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wikipedia: トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス


以下は、英語版wikipedia:Tlön, Uqbar, Orbis Tertius (トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス)の訳である。

なお、「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」の本文引用の訳は、鼓直の訳を引用した。


wikipedia: Tlön, Uqbar, Orbis Tertius

著者Jorge Luis Borges
アルゼンチン
言語スペイン語
ジャンル思索フィクション短編、哲学フィクション
出版社Sur
出版日1940年5月
英語版1961年

「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」は、20世紀アルゼンチンの作家Jorge Luis Borges(ホルヘ・ルイス・ボルヘス)の短編である。作品の初出は、1940年5月のアルゼンチンの雑誌Surである。1947年付けのお「あとがき」は、7年先に設定された時代錯誤を意図している。英訳版の初出は1961年である。

一人称で語られる物語は、著者が発見した、謎めいた明らかに架空の世界トレーンにフォーカスしている。このトレーンの住民は主観的観念論の一種を信じており、世界の実在を否定し、名詞のない言語を話す。ボルヘスとしては長め(約5600語)の物語は、思索的フィクションである。

この物語は、アルゼンチンと世界の多くの有名知識人を暗示し、観念小説に典型的な多くのテーマを取り上げている。 取り上げられる観念のほとんどは、形而上学、言語、認識論、および文学批評の分野にある。

サマリ


この物語は一人称の物語として展開し、下記のように、実在の人々と場所と著作と哲学概念への参照とともに、架空あるいは曖昧な参照を含んでいる。これは、2つの部分とあとがきに分かれている。出来事と事実が、おおよそ語り手がそれら、あるいはそれらの関係性に気づいた順序で、明かされていく。ボルヘス[1899-1986, アルゼンチンの作家]の物語の出来事の時期はおおよそ1935〜1947年である。このプロットは17世紀初頭まで遡り、1947年に設定された、あとがきで頂点に到達する出来事に関するものである。
第1部

ボルヘスと彼の友人であり協力者であるアドルフォ・ビオイ=カサーレス[1914-1999, アルゼンチンの作家]は、1940年にブエノスアイレス近くのカントリーハウスで次の本の制作にとりかかっていた。ある観察で、ビオイは「鏡と交合は人間の数を増殖させるがゆえにいまわしい」というウクバールという名前の地の異端の指導者の言葉を引用した。ボルヘスがこの「記憶にあたいする」言葉の出所を尋ねた。ビオイは、1902年版のエンサイクロペディアブリタニカの「不適切な複製」であるアングロアメリカンサイクロペディアのウクバールの項目で読んだと応えた。彼らは、本を調べ、そのような項目がないことを発見し、ビオイは驚いた。[1] 彼らは様々な地図や他の百科事典で「ウクバール」を探し、異なる綴りの名前を探したが、見つからなかった。

翌日、ビオイはボルヘスに、同じ百科事典の別の複製に、探していた項目を見つけたと告げた。その項目は概略だったが、ボルヘスとビオイには見慣れない名前に満ちていて、彼らの興味を惹いた。それには、ウクバールはイラクあるいは小アジアに位置する曖昧な地域であり、その文学はムレイナスとトレーンという架空の世界についての幻想文学だった。[2] その後、彼らは他の文献でウクバールを探し続けるが、言及したものを見いだせない。
第2部

ボルヘスの父の英国人の友人であり、十二進法に特異な関心を持つ技術者ハーバート・アッシュは、動脈瘤破裂で死亡した。ボルヘスは、アッシュがパブに残していった本の入った小包を、引き取った。その本は、英語で書かれた百科事典の第11巻で、一冊すべてが、ウクバールの伝説で設定されていた世界の一つ、トレーンの項目になっていたことが明かされる。オルビス・テルティウスという文字の入った青い楕円形のスタンプが押されていた。そこから、ボルヘスがこの事典を読むにしたがい、第2部はトレーンの文化と歴史と言語と哲学を記載、論じていく。

想像上のトレーンの人々は、バークリー主観的観念論の極端な形を信じており、世界の実在を否定していた。彼らの世界は「空間の中の物体の同時性ではなく、独立した行為の異質な連鎖」として理解される。[3] 空想上のトレーン言語群のひとつには、名詞がなく、代わりに、単音節の副詞的接辞を伴った非人称動詞が中心にある。ボルヘスは「月が水面から昇った(The moon rose above the water)」に相当するトレーン語として、「流れ続けるものの背後に上に向かって月する(upward behind the onstreaming it mooned)」を意味する「hlör u fang axaxaxas mlö」を挙げる。(ボルケスの翻訳者のひとりAndrew Hurleyはフィクションを書いて、"axaxaxas mlö"という言葉は、著者の残酷な嘲笑としてのみ発音できると書いた。[4])トレーン言語群の別の言語では、「基本単位は同市ではなく、単音節の形容詞」であり、それらの2つ以上の組み合わせで名詞を形成してる。「月(moon)」は「暗い上の丸い淡い明るい(round airy-light on dark)」あるいは「空のおぼろげな橙色の(pale-orange-of-the-sky)」になる。[3]

