ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

はじめに

本シナリオは現代日本を想定したクローズドシナリオです。
PL人数は2~5人を想定しております。事故死はほぼ起こらないシナリオになっているのでPL人数が少なめでも大丈夫です。

本シナリオは、いうなれば「供養用シナリオ」です。探索者は記憶喪失状態でスタートし、特殊な設定が生じるため、このシナリオで使用した探索者は以降別シナリオに継続キャラとして持ち込むことが不可能になります。シナリオ難易度は低いものの生存率は低いです。何より、ハッピーエンドが存在しません。このシナリオを使ってKPをされる場合は、予めPLにその旨を伝えておいてください。
推奨技能は特にありません。<目星><聞き耳>等の基本的な探索技能があれば大丈夫ですが、<医学>があればよりこのシナリオを楽しむことが出来るかもしれません。

本シナリオの使用には特に制限を設けません。オンセ・オフセ問わずご自由にお使いください。なお、もし動画などにお使いいただける場合は、シナリオの作者名を明記していただけるようお願いします。コメントにてご一報いただけると製作者が喜んで拝見しに参ります。

本シナリオの流れ

数十年前、日本政府は山奥の廃精神病院を利用し、グラーキの毒を使って不死者を作り出す研究を行っていました。大きな事故の被害に会い、奇跡的に生き残った者を戸籍上死んだ扱いにし、被験者として利用していたのです。探索者たちも鉄道事故に遭ってその被験者となってしまった者たちで、彼らは死ぬことも老いることもなく、永劫の時を生き続ける呪いを刻み込まれます。しかし研究費もろもろの理由で研究は頓挫。所長から薬物を使い実験体を仮死状態にして保管することを命じられた副所長の酒巻は、薬物をわざと弱いものにすり替え、探索者たちが数十年後(正確な年数はKPが自由に決めてください)に目を醒ますよう細工します。そして目を覚ました彼らが安らかなる死か永遠の生かを自分の意志で選択できるように、不死者をも殺せる劇毒と、研究所の出口の鍵を残したのでした。しかし仮死状態のショックからか、それとも度重なる実験の悪影響か、目を醒ました探索者たちは全員記憶喪失になってしまっていました。探索によって自分の身に起きたことを思い出してゆき、最後の選択にたどり着くのが本シナリオの流れとなります。

各種データ

NPC

酒巻 慎之介
シナリオでは名前のみ登場します。研究所の副所長を務めていた男です。研究計画が凍結され探索者たちを含めた研究サンプルが保管されることになった際、良心の呵責に耐えかね、せめて人としての尊厳を保てるように探索者たちに対し自殺の手段を残しました。

魔道書・アーティファクト

グラーキの黙示録
グラーキの黙示録の第一巻です。持ち帰って研究するなら、6週間かかり、<クトゥルフ神話>に+4%、1D3/1D8の正気度を喪失します。【グラーキとの接触】の呪文の習得を試みることができます。
グラーキの棘
神格グラーキの棘です。効果については基本ルールブックもしくはマレウス・モンストロルムのグラーキの項目を参照してください。

神話生物

J3-1
研究によって生まれた、高い戦闘能力と凶暴性を備える改造人間です。地下の隔離室に閉じ込められていましたが、鍵を破壊して脱走し、地下をうろついています。完全に理性を失っており、探索者たちを見かけると襲いかかってきます。
STR 27 CON 12 SIZ 18 INT 2 POW 5 DEX 8 APP 3 EDU 0 現在正気度 0 耐久力 15 db +2D6
<腕を振り回す>80 1D8+db(2D6)
正気度喪失…0/1D4+1
探索者(T5-1〜5)
グラーキの毒から作られた薬によって、不死身になってしまった元人間です。心臓を始め通常の生態機能が全て停止しているにもかかわらず活動ができる上に、異常な再生能力を持ちます。たとえ致命的な傷を負ってもその部分が再生し、水に溺れても水から引き上げさえすればすぐに動けるようになる等、酒巻の用意した毒以外のいかなる方法でも死ぬことができません。体の一部を切断された場合は、すぐに切断面をくっつければ勝手に修復されて繋がりますが、しばらく放置すると切断面から勝手に切断箇所が生えてきます。通常の人間なら死ぬほどのダメージを受けた場合は、修復されるまで仮死状態になります。
探索者は耐久が0以下になっても死亡しません。ただし痛覚は存在しているので、気絶判定は通常通り発生します。戦闘中は1ラウンドに1D3の自動回復が発生します。負傷した探索者に対し<医学><応急手当>で傷の治療を試みたものは、その異常に気づいてしまいます。
自分が不死身の化け物になってしまったことを知った探索者は、1D3/1D12のSANチェックを行います。

