ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

はじめに

本シナリオはロシアの作家ガルシンの小説『信号』を元に作成したシナリオです。季節は夏、PCの祖父の日記の中の世界に飛ばされ、そこからの脱出をはかるシナリオとなっております。
シナリオの舞台自体は昭和ですが正直なところなんちゃって昭和です。クローズドなので特に時代背景などを細かく設定する必要は無いと思われます。普通の現代日本シナリオとして遊んでいただけます。
所要時間は1〜2時間程度(キャラメイクは除く)、推奨PL人数は2人、生存難易度は普通です。本シナリオには制限時間が存在しますので時間管理にお気をつけ下さい。後味は少々悪めです。
推奨技能は<日本語><目星><精神分析>です。
基本的に2人用シナリオということで、ハンドアウトを二種類用意しております。PLが1人の場合はハンドアウト,鮖藩僂掘難易度調整のために△砲助けNPCを配置すると良いでしょう。3人以上で遊ぶ場合は誰か1人にハンドアウト,鯏用し、それ以外の人に△鯏用してください。ハンドアウトを非公開にする必要はありません。
本シナリオの使用・改変には特に制限を設けません。オンセ・オフセ問わずご自由にお使いください。なお、もし動画などにお使いいただける場合は、その旨をコメントにてご一報いただけると製作者が喜んで拝見しに参ります。
その他ご質問ございましたらコメント欄へお願いします。拝見次第返信させていただきます。

ハンドアウト

PC

あなたの元に、祖母である岡島 牧子から電話がかかってきた。何でも、蔵にある品物の整理をしたいが自分は歳のせいで力仕事ができないので、代わりにあなたに蔵掃除を頼みたいのだという。気に入ったものがあれば持って行ってくれても良いというし、久々に祖母に会うのも悪くないと思ったあなたは、祖母の頼みを引き受けることにした。人手が必要になりそうなので、知り合いにも声をかけて行ったほうがよいだろう。

PC

あなたは知り合いのPC,ら頼みごとをされた。祖母の家の蔵掃除をするので、手伝いについてきて欲しいのだという。単純に良心に従ってか、それとも報酬につられてか、まぁ理由はどうであれ、あなたはその頼みに了承した。

本シナリオの背景と流れ

PC,料追磧岡島源次は戦時中、国鉄の東京-大阪間の田舎駅『赤金(あかがね)駅』の駅員を務めていました。彼の同僚である丸山正蔵は息子を戦争によって亡くし、その失意から正気を失い戦争を終わらせることに異様に執着するようになります。最終的に彼は列車の乗客を人質に、戦争を止めるよう政府に脅迫状を送りつけるのですが、政府は彼の要求を無視し、丸山は線路を外して列車を谷底へと転落させます。源次が彼の凶行に気づいた時には、すでに500人以上の乗客の命は失われてしまっていたのでした。(と言っても、これらの背景はシナリオ中にはほとんど明らかになることはないので、終了後にKPが望む形で公開してください)
そしてその事件から60余年後、すでに源次は他界し、当時の彼の心境を綴った日誌は、PC,亮族箸梁△北欧辰燭泙泙箸覆辰討い泙靴拭F誌に篭った後悔と自責の念に興味を抱いたニャルラトホテプは、源次の妻(PC,料鎚)の牧子に成り代わり、蔵掃除を口実に探索者たちを日誌の中の記憶の世界へと誘いこみます。記憶の世界の中で列車の転落を防ぎ、祖父の記憶を書き換え、現実の世界への帰還を目指すシナリオとなっています。