名詞が存在しない、あるいは名詞が他の品詞の合成物であり、気まぐれに作成されたり破棄されたりする世界では、西洋哲学の大半は不可能になる。命題を述べるべき名詞がなければ、第一原理からの演繹的推論はありえない。歴史がなければ、(神の目的が世界で演じられていることを示す)目的論はありえない。同じ物体を異なる時に観察するといったことが存在しないなら[3]、(経験を一般化する)アポステオリな演繹推論はありえない。それが何を意味するかという哲学であるオントロジーは、異質な概念となる。トレーンはバークリー観念論の世界であり、ひとつの重大な欠陥がある。それは、バークリーが内部的に一貫した世界を要求する視点として頼っていた、遍在する知覚する神を欠いている。この無限に可変な世界は遊び心を持つ知性を誘い、その「透明な虎と血の塔」[3]は卑しい心を惹きつけるが、トレーンの世界観は常識的現実と通常考えられるものの大半を否定する必要がある。
あとがき

時代錯誤的に1947年に設定されたあとがきで、ボルヘスは前年に起きた出来事を振り返る。

1941年に、世界と語り手は、手紙の発見によって、ウクバールとトレーンの性質を知った。手紙によれば、17世紀に「ルツェルンかロンドンである夜」に「慈善秘密結社」が組織され、バークリーはそのメンバーだった。そのグループは、オルビス・テルティウスという名称の知的クラブは「神秘学と慈善と数秘術」(バイエルンのイルミナティ、フリーメーソン、薔薇十字などの社会への暗示)を研究していたが、その主たる目的はウクバールという国に創造だった。そのような仕事は数世代にわたって実行する必要があることが明らかになってきたため、それぞれ師たちは仕事を続ける弟子を選んで、継承的に取り決めを永続させることにした。グループは最終的に迫害されたが、次の世紀に米国に再出現した。グループを再出現させたメンバーのひとり、米国の「エキセントリックば」億万長者エズラ・バックリーは、一国ではなく世界全体を創造することを提案した。トレーンという名の世界についての全百科事典を書かなければならず、スキーム全体は「詐欺師イエスキリストとは関係してはならない」(したがって、バークリーの神とは関係しない[5])と彼は述べた。300人の協力者から構成される新生オルビス・テルティウスはトレーンファーストエンサイクロペディアの最終巻の完成を推し進めた。

1942年までに、トレーンの物体が実世界に不可解に出現し始めた。最初の例のひとつは、ファウチニ・ルチンゲ公妃が郵便で、トレーン文字の刻まれた震える磁針を受け取ったことだった。もうひとつの例は、ボルヘス自身の目撃だった。酔った男が、その後すぐに死んだが、コインを落とし、そのなかに、非常に重い輝く円錐が混じっていた。これらの出来事は偽造されたものだったかもしれないが、それでも秘密の科学技術の産物であることを示唆していた。

1944年までに、トレーンファーストエンサイクロペディア全40巻が発見され、メンフィスの図書館で公開された。この資料は世界中からアクセス可能になり、地球の文化、科学、言語に多大な影響を与えることになる。おそらく1947年に、ボルヘスが物語を終わらせるまでには、世界は徐々にトレーン化していた。その後、ボルヘスは、サー・トーマス・ブラウンの壺葬論のスペイン語訳に取りつかれていく、

主要なテーマ

哲学的テーマ

ファンタジーと思索フィクションという形を取って、この物語は幾つかの哲学的問いとテーマを冗談半分で探求する。これらには、とりわけ、ジョージ・バークリーの18世紀哲学的主観的観念論が常識と見なされ[6]、唯物論の原理が異端とスキャンダルとパラドックスと考えれる世界(トレーン)を想像するボルゲスの努力が含まれる。[7] トレーンの言語を記述することで、物語は、サピア=ウォーフ仮説、すなわち、言語がどのような考えに影響を与えるかという認識論的問題とも関連している。物語には観念が現実に影響を与えることのメタファーが幾つか含まれている。最後のテーマは、想像力によって意図的に存在させらた物体を記述するという方法で、まず明確に探求される。しかし、その後、トレーンの考えに魅了された人々が地球の現実に十分な注意を払わなくなるにつれて曖昧になってくる。

物語の大部分は、知覚されていないものが存在すると言えるのかを問うた、ジョージ・バークリーの哲学的観念論に関連している。(哲学者であり、後にアイルランドのプロテスタント教会の司教となったバークリーは、神の遍在する知覚が個人あるいは人間の認識の外で、存在を保証すると述べて、彼はその問いを満足に解決した。)バークレーの哲学は「それ自体」の概念に関する認識を特権化していた。インマヌエル・カントは、バークレーが客観的現実を否定していると非難した。

トレーンという架空の世界では、神の存在しない誇張されたバークリー観念論が常識として通っている。トレーン人たちは知覚を主たるものと認識し、根底にある現実の存在を否定する。あとがきの直前の、物語の本文の最後の部分で、ボルヘスは「時には数羽の鳥や一頭の馬が円形競技場の廃虚を救った」と創造することで、論理的限界点に向かって、これを拡張する。[8] バークリー哲学に解説することに加え、ボルヘスの物語のこの一面及び他の側面は、現実に影響を与える観念の力についての解説だと受け取れる。たとえば、トレーンにはフレニール[8]として知られる、二人の異なる人々が異なる場所で「同じ」失われた物を見つけることで発生する物が知られている。