シナリオ本編

1. 導入 生体試料保管室

[KP向け情報]不死者研究で作り出されたサンプル(探索者含む)が保管されている部屋です。探索者たちは低温保管機に入れられていますが、既に不死であるため身体に異常をきたすことはありません。

探索者たちは仰向けに倒れている状態で目を覚まします。自分たちがどんな人間で、どのような過去にどのような経験をしたかは覚えていますが、最近何をしていたか・どうしてこんな場所にいるのかは、霞がかかったように思い出せません。
身につけているのは入院着のようなもののみで、持ち物はありません。辺りはほぼ真っ暗で、寒いと思われるほどにひんやりと冷えており、上下四方は壁に囲まれているのが手探りでわかります。
<目星1/2>に成功すると、箱のようなものに入っていること・天井部分のみガラス張りであること、そのガラスの向こうに蛍光灯のつけられた部屋の天井が見えることがわかります。蛍光灯は灯ってはおらず、室内は何か別の弱い明かり(後述の非常口表示)でうっすらと照らされています。
箱はガラス部分を押し開ければ開き、脱出できます。ロールなどは必要ありません。開けた途端、蒸し暑く埃っぽい空気が流れ込んでくるのを感じるでしょう。この暑さから、探索者は今が夏であることを察せます。
室内は病院の一画のような、無機質な内装です。清潔感のある緑がかった白に統一された壁や床には、なぜか埃が積もっています。室内には自分たちが入っていたものも含め、人ひとりが入れるほどのガラスの蓋の箱がいくつか置かれているエリアと、大きなラックが並べられているエリア、いくつかの大きな水槽が置かれているエリアがあります。また、一方の壁にはスライド式の入り口扉と蛍光灯のスイッチがあります。扉の上には非常口の表示があり、それが今のところ室内の唯一の光源になっています。
スイッチをつけると蛍光灯が点灯し、探索者は急な光にしばらく目を瞬かせることでしょう。そして、自分たちの首にそれぞれT5-◯(◯の中には1~5の数字が入る。PC達に適当に割り振ること。)のタグのついた細い鎖が付けられているのに気づきます。

室内にあるものには、いずれも埃がかなり積もっており、長い間放置されていたような様相です。
人間がひとりすっぽり入るサイズの箱です。探索者たちが入っていた他にもいくつか箱があり、いずれにも人間が入っています。開けることはできるが、中の人間は何をやっても反応せず目を覚ましません。
調べると瞳孔は開いていないが、心臓と呼吸は止まっている事がわかり、0/1のSANチェックが発生します。
箱に対して<電子工学>で調べれば、しまってあるものを低温で保存する、冷蔵庫のような機械であると分かります。
また箱を<生物学><医学>で調べると、短時間ならともかく、長時間入っていれば普通の人間は低体温症を起こしているはずだと分かり、自分たちは入っていたのにそうなっていないことに違和感を覚えるでしょう。
ラック
様々な動物やその身体の一部の標本や剥製がしまわれています。また、下の方には大きな木箱がいくつか収められています。
標本を<生物学>で調べると、身体の一部が肥大化したり萎縮したりと、異様な変化をしている個体があると気づきます。
木箱を調べると、中に人間の腕や足など、箱ごとに異なる人体のパーツが、大量に入っているのを見つけ、0/1のSANチェックが発生します。
<医学>に成功すると、それらが紛れも無い本物の人体であると分かります。蒸し暑い部屋に保管されていたにも関わらず、腐敗は見られません。切断面は乾いていますが、それ以外の部分は今にも動き出しそうにみずみずしいです。
水槽
水槽は円柱形の大きなものがいくつか並んでいます。近づけば、液体が満たされ、中に人間まるまる一人が漬けられているのが見え、1/1D3のSANチェックが発生します。
水槽を開けて中の人間を取り出すなら、中の液体から臭いがせず、ホルマリンでないことが分かります。<薬学>または<化学>で調べれば、この液体はただの純水だと分かるでしょう。
死体に対し<医学>をすると、死体は内臓などが全てそのまま残されている上、防腐加工なども施されていないのに、綺麗な状態であることが分かります。もし他の部屋から道具を持ってきて解剖したなら、脳に手術で何かを摘出したような痕跡が見られることが分かります。