各種データ

NPC

岡島 牧子  オカジママキコ (86)
STR 4 CON 7 SIZ 10 INT 86 POW 100 DEX 3 APP 14 EDU 30 現在正気度 該当なし 耐久力 9
PC,料鎚譟弔吠韻靴深擔瀬縫礇襯薀肇曠謄廖今回の神話的事象の火付け役。シナリオでは導入の僅かな時間とエンディングでしか彼女と接する機会はありませんが、万が一PCが彼女を殺害した場合には、邪神は本来の姿を現し1D10/1D100のSANチェックが発生します。
岡島 源次  オカジマゲンジ(故人)
PC,料追磧8宜馘汗峩皹悗留悵。探索者たちが神話的事象に巻き込まれるきっかけとなった日誌を書いた人物。シナリオ中では名前しか登場しません。
丸山 正蔵  マルヤマショウゾウ(故人)
源次の同僚で、彼と同じく赤金駅の駅員として働いていました。赤金峡谷の脱線を引き起こした犯人ですが、現在は亡くなっています。シナリオ中では名前しか出てきません。

アーティファクト

ニャルラトホテプの夢のナイフ
本シナリオオリジナルのAF。リーギクス人のナイフを真似て作られており、地球には存在しない美術様式で装飾されています。刃を初めて目にした人間は、その圧倒的な美しさに魅了され、このナイフで人を傷つけたくてたまらない衝動に襲われます。
このナイフは、夢の世界に存在するものなら木でも鋼鉄でも何でも、全く抵抗を感じることなく豆腐のように斬ることができます。また、このナイフで人体を傷つけると、出血が止まらなくなります。傷ひとつにつき、手当をしなかった場合は10分に一回、手当をした場合は20分に一回程度の頻度で耐久力が1D3減少します。この減少の頻度は探索者の行動等を反映し、KPが調整してください。
技能初期値(大型ナイフ相当)25%   ダメージ1D6+db   耐久値∞(壊せません)

シナリオ本編

1. 導入 祖母の出迎え

蔵掃除のために岡島家を訪れた探索者たちを、PC,料鎚譴任△岡島牧子(に化けたニャルラトホテプ)が出迎えます。彼女は探索者たちを客間に通してお茶とお菓子を出してくれます。(特にこのお茶とお菓子に意味はありません。怪しい物が混入されていたりもしません。)
「今日は来てくれてありがとうね。電話でお願いしたとおり、うちの蔵の整理をお願いしたくてねぇ。私ももうこの歳だし、老い先短いから残せるものを残しておきたいと思ったんだけど、おじいさんが何でもかんでも蔵に置いてたものだから、蔵にものが溢れかえってしまっててねぇ。せめて要るもの要らないものの仕分けくらいはしたいんだけど、私じゃあとても整理し切れないんだよ。何かめぼしいものがあったら好きに持って帰ってくれて構わんで、どうかよろしくお願いしますねぇ」
説明の後、牧子は探索者たちに蔵の鍵を渡し、場所を教えます。探索者たちが蔵の中にあるものについて尋ねた場合、彼女は「全ておじいさんが遺したものなので、私は何があるのかはよく知らない。もしかしたらおじいさんの写真や日記など形見になるようなものもあるかもしれないので、もし見つけたら私に渡して欲しい」と答えます。