ボルヘスは「ある存在がそれの観念の中で一貫しているから、すべての人々が実際にある存在の側面であるなら、おそらく宇宙は一貫している」という推論により、唯我論の問題から苦労して抜け出すトレーン人を想像した。これは、事実上、バークリーの神の再構築に近いものである。おそらく遍在しているのではなく、実際に発生するすべての認識をまとめたものだ。実際、起こる。

この物語は、ボルヘスがバークリー観念論に関わる場所であるだけではなかった。トレーンの世界では、ボルヘスの随筆「時間否認論 (Nueva refutación del tiempo)」(1947)で、(Emir Rodríguez MonegalとAlastair Reidがコメントしたように)「空間と時間と個人の否定」がある。[9] この世界観は客観的実在を「括弧でくくる」だけでなく、連続するすべての瞬間にばらばらに分割する。各個人の継続性にも疑問の余地がある。

ボルヘスが「トレーンの形而上学者たちが真理やそれに近いものすら見つけようとしていなかった。それらは、ある種の驚きの後になる。彼らは形而上学を幻想文学の一種とみなしている」[10]と書いており、彼が「ポストモダニズムの根底にある極端な相対主義を予測していた、あるいは、単に形而上学を真剣に受け止めすぎる人々をぶちのめしていたと」見ることが出来る。
文学的テーマ

空想上のトレーンの世界のコンテキストで、ボルヘスは、2つの作品が同一人物によるものであると任意に仮定し、それに基づいて想像された著者についての物事を推測する文芸批評学派について説明した。これは「『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール(Pierre Menard, autor del Quijote)」の結末と似ている。その結末で、ボルヘスの語り手は「異なる作者によって執筆された本であるとして扱うことで、新しい視点を開くことができる」と示唆した。

物語はまた、一般的な本や百科事典や地図、特に、本それ自体がある意味、世界であるものへの愛をテーマとしている。

ボルヘスの多くの作品と同じく、物語はフィクションとノンフィクションの境界に挑んでいる。物語は数名のまったくの実在の歴史的人物(彼自身、彼の友人であるビオイ・カサーレス、トマス・ド・クインシーなど)に触れているが、それは多くの場合、それらの人物の架空の面である。物語は多くの架空の人物や存在が疑われる人物も登場させている。
その他のテーマ

「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」は数多くの他のテーマにも絡んでいる。物語は完全な及び不完全な、反射と複製と再生産の問題と、言語と観念が世界を作り、作り変える力と関連する問題>に始まって終わる。

物語の冒頭で、部屋を映す「不安にさせる」「グロテスクな」鏡、エンサイクロペディアブリタニカの「文字通りの、不適切な」(おそらく盗用された)複製、ビオイ・カサーレスによる適切な誤引用、一冊の本の複数の複製が同じ内容であると信じられるか否かの問題が提示される。[11] 最後に、ボルヘスは英語作品のスペイン語「仮訳」に取り組んでおり、「孤独な人間たちの各地に分散した血統」という観念の力がトレーンのイメージで世界を作り変えている。[12]

意志の鏡の発掘[13]と並び、ひとつの巻に基づく、架空の世界の百科事典全巻を再現するという考え[14]、「厳密な法則」によって支配される「宇宙」に対する百科事典のアナロジー[3]、「物」についての我々の普通の説明が否定される世界観、しかし「誌的な欲求にしたがって、ある瞬間に喚起され、消滅する観念的な対象」[3]、「ある卑賤な神が悪魔が意を通じるために書いた文章」として考えられる宇宙[15]、無知あるいは希望によって存在するようになった物体の複製であるフレニール、「第11段階のものはオリジナルが持たない線の純粋さがそなわっている」[8]、そして「この非在の神にたいして、死すべき身の人間も世界を産むことが可能であることを示そうとする」エズラ・バックリーの意志。

ボルヘスはまた、ついでに(その他と同様に)十二進数に言及している。これは、変数を強調し、数字は数えられ/名づけられるまでは、実際には値も独立な存在も持たないトレーンの算術の記述と結びついている。しかしながら、一部の人々は、命名法による物事の変更可能性に対する本質的な反論として十二進数への参照だと見ることがある。すなわち、数字は異なる計算スキーマで名前を変更できるが、基礎となる値は常に同じままである。

事実とフィクション


この物語の中の事実とフィクションを整理することは決して簡単ではない。ボルヘスのゲームに参加し、ノンフィクションであるかのように、あるいは軽率な読者を混乱させる可能性のある方法で、この物語のある架空の面あるいは別の架空の面について、(印刷物あるいはウェブで)書くことを他の作者たちが選んだと言う事実によって、描像はより複雑になる。2つのオンラインの例が、イタリア語のウェブサイトLa Biblioteca di Uqbarで、これはトレーン自体を事実上架空のものとして扱うが、架空のSilas Haslamのまったくの架空の「ウクバールと呼ばれ地の歴史(History of the Land Called Uqbar)」を実在の作品であるとして扱う。[16]

結果として、ボルヘスの物語とは無関係に見えるコンテキストで、「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」の人物や場所への参照を単に見つけるだけでは、その人物や場所が実在であることを確信するには十分ではないことになる。たとえば、以下のキャラクターSIlas Haslamの議論を参照。