部屋を出ると、そこそこ幅のある長い廊下に出ます。内装はシンプルで、清潔感のある淡青の塗装がされているが、やはり非常に埃っぽいと感じます。探索者たちのいた部屋の扉の側には、『生体試料保管室』のプレートがついています。
部屋を出て正面には行き止まりの廊下(更衣室方面)、左手には曲がり角(階段方面)、右手には広い空間につながる廊下(玄関方面)があります。
※ただし、所長室・副所長室の扉は13. 希少資料保管室で銀のカードキーを見つけてからしか開けることができません。

2. 玄関周辺

[KP情報]研究所は廃業した精神病院を改装した建物なので、受付付近は病院時代の名残が感じられるものになっています。研究所が閉鎖されたのが2015年8月17日であることを示す手がかりの他に、探索者たちが研究に巻き込まれるきっかけとなった、新幹線の脱線事故の情報が手に入ります。
廊下を右に進むと、病院の玄関らしき場所に出ます。左手に施設の入り口と受付、右手にラウンジがあります。
入り口・受付
入り口付近で施設の見取り図を確認できます。入り口はシャッターで閉ざされており、カードリーダーが付いています。鍵開け等で無理やり開けることはできません。
受付と思しき場所の前には待合の長ソファがいくつも並んでいます。
待合に<目星>を振ると、「東海道新幹線脱線事故から5年 悲劇二度と繰り返さない」と一面にある新聞が、ソファの側のペーパーラックにかかっているのを見つけます。日付は2015年8月17日と書かれています。
新聞記事は、2010年8月16日に東海道新幹線が脱線し200人近くの死者を出した事故が起きたこと、その追悼式典がちょうど5年後である2015年8月16日(新聞の日付の前日)に行われたことを報じています。記事を読んだ探索者は一瞬、突如視界が暗転し、全身が砕ける程の衝撃を味わう幻覚を覚えます。幻覚が解けた後も、全身を締め上げ圧迫するような奇妙な不快感が後を引き、1/1D4のSANチェックが発生します。

受付のカウンター内にはレジが存在せず、書類も殆ど残っていません。<目星>で来客名簿を発見できます。
来客名簿にはバインダーに2015.8.10〜2015.8.17と一週間分の日付が記された来客リストの紙が挟まれています。名前は「品川 和彦」という人物が7.20と8.16におとずれているのみで、それ以外の名前は書かれていません。
探索者が名簿を見たなら、<アイデア>を振らせてください。成功すれば、「この施設はかつて病院だったが、廃業した後、別の用途で使われていたのではないか」と気づきます。
また、カウンター内から事務所へ入ることができます。(4. 更衣室〜事務所参照)
ラウンジ
ラウンジにはいくつかの丸テーブルと座り心地のよさげな椅子が置かれていますが、いずれも埃っぽく、長く放置されていたような漢字がします。こちらのカウンター内にはレジがありますが、鍵開けしたところで中身は空で、大した情報もありません。
ラウンジから厨房へ入ることができます。

3. 厨房

ラウンジと繋がっている小さな厨房です。中には戸棚、調理台とシンク、冷蔵庫があります。
戸棚にはひととおりの食器や調理器具は揃っておりシンクから水は出るものの、ガスが通っていないので本格的な料理はできません。
冷蔵庫は電気が通っているが、中身は入っていません。
厨房内には缶詰・瓶詰めや粉末コーヒー等の日持ちのするものがまだ食べられる状態で残されています。しかしそれらを食べた場合には、味は感じるものの、飲み込んだ直後得体のしれない気持ち悪さを感じ嘔吐してしまいます。この経験をした探索者は0/1のSANチェックを行います。
はさみや包丁などのちょっとした刃物は、ここで見つけることができます。