2. 蔵の中で

蔵は庭の一画に建てられており、両開きの鉄扉で閉ざされ南京錠がかけられています。牧子からもらった鍵で扉を開けるとひんやりとした埃っぽい空気が流れだし、蔵が長い間開けられていなかったことを察せるでしょう。入口横の壁には電気のスイッチがあり、点けると天井に吊るされた裸電球が蔵の中を照らします。電気を点けた蔵の中は特に何かを探したり読んだりするのには支障の出ない明るさです。<歴史><人類学><芸術>等のロールを行い、価値のあるものを見つけられたかを判定すると、セッションがより盛り上がるかもしれません。
RPが一通り済んだら、探索者全員に1D100を振らせてください。出目の一番小さかった人は、蔵のがらくたの中から1冊の黒い手帳を見つけ出します。手帳はかなりくたびれてはいますが拵えの良い黒い革張りのもので、表紙をめくった所に流麗な文字で「岡島 源次」と、PC,料追磴量樵阿書かれています。
ページをめくって読んでゆくと、日々の雑感などをまじえたちょっとした業務日誌であると分かります。文体や表現は古風で、文字にも癖があるため、詳しく内容を理解するには<日本語>に成功しなくてはなりません。成功すると、彼が国鉄の東京-大阪間に存在する田舎駅である『赤金駅』で駅員として務めていたこと、丸山 正蔵という同僚がいた事が分かります。
日誌を読み進めるうち、探索者たちは異変に気づきます。ページをめくる手を止めても、風もないのにページは勝手にめくれ、次へ次へと進んでゆきます。そして、手帳のいたるところから、インクがまるで血のように大量に溢れ出して滴り落ち、手帳や床や持っている探索者の手を真っ黒に染め上げます。この奇怪な減少に対して、見ていた探索者は0/1、手帳を手に持っていた探索者は1/1D4のSANチェックを行います。
日誌のページはやがて、突然ぴたりとめくれるのが止まります。止まったところのページは溢れかえったインクで端のほうからじわじわと黒く染まっているものの、それ以外は特に文字なども書かれていない真新しいページです。探索者たちが見ると、唐突にそのページに、ミミズののたくったような乱れた文字が現れます。
「わたしは かれを とめられなかった」
その文字を見た瞬間、探索者たちの意識はふっと遠くなり、視界が暗転します。

3. 赤金駅

探索者たちは硬い石の質感を感じて目を覚まします。探索者たちは地面に倒れており、服はそのままですが持ち物は蔵掃除をしていた時に身に着けていたもの(ポケットに入る程度のもの)だけになっています。周囲を見回せば、目が覚めた場所は駅のホームだと分かります。駅舎は木造で、真新しく綺麗なのにデザインに妙な古臭さを感じるでしょう。遠くを見ればよく晴れた空と山が見え、セミの声が響いているのが聞こえ、のどかな田舎の少し大きめの駅といった様相です。駅名表示は「駅金赤」と読み順が逆に文字が書かれていることが分かります。探索者たち以外に人は見当たりません。そもそも、この空間には探索者たちの他に人間は存在していません。
日誌の内容を理解した上で以上の情報を得た探索者は、自分が「日誌に書かれていた昭和の赤金駅にタイムスリップしてしまったのではないか」と感づき、0/1のSANチェックが発生します。
駅のホームからは『待合室』『改札』へ移動する事ができます。線路に降りて歩いてゆくこともできます。

4. 待合室

待合室は古風な飴色の木製ベンチが置かれており、壁には掛け時計がかけられ時刻表が張られています。探索者が目を覚ました時は15時半で、時計は正しく動いています。時刻表を見れば、赤金駅には1日に数本程度しか電車が止まらないこと、次に来る列車は、17時に東京行きの特急列車が通過するということが分かります。
待合室内に<目星>を振ると、木製のベンチの下から白いハンカチを見つけることができます。このハンカチは吸水性の良さそうな木綿製で、大きさは四方80cmほどもあるかなり大きめのものです。ハンカチに対してさらに<目星>を振ってよく調べると、「彼の後悔を晴らせばここから出られる」と白い糸で文字が刺繍されていることに気づけます。