実際、アングロアメリカンサイクロペディアは存在し、エンサイクロペディアブリタニカ第10版のページ分けの異なる盗作で、46巻はTOT-UPSであり、917ページのウプサラ(Upsala)で終わっていて、次の巻はウラルアルタイ語(Ural-Altaic)で始まっていて、ウクバール(Uqbar)はその間で存在しない。エンサイクロペディアブリタニカの第11版は、ボルヘスのお気に入りで、これらの間には、「ウル(Ur)」があり、ある意味、それはウクバールである。第11版の別の項目では、ウルを単に「都市」という意味を持つ、都市の名称として言及されていて、ウルはオーロックスあるいは、マンデア人の邪神の名前であると記載されている。

「祖語(Ursprache)」を繰り返しの使用[17]に伴う「原始」の感覚、あるいは物語独自の「ウル」のトレーン言語の一つでの定義である、「暗示によって生みだされたもの、希望によって引きだされたもの」について、ボルヘスは言葉をもじったかもしれない。

現実の階層

この物語には幾つかの現実(と非現実)の階層がある。
  • 物語で言及されている(すべてではないが)大半の人物は実在だが、執筆した作品など彼らがかかわった出来事の大半は架空である。これらは詳細には「実在の人物と架空の人物」で述べる。
  • 物語の本文は、自然主義世界に設定されたフィクションである。あとがきでは、語り手の世界に、呪術的要素が入って来る。物語本文は確かに偽造文書と見なされる可能性があるが、あとがきは錯覚を解消させる。
  • 物語の世界観ではウクバールの地は架空である。アングロアメリカンサイクロペディアのウクバールの項目と称するものは、物語の中では、偽りの項目だと示される。
  • ムレイナスと最初に紹介されるトレーンはウクバールの世界観では架空である。物語の進展で、トレーンは次第に「現実」化してくる。最初は、ウクバールのフィクションから、語り手の自然主義的世界のフィクションになり、その後に、通常の現実を根こそぎにする脅威となる。

実在の場所と架空の場所

物語の中で、ウクバールは二重に架空である。物語の世界でも、それは架空の場所だと判明する。物語のなかで記述された偽りの項目は、ウクバールの位置を意図的にささやかに記述している。「地理の部に出てくる十四の名前のうち、わたしたちに分かったのは、クーラサンとアルメニアとエルズールスだけで、これらは曖昧な形で本文に組み入れられていた。」アルメニアとエルズールスは(トルコとその近隣である)小アジア東部の高地にあり、クーラサンはイラン北東部にある。しかし、同様に実在しないドイツ語のタイトルの本「小アジアのウクバールという国にかんする、興味ぶかく読むに値する考察 (Lesbare und lesenswerthe Bemerkungen über das Land Ukkbar in Klein-Asien)」を引いていると言われ、そのタイトルは明確に、ウクバールは小アジアにあると主張している。

ウクバールの境界は、たとえば、「ツァイ・ハルドゥンの低地とアクサの三角州が南の国境」など、同じく実在しない参照点を用いて記述されている。これはボルヘスのウクバールの河が、北の高地を源流であることを示唆している。実際、トルコ東部山岳地帯では、大ザブ川と小ザブ川という二つのザブ川がある。これらは数百キロメートル南のチグリスまで流れている。

ウクバールの歴史で言及されている唯一の点は、宗教、文学、工芸に関するものである。それは、著名な異端者の本拠地であり、13世紀の正統派に対する宗教迫害のシーンとして記述されていた。正統派の信者はこの島に逃れ、南の辺境にオベリスクを建て、異端から忌まわしいものとして見られていた鏡を石で造った。物語にとって重要なのは、ウクバールの「叙事詩や伝説はまったく現実とかかわりを持たず、ムレイナスとトレーンという2つの架空の地方にまつわるもの」であること。

ホルヘスが記述したウクバールの文化は架空だが、よく似た地名が2つある。
  1. 現在はイラクにあるサマーラとバグダードの間の、チグリス川左岸の中世の都市ウクバラ(Ukbarâ)。偉大なイスラムの文法学者、言語学者、宗教学者のアル・ウクバリ(1143-1219頃)が住んでいた。彼は盲目であり、ボルヘスの父も盲目であり、ボルヘス自身も後に失明した。そして、1901-1906年版のユダヤエンサイクロペディアで言及されたアナン・ベン・ダビッド、イシュマエル・アル・ウバリおよびメッシュウィ・アル・ウバリに反対したカナンの運動の指導者である、著名な初期の2人の異端者たちが住んでいた。[18]
  2. アルジェリアのアトラス山脈にあるウクベール。後者の地域のミナレットは、物語のウクバールの「オベリスク」と関連しているかもしれない。

ツァイ・ハルドゥンは、ひとときアンダルシアに住んでいた偉大な歴史家イブン・ハルドゥーンにちなんでいる。彼の歴史は北アフリカにフォーカスしており、おそらくボルヘスの主要なソースだった。さらに、「ツァイ」は緑葉野菜である、中国語の「菜 (cài)」にもちなんでいる。

物語の名前を挙げられた他の場所、中東のクーラサンとアルメニアとエルズールスや、欧州や米国の地点は実在である。ツァイ・ハルドゥンと同じコンテキストで言及されるアクサ三角州は、架空である。
実在の人物と架空の人物