4. 更衣室〜事務所

更衣室から事務所にかけての3部屋は、中で扉でつながっています(地図参照)。それぞれの部屋の扉には鍵はかかっていないため、自由に行き来できます。
更衣室
更衣室は廊下から見て左手が女性用、右手が男性用の表示があります。男女どちらか好きな方で、以下のアイテム入手・処理を行ってください。
更衣室のロッカーはほとんどが空です。順番に開けて中を見てゆけば、そのうちのひとつに、赤いライン模様のカードキーの入ったカードホルダーが残されているのを見つけられます。このカードキーは施設内のいくつかのドアを開けるのに使用します。
室内に<目星>を振ると、壁に「先の告知の通り、当施設は8/17に閉鎖されます。8/14までに、ロッカー内の私物を全て引き払っておいてください」と書かれた張り紙を見つけます。
休憩室
休息室は給湯室と仮眠室と談話室が一緒になった部屋です。給湯室には電気ポットがあります。電気と水道は生きていますが、ガスは通っていないため、水道からはお湯は出ません。この部屋には特にそれ以上の情報はありません。
事務所
事務所には、書類棚とパソコンの置かれたデスクがあります。
[KP情報]書類は処分済みなので、業務日誌などは探しても見つかりません。パソコン内のデータは被験者のデータです。
書類棚は空です。<目星>で調べると、一枚のメモを見つけます。内容は以下のとおりです。
「8/17 最後の業務が終わった。ここの職員は全員解雇となるが、所長と副所長は政府直属の研究機関に異動になり、研究所自体は資料の秘匿保存のため無人状態で管理され続けるらしい。私達の研究が、この国の未来をより明るくするものであることを、せめて願おう」

パソコンは長く放置されすぎて壊れています。<電気修理>で直して起動させることができます。インターネットにはつながらず、時計も狂っています。ファイルデータを漁れば、何人もの人物のプロフィールが詳細にしるされた名簿が見つかります。その中には探索者たちの名前もあり、プロフィールの他に、「2010.08.16 資料収容」と書かれています。ファイルを閲覧した探索者は、自分ですら忘れている何かを他人に把握されていることをほのめかすデータに気味の悪さを感じ、0/1のSANチェックが発生します。

デスクの上には、備品保管室の薬品棚の鍵が置かれています。

5. 備品保管室

[KP情報]この部屋の工具置き場で見つかる南京錠は、地下で敵(J3-1)の動きを封じるのに使えます。必ず探索者に見つけさせるようにしてください。
入り口は電子ロックで施錠されており、更衣室に残されていた赤のカードキーで解除できます。中には機械類や工具類などが保管されており、薬品棚も置かれています。欲しいものがあれば、常識の範囲内でならここから見つけ出せることにして構いません。
<電子工学>で機械類を調べれば、微弱な電流の検出及び調整を行う機械であると分かります。さらに<医学>に成功すれば、生物の生体電流を検出するための装置であると理解できます。

工具等が置いてあるスペースを調べれば、張り紙のついた布の袋を発見します。中には大ぶりで頑丈そうな南京錠とその鍵が入っています。張り紙には以下のことが書かれています。
「今のもののままでは半世紀と持たなさそうなので、J3-1の隔離室の錠の替えを用意しておきました。暇があったらつけかえておいてください」

薬品棚には鍵がかかっています。事務所にあった鍵を使うか、<鍵開け>で開けることができます。
中の薬品を<化学><薬学>で調べれば、保管されているのは全て、複数の毒物の混合液であると分かります。ただし、詳細な成分(グラーキの毒)は全くもって不明です。

6. 地下へ続く階段です。入り口にはシャッターが降りています。すぐ側にカードリーダーと開閉スイッチが備えられており、赤のカードキーを通せばシャッターを開け閉め出来るようになります。

