論者たちは始祖鳥やTiktaalikやアンブロケトゥス(Ambulocetus, 水陸両生の原始的クジラ類: 陸生哺乳類とクジラの移行形態)や、その他の多くの中間化石の存在の意味をまったく理解していない。進化論はそれらの存在を予測し、それらが発見されたことによって進化論は検証されている。

インテリジェントデザインは予測を作らないので、インテリジェントデザイン支持者は予測について何も知らない。それこそが、何をおいても、インテリジェントデザインが科学でない理由である。すなわち、反証可能な仮説をつくって、検証することができない。

Tiktaalikで特にクールなことは、Edward B. Daeschler, Neil H. Shubin and Farish A. Jenkinsらの研究者たちが、Tiktaalikのようなものを見つかると予測していたことだ。これらの古生物学者たちは、魚類と両生類の隙間を埋めるのに、そのような移行形態が存在するはずだと予測した。さらに、そのような種はデボン紀後期の3億7500万年前頃に存在していたはずだと予測した。

そこで、彼らは数年かけて、カナダ北部のエルズミア島の地面を掘り進んだ。というのは、地質学的およびこう生物学的証拠が、そこをデボン紀後期の地層が露出していると示していたからだ。彼らは「進化論にしたがって歴史上のこの時点で、魚類から両生類へ形態的移行をする生物が存在した」と予測した。そして、彼らは、脚のある魚類たるTiktaalikという、魚類と両生類の見事な移行形態を見つけた。

Tiktaalikには四肢のような肘と手首のついたヒレがあり、水の外でちゃんと歩けるほどには強くないが、ある程度は自重を支えることができた。Tiktaalikには"gill supports"がなく、自由に首を動かせた。また、浅瀬で自重を支えられる強い胸筋を持っていた。さらに、Tiktaalikにはエラと肺の両方の徴候が見られる。

さて、インテリジェントデザイン支持者たちは、これについてどう言うだろうか。彼らは、「Tiktaalikは本当の移行形態、すなわち真の祖先と後継種の中間だとは証明できない」という古くからある反論を使った。これは正しいが、まったく何の関係もない。これを示すために、彼らは進化生物学者Henry Geeの記述からQuote Miningを行った。自分の立場を歪曲されたHenry Geeのインテリジェントデザイン支持者たちに対する怒りを含めたQuote Miningの全容をSteve Reulandが報告している。

進化否定論者たちは進化論による化石の解釈を"just-so-story"だと描写する。すなわち、進化論者は見つけた化石は何であっても、進化論のストーリーに無理やり押し込んでいるのだと。繰り返すが、進化否定論者は(無知と地的不正直のどんな組み合わせからかわからないが)、進化論は化石の発見を説明ないことと、ある種の発見(たとえばカンブリア紀の地層から馬の化石とか)が進化論を反証する可能性があることをわかっていない。

そして、Tiktaalikは、進化論が発見した物を説明するのではなく、何を発見するはずであるかを予測するという事実の、すばらしい、そして十分に裏付けられた例である。進化論は、Tiktaalikのような何かがデボン紀の地層に存在しているはずだと予測した。そして、その発見は進化論の劇的で強力な確認となった。

インテリジェントデザインの空虚さと、ありのままのナンセンスを、そして不幸な支持者たちを、さらに浮き彫りにしたNOVAに栄光あれ。

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