物語の出現順に人名を挙げる。
  • Jorge Luis Borges (1899–1986): この物語の作者で、一人称の語り手
  • Adolfo Bioy Casares (1914–1999): 実在のアルゼンチンの小説家で、ボルヘスの友人で、よく共著で執筆した。[19]
  • 名前のない「ウクバールの異端者」は「鏡と交合は人間の数を増殖するがゆえにおぞましい」という言葉の発言者とされている。これは、同時代の正統派イスラム教徒から、異端者と見なされたペルシャの預言者アル・ムカンナ(783年頃)の教えの、ボルヘス自身によるサマリを反映している。これより前に出版された短編集「汚辱の世界史」で、ボルヘスは自分自身のメッセージのサマリとして、次の一節を書いた。「我々が住む世界は間違いで、的外れなパロディである。鏡と父性は、パロディを増殖させ確認するので、唾棄すべきものである」[20]
  • Justus Perthes (1749–1816): 実在の人物で、18世紀に、彼の名前を冠したドイツの出版社を設立した。この出版社の地図がウクバールに言及していないという意味で、疑いようもなく、物語は正しい。
  • Carl Ritter (1779–1859): 現代地理学の創始者。物語で、ボルヘスはRitterの地図索引Erdkunde(地理学)に、ウクバールへの言及がないと書いている。(物語では、姓のみが書かれている。)[19]
  • Smerdis (d. 522 BC): 物語では「いかさま師で魔術師のスメルディス」という形で参照されている。[13] 実際のスメルディス(ペルシアの太祖キュロスの息子)の死後、マギで大神官のガウマタが、数か月、スメルディスに成りすまし、彼の変わりにペルシアを支配した。
  • Bernard Quaritch (1819–1899): 実在の19世紀のロンドンの書店主。[19] 彼の名を冠した書店は現在も存在している。[21] 物語では、彼のカタログに、Silas Haslam(サイラス・ハスラム)の「ウクバールという名の国の歴史」が載っている。
  • Silas Haslam:まったくの架空の実物だが、ボルヘスの英国の祖先を基にしている。Haslamは、ボルヘスの父方の祖母の旧姓だった。[19] 物語では、1874年の「ウクバールという名の国の歴史」とともに、「迷宮の歴史」も上梓したことが脚注に書かれている。(迷宮は、偽造文学への冗談半分の参照と同様に、ボルヘスの作品で繰り返されるテーマである。)Silas Haslamは完全に架空の人物である。[19] しかし、Haslamの「迷宮の歴史」は、評価の高い査読付き科学文献で2回、引用された。それは、Kristian Lindgren, Christopher Moore, and Mats Nordahl: "Complexity of two-dimensional patterns", Journal of Statistical Physics, June 1998と、A. Hagberg and E. Meron: "Order parameter equations for front transitions: Nonuniformly curved fronts", November 15, 1998 issue of Physica Dである。[22]
  • Johannes Valentinus Andreä (1586–1654): ドイツの神学者で、3つのRosenkreuzer(薔薇十字団)文書のうちの1つである「Chymische Hochzeit Christiani Rosencreutz anno(化学の結婚)」の実在の著者だが、物語では「Lesbare und lesenswerthe Bemerkungen über das Land Ukkbar in Klein-Asien(小アジアのウクバールという国にかんする、興味ぶかく読むに値する考察)」の著者とされる。
  • Thomas De Quincey (1785–1859): 自伝的作品「Confessions of an English Opium-Eater(阿片常用者の告白)」と「Lake Reminiscences」で知られる。[19] 物語では(姓で)、(独立には検証されていない)見せかけのJohannes Valentinus Andreäへの言及として、書かれている。
  • Carlos Mastronardi (1901–1976): アルゼンチンの作家で、(フロリダグループとしても知られる)Martín Fierroグループの一員であり、ボルヘスの近しい友人である。[19] 物語では、彼はウクバールのページがないアングロアメリカンサイクロペディアを発見する。
  • Herbert Ashe (d. 1937): おそらく架空の人物で、ボルヘスの父の英国人の友人たちに基づいている。彼はXul Solarと、十二進数への興味を共有する。
  • Néstor Ibarra, Ezequiel Martínez Estrada (1895–1964), and (Pierre) Drieu La Rochelle (1893–1945): すべて歴史上の人物で、物語では、「トレーンファーストエンサイクロペディア第11巻Hlaer〜Jangr」の発見が、それを参照する他の巻の存在を意味するか否かについて、議論する。Ibarraは有名なアルゼンチンの詩人である。(ボルヘスがフランス語訳した)[19] Estradaはアルゼンチン人で、アルゼンチンの19世紀文学の最も有名な作品についての主要な批評である「Muerte y transfiguración de Martín Fierro」などで知られる。[19] Drieu La Rochelleは、フランス占領中にナチスとの協力で悪名をはせた後に自殺した。彼はボルヘスが定期的に寄稿していたVictoria Ocampoのアルゼンチンの雑誌であえるSurの、数少ない外国人執筆者の一人である。
  • Alfonso Reyes (1889–1959): メキシコの外交官で、一時期、アルゼンチンに駐在していた。[19] 物語では、彼は失われたトレーンファーストエンサイクロペディアの再現を提案する。