階段は白く無機質な階段です。地下に向けて<聞き耳>を振ると、どこか奥の方から微かに呻くような声を聞きます。

7.隔離室

[KP情報]病院時代に暴れる患者を無力化するために使われていた隔離室は、研究所になってからは、凶暴な被験体の檻として使用されていました。一番手前の隔離室には、非常に危険な被験体であるJ3-1が収容されていましたが、彼は現在扉の鍵を壊して脱出し地下をさまよっています。探索者たちが地下へ降りたらまず隔離室周辺を描写し、危険な存在がいることを印象づけると良いでしょう。
隔離室前の廊下は目星するまでもなく、右手前の部屋の扉が開きっぱなしになっているのが見えます。扉は鋼鉄製の非常に分厚い扉で、すぐ側には扉を封じていたのであろう、壊れた南京錠の残骸が落ちています。<アイデア>に成功すれば、この南京錠は部屋の内側から尋常でない力で扉を押したことで壊れたのだろうと推測できます。この部屋の室内にはベッドと洗面台がありますが、どちらもめちゃくちゃに叩き壊されています。
室内に<目星>を振って成功すると、「J3-1」と書かれたタグが落ちているのを見つけます。タグのデザインは探索者たちの首についていたものと同じものです。
他の隔離室は南京錠はついておらず、開けることができますが、特に何もありません。

8. 施術室

[KP情報]被験者の解剖が行われていた部屋です。<医学>なしでは情報は出ませんが、応急セットやメスなどはここで探せます。
スライド式の扉は電子ロックで施錠されており、赤のカードキーで解錠できます。中は薄緑色の内壁の、病院にあるような外科手術室です。室内は非常に綺麗に清掃されており、埃も他の部屋より少なくなっています。KPは必要に応じて、治療の道具を調達できることにして構いません。
<医学>に成功すると、この部屋には人工心肺などの機能代行装置・延命装置の類が見当たらないと分かります。この部屋で行われていた手術は病気や怪我の治療ではなく、臨床解剖など学術的な目的の手術であったことが察せるでしょう。

9. J3-1

地下のマップの上半分(隔離室・施術室よりも上)に行こうとすると、廊下の曲がり角の先からJ3-1が現れ、探索者たちと遭遇することになります。以下の描写を行ってください。

「廊下の奥から現れた巨大な二足歩行の存在を、あなた達は一瞬人間かと思ったが、しかしそうではなかった。身体の至る所の筋肉がぼこぼこと歪に肥大化しており、骨格は不自然に曲がっている。それはお伽話に出てくるようなトロールやゴブリンといったものを彷彿とさせるが、残念ながらお伽話のそれから感じられるようなコミカルさは微塵も見受けられない。それは血走った目であなた達の姿を認めると、唸り声を上げて襲い掛かってくる。化け物と呼ぶにふさわしいその姿に、あなた達はなぜか妙な確信を抱いてしまう。どう見ても自然発育ではそうはならないが、しかし確かにそれは、もとは人間だったのではないか、と。」

J3-1を目撃した探索者は0/1D4+1のSANチェックを行います。

J3-1
STR27 CON12 SIZ18 INT2 POW5 DEX8 APP3 EDU0 現在正気度 0 耐久力 15 db2D6
<腕を振り回す> 80 1D8+db(2D6)
探索者が逃げ出しても、それ以降J3-1は廊下をうろうろし続け、探索者を見つけると襲ってきます。探索者を見失わない限り追いかけてきますが、1階に逃げシャッターを閉めた場合は、しばらくシャッターを叩いた後、諦めて再び地下へ戻ってゆきます。備品保管庫にあった錠を持っているなら、<DEX対抗vs8>に成功することでうまく隔離室に誘導し、新しい錠で施錠して閉じ込めることが可能です。

10. 記録室

[KP情報]この部屋には、探索者が最早人間ではないものに成ってしまっていることを示す重要な手がかりがあります。PLの発言次第では、KPは「探索者が正体を自覚したことによるSANチェック」をここで発生させても構いません。
入口の扉は赤のカードキーで開けられます。室内には所狭しと棚が設けられ、実験及び観察の記録ファイルが山のように棚にファイリングされています。
<図書館>に成功すると、ファイルのうちの幾つかから、以下の様な記述を読み取ることができます。