5. 改札

自動改札は無く、駅員が立って切符を切るための手動改札口があります。駅員はおらず、自由に通り抜ける事ができます。改札の側にはすりガラスの窓のついた木の扉があり、『駅員室』のプレートがかけられています。駅員室への扉は鍵がかかっておらず、自由に入ることができます。
改札の先には駅舎から外へ出る出口と、切符を買うための窓口があります。窓口はガラス張りになっていて、駅員室の中を覗くことができます。
駅舎の外に出ると、一見するとのどかな田園風景が広がっています。しかし奇妙なことに、その風景のいたるところに、まるでインクをぶち撒けたかのように真っ黒に塗りつぶされている空間があります。この現実離れした不気味な光景を目にした探索者は0/1のSANチェックを行います。黒い空間に近づいてよく観察すれば、紙にインクが滲み渡るように、黒い空間がじわじわと少しずつその範囲を広げていることが分かります。また、黒い空間に手を差し入れる等の接触を試みた場合、自分の存在が唐突に消し去られるような激しい恐怖を感じ、1ポイントのCON永久喪失1/1D4+1のSANチェックが発生します。駅の周囲の地面も、駅舎から5mほどの範囲を残して黒く塗りつぶされており、駅舎から離れることはできません。黒くなっている場所に無理に踏み込むと身体が沈みます。近くにいた他の探索者は<DEX×5>に成功すれば助け出すことができますが、助けられても1D6のCON喪失が発生します。助けられなかった場合には、その探索者は完全に黒い空間に沈んでしまい、ロストとなります。

駅の出口付近で<目星>すると、出口の側に小さな植え込みがあることに気づけます。しなやかですべすべした手触りの、枝分かれの少ない低木が植えられています。<生物学>に成功すれば、この植木はサルスベリであり、軽くて丈夫な性質ゆえに工芸品や農具の柄などに利用されることがあると思い出します。この枝は、切り取って後述の手旗の柄として使うことができます。枝を折るのなら、耐久力10と探索者のSTRとの対抗ロールに成功する必要があります。
このサルスベリの植木は、16:50(タイムリミットの10分前)になると黒い空間に飲み込まれ、近づけなくなってしまいます。

6. 駅員室

駅員室は引き出しのついた木製のデスクが2つ、本棚、業務に必要な道具をしまった木製のロッカーがあります。また、部屋の奥には『駅長室』のプレートがかかったすりガラス窓の扉がありますが、扉には鍵がかかっています。
デスク
デスクの上は書類が乱雑に置かれており散らかっています。<目星>に成功すると、書類の影に隠れていた駅長室の鍵を見つけることができます。また、引き出しの中から黒い革張りの手帳を発見できます。手帳は蔵で見つけたものとよく似ていますがそれよりも新しく、表紙裏には名前が書いていません。ページをめくると、蔵の手帳とは明らかに異なる筆跡で文字が綴られています。手帳を読むには、<日本語>ロール成功で10分かかります。失敗しても情報は得られますが、30分の時間がかかってしまいます。
手帳は蔵のもの同様、雑感をまじえた軽い業務日誌です。蔵の手帳の内容を知っていれば、この手帳は源次の同僚であった丸山が書いたものだと察することができます。
日誌は途中までは、これを書いた人物が深い理性の持ち主であったことを思わせる、表現豊かな文体で書かれています。しかし、ある日を境に、日誌の内容は太平洋戦争に対する激しい批判へと変わります。使われている中で最後のページには、以下の様な内容が書かれています。

[丸山の手帳]
今でこそ勝利しているが、日本はいずれこの戦争に敗戦する。彼の国との物量差を見れば、そんなことは明らかだ。
なのに、政府の連中はそのことに目を向けようともしないのだ。私の上告は聞き入れてはもらえなかった。
警告もつけたというのに、質の悪い悪戯か何かだと思われたのだろう。
私が本気であることを政治家共に思い知らさなければならないのだ。
赤金峡谷前の線路を外しておいた。17時の東京行きは谷底に落ち、乗客は全員死ぬだろう。この馬鹿げた戦争をやめさせるためには必要な犠牲なのだ。
私はやらなければならない。私はやらなければならない。私はやらなければならない。私はやらなければならない。私はやらなければならない。私はやらなければならない。私はやらなければならない。私はやらなければならない。私はやらなければならない。私はやらなければならない。私はやらなければならない。