  • 哲学者Leibniz (1646–1716) はついでに言及され、Hume (1711–1776)はバークリーの主張が「論駮の余地がなく、しかもおよそ説得的でない」ことを発見したことで言及されている。[3]
  • Bishop George Berkeley (1685–1753)は、物語の駆動力であり、哲学的観念論の近代学派の創始者である。[19]
  • Xul Solar (1887–1963)は、Oscar Agustín Alejandro Schulz Solariの一般名で、アルゼンチンの水彩画家で、秘教家で、(おそらくここで最も関連するのは)架空言語の発明者である。[19] 現実世界では、ボルヘスの近しい友人で、フロリダグループの一員である、物語では、トレーン南半球の言語のひとつの有能な翻訳家である。
  • Alexius Meinong (1853–1920): オーストリアの心理学者で、哲学者で、 「我々の精神の中のみに存在する物体の説明について長々と」記述したGegenstandstheorieを執筆した。物語では、彼は姓で言及される。[19] トレーン北半球の言語の説明の中で、彼の理論はがほのめかされる。おそらく、ボルヘスは、架空の言語群の着想をどこから得たか書いている。
  • Bertrand Russell (1872–1970): 英国の哲学者。脚注で、物語は(正しく)彼の憶測(ボルヘスの言葉で)「我々の惑星は数分前に創造され、人間は架空の過去を与えられている」を参照している。[23]
  • Baruch Spinoza (1632–1677); オランダ/ポルトガルのユダヤ人哲学差hで、物語では姓で言及され、正確に引用されている。「スピノザは広がりと思考の属性は彼の無限の神よるものだとした」
  • 同様に、物語のドイツ語のフレーズ「Die Philosophie des Als Ob(かのようにの哲学)」をHans Vaihinger (1852-1933)の同名の本(初版1911年)に帰して、「ある種の人間の概念は単に役立つフィクションである」という主張を提唱している。
  • 古代ギリシアの哲学者ゼノン(490–430 BC)は、物語では、正しく「時間の不可視性に基づく運動の可能性に否定という彼のパラドックス」を示唆している。
  • 哲学者Arthur Schopenhauer (1788–1860)について、Meinongとともに、彼の「Parerga und Paralipomena(余禄と補遺)」を参照して[19]、ボルヘスは(明らかに間違って)トレーンの「観念論的汎神論」の類似していると主張している。正しくは、スピノザの汎神論から導出される、Schopenhauerの軽視されたライバルであえる、Hagel(1770–1831)の絶対的観念論である。Schopenhauerは、「主体が一つしかなく、この一つの主体が宇宙のすべてである」とは主張しておらず、「動物を観測するすべての個人は等しく主体であり、対象が経験する各自の視点を持っている」と主張している。おそらく、科学の心理的基盤を保存することについてのボルヘスの関連する発言は、心理学の科学的基盤を保存することに関する冗談のようなものある。
  • William Shakespeare (1564–1616): 英国の詩人、劇作家、俳優で、物語では特に架空の属性はなく、ただ示唆されているだけである。
  • Gunnar Erfjordはおそらく実在の人物ではない。名前は、Martín Fierro groupの一員である、アルゼンチンの著述家Norah Langeの両親であるGunnar LangeとBerta Erfjordの名前の組みあせである。[24] 物語では、あとがきの冒頭で、Gunnar Erfjordからの手紙で、トレーンを「慈悲深い秘密結社」の謎を解き明かした。[25] 物語の最初の方で言及された「Norwegian in Rio Grande do Sul」はおそらく彼である。
  • Charles Howard Hinton (1853–1907) は、神智学に関連した、エキセントリックな英国の数学者である。ボルヘスは、Hintonの「科学的ロマンス」の翻訳版のプロローグを編集執筆し、「Book of Sand (1975)」所収の物語「There are More Things」で彼を暗示している。「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」では、Hintonの巻で、Gunnar Erfjordからの手紙が、おそらく、異次元と平行世界への関心のために言及される。
  • George Dalgarno (1626–1687)は言語学に興味のある17世紀スコットランドの知識人、および聴覚障害者用の言語の発明者である。バークリーとともに、彼は二重に架空のウクバール(および三重に架空のトレーン)の物語を動かしている、架空の秘密結社の初期メンバーであり、姓だけ暗示される。
  • Ezra Buckley (d. 1848)はウクバーリストの規模を完全なトレーン百科事典事業にまで拡大した、エキセントリックな米国人寄与者は、まったくの架空の人物である。エズラ・パウンドへの暗示があると思われる。[19]
  • María Lidia Lloveras (1898–?): アルゼンチン人で、フランスの旧家と結婚し、プリンセス・フォーシニー・ルシンゲとなった。彼女はブエノスアイレスに住んでいて、ボルヘスの友人だった。物語では、彼女のプリンセスの称号のもと、彼女は我々の世界に出現した、トレーンからの最初の物体の一つに遭遇する。
  • Enrique Amorim (1900–1960)[19]: ウルグアイの小説家である。[19] 物語では、ボルヘスとともに、死者のポケットから落ちたトレーンの硬貨の目撃者となる。
  • Francisco de Quevedo (1580–1645): バロックのスペインの詩人であり、ピカレスクの小説家である彼は、彼の執筆スタイルのためにここで暗示されている。
  • homas Browne (1605–1682)は17世紀の英国の物理学者で随筆家であり、実際に「Urn Burial」の著者である。[19] この本w0、物語の終わりで、架空のボルヘスが出版の意思なく翻訳している。