「各試行とその結果 各サンプルには必ず「種別(アルファベット・数字)-サンプル個体番号(数字)」と表記したタグをつけて管理すること。
 A1. 『X』を調製なしでそのまま投与
  結果…意思や五感を保ったまま不死になる。ただし、光に非常に弱い性質を持つ。個人の意思を外部からの電気信号による命令に置き換えることができるだろうか。
 D3. 『X』の効果による光への脆弱性の調整その3
結果…A1の光への脆弱性を消し去ることに成功。この成果を下に今後のさらなる改良を進める。
 J1. 不死の特性を利用し、通常なら代謝が追いつかなくなるレベルまで身体機能を底上げ
  結果…やや反抗的な兆候があるが、実現性は十分。さらに高い身体能力を活かせるように筋組織の増長比率を再検討。
 J3. J1の改良型。
  結果…失敗。理性がなくなり異様に凶暴性が高くなり近づくことすら危険。殺処分も難しいため隔離室に幽閉。
N1. 『X』が肉体の機能に加え脳の機能も停止させるように調製。
  結果…身体の機能が完全に停止。完全に殺してしまうのでは意味が無い。
 N4. N1の成分を調製
  結果…良好。心肺・脳が停止した状態で反射反応を確認。
 O1. N4の脳に電子チップを埋め込み、神経系に外部から信号を与える。
  結果…神経への接続がうまく行かず。更なる試行が必要。
 T1. O1改良型
  結果…電流が強すぎて神経系損傷。電流量を調整。
 T5. T1から電流量と『X』の成分を若干調製
  結果…極めて良好。五感・不死・電気的命令の条件をクリア。今後の課題は神経系からの痛覚の排除と身体機能の強化。複数のサンプルを作成し今後の実験に使用」

11. 焼却室

[KP情報]被験体の焼却処分・実験に使用されていた、焼却炉のある部屋です。
入り口は頑丈な鉄の扉で、赤のカードキーで解錠できます。部屋は北半分が防火壁で仕切られ巨大な焼却炉になっています。焼却炉の入り口の防火扉と防火壁の一部には、分厚い耐火ガラスで作られた覗き窓がついていて、部屋の南半分の操作室から焼却炉内を観察することが出来るようになっています。操作室には焼却炉を操作する機械がありますが、ガスが止まっているので、点火することができません。
覗き窓を覗くと、大量の人間や人間のなりそこないのような何かが火に巻かれ、皮膚をはぜさせながら叫び声を上げて手を伸ばしてくる幻覚を見てしまい、1/1D4のSANチェックが発生します。幻覚はすぐにおさまりますが、探索者はその光景に強烈なデジャヴを感じます。焼却炉内に立ち入った探索者は、頭が割れるかというほどの激しい頭痛に襲われます。<心理学><精神分析><医学>のいずれかに成功すれば、この症状が激しい心理的ストレスによるものであり、喪失している記憶と関わりがあるのではないかと分かります。

12. 実験室

[KP情報]被験者の不死性を試すための、いわば処刑部屋です。探索者たちも例に漏れずあらゆる方法で殺害されその度に再生しており、この部屋を調べることで、封印していたそのおぞましい記憶が蘇ることとなります。
焼却室と同じく、赤いカードキーで開けられる鉄扉の部屋です。室内には視力や聴力の検査機がある他、巨大な水槽や拘束具のついた寝台や端子のついた椅子など、病院のような内装に対し場違いなものが置かれています。寝台をよく見れば、微かにところどころに赤っぽい染みが見つかります。<アイデア>に成功すれば、この寝台は人を縛り付けて身体を切断するためのものではないかという考えが頭をよぎります。
<目星>に成功すれば、部屋の一角に置かれた机の上に実験ノートがあるのを発見します。
「メモ 頭が残っている限り切断しても死なず、断面は修復される。また、切断後すぐであれば断面同士をくっつけておけば修復され完全に元通りになる。薬物は消化を行わないので普通の食事と同様、経口摂取させてもすぐ嘔吐する。体内に直接注入しても血液循環が存在しないため無効。電気は直接脳にダメージがいくためか、一部の高い再生能力を持つサンプル以外はすぐに死亡する。火炎は前述通り頭さえ無事なら問題ない。」
そしてノートを読んだ探索者たちは、自分たちがありとあらゆる方法で、この場所で『何度も殺された』ことを思い出します。
「切る・刺す・殴る・折る・捻る・刻む・潰す・燃やす・溶かす・沈める・毒を呑む・感電する…様々な『死』と、それに伴うあまりにも耐え難い苦痛が、一瞬にして脳内に蘇り、全身を貫く。それがただの幻影にすぎないと理解していても、それでもあなたは自分の呼吸が早くなり、身体が痙攣するのを抑えられない。あなたは思い出してしまう。その全ての『死』が、まごうことなき、自分自身の体験であることを。自分がこの部屋で、幾度となく『死に続けた』ことを」
描写後、1/1D8のSANチェックを行います。