私はやらなければならない。

息子はどことも知れぬ海の藻屑となって死んだ 骨の一欠片もひろってやれない こんな思いは

心理学に詳しい者でなくても、この日誌を書いた人物が正気を完全に失っていたこと、日誌に書かれている行為を、筆者が冗談でも脅しでもなく本気で行おうとしていることを理解してしまうでしょう。日誌の内容を知った探索者は、0/1D3のSANチェックを行います。

・本棚
 本棚には駅員の業務マニュアルや教本、路線図など、業務に必要な資料が置かれています。<図書館>に成功すると、『手旗教本』と題された冊子を見つけることができます。読むには<日本語>成功で10分、失敗で30分の時間がかかります。以下の様な内容が書かれています。

[手旗教本]
汽車の運転手に合図を送るには、赤と緑の2本の手旗を用いる。
この内、列車を停車させる信号を送るには赤の旗を用いる。
汽車の運転席は見通しが悪いので、手旗はなるべく正面から、見えやすいように大きく振ると良い。

また、探索者から指定があれば、本棚の中から赤金駅周辺の地図を見つけることができ、赤金峡谷の立地を知ることができます。
ロッカー
業務に必要な道具や駅員の制服の替えなどがしまわれています。ホイッスルや懐中電灯など、ありそうな道具ならば、宣言すればここから探し出して持っていくことができます。『手旗教本』の情報を入手してから探索すると手旗を一組見つけることができます。ただし、赤い旗の方は布が外されて柄だけになっており、またどちらの旗の柄も半分に折られて短くなってしまっています。赤い布をくくりつければ赤い旗として使うことはできますが、運転席に合図を送るには少々見えづらいと思われるでしょう。

7. 線路の先

ホームから線路に降りて、線路沿いを歩いて行くことができます。大阪方面に進んだり線路脇から離れようとした場合、駅の出口同様インクのような黒い空間に邪魔され進めなくなっています。東京方面へ進むと、10分ほどで赤金峡谷にたどり着くことができます。線路が峡谷の壁に沿って走っており、谷底までの落差は50m程、谷底を覗きこめば、急流が白く逆巻きながら轟々と流れているのが見えます。峡谷に差し掛かるカーブのレールは一部外されており、列車がここを通ったならば列車はカーブを曲がりきれず脱線し、谷底へと転落してしまうであろうことが容易に想像できます。レールの戻し方の書かれたマニュアルと必要な道具は駅員室にありますが、最低でも2時間は必要なので、脱線を防ぐにはレールを戻すやり方では間に合わないと分かります。

8. 駅長室

駅長室の扉は施錠されているため、中に入るには駅員室のデスクで鍵を見つけるか、<鍵開け>に成功する必要があります。駅長室は木製のデスクがひとつあるだけの小さな部屋で、駅員室同様デスクの上は散らかっています。
デスクに対して<目星>を行うと、引き出しの中から、鞘に収められた一振りのナイフを発見できます。このナイフはニャルラトホテプが設置したアーティファクト『ニャルラトホテプの夢のナイフ』です。ナイフに施された装飾に<人類学><芸術>などを振れば、この装飾が地球上のいかなる文化にも存在しない美術様式であることが分かります。探索者がナイフを鞘から抜き、その刃面を目にした場合には、以下の描写を行ってください。


ナイフを鞘から抜くと、夜空の星を思わせる、白銀色の刃が顕になった。刃は信じられないほど薄く鋭く研ぎ澄まされており、如何なる優れた刀匠でもこのような見事な品を鍛えることはできないという確信をあなたに抱かせる。そして、その美しさに驚嘆すると同時に、この刃が破戒的なまでにすさまじい斬れ味を秘めていることをあなたは直感する。あなたは理解してしまう。このナイフが芸術として未完成であることを。この芸術品は、冴え冴えとした白い刃面に真っ赤な生き血を纏って初めて、芸術として完成されることを。そして今まさに、あなたの文明生物としての理性は、野蛮な手段によってその芸術が完成されることを、どうしようもなく望んでしまっているのだ。