ボルヘスの生涯と作品における位置づけ

「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」は「El jardín de senderos que se bifurcan」という1941年の短編集の一作品である。

ボルヘスが1940年初頭に「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」を執筆した当時、彼はアルゼンチン国外ではほぼ無名だった。彼はブエノスアイレスの地元の公共図書館で働いていて、英語とフランス語とドイツ語の翻訳家や、前衛的詩人、(El Hogarのような広く読まれている定期刊行誌や、「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」を掲載したVictoria Ocampo's Surのような小さな雑誌などに連載している)エッセイストとして地元では有名だった。過去2年間、彼は多大な労力を費やしてきた。1938年に彼の父親が死亡した。1938年のクリスマスイブには、彼は頭部に重傷を負い、治療中に血液感染で死にかけた。

彼の父の死と彼自身の事故より少し前、ボルヘスはフィクションに執筆に向かっていた。1935年に出版された、彼の「His Historia universal de la infamia(汚辱の世界史)」は、バロック様式とフィクションの技法を使用して、7人の歴史的なならず者の物語を語っている。これは、南アメリカの奴隷に自由を約束したが、死だけをもたらした「El espantoso redentor Lazarus Morell(ラザラス・モレル――恐ろしい救世主)」から日本の47人の浪人の物語の中心人物である吉良上野介を取り上げた「El incivil maestro de ceremonias Kotsuké no Suké(吉良上野介―傲慢な式部官長)」まで幅広い。ボルヘスはまた、エマニュエル・スヴェーデンボリのような著作者たちからや、ドン・フアン・マヌエルのルカノール伯爵からの翻訳を装った巧妙な文学的偽造を数多く書いた。頭の傷と血液感染から回復したボルヘスは、フィクションの執筆に目を向ける時だと判断した。

これらのフィクションの幾つか、特に「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」と(Surに10か月前に出版され、El jardín de senderos que se bifurcanにも収録された)「Pierre Menard, Author of The Quixote(『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール)」は、経験豊富なエッセイストによってのみ書ける作品かもしれない。これらの作品は両方とも、主に想像上の主題にボルヘスのエッセイスティックなスタイルを適用している。彼の作品の中で、ノンフィクションエッセイと同様に、これらのフィクションでも、彼の膨大な博識は明らかである。

このとき、ブエノスアイレスは知性の中心地として繁栄していた。ヨーロッパは第二次世界大戦に突入しましたが、アルゼンチン、特にブエノスアイレスは知的かつ芸術的に反映した。(この状況は、フアンペロン大統領政権とそれに続く軍事政権で変化し、アルゼンチンの多くの著名な知識人たちが亡命することになるが、ボルヘスと仲間たちはそんなことは予想もしていなかった。)

ボルヘスの最初のフィクションは、彼の仲間たちの期待に反して、文学賞をとれなかった。Victoria OcampoはSurの1942年7月号を「ボルヘスの回復」に捧げた。アルゼンチン及びスペイン語圏の多くの有名な著作家や批評家たちがこのプロジェクトに寄稿し、これにより、賞を取るのと同様に、ボルヘスの作品への関心は高まった。

その後の数十年、「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」とこの時期のボルヘスの他のフィクションは、ラテンアメリカを国際文学の地図に載せる作品の重要な部分を形成した。ボルヘスは、詩人やエッセイストとしてではなく、非常に独創的な短編小説の作家として世界中で広く知られるようになった。

出版履歴


「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」はまずスペイン語で、SURの1940年5月号に掲載された。スペイン語の原語版は、"Antología de la Literatura Fantástica"に収録されて1940年12月に本として出版され、後に、ボルヘスの1941年の作品集「El Jardín de senderos que se bifurcan」に収録された。この本全体が、1944年のFiccionesに収録され、(1971年までのアルゼンチンで15版の)版を重ねた。

最初に出版された英訳版はE. Irbyによるものだった。New World Writingの1961年4月号に掲載された。翌年、Irbyの翻訳はLabyrinthsという表題の幅広くボルヘスの作品を集めた本として出版された。ほぼ同時に、これとは独立にAlastair Reidによって翻訳された。Reidのバージョンは1962年に、Ficciones全体の共同英語翻訳の一部として出版された。Reidの翻訳版は、"Borges, a Reader"(1981, ISBN 0-525-47654-7)の111〜122ページに収録された。この記事の引用とページはこの翻訳版による。