13. 希少資料保管室

[KP情報]魔道書『グラーキの黙示録機戮よび、所長室・副所長室に入るための銀のカードキーを入手できます。
スライド式の扉で、赤いカードキーで解錠できます。室内には様々な剥製が飾られている棚と、書棚があります。
書棚を<図書館>で調べると、「グラーキの黙示録機が見つかります。本には付箋が貼られており、その箇所を読むには<英語>ロールに成功して1時間掛ける必要があります。読んだ探索者は1D2/1D6のSANチェックを行い、<クトゥルフ神話>が1%上昇します。本から得られる情報は以下のとおりです。

『グラーキの黙示録機
イギリスのセヴァン谷の湖に住まう神グラーキは、その身に無数の棘を纏っている。棘に刺され死んだものはその毒液に侵され、死ぬことを許されぬ神の下僕と成る。但し、棘によって傷つくことなく服毒のみした者は不死の化け物に成り下がるのみにとどまり、かの神の下僕とはならず己の意思を持ったまま永劫を歩むことと成る。

部屋の一番奥には壁埋め込み型の電子金庫があり、8桁のナンバーロックがかかっています。
また、部屋の壁にはフックがあり、銀色のライン模様の入ったカードキーがかけられています。
このカードキーは赤のカードキーよりワンランク上のキーで、赤で開けられた扉に加え、所長室・副所長室の扉を解錠できます。

14. 所長室

飴色の木の立派な扉で、希少資料保管室の銀のカードキーで開けられます。部屋は応接間と所長の私室を兼ねています。所長の机の中を漁ると、「防衛庁 特殊機密戦略室代表  品川 和彦」と書かれた名刺と、開封された封筒が2通出てきます。封筒の中にはいずれも紙が一枚ずつ入っており、以下の内容が書かれています。

「2009.10.10    計画書                 防衛庁

 本計画の目的:『棘』の詳細な性質の調査及びその特性を利用した不死の生物兵器の作成
 動物実験から開始し、実用可能な段階になり次第人間のサンプルを支給。
 大きな事故・災害に遭い、保護された者を行方不明として戸籍上死亡扱いにし、サンプルに回すので、サンプルの存在が外部の人間に漏れて計画が露見しないよう管理には十分注意されたし」

「2015.7.15     通知書                 防衛庁
公費の削減が決定し、本計画は凍結されることとなりました。
 研究所および有用なサンプルは今後のために保管されますので、監査が来るまでに不要なサンプルを処分し、必要な物を適切に処理し保管できる状態にしておいてください。」

15. 副所長室
[KP情報]シナリオの目的が明らかになる部屋です。手帳の最後の一文は希少資料保管室の金庫ナンバーのヒントです。面倒であれば省略して構いません(16.金庫の中身 参照)
所長の部屋同様の扉で、銀のカードキーで開きます。副所長の私室だった部屋ですが、物は殆ど残されておらず、机がひとつ残っているのみです。机を調べると、天板の下に手帳黒いカードキーが隠されているのを見つけます。黒いカードキーは、入り口のシャッターを解錠するのに使用します。
手帳には、以下の内容が書かれています。

「この手記をもし貴方達が読んでくれることがあったのなら、私は少しでも許されるのだろうか。この期に及んで、私はまだ浅ましくも許されたいと思っているのだろうか。幾人もの罪のない人々を、許されざる研究の過程で犠牲にした。何度も辞めたいと思った。だが知ってしまった者に、手を染めてしまった者に、もう子羊の顔をして無実の世界に戻ることは許されないというのに。あぁ、神様。いや、人間のための神様など、もはや幻想でしかない。
だからこの手記は、私の愚かな贖罪の真似事だ。もし仮死状態になった貴方達が、何かの手違いで目覚めることがあった時のために、私は貴方達に二つの道を示そう。私の作った毒薬は、『棘』の毒の効果をも打ち消して安らかな死を貴方達にもたらすことだろう。死ぬのも、生き続けるのも、貴方達の自由だ。自分の人間としての意志にしたがって、望む方を自分の手で選んでください。