描写後、1/1D6のSANチェックが発生します。また、このSAN減少によって発狂した場合、発狂の症状が「夢のナイフを使って他者を殺すことへの執着(実質的には殺人癖)」に固定され、他の探索者を刺し殺そうとします。この発狂の解除は通常の発狂状態の解除と同様に行えます。
ナイフのデータは技能の初期値は25%、ダメージは1D6+dbとなります。また、出血の特殊ルールがあるためKPは探索者の耐久力の管理に注意してください。(詳しくはアーティファクトの項目をご覧ください)
また、このナイフはどんなに硬いものでも切ることができ、決して刃が欠けたり壊れたりすることはありません。

9. 列車を停める

丸山の日誌と手旗教本を読み、ハンカチとナイフを手に入れれば、解決のために必要なものが揃います。探索者たちはナイフを使ってハンカチを血で染め、手旗を作って列車を停めなければなりません。
1ダメージ以上の外傷があれば、出血でハンカチを染めることができます。染めるのに技能ロールは必要ありません。ただし、ハンカチを別の布で代用した場合、布地が白くなければ黒っぽく染まってしまい、後述の停車ロールの成功率が下がるので注意してください。夢のナイフの通常のダメージは1D6+dbですが、<大型ナイフ>もしくは<医学>の半分の技能に成功すれば適度に加減ができたということでダメージを半分(切り上げ)に抑えることができます。

旗ができたら、17時にやってくる列車に向かって旗を振り、運転手に認識させることができるかどうかの手旗ロールを行います。手旗ロールには1人しか挑戦できません。手旗ロールに成功すれば、列車を停めることができます。
以下の条件を全て満たしていれば、手旗ロールの成功率は100%となり、ロールは自動成功となります。満たしていない条件がある場合は、カッコ内の数値分だけ成功率が減少します。
 ”枌呂砲蓮待合室の白いハンカチや折れた手旗の布、もしくはそれに準ずる大きな布を使用している。(-25)
 ⊆蟯の布地は赤色である(-30)
 手旗の柄には十分に長さがあり、軽くて丈夫な素材(サルスベリの枝)を使用している。(-15)
 け薪樟覆らよく見えるように、線路の上に立ち列車の正面から手旗を降っている(20)
 ゼ蟯教本を読み、正しい手旗の振り方を理解している(-10)
例えば、教本を読んだ探索者が、折れた緑の旗を染めて線路に立って手旗信号を送る場合、△鉢が満たせていないので、成功率は100-45=55%になります。
ロールに成功した場合は「10.結末へ」、失敗した場合は「11.止めえぬ悲劇」へ進みます。