2016年に行われた、1940年のベスト短編レトロヒューゴー賞に、英語以外の作品として翻訳版ではなく原語版が初めてファイナリストにノミネートされた。

後の作品への影響

「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」は現実世界の多くのプロジェクトをインスパイヤした。

Notes

  1. "Tlön, Uqbar, Orbis Tertius", p.112
  2. ibid, p.113
  3. ibid, p.115
  4. Andrew Hurley, The Zahir and I, The Garden of Forking Paths, part of TheModernWorld.com. Accessed 3 August 2006.
  5. "Tlön, Uqbar, Orbis Tertius", p.120
  6. Dutton, Denis; et al. (Fall 1977). "'..Merely a Man of Letters': an interview with Jorge Luis Borges". Philosophy and Literature. 1 (3): 337–341. Retrieved 2015-01-12. In the interview, Dutton refers to Tlön as "A world in which Berkeley is common sense instead of Descartes". Borges concurs.
  7. "Tlön, Uqbar, Orbis Tertius", p.117
  8. ibid, p.117
  9. ibid, p.119
  10. Monegal and Reed, notes to Borges, a Reader, p. 353.
  11. "Tlön, Uqbar, Orbis Tertius", p.116
  12. ibid, p.111-112
  13. ibid, p.122
  14. ibid, p.113
  15. ibid, p.114
  16. ibid, p.117
  17. "La Biblioteca di Uqbar". Archived from the original on June 9, 2006. Retrieved 3 August 2006.
  18. Conjecture due to Alan White, "An Appalling or Banal Reality" Variaciones Borges 15, 47-91. p. 52. Also,@@White's web site, un itled>http://www.williams.edu/philosophy/faculty/awhite/...]], accessed 3 August 2006. The Tenth Edition of the Britannica in fact has two alphabets of articles (one a reprint of the Ninth Edition, the other a supplement); the Anglo-American Encyclopedia merged these into one alphabet. One of the two parts of the Britannica also breaks at UPS. The other meanings of UR are not additional articles in the 11th, but they can be found in the index.
  19. Singer, Isidore and Broydé, Isaac, Meshwi al-‘Ukbari, Jewish Encyclopedia, 1901–1906. Accessed online 9 September 2006.
  20. "Guía de lectura de Ficciones, de Jorge Luis Borges". Universidade Federal de Santa Caterina (Brazil). Archived from the original on 10 August 2006. Retrieved 3 August 2006.
  21. Jáen, Didier T. (January 1, 1984). "The Esoteric Tradition in Borges' "Tlon, Uqbar, Orbis Tertius"". Studies in Short Stories. 21 (Winter84): 25–39.
  22. Bernard Quaritch, Antiquarian bookseller, official site. Accessed 14 November 2006.
  23. Lindgren, Moore, Nordahl, Complexity of Two-Dimensional Patterns Archived 2003-08-17 at the Wayback Machine (2000). Citation list and access to article in various formats at CiteSeer accessed 3 August 2006. Hagberg and Meron's citation is from the Institute for Scientific Information's Web of Science(link) (university subscription necessary), which notes both the Lindgren et al. citation and that of Hagberg and Meron in Physica D (Nov 15 1998, pg. 460–473). Accessed September 9, 2006.
  24. The Analysis of Mind, 1921, p. 159, cited in "Guía de lectura…"
  25. Fredrik Wandrup, Vår mann i Latin-Amerika, Dagbladet (Norway), 7 October 1999. Accessed 3 August 2006.
  26. "Tlön, Uqbar, Orbis Tertius", p.119-120
  27. "BookForum". April 2, 2012.
  28. "Small Demons".
  29. Oliver, Danielle. "Storyverser".
  30. @@Strange Horizons Fiction: Prisoners of Uqbaristan, by Chris Nakashima-Brown>http://www.strangehorizons.com/2004/20041018/uqbar...]] Archived 2016-03-03 at the Wayback Machine
  31. Vallee, Jacques. Revelations: Alien Contact and Human Deception. (1992, Souvenir Press, ISBN 0-285-63073-3, pages 111-113)
  32. Diego Vega, Hlör u fang axaxaxas mlö for clarinet, violin, cello, and piano, accessed online 24 August 2011.
  33. (in Spanish) La gran noche de la cultura colombiana, 2004, Colombian Ministry of Culture, accessed via Internet Archive 24 August 2011.
  34. SourceForge's Project Uqbar page, accessed online 14 November 2006.
References
  • Rodríguez Monegal, Emir, and Alastair Reid (eds.). Borges, a Reader. New York: Dutton, 1981. ISBN 0-525-47654-7.
  • Beatriz Sarlo's Borges: a Writer on the Edge provides an analysis of the story and a detailed reconstruction of its (often implicit) plot. However, Sarlo wrongly claims (in Chapter 5) that the historical figure of John Wilkins is an "invented character of one of Borges['s] essays".
  • (in Spanish) @@Guía de lectura de Ficciones, de Jorge Luis Borges>https://web.archive.org/web/20060810201023/http://...]], Centro de Comunicação e Expressão, Universidade Federal de Santa Catarina, Brazil. The list of real and fictional people above draws heavily on this Spanish-language reader's guide. (Accessed 26 November 2006.)
  1. Andrew Hurley, "The Zahir and I", a fictional lecture delivered at the "Borges, Time, and the Millennium" conference, New York City, December 13, 1999. (Accessed 4 July 2006.)
  2. Bernard Quaritch company website. (Accessed 4 July 2006.)
  3. (in Spanish) La alquimia del verbo: 'Tlön, Uqbar, Orbis Tertius' de J.L. Borges y la Sociedad de la Rosa-Cruz. Article by Santiago Juan Navarro about Borges' story and the Rosicrucians. Published in Hispanófila 120 (1997): 67-80.
Bibliography
  • The Encyclopaedia of Islam, New Edition, Vol. VI "Mahk-Mid" (Leiden, E.J. Brill, 1991), pp. 790b-791a on Al-‘Ukbarî; Vol. X "T-U", page 435a for ‘Uqbâr in the Atlas Mountains of Algeria.
  • Ibn Khordâdhbeh, edited and translated into French by M. J. de Goeje (Leiden, E.J. Brill, 1889, in their series Bibliotheca Geographorum Arabicorum) on the place ‘Ukbarâ.
  • The Jewish Encyclopedia article "Okbara and Okbarites" is simply a cross reference to their article "Meshwi al-‘Ukbari".
  • Isidore Singer and Isaac Broydé, Jewish Encyclopedia article on "Meshwi al-‘Ukbari"
External links







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