必要なものは、地下の金庫の中にあります。
私達の罪は終わらない。始まりの日を永遠に忘れることはない」

ここまでの全ての情報を得た探索者たちは、自身の正体が不死の化け物であることを完全に自覚してしまうことでしょう。1D3/1D12のSANチェックを行ってください。
16. 金庫の中身
[KP情報]希少資料保管室の金庫のナンバーは、計画が始動した日付である20091010です。面倒なら、副所長の手記に直接ナンバーが書かれていたことにしても構いません。
副所長室で手記を読んだ探索者は、希少資料保管室に戻り金庫を開けることでしょう。
金庫の中にはグラーキの棘と、透明な薬剤の封入された使い切りタイプの注射器が探索者の人数と同数本入ったケースが収められています。グラーキの棘は七色にひかる金属のような得体のしれない材質でできており、先端には毒液と思しき液体が滲んでいます。棘を詳しく調べるなら、探索者はその先端が絶えず自分の方向を向いており、何をやっても逃れられないような妄執と恐怖に襲われます。0/1D3のSANチェックが発生します。
注射器に入った透明な薬剤は、グラーキの毒を打ち消し、不死身の化け物となった探索者たちをも殺すことが出来る強力な毒薬です。PLは、毒薬を用いて探索者を自殺させるか、自分たちが死んでから何年経ったかも分からない世界で化け物の身体で生き続けるかを選択することになります。
自殺を行う場合、注射器を扱うのにロールは必要ありません。以下の描写を行ってください。

「細い注射針が、あなたの腕にほんの小さな痛みを与える。薬液があなたの血管に流れ込んだほんの数秒後、操り人形の糸が切れるように全身から唐突に力が抜け、あなたの身体はその場に崩れ落ちる。指の一本にすら力を入れることもできず、動かせない眼球に映るのは、ただ冷たいリノリウムの白い床のみだ。普通の人間には許されないほど長く永く働き続けたあなたの身体は、精神は、抗いがたい気怠さと心地良い眠気に誘われ、ゆっくりと、今度こそ覚めることのない眠りの中へと、永遠の安らぎの中へと沈んでいった。」

自殺した探索者はロストとなります。他の探索者の死を看取った探索者は、1/1D6のSANチェックを行います。
17. 枯れない枯花
副所長室で手に入れた黒いカードキーで、玄関のシャッターを開けることができます。生存を選択した探索者は、ここから脱出できます。施設から外に踏み出せば、そこは夏の容赦無い日差しが照りつける、新緑に覆われたどこかの山の中腹です。木々の枝葉の隙間から、山の麓に市街地が広がっているのが見えます。施設前から伸びる荒れたアスファルトの道路を下ってゆけば、やがてその街に辿り着くことができるでしょう。
脱線事故から何年が経過していたかは、GMが自由に決定して構いません。当然ながら戸籍も既に失われ、ひょっとしたら自分を知っている人はもうこの世にいないかも知れない世界で、呪われた探索者たちがどのように永劫を歩むことになるのかは、PLとGMでご自由に演出・描写してください。
以上で、本シナリオは終了となります。

シナリオ報酬

正気度回復…なし
アーティファクト…生存した探索者が持ち出しを宣言したなら、『グラーキの黙示録機戞悒哀蕁璽の棘』『贖罪の毒薬』を手に入れることができます。魔道書および『グラーキの棘』については基本ルルブのグラーキの項目参考にしてください。
『贖罪の毒薬』 使い切りタイプのAF。注射器に入った薬液です。グラーキの毒や何らかの呪文等の効果でゾンビ化・不死身化した存在に使用すると、完全にその機能を停止させ殺害することができます。


施設マップ

このページへのコメント

ぶんちょ様

コメントありがとうございます。
次回作の公開予定は未定です。どうぞ気長にお待ち下さい。

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Posted by まち 2016年07月25日(月) 00:59:21 返信

このシナリオ本当に好きです!
出来るなら是非水族館のあのシナリオもあげて欲しいです)^o^(

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Posted by ぶんちょ 2016年07月03日(日) 23:34:12 返信

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