10. 結末へ

手旗ロールに成功すると、列車は激しい金属音と共に急停車します。停まった列車の窓から乗客たちが何事かと顔を覗かせ、ざわつき始めますが、その内容を聞く前に探索者たちの意識はふっと遠くなり、視界は暗転します。
そしてふと気が付くと、探索者たちは元いた岡島家の蔵の中に戻ってきています。(日記の世界で手に入れた持ち物は全て失っています。)日記の世界の中で死亡した探索者が居た場合も元の状態で意識を取り戻しますが、「自分は一度死んだ」という奇妙な確信と悪寒を感じ、1/1D8のSANチェックが発生します。黒い空間に飲まれてロストしてしまった探索者は、現実世界では心拍呼吸が止まり死亡してしまっています。死体には外傷などはなく綺麗な状態です。他の探索者が目撃した場合は、探索者間の親密さによってSANチェックの減少量をKPが決定してください。
時計を確認すれば、気を失っている間に約1時間半が経過していたと分かるでしょう。手の中にある手帳は探索者たちが意識を失った例のページが開いたままで、インクがほんの僅かに床へと滴り落ちています。ページを覗きこめば「わたしは かれを とめられなかった」の文字がインクの滲みに飲み込まれ、そのすぐ下に「ありがとう」という文字が現れるのを見ることができます。
蔵を出て牧子のところへ戻ると、牧子(に化けているニャルラトホテプ)は応接間で妙ににこにこしながら探索者たちを待っています。探索者たちが蔵で起きたことについて話そうとすると、「あぁ、言わなくても分かってるよ。全部見てたからねぇ」と笑います。
「お前たちは列車を止められたが、それは虚構の世界での話。史実を変えられたわけではないのだよ。お前たちは、一人の男の記憶を塗り替えたにすぎない。それでも、お前たちは何か意味の有ることを成せたと思うかね?」と嘲笑いながら問いかけます。探索者の返事がどうあれ、牧子は「まぁ私は十分楽しませてもらったから、帰るとしよう。心配しなくとも、本物のおばあさんは無事だよ。台所にいるから行ってあげるといい。まぁ、せいぜい二度と私の暇つぶしに付き合わされないことを祈っておくといいさ」と言い、牧子の姿のままで玄関からゆったりと立ち去ってゆきます。言われたとおりに台所を調べれば、気を失って倒れている本物の牧子を発見することが出来るでしょう。彼女は自分の身に起きたことを何も覚えていませんが、源次の手帳を渡すと「おじいさんの手帳、ずっと探していたんですよ。ありがとう」と涙を流して手帳をしっかりと胸に抱きます。その姿を見れば、自分たちのしたことは無駄ではなかったと、探索者は感じることができるかもしれません。
これにて、本シナリオはトゥルーエンドとなります。

11. 止めえぬ悲劇

列車を停めるのに失敗した場合には、バッドエンドとなります。探索者は全員ロストとなりますので、以降のSANチェックはあくまで演出の為の参考の値となります。
丸山の日記に書かれていたとおり、列車は赤金渓谷へと進み、カーブのところで脱線し谷底へ転落します。転落の瞬間を見なかった場合は巨大な鉄塊が崩れ落ちる轟音が遠くから響くのを聞きつけて何が起きたかを悟り、0/1D4+1のSANチェックが発生します。転落の瞬間を目撃した場合、谷底で耳障りな音を立ててぐしゃぐしゃにひしゃげる列車と、人々の断末魔の悲鳴、そして、押しつぶされた乗客たちから流れた大量の血液や肉片で真っ赤に染まる沢を見て1D3/1D10のSANチェックが発生します。
そしてその直後、むせび泣くような悲鳴が空間全体に響いたかと思うと、あちこちに点在する黒い空間の侵食が急速に広がり、駅を、峡谷を、線路を、探索者たちを、この世界の全てを飲み込み真っ黒に塗りつぶします。何も見えない闇の中に飲まれた探索者たちがいくらもがこうとももうどうにもならず、次第に自分が何者だったかを忘れてゆき、やがて彼らは混沌なる虚無に還ることになります。
現実世界では、約一週間後、蔵の中で倒れて冷たくなっている探索者たちと、台所で同様に死んでいる牧子が発見されます。死因ははっきりせず、心臓発作という形で処理されることでしょう。

 

シナリオ報酬

 ・全員生還          1D6
 ・全条件を満たし列車を停めた 1D3

このページへのコメント

モト/16前様

ご連絡ありがとうございます。当シナリオは動画化自由としておりますので、どうぞお使い下さい。拝見できるのを楽しみにしております!

0
Posted by まち 2016年07月10日(日) 22:05:41 返信

はじめまして。ニコニコ動画で動画を投稿しているモト/16前といいます。
まち様の製作したシナリオ「とめるもの、とめえぬもの」を使用してセッションをさせていただきました。そのときの様子を動画としたものを、9月17日からニコニコ動画で開催される「第8回うっかり卓ゲ祭り」という企画に投稿したいと考えています。そこで、「とめるもの、とめえぬもの」を動画に使用する許可を頂きたいと考え、コメントを送信しました。

0
Posted by モト/16前 2016年07月10日(日) 20:38:37 返信

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます